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雪がやんだら 2

こんにちは!
真昼間投稿、年末年始特大号!?ヾ(o´∀`o)ノ

では、どうぞ~







何とかボーゲンだけは様になってきたキョーコちゃんにあれこれ教えながら、ちょっとずつ滑る楽しさを体感し始めたキョーコちゃんを伴ってコースの難易度を上げていく。
蓮の教え方もキョーコちゃんには良かったらしく、流石に屋内練習場で練習した甲斐もあって、飲み込みもいいし上達も早い。
転んだり、助け起こしたり、夢のように楽しい時間はあっという間に過ぎていったようだ。

けれど、ようやく中級コースを滑る事ができるようになったころに、二人にアクシデントが起こった。

下見も兼ねてスキーやスノーボードを楽しんでいた彼ら。
最後にもう一度だけ滑ろうとリフトへ乗ってすぐに、二人を急な悪天候が襲ったのだった。


(不味いな…)

蓮は強くなり始めた風と雪に、空を見上げた。

天候が何分もつだろうか?それとも…と、咄嗟にいくつかのシュミレーションを行うも、リフトを途中で降りることも叶わず、風で不安がる彼女に声をかけながらようやくリフト降り場に立つと、到着した頃を見計らうかのようにリフトが止まった。

あたり一面のホワイトアウト

猛吹雪の中を迷いもせずにコースを滑り降りるのは困難だった。
まして、キョーコは中級コースをようやくクリアしたばかり。
幸いな事にリフト降り場の裏手に小さな避難小屋があることを何とか確認できた二人は、迷わずそこに逃げ込んだ。






雪がやんだら 2







「いや~参ったよ。急に天気が変わるんだもんな!おい、お前…機材にしっかりカバーかけて来た?」
「かけましたよ。飛ばされてやばそうなものは撤収しましたから、大丈夫です。」
「明日は天気が回復すると良いんだがなあ…」

ホテルのロビーに慌しく戻ってくるスタッフたち。
俺は神妙な面持ちで、二人が戻ってくるのを待った。

(まさか…まさかとは思うが、さっきのスタッフで最後か?)

天候が悪くなり始めてから携帯電話にかけるが音信不通。
彼らに繋がる気配はない。

初心者コースで楽しんでいる姿を暫く前に見た後、リフトに乗り込むところまでを確認した。
けれど、その直後にあっという間に白く、見えなくなった視界。
次第に空が暗くなるのと同じくして、不安とともに胸に暗雲が立ち込める。けれど、このまま黙っておく訳には行かないのだ。

「監督、お話があります。」
「やあ、敦賀君のマネージャーさん。今日は天候が悪くなったけど、明日はいい景色が撮れそうなんだ。敦賀君に明日の撮影、よろしくねって言っといてくれる?」
「その件なのですが、実は…蓮が戻ってきていません。」

「な…なんだって?」 

「申し訳ありません。うちの京子とゲレンデで練習中だったのですが、二人とも…」
「ちょっ…連絡は!?」
「つきません。…ですが、おそらくアイツは無事に非難していると思います。京子を危険に晒してまで、戻って来ようとはしません。」
「おい!捜索部隊を出すよう手配!」

一瞬の内に緊張が広がる。
監督の指示を受けてスタッフがホテルに連絡するが、この天候では無理があるだろう。

「現時点では無理です!この吹雪では二次遭難の恐れがあります。」

案の定、スタッフが青い顔をして戻ってくる。
人的被害を出すわけにはいかないとするならば、自分がこの場で確認する事は一つだ。

「すみません、近くに…スキー場の近くに避難小屋とか、山小屋はありますか?」
「山小屋…あっ、はい!あるそうです。上部リフト付近に避難用の小さな山小屋があるそうです。」

その答えに、ホッと胸を撫で下ろす。

「良かった…なら、蓮はそこにいます。間違いなく京子も。」
「マネージャーさん、それは本当ですか?連絡がつかないのに?」
「ええ、間違いありません。蓮は京子を一人にしておくような男ではありませんから必ず一緒にいます。そして、撮影が出来なくなるような判断はしません。間違いなくそこにいます。」

その答えには自信があった。
転んでもただで起きるような男じゃない。もし付近に小屋がなかったとしても、雪原の中で風除けになる木や斜面を探して、その懐にスノーボードで雪洞を掘る位の事はやってのける筈だ。

ただ…心配するのはキョーコちゃんの体力。
彼女は細い。確かに元気は人一倍あるといえど、スキーを楽しんだ後だ。汗で体温が下がると不味い。

不安材料を持ちつつも、無事でいてくれと願う事しかできなかった。




* * *




「ふわぁ~…吃驚しました。山の天気って本当に変わりやすいんですね」
「うん、一瞬焦った。リフトに乗った後だったからね。」
「リフトが無事に動いてて良かったですね。」
「ホント、途中で止まったら最悪だよ。リフトから飛び降りないといけなかったからね。」

飛び…降りる…?

その言葉に、キョーコはブンブンと頭を振った。

「クス…なに?想像した?」
「ううう~~、怖い事言わないで下さい!ところで、これ…いつまで、吹雪いているんでしょうか?」
「どうだろ?とりあえず連絡…は無理か。」
「え?あ……本当、無理ですね。」

二人は繋がる気配のない携帯電話を確認したあと、ポケットにしまった。

「とりあえず、近くに小屋があってホッとしたよ。火、熾すからちょっと待ってて。」
「あ、すみません。」

その避難小屋はこういう時によく使われるのだろう。
薪と暖を取るためのストーブと、マッチが置いてあった。

慣れた手つきで薪ストーブに火を入れる。
薄暗くなり始めた空間にオレンジの明かりが広がり、ホッとする。

その途端、ぶるり…とキョーコの身体が震えた。

「…どうした?寒い?」
「いえ…あの…」

それまでは天気が良かったといえど、この吹雪の中ではスキーウェアに雪が付き少しばかり濡れてしまっている。しかも、先ほどまで一生懸命運動していたのだから、汗をかいているのは当然だった。

「まずスキーウェアを脱いで乾かそう。アンダーシャツは何枚か着てるよね。濡れて冷たいものは脱いで、そうしたら火のそばに来るといい。」

蓮もキョーコに背を向けて上着を脱ぎ、椅子の背もたれにかけてストーブ側に向けた。
ハンドタオルを持っていたキョーコは、遠慮がちに汗を拭いたのだが、状況的にはしゃぐ事もできず、吸湿速乾タイプのアンダーシャツ1枚と、薄手のセーターで心もとなくはある。

―――でも、不思議と不安はなかった。

もしこれが自分ひとりなら…
きっとキョーコは這ってでもホテルに戻ろうとしただろうし、蓮もそうしたに違いない。
けれど、そうはしなかった。

二人だから…

避難小屋の周りは吹雪の音に紛れるように、冬の夜の闇に包まれていった。





(続く)




・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


今年も多くの方に辺境のこの地に足を運んでいただきました。
調子にのってリクエストを募集したり、某様の企画にウハウハと乗っからせていただいたりして、とても充実した1年となりました。
拍手やコメントを下さった皆様に心より御礼申し上げます。

来年は…『どうしようかなー?企画なぞ立ち上げてみても面白いかもー』な感じではおりますが、断言は出来ませぬ。
勝手に始めて、自己完結してしまうかもしれませんね。(なにやらフラグを立てました)

大晦日に今年1年の感謝を込めて…

かばぷー拝



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コメント

コメント(4)
蓮さんもヤッシーも
冷静ですね。

ヤッシーの信頼と予想に違わず、焦ることなく避難している蓮さんと、蓮さんと一緒にいるから安心しているキョコさん。皆の関係が素敵です。

雪の中での雪洞避難に比べると寒くてもはるかに安全で快適な場所ですから、落ち着けばドキドキの二人きりワールド?

ドキドキしながら更新をお待ちしてます。

いよいよ大晦日。

本年最後に素敵なお話を届けていただきありがとうございました!

大変お世話になった2017年。心より御礼申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

まじーん

2017/12/31 13:52 URL 編集返信
山の天気は変わりやすくとも…
二人にとってはそれぞれが心のよりどころだから、
天候の不安も大きくないのでしょうね。
一応スキー場の一部ではありますし。
社マネージャーも担当俳優の信頼が大。
それに何があってもキョコを危ない目に合わせないというところの信頼度は大きいかもですね。

社目線が多いところが、何かワクワク目線を感じてます。

引き続き来年も楽しみにしております。
来年も素敵なお話を読ませて頂ければと思います。

山崎由布子

2017/12/31 17:54 URL 編集返信
Re: 蓮さんもヤッシーも
> まじーん様

はい。とても冷静な二人ですね。
互いの信頼関係はもう十二分に構築されているであろうと…(例え素性は闇のままだとしても)

吹雪の密室…妖しい響きですが、付き合い始めの二人ですからね、ドッキドキに違いありません。
なにやら王道的なものを妄想してしまうのですよ。

さて、2017年もまじーん様には大変お世話になりました。
いつもお越しくださり感謝申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

かばぷー

2017/12/31 22:37 URL 編集返信
Re: 山の天気は変わりやすくとも…
> 山崎由布子様

きっと一人でそんなことになったら、立ち往生してしまうと思うのです。
でも、何とか避難小屋も見つけれたことですし、互いのためにやはり安全策を取るでしょう!
そして、長年コンビを組んできた二人です。蓮さんの身体能力や危機管理能力には絶大の信頼を置いていると思われます。
そして、キョコさんへの深い愛もね♪

今回は、山小屋の場面以外は社さん目線でお送りします。
お時間がありましたら、どうぞ明日もお楽しみ下さい。

概ね自分萌のために二次を綴っておりますが、公開している以上、皆様に少しでも面白かったと思っていただけるよう日々精進です。スキビ愛と熱を互いに伝え合えたら最高ですね。
では、来年もどうぞよろしくお願いします。

かばぷー

2017/12/31 22:49 URL 編集返信
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