伝説のヘタレ ②

第2話です。
オリキャラが濃いので、申し訳ゴザイマセン。
スライディング土下座で謝っておきます。





伝説のヘタレ ②



『で、京子さんは現在お付き合いしている人はいないの?』

中盤でそう切り出されたインタビュー。あれほど恋愛がらみはやめてくれ!と打ち合わせで言っておいたのに…。
この企画ディレクターも、次は要注意だな。と藤木はメモを残す。

『いませんよ?』
『え!?じゃあ、恋人にしたいタレントさんNo1なのに、恋人募集中なの?』
『恋人募集中…とは違いますね。今は、お仕事が恋人です』
『じゃあ、お嫁さんにしたいって言われるのは?それも二冠を達成してたよね』
『とても有難いです。皆さんは、一体私のどこを見てそう思われるのか分かりませんが、そう言っていただけるのはとても嬉しいです。結婚かぁ~…一番向いてなさそうですけどね』

なんて、ころころ笑う。

『そういえば、京子さんには、公式ファンクラブと第2公式ファンクラブで面白いのがあったよね?“京子を嫁にしたい会”だったっけ?』
『はい、あります。』
『何でも、入会審査が厳しいとか…』

にっこりと笑ってかわすキョーコ…さあ、お開きの時間だ。

『そのお話は、是非また次回に。今日はどうもありがとうございました』

女優という仕事も、結婚も向いていない訳ないのだ。

子ども番組に出させれば一睨みで子どもを黙らせ、そうかと思えば最後はキャッキャ、あははと手玉に取るように笑わせる。料理番組では料理研究家以上の腕前を披露し、食通の舌を唸らせる。はたまた、手芸番組のアシスタントをしたかと思えば、プロはだしの作品は芸術だと祭り上げられ、茶・華道、武道に至るまで、洗練された身のこなしを見せ付ける。


だが…、そんなキョーコゆえに、やはり収録後にインタビュアーを始め、スタッフの中にも何人か“真剣にお付き合いしていただけませんか…”と、キョーコを捕まえては口説こうとする男どもの姿。
これには藤木が割って入らざるをえない。
実はこの仕事もファンクラブ“京子を嫁にしたい会”、略して“嫁会”がらみ。断るに断れなかったのだ。

「皆さんすみません。次の現場に向かわせていただきます。本日はどうもありがとうございました。さ、京子」
「あ、そんな時間ですか。皆さん今日はありがとうございました。お先に失礼します」

これまた綺麗なお辞儀をして、現場を後にした。

「だーかーらー…!」
「あんまり丁寧に挨拶しなくていいって言うんでしょ?分かってます!分かっていますけど、直しませんから!」
「む~~~~、そりゃ、京子の挨拶は良いにこしたことはないよ。だけど、撮影直後か余白の時間になったかは、考えて欲しいな。」
「気をつけます」
「分かればよろしい。京子、移動に少し時間があるから、仮眠、とって良いよ」
「はい。すみません、甘えます」

後部座席でブランケットをかぶり、目を瞑るキョーコをバックミラーで確認する。

(23歳…か、本当なら恋愛も充実していていい頃合いなんだけどな…)

その後もぎゅうぎゅうの過密スケジュールの遂行をこれでもかと邪魔する、男性陣の告白やら、求婚やら、追撃やらをかわしつつ、疲労困憊な様子でキョーコをマンションに送り届けた藤木だった。





「くっそ!何で私がここまでしてやらんといかんのだ?大体、あのヘタレ野郎が全っっっっ部悪いんだ!」
「荒れてますね…藤木さん」
「あのなー、社…一応、先輩のお前にこう言っちゃなんだけど、お前にも責任の一端はあるぞ?」
「はいはい。分かっておりますよ」
「やたら滅多ら仕事に真剣なのも、今に始まった事じゃない!」
「そうですね。昔からキョーコちゃんは仕事に並々ならぬ情熱がありましたね。」
「何が無遅刻クイーンだ!私が時間にかっちりしてやってるだけだろうが」
「う~ん、若い頃はキョーコちゃん、たま~に遅刻して失敗してたからなあ…」
「今だって若いわ!ぴっちぴちなのに無防備に笑いやがる…一見すると隙だらけ。だからほいほい男が酔ってくるんだしょうが~」

「藤木さん、 になってる。」
「うるさいわい。あれだけ人を虜にする演技!敦賀蓮仕込だって言うじゃないか!」
「あ~、はいはい…。それに関しては“打倒!敦賀蓮”の強い意志のもとで修行して来たからね~」
「それに…なんで、他の男に見向きもしないんだ?“嫁会”には、どれだけ条件がいい男がそろってるんだよ?あれ、マジで本気の集団だぞ?辛うじて、夜の食事会は社長が跳ね除けてくれてはいるが、あれだけ条件がそろった男どもに口説かれて…よく知らん振りできる…ちょっとくらい、色気のある反応できないのかね?あの娘は…」

「う~~~ん。それに関しては無理かな~?なにせ、彼女が頬染めるのはあいつだけなんだし?」
「それだよ!それ!」
「キョーコちゃん、不破といい蓮といい、実はいい男に囲まれてたからなあ…麻痺してるのかも?」

「…あいつ…そう、あいつ! あいつがすべて悪い!!アレ(演技に真摯)も!ソレ(魅力倍増)も!コレ(他の男に興味なし)も!全っっっ部、敦賀蓮が悪い!!!年頃の娘を磨くだけ磨いて、ガッツリ掴んで離さないくせに、告白も約束もしてやがらない、あんのヘタレ野郎が悪い~~~!!!」
「姐さん…悪酔いしてますよ?」

社はテーブルに突っ伏す藤木の後頭部を見つめた。

「そりゃあね…藤木さんの気持ちは十分、分かるんですよね。俺も蓮を見ていて,“このヘタレめぇ~”って何度思ったか。蓮は言うまでもなく恋愛音痴でね~。キョーコちゃんはキョーコちゃんで、全身全霊で愛を拒絶する少女でしたから…」

藤木がチラッと目線を上げる。

「まあそれも、キョーコちゃんがちゃんと蓮に恋をして、告白して、蓮がソレを受け止めて…と思ったのに、まさかソレで終わりと思ってませんでしたから」
「だからヘタレだって言うんだよ。何だって?空港で告白されて、キスされて固まって、搭乗時間に慌ててクーが引き摺って飛行機に飛び乗ったって言うじゃないか。あのヘタレ!」

くっくっくっ…!今思い出しても、その光景が目に浮かぶ。

あの慌てたような、クー・ヒズリの顔
呆然と能面になった蓮の顔

きっと奴は、“最上さん…必ず君を迎えに来るから…”なんて、アレな台詞を用意して、指輪なんかも準備して、チューの一つでもぶちかましてやろうと思っていたに違いない!(←確信)
それが、キョーコちゃんからいきなり告白されて、それでスッキリしました的な発言まで逆にぶちかまされて、起動が停止しやがった。

“え!?終わり?何で?”と顔が物語っていた。

その後も何度か連絡を寄越したみたいだが、キョーコちゃんは既に自己完結。押し問答の末、綺麗な思い出にされているとみた。
押してもダメ!引いてもダメ!色気で迫ってもダメ!
困りますと言われるたびに凹み、苦手ですといわれるたびに凹み、そんな敦賀さんはお断りですといわれて、穴を掘りまくり、挙句の果てに自分がアメリカに引き篭もっている間、馬の骨退治が出来ない事を悔やみに悔やんで、今度はクー&エルトラ氏経由で、畑違いだが男性にも引けをとらない行動力と調整力のこのスーパー姉御にキョーコのマネジメントを依頼するなんて、ヘタレもいいところだ。

コレが笑えなくてなんだろう!?

堪えきれずに、肩を震わせて笑っていると、藤木が覚悟を決めた声で告げた。

「社…私は決めた…。食事会のスケジュール調整なんてもう御免だ!これだけあの娘に言い寄る男が多いんだったら、もう、ガードもしてやらん。さっさと恋人役を見つけてそいつに馬の骨退治をやらせる。電撃結婚もアリだ!幸いな事に、京子にはいい男集団のファンクラブ…よし!ふはははははは!!
私の仕事はマネジメント!寧ろスキャンダルさえ利用して、女優“京子”をスターダムに押し上げてやる~~!!」



(③に続く)
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ブハッ!!

頼もしい姉御である藤木さんの目が座ってます〜〜!(笑)←見えるw

とうとう我慢の限界にきたのですね。

そして、失恋を乗り越え清く正しく美しく独り身街道を歩む予定のキョコさん同様、ある意味女性らしい思い切りの良さで、蓮くんが聞いたら恐怖する「危険スイッチ」がインしちゃいましたかーー!!

でもあれもこれも、ヘタレのせいですものね〜〜!

止めたければ、今度こそ、ヘタレてないで対応しないとですよね。

ヘタレ、いや、蓮くん、ガンバーーー!( ̄∀ ̄*)

Re: ブハッ!!

> とうとう我慢の限界にきたのですね。

そうなんですよ~。

オリキャラ・藤木姐さん、ちょっとキレキレキャラです。
男性にすると、全力で蓮さんがヤキモチ攻撃仕掛けそうなんで、あえて女性にしちゃた。
でも、キョコさんを思う気持ちは満タン、己の営業能力を正当に評価できる男前姉御です。

姐さんの我慢の限界はさておいて…ちゃんと伝説といえるヘタレになってるかなあ?

今回もすばやい収穫、恐れ入ります!
暑さにお疲れかと思いますが、無理は禁物です。
お越しくださり、ありがとうございました。

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