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ハレの特異日 1

皆さんこんにちは  かばぷーです。

アナウンサーシリーズ 最終となりました。

雨降りに花開く恋心憂鬱な彼と曇り空乱気流の雫【限定】
に続くお話です。

5話完結予定です。
ハッピーエンドを目指します!どうぞ、お楽しみくださいませ~
ヾ(o´∀`o)ノ







ハレの特異日 1




「はじめまして、敦賀蓮と申します。」
「最上です。どうぞお座りください。」

すっと差し出された名刺。


T&M総合法律事務所 
 弁護士  最上冴菜



「こちらにいらっしゃったのは、どのような御用件かしら。」

FROZEN弁護士の異名に相応しく、冷たい表情で尋ねた。

「お母さん。」
「あなたは黙ってらっしゃい。」
「キョーコさん…いえ、お嬢さんとの結婚をお許しいただきたく、こちらに伺った次第です。」

冴菜の眉間に、深い縦じわが浮かんだ。




*****



数日前、休暇を取っていた蓮から言われた言葉。

「ねえ、キョーコ。京都に行こうか?」

「京都…ですか?」
「うん。そろそろご挨拶に行こう。」

「え…と…。」

キョーコからの返事は冴えない。

「うん…、お母さんが苦手なのは知ってる。けど、結婚するのにやっぱりご挨拶はいるだろう?」
「ご挨拶…。」
「うん。けじめとしてね。」
「ありがとうございます。正直、賛成してくれるかどうかは分からないのですけど…。」
「そうなの?でも、ご挨拶はしておきたい。」

「はい。ありがとうございます。連絡を取ってみます。」
「うん。京都に一泊しようね?初めての旅行だから。」
「え…?りょ…旅行?」
「そうだよ。初めての旅行。凄く楽しみだ。京都は詳しくないから、案内してね。」

そういって、美麗の男はキョーコにキスをした。



*****


「結婚…、不思議なことを仰るのね。二十歳を過ぎた大人同士ですから、私には関係ないことでは?」
「確かに…、そうかもしれませんが、大事なお嬢さんを妻に迎えるのですから、ご挨拶が必要と考えましたが…。また、婚姻届の保証人をお願いしたいと思ったのですが、不要でしたか?」

冴菜はさらにグッと眉を寄せた。

「大学まで出してやって、弁護士にもならない娘を祝福しろと?」
「出来れば。」

眉間の皺を深くしたまま、“ふーっ”と大きく溜息をついた。

「敦賀さん…と仰ったわね。失礼ですけれど、あなたのことを少し調べさせていただきました。」
「お母さん!調べたって、どういうこと。」
「何?あなたの所在を調べたのと一緒よ。」
「だからって、敦賀さんのことなら聞いてくれたって…。」

蓮が、キョーコを制する。
妙に落ち着き払った態度と、嘘くさい笑顔が気に入らない。

「あなた…、もう少ししたら、今、お勤めの会社をご退職なさるそうね。」
「ええ、そうです。」
「これから無職になろうかという人に、“結婚します。はい、そうですか”と手放しで喜べる親がいて?」
「そうですね。今後は派遣という形になろうかと思いますが、収入の目処は立っています。」
「その収入がいつまで続くのかしら?かなり、不安定におなりでしょう。」
「はい。ゆくゆくはアナウンス関係の事務所に所属する予定です。場合によっては、経済系の資格もありますから、再就職も視野には入れていますが。」
「まだ、未確定要素が大きいのね。」
「ええ、そうです。」
「まさかとは思いますけど、娘に養われるおつもりとか?」
「その点は、御心配なく。」

眉間の皺が深くなるのが見て取れた。

「ご両親はしっかりされているようですけど、海外にお住まいとか?」
「ええ。健在です。父は外交官の職についております。最近転勤になったようで、現在はオーストラリアに。」
「あなたのご両親は何て?」
「うちは手放しで喜んでいます。身を固める決心がついたことにも、相手が彼女であることにも。彼女の姿を見て、一目で気に入ったようです。」
「その…将来的には…?」
「…?」
「同居…とか…。」

さらに眉間の皺が深くなる冴菜を見て、蓮は“ああ…”と漏らした。

「彼らは、自分の人生を謳歌しているので、同居とか介護とかそういったことは心配ありません。退職後も日本に帰ってくる気もなさそうですしね。」
「そう…なの。」

「他にもお知りになりたいことが、あるんじゃないでしょうか?」

「女性関係…、お盛んのようね。」
「お嬢さんと真摯にお付き合いさせていただいているつもりですが…。」
「女性におもてになるのでしょう?この度も、高感度アナウンサー、恋人にしたいアナウンサーの一位をお取りになったとか。」
「ご存知でしたか?大変光栄なことです。結婚を発表する前の調査ですから、そうなったのだと思います。キョーコさんも、お嫁さんにしたいアナウンサーの上位に食い込んでいますよ。」
「(コホ…)そのようね。」

フイ…と顔を背けて、咳払いをした。

キョーコは、不思議な感覚で母の面持ちを見ていた。
昔は凄く怖かった眉間の皺。
その皺を纏った顔を見るたびに、自分は母から愛されていないのだと、いつもそう思ってきた。
だが、今そこで眉間に皺を寄せながらも、自分の感情を表に出すまいと必死に表情を作っている女性は誰だろう?
反対されるとばかり思っていた。
けれど、口から出る言葉は、キョーコを慮る言葉ばかりではないか。

ふっと蓮を見上げると、神々しいほどの微笑を返してくれる。

「良かったね。君の事をこんなに心配してくださっている。」
「そうではないわ。」

ムキになって否定する冴菜に、“はて?”と蓮が首をかしげる。

「気にして下さったんでしょう?娘さんの相手がどんな男か?騙されてはいないか?母親として当然のことと思いましたが。」

一瞬、冴菜は身を固めた。

なんだろう、初めて対面する彼女の母親に、緊張も見せないこの余裕な男は…。
ちっとも感情が読めやしない。
そう思っていると、畳み掛けるようにその男は言った。

「きっと私に対して不信感もおありになることと思います…。いま、全ての不信感を取り除くことは無理かもしれません。」

その男は、ひたすらに甘い眼差しをキョーコに向ける。

「ですが、私はキョーコさんを愛しています。必ず幸せにすることをお約束します。」


蓮は、冴菜に深々と頭を下げた。




(2に続きます)


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