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Beautiful Vampire 5

第5話でございます。






Beautiful Vampire 5



“山崎幸太郎、白昼堂々京子に振られる”

 俳優の山崎幸太郎(27)が、最近出演したBeautiful Vampire の収録現場に現れ、主演の京子(20)と昼食を共にした。席上、山崎が京子にアプローチしていると見られ、周囲の注目を集めたようだが、食後に京子から「心に決めた人がいる」と一蹴された様子がSNSで拡散している。今回、多くの男性を手玉に取るヴァンパイアと役柄と、ドラマのヒットで人気が高まっている京子は、最近の恋愛模様について週刊誌等に報道されているが、実際は非常に家庭的であると業界内では噂されている。今回のドラマ内の台詞に重ねたとも取れる発言に、山崎の所属事務所・大東プロダクションでは「恋愛は個人に任せているので」とコメントを出しているが、内心苦笑いといったところだろう。一方、京子側のLMEはコメントを控えているが、スキャンダルが無かった女優の一皮向けた恋愛模様、しかも彼女が言う“心に決めた人”が気になるところだ。(スポーツ東都)



SNSでは確かに一瞬話題になったらしい。山崎が手を取り口説いている姿もアップされていた。一瞬だけ切り取ると、確かに恋人が語らう場面に見えなくもないが、決定的に違うと周囲が確信したのは、キョーコの“表情”であった。
絢子メイクでありながらいかにも迷惑そうで、おぞましい物でも見るような眼差し。

まさに“がっかり…”な表情だった。



「最上さん…これは、ないよね?」
「すみません。あまりの山崎さんの仰りように、ちょっと…」
「う~ん。どこで誰が注目しているか分からないから、もうちょっと慎重に対応すべきだったかな?今、君は誰もが注目する旬な女優なんだから。」
「…は。面目もゴザイマセン…」

キョーコが青くなりながら、蓮のダメだしを食らう。
あんな出来事があった翌日のこと、TBMの廊下でたまたま収録のために移動中だった蓮と偶然(?)遭遇した。
スマホの画面には、昨日の出来事のトピック。
一瞬、大魔王降臨がまさに現実に!と恐れ戦いたが、大魔王の逆鱗には辛うじて触れなかったらしい。

「まあまあ、キョーコちゃん。何はともあれ、ちゃんとお断りできたんだから、良く頑張ったね。おい、蓮、いい加減キョーコちゃんを怖がらせちゃダメだろう。もう良しとしろよ。」

ふうっと蓮は溜息をついて、キョーコの頭に手をやった。

「そうだね。良しとしなくちゃいけないかな。良く頑張ったね」

優しく撫でられて、キョーコの頬が赤らむ。

「ところで、心に決めた人…って?」

いきなり、方向転換されて、キョーコがピキリと固まった。
じーっと注目している蓮の顔を見れずに目が泳ぎだす。

「あああああの、そそそ、それは絢子の台詞でして!」
「ふ~ん。そうなの?てっきり誰かいるんじゃないかと思ったんだけど?」
「いっ…いえ!絢子の心に棲むヴァンパイアが心に決めた人なんです」

「ふ~~~ん」

(ひぎゃ~!!社さん、助けて~)
あわあわとしどろもどろなキョーコを見て、仕方ないと社が助け舟を出した。

「れ~ん。そろそろ時間」
「そんな時間でしたか?」
「ああ、急ごう。じゃ、キョーコちゃん、今日はこれで。明日はこいつの食事、お願いできるかな?」
「はい!勿論です。お疲れ様です。いってらっしゃいませ!!」

「いってきます」

勢い良く、お辞儀をするキョーコに蓮は眼を細めた。



* 


蓮のスポーツカーに乗り込むなり、社は切り出した。

「蓮…お前なあ、いくらなんでもキョーコちゃんをビビらせすぎだろう。ちゃんと役柄に合った台詞で上手に断ってるじゃないか。」
「だとしても、気にはなります。あの娘の心にいるのは誰だろうって…」
「本当にキョーコちゃんのこととなると器の小さい奴だな。心に決めた奴なんて、お前以外にいる訳ないだろう。早く告白しろっていつも言ってるじゃないか。」

「小さくてすみませんね。そうやって社さんは、いつも俺に淡い期待を持たせますけど、あっという間に玉砕なんて、そっちのほうが危険ですよ。」
「お前、何年抱かれたい男No1をやってるんだよ。」
「さあ、何年でしたか。そんな称号、彼女には無意味なのは分かってるでしょう。逆にハラハラさせられてばかりです。」
「余裕無いねぇ。」
「彼女に関しては、いつも余裕なんて無いですよ。」
「ああ~、どれだけ食事のために家に呼びつけてハッピータイムを作ってやってるんだよ。いい加減、似非紳士の仮面外せって」
「外してどうにかなるほうが怖いですけど?」
「……この、ヘタレめ」
「何とでも」



今更、危ない橋は渡れない。
食事のお世話と称して、月に何度かマンションに出入りし、時には宿泊するようになった今でも、キョーコとの関係が発展した事はない。

最近のキョーコは周囲の馬の骨を上手にあしらっているとは思うが、やはり要所で必要以上に男どもを牽制し威嚇してしまう自分がいる。それでも、恋人への道のりはまだ遠く、社にヘタレだと言われても、社長に笑われても、キョーコの側にいれるなら、拒絶されるよりましだ。
欲望と願望が渦巻く心の中を悟られないよう、理解ある理性的な先輩でいるしかないのだった。




 
(つづく)
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