疑問符の行方 8

ついに、8話とは…。
まさか我が家で一番長くなるとは思いもよりませなんだ。

5/15に、間違えてUPしちゃいました~~。(;д;)
拍手いただいたのに、スミマセン…。




“RRRRR…RRRR…カチャ”


『社長、夜分に申し訳ありません。お話があります。』

「どうした?遅い時間に。明日じゃダメなのか?」

『ええ、急用ですので、これから伺います。』

「ああ、まあいいぞ。まさか、つまらん用事じゃないだろうな?」

『俺にとっては、重要な問題です。』


電話口でも苛立ちを隠せない蓮に気付きながらも、ローリィはそ知らぬふりをした。



疑問符の行方 8




“ コンコン“

「おう、入れ。」
「失礼します。遅い時間に申し訳ありません。」
「まあ座れ…で、何の用だ?」

蓮はソファに座るや否や、口火を切る。

「いったい何を企んでるんです?」
「お前は相変わらず太刀筋が厳しい奴だな。それに人聞きが悪い。」
「からかわないで下さい。」

こんな時、蓮はいつも一刀両断に切りつける。
そんな蓮さえも、ローリィにとっては可愛い対象だ。

「―――何だ?お前にとって不都合な事でも起こったか?」
「不都合って…そういう話では…」
「じゃあなんでここに来た?」
「え…それは…。」

呆れるように、ローリィは続けた。

「そう目くじらを立てるな。お前にとって好都合だっただろう?」
「…。」

「…賭けたんだよ。お前が最上君に好きだと言うかどうか。」
「賭け?どうしてそんな。」
「全く…本当に乙女の機微に疎い奴だ。難攻不落の城を落としたくせに気付きもしない。」
「それは…どういう?」
「ばっ!そこまで俺に言わせるか!?阿呆め!」

(難攻不落の城?まさか…最上さんが、俺を…?)

真っ赤に俯くキョーコ
腕の中で小さく震えるキョーコ
嬉しそうに微笑むキョーコ…

不意に与えられる温もりや言葉がどんなに自分を幸せにした事か。
だが、キョーコの一挙手一投足は誤解してはいけないもの、己の都合のいい妄想だと思っていた。

それを、社長は知っていたというのか?

―――いったいいつから?

学習能力がつきすぎて、舞い上がることがないように、喜びをセーブした。
嫌われる事のほうが怖くて、先輩としての立ち居地を崩せずにいた。

―――だが、確かにそれも限界。

たとえどんな形にせよ、彼女を過ごした一週間はもう手放す事ができるはずがない。
いや、もはや手放す気はない。

「ですが、社長…俺は最上さんの気持ちを貰ってはいません。」
「お前は、本当に間抜けだな…。そんなもん、自分で貰え。自分で気付け!」
「自分で…?」
「当たり前だろうが。それくらい自分でしろ!ここまでお膳立てしてやったんだからな。」
「ほら、やはり社長の企みでしょう。」
「親心だよ。お前にじゃなく、最上君へのな。」

驚きの表情をしたまま無言でいる蓮にさらに告げる。

「あの子に褒美がやりたかったんだよ。これから更に成長するための準備として。あくまでもお前じゃないぞ?だいたいなあ、カインの時にうっかり撫で回しても構わんといったが、それ以降いったいお前は何をしていたんだ?トロくさいにもほどがある!楽しみも半減してしまうだろうが!」


にんまりとするローリィの顔を見て、“やはり社長には叶わない”とばかりに息を吐く。
だが、もう一つ気がかりがあった。

「最上さんのことは分かりました。自分で何とかします。」
「お礼の言葉はなしか?」
「それはまた後ほど…。彼女の気持ちを貰ってからにします。それで、もう一つ気になるのは社さんの件です。」
「社がどうした?」
「とぼけないで下さい。社さんにも何かしたんでしょう?」
「“にも”って、本当に人聞きの悪い奴だ…。社の意思は確認したつもりだったが?」
「いったい何を…」
「なあに、軽い催眠術だ。社に演技は無理だからな。」
「催眠術って…。全く…社さんが聞いたら怒りますよ?社長から社さんにフォローをして置いてくださいね。」
「ああ、そうする事にするよ。特別手当も付けとくか。」
「お願いします。」

事務所の稼ぎ頭は、丁寧に頭を下げた。

「言い忘れたが、蓮。」
「?」
「最上君は18歳になったとはいえ、まだ高校生だからな。」
「それは、どういう…。」
「ああ、お前は分かってると思うがな。(にやり…)」


「…酷いですね、社長。」
「なんとでも言え。」

いきなり刺された釘が引っかかるだろうに、少し眉間に皺を寄せただけで再び頭を下げ、蓮は社長室を後にした。
後姿を見送って、呟く。

「…やっぱり、過保護すぎたかも知らんな。」
「そうでしょうか?」

執事が首をかしげる。

「仕方ねえな…。ラブミー部も卒業だ。」

にんまりと笑うローリィ。
きっとその瞳の先には、これからの展望が見えているに違いない。



* * *


超高級マンションの最上階

敦賀蓮の住む部屋に再びキョーコはいた。

“ピンポーン”

「ああ、帰ってきたみたいだね。」
「やっ…社さん、もう少し。」
「うん?キョーコちゃん、これはね、お兄さんがいないほうがいいと思うな。ちゃんと蓮と話したほうがいいよ?」

社はそういって微笑むと、玄関に向かう。

「ぼそぼそ…」とドアの向こうで聞こえる声。何やら蓮とのやり取りがされたようで、しばらくしてから蓮が部屋に戻ってきた。

「ただいま」
「…。」
「お帰りって言ってくれないの?」
「おっ…お帰りなさい。」
「うん…、ただいま」

蓮はゆっくりとソファーに身を沈め、両手で顔を覆うと
“はぁぁぁ~っ”と溜息をついた。

「あの…、敦賀さん」

指の隙間からちらりとキョーコを見ると、ビクッとその身を竦めるのが見える。

「最上さん、賭け…って何?」
「いや…その…。」

「社長から聞いたよ。どうして賭けなんかしたの?」
「…スミマセン。」
「いや、謝って欲しいわけじゃない。」

責めたいわけでも、理由が知りたいわけでもない。
なのに、思わず口から出た言葉に小さくなっていくキョーコを見るのは忍びない。
こうして黙っている間にも、音もなく静かに運命は変わっていく。
違う方向に向かいはしないだろうか?

「ねぇ、返事…聞かせてくれる?」
「へ…んじと言いますと?」
「うん、昼間の返事。」

「う…」とキョーコは動きを止めてしまった。


…それは昼間の車中の事…
キョーコを抱きしめたまま蓮が紡いだ言葉。

『…最上さん、お願いだから黙っていなくならないで。君が…好きだ…。もう、君無しではいられないんだ。』
『…嘘…』
『嘘じゃない。』

そう言った途端に、ノックされたガラス。

『蓮、時間だ』

社の声。きっとこれがぎりぎりの時間だったろう。
ゆっくりとキョーコから身を剥がし、告げる。

『今日、マンションで待ってて。俺の気持ちは伝えたよ?君の気持ちを知りたいから。』

そう言ってキョーコを送り出し、仕事には自分ひとりでいけるからと、キョーコを社に預けたのだ。







キョーコは、抱きしめられた事を思い出したのか、真っ赤になっている。

「ね?昼間の返事。」
「あの…嘘では…「ないね。」」
「その…「冗談でもないね」」
「…」

「全く…。どれだけ君は俺を持ち上げておいて、奈落の底へ突き落とすんだか。社長も悪趣味だ。」
「だって、敦賀さんには他に好きな人がいるって…。」
「いつそんな事を言ったかな。いるとしたら君だけなんだけど…。」

意味深に視線を送るが、多分キョーコは気付かないんだろう。

「君が俺に寄せてくれたのは好意?尊敬?どちらにせよ特別な感情だと思ったのは、勘違い…じゃないよね?」

キョーコをじっと見つめると、その目は潤み、艶やかな口元は何かを言いたげで…もう、それだけで理性の紐は枯れた輪ゴムと化すみたいだ。

「ひゃうっ!敦賀さん!??」

昼間の車内と同じように、身体が勝手にキョーコを抱きしめる。
ほとんど無意識に、キョーコの熱を求めて抱きしめてしまう。

ぎゅっとキョーコを抱きしめる腕に力が入る。


「言っただろう?もう、君無しではいられない…って。そんな顔、他の誰にも見せたくない。」


「ふえっ…、ふえっ…、ふえぇぇぇぇぇぇ~~~っっっ」

「…!最上さん!?」
「敦賀さんのバカ~~~っ!」

「え?バ…馬鹿?」

「そうですよ!馬鹿だから馬鹿って言ったんです!どれだけ人がドキバクして、この一週間を過ごしたと思うんですか!嬉しくって、でも悲しくって、ぎゅ~なんてされたら心臓止まりそうで、勘違いと思ったら勘違いじゃなくて、恋だの愛だので周囲が見えなくなるほどの身を滅ぼす愚か者まっしぐらなのに~!どれだけ、私の心臓を握りつぶせば気が済むんですか?どれだけ息の根を止めたら気が済むんですか?思考回路のすべてを奪っておいて、それなのに返事なんて酷すぎます~!バカ、馬鹿、大ばか~!!!」
 
いきなり泣き出したかと思うと、馬鹿呼ばわり?
相変わらず、キョーコの繰り出す攻撃は読めない。

でも…気付いてる?
それって…凄い告白、含んでるよね?

蓮は、ホッとしたように笑うと、優しくキョーコの頭を撫でた。

「うん、ありがとう。返事…貰うね。」

そして、優しくキョーコの額にキスを落とした。



(9話に続きます)
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