伝説のヘタレ ③

第3話です。
敦賀蓮のヘタレぶりが嘆かわしい…見捨てないでねキョーコちゃん。







伝説のヘタレ ③



「京子、今日は何人にプロポーズされた?」
「えと…3…人でした」
「交際申し込みは?」
「…さあ、人数までは…」
「手を取って無理やりって輩はいなかったか?」
「……はい……すみません…」

藤木はふ~っと大きな溜息をつく。

「それ…尋常じゃないって分かるよね。付き合ってもいない方からのプロポーズは思い込みが激しくて、お断りするのが大変なの。私だってそんな場面は遠慮するし、いつも守れるわけじゃない。フリーである事がこんなに仕事に支障をきたすようになるなんて、思いもしなかったよ…。だから、これから積極的に恋人募集を掲げる」
「え!?恋人?」
「そう。結婚を前提とした恋人探し。ただし条件を厳しくつけさせてもらう。そうしないと、京子の周りは今以上に男どもの戦場になるから、もうそれは勘弁して欲しい。京子が選ばないなら、私が勝手に“嫁会”から選んでくるよ!」

キョーコが「!?」というような顔をして見上げた。

「藤木さん、いつも言うんですけど、私ごとき、そんなに警戒しなくてもそのうち興味は薄れますよ?」
「だーっ!!何年後の話をしてるんだ?今必要なんだ、今!いい?これが条件」

~条件~
その1 京子と結婚の意志を示す者
その2 既婚者、離婚歴がある者、二股など不実な者は不可
その3 最低限、英語を含む二ヶ国語以上での会話ができる者
その4 一般人・芸能人問わず、年収○○円以上の者
その5 容姿端麗、心身ともに健康で、身長185cm以上の者


「なっ…?何でこんなに高スペックの男性を探すんですか?」
「なんで?その4までは第2公式ファンクラブ“京子を嫁にしたい会”の入会条件だぞ?
お蔭さんで、現在入会者199名!残り枠1名ときた。入会金○十万で京子を真剣に口説ける食事会の特典つき!スポンサーもじゃんじゃん現れて事務所ホクホク…社長の考えそうな事だよ。しかも会員は、揃いも揃った好条件。クラブ内でも熾烈な争いが耐えないんだぞ?」

「でも、この身長…」
「何か文句ある!!?」
「いえ!ありません!」

「将来の海外進出を考えると、パートナーもバイリンガルの必要性はあるし、ヒールをはいた京子と釣り合うには身長も重要!そして、容姿・経済力ともに馬の骨を蹴散らすには絶対必要条件!新しくこの身長条件を追加したら、一気に1/10になることが予想されるけどな?」

「はあ…絞込み…」
「いい案だしょう?」
「藤木さん、だ になってます」
「やかましいわい」

キョーコが、えへへへと笑う。
そんなキョーコを見て、藤木はふっと真面目な顔をした。

「あのね京子、私…本気であなたをスターダムに押し上げたい。こんなに演技が出来る、こんなに魅力的な“京子”を今まで以上に大物にするつもりで、それは、誰にも邪魔させない。マネジメントは私がするつもりだ。でも…今のままではあなたの周りに群がる男を排除できない。だから…、条件に見合う男を探させて欲しい。そしてあなたも肝に銘じて、私が選ぶ男と付き合いなさい。」

キョーコは恥ずかし気な雰囲気から、ふっとその色味を変え、信頼の眼差しで藤木を見た。

「ありがとう、藤木さん…実は私、好きな人がいるんです。その人は条件に合うでしょうか?」

藤木はごくっと唾を飲み込んだ…。


「…だれ?」

その問いに、キョーコは躊躇いながら頬染めて、でもはっきりとその名前を告げた。



「敦賀蓮さん…いえ、クオン・ヒズリさんです…」

 ――― やっぱり…

きっぱりと告げた名前に、どうやってもキョーコの心の内からあの男を追い出す事はできないのだと、今更ながら思う。

「でも、京子、あの男はあなたと結婚する意志は…」
「勿論ありますよ」

突然に藤木の言葉を遮るバリトン…
キョーコの背後の扉がゆっくりと開き、そこに現れる長身の男性。
金髪をさらりとなびかせて、部屋に入ってきた。

「敦賀…蓮…」

「!」

キョーコの振り向きざま、蓮の長い腕がキョーコを強く抱きしめる。

「ごめん…最上さん。まさかこんな状態に陥っているとは知らなくて。社さんから聞いて、慌てて飛んできた」

キョーコの顔が驚きから喜びへと少しずつ変わる。大きく見開いた目には、じわり…と涙が浮かび始めた。

「どうして…ここに…」

蓮がキョーコを胸に抱いたままで藤木に問いかける。

「藤木さん…すみません。ずっとお願いしたまま、ほったらかしで…俺、条件に合いますかね?」
「合わないわね!」

藤木はズバッとスパッと切り返した。

「大体ね、遅いんだっちゅーに!このヘタレ野郎。何故に早く迎えにこんかね?しかも、こっちが相当切れないと、迎えに来れないなんて本当にどこまで気を揉ませる?キョーコに断られるたびに、すごすごとアメリカに逃げ帰りやがって!」

「すみません…」

じろりと蓮をねめつけたあと、藤木がにやりと笑う

「お前…慌てて来るなんて、本当にヘタレだな…だが、きっちり条件は整えてくれた。お前の他にこの条件を満たす男が早々いるとは思えないが…ここまで聞いて、どうなんだ。馬の骨を排除しきる自信があるのか?」

蓮は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしたが、その直後、にやり…と不敵な笑みを漏らす。

「当然でしょう?」

蓮はゆっくりキョーコの頭と背中を撫でたあと、キョーコの正面に跪いた。

「最上キョーコさん…改めて、俺とお付き合い…いえ、すぐにでも結婚してくれますか?俺…条件に合うと思うんだけど…君を貰っていいよね?さっきの君の好きな人、嘘じゃないよね?もう、本当に限界…。これで断られたら、二度と立ち直れない…。」

キョーコは…大きな瞳からぼたぼたと流れる涙を、キッ!と止めると、蓮を睨みつけた。

「敦賀さん!何でそのまま日本に来ちゃってるんですか!?お仕事は!?どうなさったんです?」

それは勢いよく、大きく叫ぶ。

「お仕事放り投げる敦賀さんはお断りです!!私にばっかり、夜の帝王で迫ってくる敦賀さんも苦手です!」

「最上さん、それは仕方ないことで…」

「仕方なくありません!はっ…破廉恥すぎて、困るんです!!」

「お願い…もう、勘弁して…」

「でも…でも…ずっと昔から、好き…に決まってるじゃないですか!」





   一瞬の硬直…
(いま…なんて言った?)


「どんな敦賀さんも、嫌いになんてなれない…。嫌いって言った事…一度もないのに…」





(嫌いって…言われた事……………ない。)


   そして………破顔

蕩けるような満面の笑顔を湛えて、キョーコを抱きしめる。

「ごめん、最上さん…いや、キョーコ…臆病で…ごめん…ずっと断られているとばかり…」

「……敦賀さんの大バカ…」

「うん…大バカだ…」

キョーコの呼吸が整うまでゆっくりと背中を撫でる。
そんな様子に藤木は意地悪く問いかけた。


「ねえ、京子…本当にそんなヘタレでいいのかな?」

「へっ…ヘタレなんて!敦賀さんは、そんなんじゃ…」

「…やれやれ、良かったな。お前の超ヘタレ伝説も京子にとってはどうやら宝物らしい。じゃ、5年前の再現でもしてくださいな。とりあえず20分だけ時間をあげよう。」

藤木はそう言うと、ウィンクして控え室を後にした。

廊下を歩く彼女の手元には、一束の書類…言わずもがな、ファンクラブ会員名簿である。
その中に見える文字

  『会員番号200 クオン・ヒズリ』

「…どれだけヘタレだよ…」


伝説のヘタレ…それは敦賀蓮をさす言葉なのはいうまでもない。

プロポーズ成立後も、ヘタレが度々発動したとかしないとか…?
ヘタレ脱却へ向けた敦賀蓮の道のりはとても険しい。




(おしまい)


ううう~~UPすると、とたんに恥ずかしい~~!!
キャ(/ω\*))((*/ωヽ)ァァ

魔人さまのリク罠
ぱあっと妄想が浮かぶものを(勝手に)コピーさせてもらい、温めておくんですけど、このお話はコピーした日付はなんと2月…随分と寝かせっぱなしだったんですね。
その分、他の罠にも手が出せませんでしたけど、ついぞ最近置き罠が完成したのをいいことに、漸くオリジナルキャラに名前をつけて、産み落としました。

魔人様、お引き受けお願いします!!
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全3話完結おめでとうございます。

お疲れ様でした。

そして、ドボンの罠穴からの脱出おめでとうございます。

洞窟である罠穴温泉はエアコン完備で真夏も快適な(妄想)夢空間でございますので、また是非ウッカリ落ちてきてくださいねー。


第2公式ファンクラブ“京子を嫁にしたい会のラスト会員に滑り込めたクオンくん。残りの1席は社長の温情で空けてもらってたのでしょうかね。

会費もある会の会員から無事勝者が現れたので、この会もまた伝説になるのかもしれませんね。(会の名前を変えて、まだ存続しそうな気もしますが)

最後はキョコさんからの告白を先に聞くことにより、崖っぷちから落下しながらもちょっと楽に生還した感のあるヘタレくんですが、「嫌いって言った事…一度もないのに…」の言葉で死ぬほど過去の自分のヘタレ具合を実感できたんじゃないでしょうか。(笑)

>プロポーズ成立後も、ヘタレが度々発動したとかしないとか…?
>ヘタレ脱却へ向けた敦賀蓮の道のりはとても険しい。

そのたびに、「京子の幸せを応援する会」に改名したファンクラブが「本当にあの男で良いですか?今ならまだ婚約状態ですから、引き返せますよ?いえ、これは男としてのアピールではありません。貴女に全ての愛を捧げている我々には貴女の幸せを見届ける義務がありますからね、黙ってはいられないのですよ。保護者というのはおかしいので、忠実なる守護者とでも思っていただけば・・・」と、ヘタレのお尻を叩いてくれそうっw

あと。

興奮すると訛る(?)藤木さん、可愛くて良かったです。

楽しいお話をありがとうございました。次回のウッカリドボンも楽しみにしてます。

Re: 全3話完結おめでとうございます。

> 魔人様

お引き受け、ありがとうございました。

我ながら、だいそれたテーマに望んでしまったと・・・

藤木姉御、お気に召して何よりです。
きっと彼女、これから先、我が家のキョコさんのマネさん決定かと思います。

素敵な罠を仕掛けていただき、ありがとうございました。
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かばぷー

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脳内妄想☆大暴走中
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