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ヒカル君 2

平安モノのパラレル 2話目です。

ちょっとややこしい表現がありますが、お許しくださいね。
(6/18修正)








光ル君 2




敦賀宮蓮 その輝くばかりの美貌を見て人がいう 光る蓮の君…と。


蓮の君の住まう屋敷、二条の敦賀邸には秘密があった。
その秘密は偽りか真か…まことしやかに囁かれる噂。

“光る君が、正室を娶られぬのは、美しい妹君のせいである”…と。

そういえば、もともとこの時代、通い夫は当たり前。

当然蓮にも口説くとは行かなくても、文のやり取りくらいしている女人は大勢いる。
だが、世間の公達は夜這いに行ったとか行かないとかの話で持ちきりになる宮中でも、「よい歌のお友達です。」だの、「琵琶の名手でいらっしゃるので、音合わせに。」だのと女性を口説いたどうかの話にはならず、蓮はその会話に乗る事はほぼ無いといっていい。

まあ、この時代、身分はもちろん香の合わせや文の手蹟、歌の良し悪しで器量を判断するのだから、御簾越しにでも逢えるなんてラッキーなことなのだが、蓮の場合はなぜかそこでストップ。
やんごとなき姫君たちは声を聞かす事もなく、お付の女房伝いに言葉を発するため、それで愛だ恋だと盛り上がれるほうがどうかしている。

…と蓮は思うのだ。


だが、一般世間はそう思ってはいない。
世の父親たちは、容姿も能力もずば抜けた光る蓮の君を婿にするべく、宴を催しては屋敷に誘い、用事を見つけては招き、姫と文をやり取りするまでに漕ぎ着け、どうにかこうにか娘に手を出してくれまいかと画策する。
酷いときには、酔わせて屋敷に泊め、姫の寝所の隣に客間を設えようとしたものもいるほどだ。

女性の立場から言うと、光る蓮の君の噂かねがね、美丈夫見たさの気持ちはあるが、あまり女性のほうから誘うわけにも行かないし、誘ったとしても通ってくれるとは限らない。まずはお友達から…と、有力な父親を頼りに蓮の君を取り込もうと、健全な交流の場を作るのが精一杯。
だが、そうなったらそうなったで、姫君たちは御簾越しに見た事もないほどの美丈夫を見て恋心は募る。
姫君たちが準備万端で誘っても一向に友達の域を出ない。終始お友達な雰囲気でするりとかわされる。
ああ、この御簾を乱暴に掻き乱してこちらに来てはくれまいか…と、物語絵巻のような夢を見るが、現実はそう甘くない。
自分に魅力がないのかとさめざめと泣き暮らす。

全くもって罪作りである。

そうかといえば数多の公達たちも、蓮の君が文を交わしたと聞き、「では我も…」と喜び勇んで文を贈る。
流石に公卿クラスの父親が光る君に…と育て上げた珠のような姫君たちはみな美しく、教養を兼ね備える。
そうした淑女たちがさめざめと泣く様子は公達たちの心をくすぐり、それはさぞ悲しい事でしょう。微力ながら私めがお慰めいたしましょう…的な言葉にほだされて、ほいほいと人の妻になっていく構図。
現在最もその恩恵にあずかっているのは、頭の中将・貴島殿と、衛門の佐・村雨殿である。
二人とも蓮より年上で、見目麗しく、名うての遊び人である。

貴島殿といえば、左大臣のご子息と言うこれまた折り紙つきの出自である。
蓮の君の正妻となるはずであった太政大臣家の姫に横槍をいれ、半ばだまし討ちのように嫁入り前に手をつけた。
しめた!と思って側室に迎え入れたが、光る君の正室になるはずだったのに…とこれまたさめざめと泣かれ、いや…愚痴を言われて困っている。
手に入れる女のことごとくが、光る君に恋焦がれ、叶わぬ思いを秘めているのだから、たまったものじゃない。
そして、何が一番負けた気がするって、光る君は全く手もつけていないのだから、あっちのほうは比較しようがないのに比べられる事だった。

また、村雨殿は血気盛んの衛門の佐である。この時代、出自がものを言うので当然なのだが、自分より年下でありながら官位が上の立場である光や蓮に突っかかってくる事も多く、諍いが絶えない。しかし、光も蓮も争いごとは好まずするりとかわすので、大事には至っていない。
特に蓮にはやたらと張り合って、蓮が文を出した女人には手当たり次第に構わず押しかけ、割と強引にモノにする。
蓮の君のためにと勘違いした女房が開けておいた鍵を利用するその手口たるや、見事としか言いようがなく、これで何人も貴族がやられてきた事か…。だが、血気盛んでこれまた将来有望。泣く泣く許してしまうのであった。


・・・で、冒頭に帰る。

二条堀川の敦賀邸には凄い秘密があるらしい。

“光る君が、正室を娶られぬのは、美しい妹君のせいである”…と。

実はそれは正解。
蓮は二条の屋敷で妹君と称してある姫君を育てていた。

勿論、先の帝の御落胤である蓮の君と兄妹のつながりなどではない。


その姫君は、蓮の母親である梨壺の更衣・樹里の君の遠縁に当たる娘であった。
その姫君の父君は、樹里の伯父に当たる。
現在は式部卿であるその父上は、屋敷の使用人に手をつけた挙句に北の方の逆鱗触れ、母子ともども屋敷の外に放り出してしまった。また、元使用人であったその母君は女御に仕える女官として出仕するために娘を置いて家を出た。現在その母君は少納言となっているが、一切娘に関与しない母君であった。
よって、身寄りもなく乳母の元に身を寄せていた姫君だったのだ。


その姫君の名はキョーコ姫


御年16歳になられたばかりの、輝くばかりに美しい姫だと噂される。


なぜそのような噂が立つのか?

それは、蓮が掌中の珠と育ててきた経緯にある。

どこそこの宴にも、どのような誘いにも頑として屋敷から出さず、いそいそと宿直の晩以外は屋敷に帰る。正室も娶らず、恋の噂も全くない蓮を虜にしてはばからぬ姫とは?と言う、些かはた迷惑な妄想がはびこる。
また、その秘密に包まれすぎた生い立ちと、かつて宮中で最も美しいと評された蓮の母君である、梨壺の更衣・樹里の君の遠縁に当たると言うことが、キョーコの評判を大いに押し上げていたのである。





(続く)


蓮の君…不憫な人…。
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