Peach Time 9

やっと、ここまでたどり着きました。
蓮さん、ヘタレてませんからね。





「今日は楽しかったです」
「うん、俺もだ」

二人揃って和服で出かけた小さなパーティー
いつもは参加しない蓮が数年ぶりに来たことで、場は大いに盛り上がった。



Peach Time 9



同じジャンルの作家や、大御所と呼ばれるベストセラー作家とも顔を合わせることが出来、非常に楽しい時間だった。文化人の皆さんの中には重鎮と呼ばれて、蓮などの小説をくだらない!と一蹴する古いタイプの方もいれば、時代の流れだよと柔和に接する方もいて、蓮の近くで人間観察をしているのもまた楽しかった。
アシスタントのキョーコの存在を敢えて突っ込まない大人のパーティー。蓮はキョーコのことをアシスタントであると同時に、フィギュアの衣装作家だと紹介してくれた。
よくよく話を聞いてみると、蓮のデビューは10年も前で、驚いたことに、それはなんと彼が中学生の時の事。当然その頃は官能小説は書いていなかったらしく、数年前は賞も取ったとか…。キャリアはあるが、実年齢の若い蓮の情報をこと細かく記憶していくことが、何だか宝石を宝箱にしまい込むみたいで楽しかった。
そして、テーブルの上に並んだグルメなお料理も勉強できたのもまた、楽しかった。

ガチャガチャ、カラカラ

「どうぞ」
「先生、お帰りなさいませ。お疲れ様でした」
「最上さんもお帰り」
「はい、ただいま帰りました」

綺麗に髪を結い上げて、ほんのりお化粧をしたキョーコが花の様に笑う。
そして、その仕草の度に蓮が一瞬…ほんの一瞬だけ固まっている事を、キョーコはまだ知らない。

「楽しかったけど、疲れましたね?先生も和服でお疲れでしょう、干しますから脱いでくださいね」

そう言いながら、草履を揃えようと上がり框にしゃがみこむキョーコのうなじが目にはいった。

ただいまと言ったキョーコ、
花のように笑うキョーコ、
着物を脱いで下さいといったキョーコ…

アルコールも手伝って、眩しいうなじにいちいち脳内に不健全で不埒な妄想が沸き起こる。
それを打ち消すように、蓮はキョーコに話しかけた。

「最上さん、昨日話した正式に雇用する話だけど…明日から月給制にしようかと思ってるんだけど…どう?」
「えっ?それは…どうして」

「だって、君は凄くたくさん仕事をしてるのに、遠慮するだろう?それなら、きちんと月給で働いてもらいたい。君が俺にくれる時間分」

「あの、いいんですか?」
「いいに決まってる。その上で、別に手当てを払いたい。…どう?」
「特別手当は、要りません」
「何故?」
「だって、先生のお手伝いは、私がやりたいからしているだけで…」
「君が、やりたいから?」

「…そうです。先生のお手伝いをしていると、新しい自分が発見できて、今までとは違う自分になれるんです。凄く楽しくて…新しい最上キョーコに変わっていく。そんな感じなんです」
「新しい?」
「はい!今日だってそうです。あんなパーティー、初めてでした。凄く楽しくて…だから、お手当ては必要ありません…。それに…」
「それに?」

「先生の側にいられるだけで…それだけで、十分なんです。」

そう言ったキョーコの顔がみるみる赤くなる

(ああ…もうどうしてくれようか)

押さえようと思っていた衝動がむくむくと沸きあがってくる。
  
(―――ダメだ、押さえて)

「私、何言って…すぐにお風呂を準備しますね?」

(――― 待って!)

照れくさそうにくるりと身体の向きを変えたキョーコの腕を思わず掴んで、後ろから抱きしめた。
うなじから、甘い匂いが立ち上る。
それだけで、今まで自制してきたいくつもの鍵が外れる音がする。

未成年…未経験…

一番大きな引っ掛かりまで取っ払ってしまえたら

「せ…先生…どう……ふっ!」

口を開こうとするキョーコの口を思わず塞いだ。
きっとキスさえも初めてなんだろうと、頭の隅でそんな事を思うが、一度触れてしまった唇の甘さに、柔らかさに押さえていたものが、一気に溢れ出した。

もう、この気持ちに蓋をすることなど出来なくて、ぎこちない唇を包み込むように何度も何度もキスをした。

「口…開いて」
重ねた唇の隙間からそう囁き、少しだけ開いた彼女に強引に舌を割りいれ、いいように舌を絡めた。

「ふっ…う…ん」
苦しそうに呼吸をするキョーコの髪留めを取り払い、更に自分に引き寄せたとき、キョーコの指先が蓮の頬を掠めた。

愛おしそうに自分の顔を両手で包み込んでくれるキョーコの指先。
少しずつ遠慮がちに耳の下からゆっくりと後頭部へと回ってくる。

初めてのくせに、やけに官能的なキス
それでいて俺が好きだと全身で訴えるようなキス

そんなキスをキョーコが返してくれている

嬉しくて、頭の芯がしびれて、彼女の首筋へと…先へと無意識に身体が動く

「先生…あの…お風呂に入ってません…」
「…うん…いい匂い」
「うひゃう…」

恥ずかしそうに身を硬くするキョーコ

「俺も昼にシャワーを浴びたきり風呂に入ってないけど…いや?」
「嫌とかじゃなくて…その…汗かいてますし、逆にお嫌では…」
「うん、嫌じゃない。寧ろこのまま……脱がせたい…」
「…知ってます。だって…」

ああ、そうか。彼女の読んだ本の中に書いたんだ
女性に服を贈るのは、それを脱がすためだって

「ごめん、仕事のことは忘れて。参った…俺としたことがここまで…」
「…?先生?」

自分でも、ここまで彼女が好きになっていることに、呆れてものがいえない。

「降参だ。…本当に君が…好きなんだ。」

キョーコの身体が、また一瞬強張ったのが分かった。
次にどんな反応が返ってくるのか、しばらく待っていると、キョーコは躊躇いがちに頭を蓮の肩口に寄せた。


「先生、もう一度…お願いします。」
「ん?」
「お願い…もう一度…」

真っ赤になった耳元に更に近づいて、耳朶に唇を寄せる

「最上さん…君が好きだ。」
「んっ…」

キョーコの腕が、きゅぅぅぅっと蓮の首に巻きついた。

「嬉し…もっと、聞きたい…です」

彼女の言葉に、匂いに、くらくらする


「先生の声が好きです。はじめて会った時から……好き…それと、先生の匂いも…好き…」

まるで磁石が引き合うように、二人は更に深く口付けをかわした





最終話に続く)



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えへへ( 〃▽〃)

やったぁ!拍手一番乗り!

Peach time、いつもいつも限定のも、どの内容も更新の時間を楽しみにしています( 〃▽〃)
いやー、キャラ設定とか仕事内容とかあんやのもそんなのも、本当に全部感激と言いますか。よく思いつきますよね〰ああーその頭脳が羨ましい(* ̄∇ ̄*)

ちなみに、ベースとなるこのシリーズは、王道と表現するのでしょうかね?やっぱりゆっくりと二人が両思いになってイチャコラが始まっていく感じは、何度読んでも手に汗握るし、ドキドキきゅんきゅんしますね(*^^*)ああ、楽しいなあ〰もう〰(’-’*)♪

Re: えへへ( 〃▽〃)

> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい さま

拍手一番乗り、ありがとうございます!

微?桃な健全通常コースは、ぶっちぎりの王道です。
あ、でもこちらはさらっと微キュンなので、桃はありませんよ?
限定で、桃桃しい作品を掲載しているので、やっぱり王道は、糖度甘めの爽やかPeachをご賞味いただきたいと思いました。
しかも、こちらはヘタレ封印ですから、今までセーブしていた分を取り戻す姿に、ニヤリとして欲しいものです。

押さえ…外れた=!!!
イケイケgo!go!敦賀蓮!ってな感じでご覧いただけましたら、嬉しいです。



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かばぷー

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