疑問符の行方10

ついに最終話まで漕ぎ付けました。

…ですが、凄い難産で苦しかったです。
気に入っていただければよいのですが…。









疑問符の行方 10


某月某日

---あれから二年後・・・



“パシャッ パシャパシャッ ”

眩く焚かれるフラッシュの洪水。

『それではこれから、敦賀蓮さん、京子さんの婚約記者会見を行います。』


金屏風の前には初々しい二人。
これほど麗しく、お似合いのカップルがあっただろうか…?
会見用の広間の隅で社は頬を緩ませる。

「まずは、お集まり下さった皆様に、婚約のご報告をさせていただきます。私、敦賀蓮と京子は、この度ご縁があり婚約の運びとなりました。」

更に眩さを増すフラッシュ。

『敦賀さん、京子さん、おめでとうございます。お二人の馴れ初めについて伺います。お二人の出会いは?やはり共演ですか?』

「いえ、違います。遡るとかれこれ…10年以上前になります。」

『え!?そんなころからですか?』

「ええ、それから数年たって事務所の後輩として入ってきたのが彼女でした。」

『京子さん!敦賀さんに会うために芸能界入りなさったんですか?』

「いえ、そのころは小さいときに出会っていた事には全く気が付きませんでした。」

『でも、お二人がかなり昔に出会っていた事については、ご存知だったんでしょう?』

「いえ、それも…。付き合うようになってから聞きましたので、かなりビックリしたんですよ?」

『敦賀さんのほうは気がついておられたんですよね?』

「はい。いつの頃からか気が付いていました。」

キョーコを意味深に見つめるその眼差しに、会場から『キャーッ!!』と言う女性記者の悲鳴が漏れる。

『京子さんは、“ダークムーン”や“泥中の蓮”、“天使の約束”などでも敦賀さんと共演なさっていますが、そのころからお二人の仲のよさは有名だったと伺っています。そのころには、もうお付き合いなさっていたんですか?』

「“ダークムーン”は初共演の作品だったのですが、お付き合いなんてとんでもありません!そのころは本当に頼りになる先輩で、崇拝しておりました。」

『崇拝とは、京子さんは敦賀さんのファンだったんですね?』

「いえ!!ただのファンではありません!!信者です!役者として、尊敬し、崇拝し、奉っておりました!!」
「…いや、だからキョーコ、そのコメントは…。」
「いいじゃないですか!事実なんですから。」
「…コホ、失礼。」

『お二人の仲の良さが伺えます…、では、現在の京子さんにとって敦賀さんはどんな存在ですか?』

その質問に、恥ずかしそうにキョーコの頬が“ぽうっ…”と色づく。
そんなキョーコにこれでもかと焚かれるフラッシュ。

「とても信頼しています。かけがえのない、唯一無二の存在です。」

照れくさそうに、しかし、気持ちをしっかりと述べる。

『では、お付き合いのきっかけは?』

「付き合うきっかけ…そうですね。」

記者会見を開くのだ。普通はこんな受け答えの回答は既に準備され、それを覚えるのはこの二人には造作もないこと。
なのに、蓮はとんでもない方向に方向転換を決めた様だ。

「彼女が私を試すように、社長と賭けをした事がきっかけですかね?」
「ななっ…なんてことを!」
「いいでしょ?別に…。事実なんだし?」

しれっと逆襲を始める。

『ど…どんな賭けを?それについて詳しく教えていただけますか?』

「ああ、これ以上言うと、彼女に後で叱られてしまいます。…が、実はそれまでの私は、彼女に告白する勇気さえ持てませんでした。」

『敦賀さんが告白できなかったんですか?』

「ええ、ずっと…ずっと彼女に片思いをしたまま過ごしていたんです。ですが、その一件があって、彼女と一緒にいることが自分には必要で、こんなにも幸せなんだと痛感しました。そして、その時に一生彼女を手放したくないと思った…。そんな出来事が交際のきっかけではありました。」

『もしよろしければ、賭けの結果だけ、お聞かせ願えますか?』

ふっと意味深に笑って蓮は答える。

「勿論、私の…と言いたいところですが、残念ながら申し上げられませんので、ご想像にお任せします。」

蕩けるような微笑をキョーコに向ける。
24歳になり、輝くばかりの美貌と色気を湛えた男は、今までどの映画でも、どの場面でも見せた事のない表情をしていた。
そして、それを受け止めるキョーコもまた、輝くばかりの微笑で受け止める。

CMの女王と呼ばれるまで上り詰めたキョーコの見せる表情も、画面で見せるものとは異なり、爽やかな色香を漂わせる。

これは、一般の記者会見ではないのか?と思うのだが、既にそこは二人の世界…。

次々と発せられる質問にも丁寧に答え、信頼と愛情の深さを思わせる。
そんな二人の雰囲気はインターネットにさらされるや否や、おめでたいコメントが寄せられた。


“キターッ!!蓮!カッコいい!”
“京子ちゃん…可愛すぎる”
“何?この二人…お似合い過ぎだって!”
“ぷぷっ・・・蓮が叱られるって、何だか可愛い。”
“京子が羨ましい!超イケメンゲットじゃん!”
“蓮がメロメロなの?でも分かるー!京子めちゃ綺麗!”
“が~ん!こんなに綺麗な京子、初めて見た。”
“蓮ってスキャンダルなかったよね。京子がいたから?”
“えー、何かいいよね。ずっと片思いだったの?超・純愛~~”
“なんだか応援できる!末永くお幸せに~”





* * *


満ち足りた幸福の中、蓮が問う。

「ねえ、キョーコ?」
「はい、なんですか?」
「結局、あの時の賭け…、君が勝ったね。」

あの時の賭け…、そう、ローリィとの賭けは、結局キョーコが制したことになるのだろう。



~~回想~~

「社長、最上様がお越しになりました。」
「おう、通してくれ。」

褐色の肌をした執事の案内で、キョーコは社長が待つ部屋に足を踏み入れた。
丁寧にお辞儀をするキョーコの顔は青褪めて、これから報告する事の重大さを物語っている。

「…で?どうだった?」

ソファーに座るや否や、ローリィは葉巻を燻らせながら聞いた。

「…負け…ました。」

「ほう…?あいつは何て?」
「私が…傍にいて幸せだと…」

「それだけか?」
「…好きだと…言われました。」

キョーコの頬に、ぽろぽろと涙が落ちる。

負けた悔し涙ではない。
  ―――そう、うれし涙

「俺との賭けには負けたかも知れんが…どうだ?お前さんの…勝ちだ。」
「社長は…ずっ…ずるいです。」

「何だ?今更。負ける勝負はせんよ?」
「詐欺です~~~!!」

わあわあと泣き出すキョーコに、ローリィは嬉しそうに眉根を寄せる。

「詐欺…か、まあそうだな。どっちに転んでも最上君にとっての負けはない。詐欺っちゃぁ、詐欺だ。で、嬉しくないのか?」

「(ずずっ…)そんなわけ…ありません。まだ実感はありませんけど…」
「実感が湧かない?何だ、あいつは言葉だけで、何もしなかったのか?」
「な…何って…」
「したのか?まあ、撫で回すくらいはカインの時にもしたんだろうから、よく我慢したと褒めておいてやろう。」
「~~~!!」

「何はともあれ…、最上君。」
「ひゃい?」
「おめでとう。晴れてラブミー部卒業だ。」
「へ…?」

ありえない言葉に、キョーコの涙がピタリと止まる。

「…卒…業?」
「ああ、盛大に卒業式をしてやろう。さあ、これから忙しくなるぞ。」


~~~~~


そういって、ローリィらしくニヤリ…と笑った顔を、キョーコは今でもはっきりと覚えている。


“天使の約束”

儚い命を地上に留める天使のような姉と、その双子の妹と…
キョーコは二役を演じきった。

だから…

「賭けは社長の勝ち…ですよ?」
「そう。やっぱり社長が美味しいところを持っていく?」
「はい、勿論。」

くすくすとわらって答える。


「ねえ、蓮さん…。」
「ん?」
「あの時、私が突然家に来て、突然いなくなったこと…、やっぱりショックでした?」
「どうかなあ…?」

キョーコはくりんと蓮を見つめる。
参ったなと言うように、蓮は呟く。

「うん…、不思議に思った事も、疑問に思った事も、全部今につながってる。」

蓮はぎゅっ…とキョーコを抱きしめて囁く。

「キョーコ、愛してるよ…二度と、俺を一人にしないで?」













(終わり)



長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

今までで一番長い連載となりました。
しかも、のんびり更新を明言し、週1更新などと大胆な行動に出たため、長さを余計に感じてしまったかも…と反省しております。

やはり10話以上は難しいですね。(一気に書き上げないとダメダメな私…)
ついつい長くなってしまい、終わり方に悩みました。
本当に難産で、書いては消し、振り返っては消し…大変でした。

期待はずれな最終話になったかもしれませんが、どうぞお許し下さい。
もしよろしければ、ポチッとくださいませ。




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