Beautiful Vampire 4

オリキャラの山崎さん
ウチの扱いは…う~ん(残念)なお人。





Beautiful Vampire 4



「京子さん、この前は記事になっちゃってごめんね」

そう言ってロケ先に現れたのは、山崎幸太郎だった。


9話の撮影中、休憩時間に入るとき差し入れを持って屋外のロケ地に現れた山崎は、颯爽とした出で立ちでキョーコの上がりを待っていた。
監督とにこやかに挨拶を交わし、休憩時間をさり気なく聞き出すと、キョーコのところに現れたのだ。

「山崎さん、おはようございます。今日はどうなさったのですか?」

突然の来訪に吃驚しながらも、礼儀正しく挨拶をする。

「京子さんにお詫びをかねて、食事に誘おうと思ってきたんだ。この前のリベンジで。」
「え…でも、撮影が」
「さっき監督に確認したよ。2時間くらい大丈夫らしいから、ちょっと外へでよう」

つい先日、偉大なる先輩俳優に“彼には気をつけたほうがいい”と忠告を受けたばかりだ。どうしようかと悩んでいると、すかさず「マネージャーも一緒だから」と声をかけられた。

オフィス街の一角のロケ地。絢子の役柄は会社秘書なので、企業の協力も外せない。
近隣にはカフェや公園も多くあり、確かに食事には困らない環境といえる。
ちらり…と周囲を伺うと、好奇心の混ざった視線と、共演する女優の若干嫉妬の混ざった視線を感じる。
苦虫を噛み潰したように、キョーコはお断りの言葉を告げた。

「お誘いは嬉しいのですが、今日は…」
「え~?困ったなあ…。ちょっと京子さんと取引しようと思ってたのに」

「…は?」

「と・り・ひ・き…。ちょっと敦賀君の面白い情報を入手したから、京子さんにも教えてあげようと思ってさ」
「敦賀さんの…あの、それは一体…」
「ここでは秘密。ついて来る?」

山崎はにこりと笑って誘いをかける。

(ついて行ったら…?敦賀さんの情報って何?)

そういえばこの男は、かつて敦賀さんと一緒に共演した事があるはずだとか、敦賀百万石の領主に更に近づくぞとか、いやいや、そんなこと言って騙されちゃダメよ、キョーコ!と、脳内てんやわんや状態の内に、あっさりと連れ出されてしまった。

キョーコが思考の渦からようやく逃れ、気がついてふとあたりを見渡すと、屋外カフェテリアで既に食事を注文されていたあとだった。

(ひぃ~~!!わたっ…私ったら、何でここに!)

確かにマネージャーさんも側にいるが、衆人環視の中で落ち着かない。
忠告されたにもかかわらずのこのこと付いて来てしまった。これがばれたら大魔王が降臨するであろうと予測でき、おいしそうな食事を運ばれてきても、全く食欲も湧かないし、ごきゅん!と無理やり必死で口に押し込むが、のども通らない。

(こんな!ゴーモンみたいな食事、どこかで一度経験したような…クッ…バカショー!!あんたの間抜け顔、思い出しちゃったじゃないの~!)

憤怒の表情を浮かべ、ぼそぼそと食事を取るキョーコにやれやれを溜息をつくと、山崎のマネージャーが電話を片手に不意に席をはずした。
あれ?と思っていると、おもむろに山崎が切り出した。

「京子さんさあ…、俺と付き合う気…ない?」
「…は?」

顔には,“付き合う?なにを唐突に?”と書いてある。

「う~ん、面白いなあ。その反応…いや、以前から京子さんの事いいなあとは思ってたんだよね。」
「…へ?」

「勿論、話題性もあるし…。絢子役の君がいいとは思ったんだよ。だから付き合わない?」
「付き合うって、今も食事にはお付き合いしておりますが?」
「だからそうじゃなくて、男と女の関係」
「始めから男性と女性だと思っておりますが、山崎さんには別の性別が…?」
「違うよ。君と恋愛関係になりたいんだ」

(ほへ…?恋愛…誰と誰が…?山崎さんと…私?)

「む…無理、無理、無理、無理!お断りします!」

きっぱりとキョーコは答える。

「え…なんで?」
「あの…っ!私、男性とそういったお付き合いはできないんです!」
「だから、なんで?」

「そのっ…誓いを…誓いを立てておりまして、まだ有効なんですっ!」

キョーコはしどろもどろになりながら答えた。

「だから、それが良く分からないんだ。京子さん、そう言って他の奴の誘いも断ってるらしいね。そんな誓いを立てさせた奴は、どいつ?」

キョーコの脳裏に、意地悪く微笑む蓮の顔が浮かぶ。
まっ赤になりながら、キョーコは「…言えません。」と答えた。

「じゃあ、いいや。やっぱり取引だ」

そう言ってうそ臭い笑顔を見せると、山崎はキョーコの手をとった。

「この前の写真…気がついてると思うけど、やらせだよ?今日もどこかで撮ってる。これも出そうかなと思ってる。勿論、今は食事時でギャラリーも多いよね。マネージャーが一緒でも席を外したら二人きりだ。SNSで拡散されたら、ひとたまりも無い…よね。」

キョーコの顔が大魔王降臨の気配にサーッと青くなる。

「それからね…最終話にでてくる例のヴァンパイア…敦賀君だっていう噂…知ってる?」

キョーコが目を見開く

「それ、事前に流しちゃったら、視聴者のお楽しみって半減するんじゃないかな?ドラマコンセプトにも反するしね?」

そう言って“ふふん”と笑う山崎を見ていたら、あんぐりするのを通り越して猛烈に腹が立ってきた。

(この人…バカなの…?)

あまりにのほほんと能天気に笑う山崎を見ていると、おどろおどろしい何かが腹の底に渦巻く。

(…はぁ?敦賀さんが最終回のヴァンパイアだって事前に分かってたら、更に視聴率があがるって、分かんないのかしら?しかも、よく考えたら今の私の出で立ちって、そのまんま絢子メイクだから、ロケ中の休憩だって普通の一般常識で分かるに決まってるでしょうに!ランチを一緒にしているだけなのに、どれだけ自意識過剰?どれだけバカなの?)

肩からニュルリと飛び出しそうになる黒い物体を押しとどめながら、握られた手をゆっくり離すと、ふわり…と絢子を憑けて席を立った。

「山崎さん」

自分を見下ろすあまりに美しく妖しい微笑みに、山崎が固まる。
そして、その笑みは周囲の目も惹き付ける。

「取引なんて仰るから吃驚しました。残念ですが、応じる必要はなさそうです」

おどろおどろしい何かを身に纏ったキョーコは、もはや周りのその空気さえも変える力を持っていた。

「私…心に決めた人がいます。でもそれは貴方じゃありません」

口角を上げた艶やかな唇はそれだけ告げてカフェテリアを後にした。




(続く)
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コメント

現在のキョコさんより
少し成長したキョコさん。

磨かれた演技力と魅力で、不埒なバカ男も簡単処理。

お見事です。

拡散されても、主役の演技そのままですから、ドラマの宣伝になりそうですね。ヾ(๑╹▽╹)ノ"
  • 2016-08-19│19:35 |
  • まじーん URL│
  • [edit]
Re: 現在のキョコさんより
> まじーん様

バカ男、しっかり処理していただきました!
これくらいさらっと処理できると、きっと蓮さんも安心なのにねぇ?

番組の宣伝、しっかり出来ちゃったみたいです。
  • 2016-08-20│20:16 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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