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南国の楽園

『南国の楽園』

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 

光が降り注ぐ、小さな小川のせせらぎで、二つの影が楽しそうに歓声を上げながら、水の掛け合いをしている。

「コーンッ!!つめたいよぅ。」

小さな女の子が“ぷうっ”と赤い頬を膨らませる
すらりとした少年は、キョーコのかわいらしい様子に声をかけた。

「キョーコちゃんこそ!・・・そろそろ休憩しようか?」

ハアハアと息を弾ませ、二人は辺りに腰掛けた。
「ねえ。コーン。コーンは海に行ったことある?」
「うん、あるよ。キョーコちゃんは?」
「海に行った事ないの。ねぇねぇ、海ってきれいよね?」
「・・・うん。とってもきれいだよ。」
「あのね!この前テレビで見たの!『南国の楽園』があるんだって。知ってる?
すっごくきれいな所だったよ!!! 『南国の楽園』に行って見たいなあ・・・」
キョーコがおよそ楽しい行事に参加できていないことは気付いていた。そのテレビで見た画像を思い出したのか、うっとりして、目がきらきらしている。

「私!ぜーーーっっったい、大きくなったら海に行く!新婚旅行で『南国の楽園』に行くの!!」

いきなりすっくと立ち上がっての宣言に久遠はびっくりした。また、”ショーちゃん“とやらと一緒の未来を夢見ているのだろうか?
ふと、キョーコの言っていたネーミングに凄く興味がわいて、聞いてみた。

「『南国の楽園』かぁ。 キョーコちゃんがテレビで見たの、どんなところ?」

「うん!あのねえ。海が青くて、砂が白くて、きれいなお魚がいっぱいいるの!」

(モルディブとか、セーシェルあたりかな?どこだろう?)
きっと、旅行番組の特集だろう。画面が想像できそうだ。うんうんとうなずく。

「それでね。果物がいっぱいで、海のそばで椰子の実ジュースを飲むの!」

(タヒチ?グアム?・・・日本人ならハワイもありかな?)

楽しそうなキョーコの様子に、自分自身も海の遊びがしたくなって、思わず笑みが漏れる。うきうきした気持ちになり、そして聞いてみた。

「ねぇ、キョーコちゃん。その、『南国の楽園』って、どこにあるの?」





「えーーーっとねぇ・・・・・・・
      ・・・・・!・・・・・日本海!!」


「ぶほっ」

(『南国の楽園』が日本海に・・・あるわけないだろう!?)
6歳児の記憶なんだから、あいまいで仕方ないし、ここに一番近い海といったら当然、日本海。それを分かっていながら、荒波の日本海に南国を思い浮かべ、思わず、えらい勢いで吹出してしまった。(しまった!)と思ったが、キョーコはきょとんとした顔でこちらを見上げている。
「コーン?どうしたの?」
「いや…(ぶくく…)・・楽しそうなところだね。いつかいけるといいね。」
どうしても笑いがこみ上げて仕方なかったが、キョーコのあまりのかわいさに、さわやかに笑顔で返した。




☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 




(懐かしい夢を見たな・・・。)

まどろみからさめた蓮は、隣ですやすやと眠るキョーコに目をやり、微笑んだ。

星が何個もつく超高級コンドミニアム。プライベートビーチのほかに、専用プールとジャグジー、のんびりと食事が取れる東屋。人目を気にすることなく、二人の甘い時間をすごすことが出来る。
 付き合いはじめた2年前からこの場所を押さえていた。(いつか、絶対に二人で来よう。)そう決めていた。それが、偶然にも新婚旅行になるなんて、出来すぎなくらいだ。この幸せな期間は5日間。「新婚旅行くらいはのんびり休ませてほしい。」社長にも社さんにもしっかり根回ししてもらい、その前後にスケジュールをぎゅうぎゅうに詰めて、もぎ取ったハネムーン。
 初日は現地の人たちにお祝いされながら、二人だけのささやかな結婚式を挙げた。日本での式とはまた雰囲気が変わり、耳元に花を飾ったかわいらしいキョーコの姿。それまでの忙しさでキョーコに触れられなかった時間を埋めるように、一晩中愛を囁いた。起きてからも、滑らかな肌に誘われるように溺れていく。ずっとキョーコと触れ合っていたくて、さすがに無理をさせたかと反省している。
頬にかかった髪をなぞり、瞼に口付けるとキョーコはうっすらと目を開けた。

「う・・ん・・・。つる・・くおん?」
「調子はどうかな。そろそろ、サンセットビーチに行ってみませんか?・・・奥さん?」
「・・・・はい・///・・。」
頬を染めながら、照れくさそうに頷くキョーコに、蓮は再び吸い込まれそうになった。
(俺のかわいい奥さん。・・・ああ、いや・・だめだ。ビーチに行こう、ビーチに。)


2日目も、もう終わろうとしている。このハネムーンが終わった後も、二人には仕事が待っている。ましてやキョーコは女優。日焼けは出来るだけさせたくない。

(夕方の、まろやかなやさしい太陽を見送って、ビーチでのんびりしよう。でも、キョーコの望むことなら何でも叶えてやりたい。椰子の実ジュースはもう実現してしまったけれど、それ以外にも夢はたくさんある。そして、また二人で濃密な時間を過ごそう。)

ビーチへ手をつないで歩きながら、蓮がそんなことを考えていると、ふとキョーコがこちらを見上げ、にっこりと微笑む。

「久遠…夢を叶えてくれてありがとう。凄く…幸せです。」

ここは『南国の楽園』
美しい海と、砂浜と、きらびやかな太陽の島
サンゴ礁を自由に泳ぐ魚たち…
引き寄せられるように重なるシルエット。
抱き寄せて、キスして、何にも邪魔されず、二人だけの時間を満喫できる場所。

「俺のほうこそ、君といられることに感謝している。愛してる。とても…幸せだよ。」

この幸せは永遠に続くだろう。つかの間の幸せでは終わらない。
終わらせる気もない。

なぜなら、君と過ごす時間、そして、君そのものが俺にとっての『楽園』なのだから…。



(おわり)

加筆修正して、こちらにおきます。
これが私の初作品でございます。
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Comment

まったり。
ああ、素敵なお話(*´∇`*)
きっと幸せいっぱいでふわふわしてるんだろうなあ。すごく絵になる綺麗で可愛いらしい二人なのでしょうね( 〃▽〃)久遠君に愛されているキョコたんは最強に愛らしいに違いないっ(*´-`)

かばぷー様のブログは、雰囲気のいいお話で始まったのですねぇ(*´ω`*)

ところで長女様は、日本海は「演歌に使われる厳しい海」だと、認識を改められたのでしょうか(* ̄∇ ̄)ノ
  • 2016-08-03│22:09 |
  • ぽてとたべたい&ぽてとあげたい URL│
  • [edit]
Re: まったり。
初作品まで飛んでくださって、ありがとうございます。
> かばぷー様のブログは、雰囲気のいいお話で始まったのですねぇ(*´ω`*)
えへ?でしょ?(←何様でしょうか…)
照れくさいほど、ラブラブバージョンからスタート致しました!
それが今は/// 恥じらいがなくなってしまいましたよ…。(とほほ)

> ところで長女様は、日本海は「演歌に使われる厳しい海」だと、認識を改められたのでしょうか(* ̄∇ ̄)ノ
実は次女なんですけど、5~6歳の頃の実話です。
勿論、今は日本海で泳ぎまくり、岩場の上からザパーン!!とダイブするほど…
冬の海は東映のような荒波だと、認識しております。
ついでに、瀬戸内の海は波がなくて足りない…ようです。
  • 2016-08-04│19:40 |
  • かばぷー URL│
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