煽る彼女と凹む彼3

こちらは、通常版となります。
桃記事はだめよ~!!って方はこちらで我慢してくださいませね。








『今日、君を貰う。だけど君を抱くのはカインじゃない…俺だよ』




煽る彼女と凹む彼 3 【通常版】





部屋の照明を落とすと、フットライトの薄暗い明かり。
このマンションに越して来てから、初めての蓮の寝室。
抱き上げられて寝室に足を踏み入れた途端、先ほどの続きをするんだという感覚が、まざまざと現実味を帯びてきた。

(どどど…どうしよう。お風呂に入ってない)

初めてのキョーコはそんな事ばかりが気になって仕方ない。
伺うように蓮の美しい横顔を見上げれば、完全に夜の帝王がそこに舞い降りて、心臓が痛い事この上ない。それでも勇気を振り絞ってお願いをしてみる。

「あの…敦賀さん、お風呂…とか、シャワーとか…」
「気にしない」
「や…!私が気にします!」
「…もうダメ。待てないし待たない。」
「ダメ、ダメ、ダメ、ダメ!初めてがそんななんて、酷すぎます!却下!!!」

多分大人しく抱きかかえ上げられたまま、ベッドインできないだろうと予想はできていたことだが、いい雰囲気に流されないキョーコが良くも悪くも恨めしい。キョーコの匂いまで欲しいんだなどと、情緒もへったくれもないことは言いたくない。

「・・・もう・・・却下とか言われると、凹むんだって…。」

キョーコを抱っこしたままがっくりとうなだれる蓮。ふう…と溜息を出すと、バスルームに足を向けた。

「5分!5分しか待たないから。いい?5分だよ!俺も入ったほうがいい?一緒に入る?」

ぶんぶんと頭を振るキョーコをバスルームに残し、パタンと扉が閉まる。

(ご…5分!急がなくちゃ!)
のんびり湯船に浸かる余裕なんてない。5分を過ぎると、きっとあの勢いで蓮が迎えに入ってくるに違いない。髪…はまあいいやと思い、さささっと身体を洗っていく。…が、これでまたキョーコは悩む。
(ど…どこまで洗うの?丁寧に洗いたい…けど、どうしよう)
勿論、芸能界に入って数年が立ち、初心だと言っていられない年頃になってきた。耳はそれなりに諸先輩方の経験談で肥えている。
お気に入りのサボンを泡立てて肌の上を転がし、とりあえず一通り洗って流す。
ここまでで4分…そうすると、次は出て行く時の格好で…
(ぎゃー!どうしよう。服…は多分叱られる。下着…!ここには替えがない!バスタオル?バスローブ?やだ!破廉恥よ~~!!)
そういえばいつだったかもこうやって悩んだ挙句に元の下着を身に付けた。だが、今日は“する”という大前提がある。えーいままよ!とバスタオルを体に巻きつけたとき、扉がノックされた。

ドアを静かに開けると、薄暗い廊下の壁にもたれるように待っていたのは当然蓮で、キョーコがびっくりしたのは、バスローブ姿の出で立ちだったからだ。

「キョーコが嫌がるかと思って…トレーニングルームで浴びてきた」

珍しく顔を背けて、ぶっきらぼうにそう言うと、ふわりとキョーコを抱え上げて、いきなりキスをした。
目を閉じてまだ湿り気の残る蓮の首筋に腕を回すと、いつもより体温が高いのを感じる。風呂上りの蓮なんてレアな状態は初めてのことだ。
いつものいい匂いがうっすらと香る…。それだけで、キョーコは自分の心拍数が上がるのが分かった。

深いキスを交わしながら、二人は寝室へと消えていく。
蓮は目を瞑ったままのキョーコを呼んだ。

「キョーコ…好きだよ…好きだ…」
「ん…敦賀さ…」
「うん…名前で呼んで?」

「れ…蓮さ…ん…」

蓮はキョーコの声を聞きながら、ああ、そうか…と小さく呟いた。

「キョーコ…眼を開けて、俺を見て?」

今までぎゅっと目を瞑っていたキョーコは、薄らと目を開けた。視界に飛び込んできたのは、蓮の逞しい上半身。艶やかで、引き締まったその筋肉は、惚れ惚れするほど美しい…。
定まらない視線を顔に移した時、視界に入った姿を見てキョーコは息を呑んだ。

「コーン…?ど…どうして…」

「驚いた?これが俺…」

蓮ではある。蓮であるのに、その瞳と表情は紛れもなく懐かしい彼のもの。

「く・お・ん…クオンって呼んで」
「ク…クオン?」
「正解。ようやくこっち見てくれた」
「いつ…え…?どういうこと?」
「シャワーのときにコンタクトを外した。今日は“俺”でキョーコを抱くって言っただろう」
「敦賀さんがクオンで…クオンは敦賀さん…?」
「そう、これが…俺。クオン・ヒズリ…。黙っててごめん。」

キョーコはパサパサと髪を打ち付けて、頭を振った。
クオンは優しい微笑みを向けると、キョーコに口付け、「愛してる…」と囁いた。



*  


翌朝、温かい人肌の中で目が覚めた。
見上げると、規則正しい呼吸をする麗しい顔。その整った顔立ちは内緒で写メに納めたこともある。
こうして目を瞑っているといつもの敦賀蓮で、昨日のことが嘘だったかと思うが、二人とも裸で寝ている事と己の下半身に残る違和感が、現実だと教えてくれる。

「…ん…」
蓮が眩しそうに手の甲を顔に当てて、ごろりと仰向けになる。もう片方の腕は、キョーコの肩から離れる気配はない。

「…敦賀さん、朝、ですよ?」
「うん…、もう少しこうしていたいな」
再び横を向いてぎゅっとキョーコを抱きしめたと思うと、すかさずキスの雨が降る。

「む…、もう、朝ですってば。」
「うん…愛してる」

うひゃっ!とキョーコはあまりの照れくささに首をすくめた。

「何?そんなにびっくりすること?」
「え…だって、敦賀さんが私にそんな事言うので…心臓が止まりそうです。」
「く・お・ん。ここにいるのは俺だよ。」

ゆっくりと開いた瞼、そこから現れた瞳の色は吸い込まれそうなグリーンで、ああやっぱり敦賀さんがクオンなんだと改めて認識する。


「身体…辛いだろう?ゆっくりお風呂に入ろう」
「身体…お風呂…ええっ!?一緒に?」
「何を今更」
「えええっ!やだ、やだ、やだ。絶対にやだ。一人で入ります!敦賀さんはどうぞお一人でごゆっくり入って下さい」
「一緒に入ろう」
「いーやーでーす!!絶対に嫌!ぎゃあああ!シーツが大変な事に!せ…洗濯…」
「気にしなくていいよ。」
「気にします!ほら、敦賀さんはどうぞお風呂に入ってきてください。絶対に一緒には入りませんよ!絶対にですよ!」

えらい剣幕でバスタオルを体に巻きつけ始めるキョーコ。あわあわと真っ赤になって慌てる。昨日はあんなに乱れたくせに…なんて口が裂けても言わないけどね。

だけど、そこまで拒否する事はないだろう。仮にも思いが通じ合った翌朝に、絶対に…って…

ああ、もう…凹むな…

これからも、きっとこうやって振り回されていくんだろうか。
凹んだり浮上したり…でもきっとそれは、天然乙女が繰り出す、予想外の甘い甘い凹み方に違いない。





(FIN)



通常版は足りないかもしれませんが、どうぞご容赦くださいませ。
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