Peach Time 3

3話はまだぜんぜん甘くないの。








週末、翌週からの住み込み契約のために、部屋を訪れたキョーコ。
差し出された契約書を読んで、サインをした。




Peach Time 3




「契約内容、しっかり読んでくれた?」
「はい、読みました。確認済みです」

住み込み料金は、1日当たり1000円、これでガスも水道も使いたい放題。家具は当然備え付け。お布団だけ持ち込めばいいと来た。おまけに食事は蓮のために準備した物を一緒に食べればいいとのことだから、実質無料!そして、基本的にはタイムカードで勤務時間が記録され、それ以外は自由。ただし、住み込みなので、急遽業務を行う場合には特別手当が出る。
まさに、夢のような待遇…

「そう、じゃあ、今日からでも荷物を運び込めばいい。これ、鍵なので、失くさないように」
「はい、お預かりします」
「では、よろしく。俺、ちょっと息抜きに向こうの部屋に行ってくるから、あとお願い。済んだら先に帰ってもらって構わないから」
「はい、行ってらっしゃいませ」

キョーコは蓮を送り出すと、洗濯に取り掛かった。次に掃除に取り掛かる。済んだら干して…それでもあっという間に終わってしまって、手持ち無沙汰になった。

「暇だなあ…どうしよう。帰っちゃおうかな…」

そう呟いたとき、携帯電話が鳴った。

「はい!最上です。は…?敦賀先生?…え?パソコンですか?はい、はい、すぐに準備します」

いきなり蓮から掛かってきた電話は、パソコンで声を拾うようにという指示だった。
慌ててパソコンを開き、文書機能を立ち上げた。

「どうぞ、準備できました!」
『じゃあ、お願い…… 女の太腿に男が手を這わす…。白い滑らかな肌は吸い付くような手触り…柔らかな内腿に…』

(せっ…先生ぇ~…ははははは…破廉恥な言葉が多すぎます~~~)

目の前がぐるぐるになりながらも、何とか蓮の紡ぎだす言葉をキーボードに打ち込んだ。

『…じゃあ、このくらいで』
「はっ…はひぃ~~…」
『保存よろしく』

そう言って、電話は切れた。

(なっ…なんて不健全なお仕事なの!?こっ…こんな羞恥プレイをこれからもしていくのっ?最上キョーコ…耳の中が爆竹祭りでテンパってます~ぅ!!)

しばらくキョーコはパソコンの上に突っ伏して、動けなくなった…。


*  



「あれ?まだ帰ってなかったの?」

ふと気がつくと、蓮の顔が近くにあった。うっかり眠っていたらしい…。

「おかっ…お帰りなさいませ!すみません、ついうっかり…」
「ああ、いいよ。気にしないで、さっきは助かったよ。で、データを出してくれる?」
「はい!ここに、…って…アレ…?ここ…に?」

「まさか…ないの?」

サーっとキョーコの顔が青くなる。
(保存した?まさか、私…保存…して…ないの?)

「参ったな…」

くしゃっと長い前髪をかき上げた。ずっと見えなかった両目がはっきりと見える。

(ハレ…?せ…先生…もしかして、超絶男前!?え?え?えぇぇぇぇぇ~~!!??)

「君、全くデータ残ってない?」
「(…はっ!)すっ…すみません!あまりに破廉恥な言葉の数々に、こう…ちょっと脳がフリーズして…しまったようで、その…本当に申し訳ございません~~~!!」

キョーコはその場に、へたりとしゃがみこみ、土下座以上にへしゃげた。

「…参った…」

折角搾り出した言葉の数々は、一度出してしまうとなかなか戻ってこない。パソコンの画面から、目を逸らすように俯いた蓮は憔悴そのもので、見るに耐えない。
明らかに今日の出来事はキョーコの大失態。
アシスタント業務初日に、どえらい事をしでかしてしまい、お詫びのしようもなかった。
キョーコは意を決して、口を開いた。

『…女の太腿に男が手を這わす…。白い滑らかな肌は吸い付くような手触り…柔らかな内腿に寄せられた唇は、その柔らかな肌の感触を確かめるように縦横無尽に這い回り…』

「!待って、ちょっと待って(カタカタカタ)…次は?」

『やがて女の口から喚起の声が漏れ始め…』

カタカタカタカタ・・・

どれくらい再現できただろう…電話口で蓮の言葉を聞いたのと同じくらいの時間、そうして思い出される言葉を紡いだ。
ただし、それはキョーコにとっては拷問に近く、今まで口にしたことも、聞いたこともないような言葉が脳内を乱れ飛ぶ。

「ふぅ~~~…終わった。凄いね君、ほぼ再現できてるみたい。書きながらだんだん思い出した。ありがとう」

振り返ってみたキョーコの顔は真っ赤だ。よほど先ほど口に出した不健全で破廉恥な言葉の数々がきつかったらしい。そういえば、電話口の返事も裏返っていたのは、きっとあまりに強烈なインパクトだったろうから…、しかし、凄い記憶力だ。

「はひっ…!いえっ!わたっ…!お役っ…!言葉っがっ…あわわわわ~~!!」

ぶはっ!

さっきあれだけすらすらと、官能小説の中身を諳んじたくせに、この今の様子が意味不明だ。

「本当に助かったよ。ありがとう、最上さん」

(えっ!?名前!)

「いえっ…本当にとんでもっ…!おわっおわっ、お詫びっ…!」
「ああ、いいから落ち着いて?無事に戻ってきたんだから、大丈夫」

今にも泣き出しそうなキョーコの頭をポンっと撫でた。
ふわっといい匂いが漂ってきたように感じた。

“匂いも…好き…かも…”

「うん、大丈夫。落ち着いた?」

間近に瞳を覗き込まれ、キョーコの心臓が“ずくん”と疼いた。喉の奥から心臓がせりあがる感じがして、耳の奥にさっきとは違う破裂音が響く。

(やばい…です。さっきとは違うドキドキが止まりませ~~ん!!)

ぐるぐると目を回すキョーコの耳元で、はじめから好きだなあと思っていた声が響く。

「ねえ…君…もしかして……処女?」

「!!?(むぎょ~~~!!!)」

キョーコはその場にのた打ち回る事になった。




4話に続く)
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破廉恥ですね。(笑)

官能小説作家の蓮とキョーコちゃんのお話、かなり素敵です。
これから代筆とやらで、もっと破廉恥な言葉をキョーコちゃんから話させるのでしょうか!!!
蓮さん、どんなアプローチしていくのか楽しみにしてます。(もちろんキョーコからのアプローチの可能性もありますが、)

更新楽しみにしてます!

Re: 破廉恥ですね。(笑)

> harunatsu7711 さま

素敵って言ってくださってありがとうございます~!!

いやー、これまた思いつき、後先考えずに書きました。
このときには、でへへへって言いながら桃脳で書いたんですけど、いざUPしようとすると緊張するものですね。
見直しながらのUPです。

どうぞ、お付き合いくださいませ。
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