Beautiful Vampire 3

第3話です.





Beautiful Vampire 3



「今の…社さんって?」
「あ、敦賀さんのマネージャーの社さんです。山崎さん、大変申し訳ないのですが、急用が入ってしまいましたので、今日はご一緒できません。申し訳ありません。」
「敦賀君のマネージャーが、京子さんに連絡するの?」
「はい。私はまだマネージャーが付くには勿体無い若輩者ですので、時々社さんがお世話してくださるんです。ですから、本当にすみません。」
「そうなの。残念だな…とりあえず、玄関までは行くだろう?そこまで一緒に」
「はい。本当にすみません」

「次の機会があったら、今度こそ誘っていいかな?」
「皆さんお忙しいのに、私なぞに社交辞令などされなくて大丈夫です!今日は本当にありがとうございました。」

玄関先で尚もしつこく誘ってくる山崎に礼をしていると、植え込み周辺からがさがさと音がした。

「あぶない!京子さん」
「へっ!?」

突然抱きすくめられたかと思うと、“パシャ、パシャ”とシャッター音が鳴り響き、フラッシュが焚かれた。
何のことだろうと一瞬訳がわからなかったが、何か写真を撮られ、撮った男が走って逃げたということだけがはっきりと認識できた。

「あっぶな~。吃驚した。ごめんね?写真を撮られちゃったみたいだ」
「写真?」
「そう、君と僕の…。ちょっと事務所に戻って確認しておくから。じゃあ今日はこれで」
「あ…はい。失礼します」

そういって、山崎とそのマネージャーは駐車場を後にした。




「…と、そんな事がありまして」

キョーコが山崎に抱きしめられている写真が載った週刊誌。
いったん事務所に戻ったキョーコをラブミー部の部室で囲み、問題となった週刊誌片手に社と蓮は真相を確かめる。

「うん、不可抗力だね」
「キョーコちゃん、災難だったねというしかないけど、昨日会った時に何ですぐに教えてくれなかったの?事務所としても打つ手があったのに」
「はい。すみません…ついうっかり…」

キョーコは小さく俯くが、敦賀さんの車が駐車場に入ってくるのが見えた瞬間、嬉しくてそんな些細な事は吹き飛んじゃいました。なんて口が裂けても言えない。

「社さん、仕方がないですよ。すぐに言っても対応できたかどうか分かりませんし。最上さんも次は彼に気をつけたほうがいいね。作為的なにおいを感じなくもない」
「やっぱりお前もそう思ったか?」
「ちょっとタイミングが良すぎでしょう。しかも、テレビ局の駐車場ですよ?偶然にしたって、タレントが連れ立って歩く事は当たり前です。そんなところを狙っても意味がない。」
「そうだよな。それに翌日の週刊誌って、予定されていた記事ってとこだろう。」
「社長は何て?」
「この件に関しての火消しは必要ないらしい。向こうも大手だからかな。」

ふう、と蓮は溜息をついた。

「多少のゴシップも今の最上さんには必要ってことでしょう。全くあの人の考えそうな事だ…」
思わず苦笑いだ。

「その…ゴシップなんて本当に必要なんでしょうか?私と噂になっても山崎さんにメリットなぞ一つも無い気がするのですが」
「キョーコちゃん、もう私なんてとか言っちゃ駄目。勿論彼へのメリットは十分にあるんだよ。だからこれ、この抱きしめています感が、ちょっといやらしいな」
「そっ!そんなに破廉恥ですか!?うう~、すみません」
「いや。キョーコちゃんが謝る事はないけ…ど…、れ、蓮?」
「あ…すみません、気にしないで下さい」

さっきから、不機嫌オーラを出してる蓮を察知して、レーダーがキャーキャー騒ぐ。うっかりぼんやりな後輩に呆れてしまったんだと、キョーコは落ち込んでしまいそうだ。

「ところで、最上さん。Beautiful Vampireの撮影は、あともう少しだよね?」
「あ、はい、あと3話です。次からは『絢子』が吸血を躊躇う事が多くなってくるので、今までのように無表情ではいられないと思うんです」
「そうなると、今まで女性たちに散々に言われて視聴率も上げて来てるけど、切ない恋心が伝わらなくちゃいけないね」
「そうなんです。男の人を騙すとか、そっけなくするとかは出来たんです!だけど、もう会える筈もないヴァンパイアの“彼”に思いを寄せる『絢子』の切ない気持ちとか、それでも生きていかなくてはならない葛藤とか…上手く表現できるといいんですけど、なかなか掴みきれなくて」
「ところで、そのヴァンパイアの“彼”にはイメージモデルがいるの?それがあったら役作りも楽だと思うんだけど」
「あ、今はまだぼんやりとしたシルエットだけで、全体像は教えてもらってないんです。脚本の先生の中にはしっかりとし“彼”のイメージがあるみたいなんですけど、最終話のお楽しみだそうで教えて下さらないんです。でも…」
「でも…?」

キョーコは、えへへっと笑った。

「実は、途中で出てきた手足のシルエットで勝手にイメージを作っちゃったんです。その…敦賀さんには申し訳ないんですけど、敦賀さんのイメージで。ちょっとカイン兄さんっぽく。外れちゃったらもの凄く大変なんですけど…」

言いにくそうに上目遣いに蓮を見上げる。

「そんなんじゃ、ダメ…ですか…ね。やっぱり、ちゃんとした役作りが出来てませんか?」 

そこに現れたのは、相変わらず、キョーコのプロテクターをいとも簡単に崩壊させる脅威の輝き。

「…大丈夫。」

じっとキョーコを見つめる蓮の真剣な眼差しに、キョーコは吸い込まれそうになった。

「もし、君が誰かに恋心を抱いているとしたら、二度と会えないと諦めたその男に、一瞬でも会えたとき、どんな気持ちがするだろうね…」
「…」
「その気持ちを素直に表現すればいいんじゃないかな。今回は役作り…一緒にしてあげられないけど、掴めると思うよ。最上さんなら。」

いつものように微笑んでくれる姿に、
力強いその言葉に、キョーコの心臓が早鐘を打った。





(続く)


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/○/ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
二次ルールを守っておられる「ス/◯/ビ」二次サイト様に限り、相互リンクさせていただきたいです。お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンクは固くお断りさせていただきます。
(リンクはトップページにお願いいたします)

ようこそ
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンクご案内
ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様 Bubble Shower
sei様
風月様 popipi様 ちなぞ様 惣也様