Beautiful Vampire 1

こんばんは  かばぷーでございます

お盆になったら出そう、出そうと思っておりました。
本誌の近未来、ちょっとクールなキョコさんメインのお話を思いついちゃったのです。

ときめきは若干薄め、さらっと仕様となっております。

どうぞお楽しみくださいませ。  





Beautiful Vampire 1



美しい女がいた

漆黒の長い髪 漆黒の瞳 
白い陶器のような肌にかかる長い睫とさくらんぼ色の艶やかな唇
女の指先は男の頬を撫でた
動けない男が、ごくりとのどを鳴らす

「ねぇ…あなたが欲しいのは誰?私の願い…叶えてくださる?」
「あ…君の…君の望むままに…」
「…本当?嬉しい…」

女が“クスリ…”と微笑む時、それは男のすべてが支配される瞬間

美しい女の瞳が赤く光り、男の首筋に鋭く光る牙を寄せた…





「カーット!」

スタジオ内の緊張が一瞬でほどけた。

「京子ちゃん、OKだ!凄いね、身震いしたよ。」
「はい!ありがとうございます」

にっこりとあでやかに微笑む女優、京子。

押しも押されぬトップ女優の仲間入りをした彼女の今回の役柄は、ヴァンパイア…吸血鬼の役だ。

その女は普通の会社員として生活する傍ら、何十年も一人で生きてきた『絢子』。
企業の秘書室に勤め、多くの男性を眼にする彼女は、そのしなやかな肢体を駆使して男を誘い、夜な夜な男の生き血を啜る。

だが、彼女が求めるのは自分をヴァンパイアにして死んでしまった、恋しい男だけ。
もう既に得られることのないそれを求めて、渇いた喉を潤すために、心の渇きを癒すために血を求める。
キョーコが演じるのはそんな哀しいヴァンパイアだ。


毎回キョーコの相手役となる男性の配役が変わり、3話目からは台本は渡されているものの、撮影当日まで配役が明かされることはない。
撮影当日に現れるのは、今をときめくイケメン若手男優ばかり。
毎回相手が違うと言うストレスたるや相当のものであるのに、何故か相手役がぎりぎりまで決まらない。
なぜかと言うと、キョーコの相手役にと各事務所が若手俳優をゴリゴリに押してくる事を愉快とするスポンサー側の思惑と、そのほうが確実にいい画が撮れるという脚本家と監督のこだわりである。
しかも、それ自体をローリィが良しとしているのだから、仕方が無い。

番組予告も相手役を伏せたまま、視聴者を煽るだけ煽り、京子演じる『絢子』に落とされていく御曹司やら、会社役員やら、はたまた普通の営業やらに扮する配役が楽しみで、“今日は誰だろう”と、ネット上でも男優予想が上げられる程の加熱振りだ。
そして、今は7話目。

『絢子』の悲しい過去に触れる回となっていた。


「いや~、京子ちゃん。相変わらず猟奇的な役がうまいね。ダークムーンの美緒以来、ご無沙汰だったけど。」
「そんなに猟奇的とか言わないで下さい。絢子は絢子なので。」
「緒方監督が、惚れ込んだのも分かるよ。美緒様に色気がたっぷり乗ったらこんな風になるんだね~。そういえば、BOX“R”のナツがこんな感じだったかも」
「そうですね。ナツはまた、ちょっと違うとは思うんですが、怪しい雰囲気といえば、そうかもしれません」
「京子ちゃん、絢子の過去…辛いシーンだけど、例の男を思う切ない場面だ。このシーンを区切りに、絢子が男を“食う”ことに躊躇いを感じ始める重要な回だから、しっかり頼むね。」
「はい、頑張ります」

キョーコは監督にいつもどおり丁寧なお辞儀をした。

「京子さん」

ふと声をかけて来たのは、今回の相手役である山崎幸太郎だ。彼もLMEと並ぶ大手プロダクションの所属で、イケメン演技派俳優として名を上げている。

「さっき、君の美しさに本当にのまれてしまったよ。思わず台詞を忘れた」
「お疲れ様です。でも台本どおりに仰っていましたが」
「ううん、そう言っちゃっただけ。参ったなあ…まさか本当にこんなに演技が上手いとは知らなかった」
「お褒めに預かり光栄です」
「…京子さん、お願いがあるんだけど、次のシーン、アドリブ入れてもいいかな?」

キョーコは一瞬固まった。

「アドリブ…ですか?」
「うん、話の流れは変えないつもりだけど、ちょっと納得行かないところがあってさ。」
「それでしたら、監督に相談してご覧になってみては?」
「いや、そういうことじゃなくて…」

(ああ、まただ…)とキョーコは思った。
何話目からだったろう。キョーコが吸血したシーンの後でも、ずっと抱きしめたまま離さない男優がいたり、勝手に台詞を変えてみたりと、いろいろ試してくる。
それでもキョーコは話の流れを変えずに、ここまで演技してきた。
今日もまたそういうことなんだろうか?と思ってしまう。

「台本の流れを変えないのであれば、私は特に気にしません。後は監督に従うまでです。山崎さんの納得していただけるほうが良いとは思いますが…でも、本気でお相手をさせていただきますので、覚悟しておいてください。」
「何を覚悟するの?」

キョーコは曖昧に笑って、セットに入った。






某テレビ局の控え室で、LMEの看板俳優はイヤホンを耳に当てながら、台本を読んでいた。

“コン・コン”

部屋がノックされ、部屋に入ってきたのは彼のマネージャーの社だ。

「ただいま。次の撮影に間に合ったか?」
「社さん、すみません、いつも面倒をかけてしまって…その様子だと、また…ですか?」

蓮の顔を見てやれやれと言ったように、社が溜息をつく。

「あんまり不機嫌になるなよ、蓮」
「不機嫌にもなりますよ。今日の相手役は誰だったんです?」
「山崎幸太郎だ」
「山崎…ああ、一度共演しましたね。彼も?」
「どうもそうらしいな。おい、蓮。…顔…」

かなり不機嫌な顔になっていたらしい。

「お前な、まさかと思うけど次に逢った時に威嚇とかするんじゃないよ?敦賀蓮のイメージにかかわるから」
「まさか。いくらなんでも社さんの思うような事はありませんよ。まあ、多少はイラつきますけど」
「だったらいいけどな。今日もキョーコちゃん、上手い事かわしてたぞ『あなたじゃ役不足よ…私を満足なんてさせられやしない』なんて台詞と絡めてさ…。なあ、蓮、本当に最終話の相手役、言わなくていいのか?」
「そういう約束でしょう?発覚したら、敏腕マネージャーの名折れですよ?」
「そうは言ってもなあ、こうやってキョーコちゃんの偵察に行かされる俺って…一体なんのさ」
「すみません。それに関しては申し訳ないと思っています」
「まあ、俺がしてやれるのはこれくらいなんだけどな」

すみません、と再び頭を下げる。

片思い中の彼女に与えられた美しいヴァンパイアの役。
その怪しい台本にローリィがかかわっていると聞き、不安に駆られてキョーコに確認するが、なんでもないと言い張る。こっそり社に偵察をお願いすると、案の定、相手役の俳優陣からアプローチを受けている様子が見える。

「頼むからこれ以上、気を揉ませないでくれないかな…」

敏腕マネージャーのみが知っている、おどろおどろしい独占欲を今更隠す気もなく、蓮は呟いた。



(続く)

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