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ボン・ボン・ショコラ 1

皆様こんばんは かばぷーでございます。

またまた、連載始めます。
今回は若干、重いというか、暗いというか…
定番のネタをテーマにしておりますが、これも某様の素敵作品がありますので、そちらとは比べ物にならないほど稚拙な作品と思います。
切なキュン系を目指して書きましたが、似たようなテーマは多くありますので、「かばぷーったら、定番を扱ってみたのね。ファイト!」な感じで期待せずに読んでやってください。
最後はハッピーエンドの予定ですので、ちょこっときゅう~っとしていただけると嬉しいです。

次からの更新は主に土曜日です。
(告知では金曜日としておりましたが、土曜日の勘違いでした。申し訳ございません。)
15話程度のお話となる予定ですので、どうぞお付き合いくださいませ。







ボン・ボン・ショコラ 1





「はい、あ~~ん♡!おいしい?」
「うん、美味しいよ。じゃあ、ユウコも、あ~~ん」
「うふ♡ 美味しい!じゃあ、テッちゃんも、あ~~ん」

ばきっ!!ボキボキッ!!

(何が、“あ~~ん♡”なのよ!いい加減にして欲しいわね、この色ボケ、バカップルめ~~!!)

レジの前でギリギリと歯軋りをしながら、店の奥に設えたカフェを陣取るバカップルを睨みつける。その手に握られた安いボールペンは、見るも無残な形状と成り果てていた。

「クス…ククク…最上さん、凄い顔。仮にも女の子がレジの前でする顔じゃないね。」
「あ!いらっしゃいませ!つ…!」

男の口元に、すっと人差し指が一本当てられた。

「(うん、こんにちは。最上さん)」
「いらっしゃいませ。今日は何をお求めですか?」

最上キョーコは帽子を目深にかぶった、背の高い男に会釈をした。

背の高い彼の名は、敦賀蓮。
彼は今をときめく俳優で、抱かれたい男No1に何年か続けて選ばれている男だ。そして今、ここにいる事がとても異様なほど、煌びやかな世界で働いている筈の人間だった。
映画やドラマは勿論の事、携帯電話や缶コーヒーのCM、男性用化粧品にアール・マンディというブランド紳士服の専属モデル、街に出ても家にいても、彼を目にしない日はない。

そんな彼が何故だか知らないが、ここ数ヶ月、この小さなケーキショップに顔を見せるようになった。

決して甘いものが好きなようには見えない。けれど、いつの頃からか店に現れるようになり、小さいショコラを一つだけ買っていく。

初めは彼が誰だとか分かる筈もなく、忍んで来店する姿に背の高いお客さんだとしか思わなかった。けれどある時、おすすめのショコラを聞かれたことをきっかけに、会話を交わすようになった。

「うん、今日はオレンジ風味のチョコレート、あるかな?」
「はい、ございます。オランジェットですね。お一つでよろしいですか?」
「そのとおりです。いつもごめんね?」
「いえ!滅相もございません!こうやって一粒一粒、吟味してくださるなんて有難いです。」
「そう?」

キョーコは笑って、丸いオランジェットを一粒、小さな箱に入れる。
その箱は、一つだけ買っていく蓮のために新しくキョーコが手作りで設えたもの。
店にあるのは、二個入りの箱が一番小さなサイズだったからだ。

「ありがとうございます。300円頂戴します。」
「こちらこそありがとう。」

丁度の金額をトレーではなくキョーコの手のひらに載せる。

「次は…そうだな、少し苦めのものが食べてみたいな。」
「かしこまりました!ビターな感じで作ってみます。」
「楽しみにしてるよ。」

帽子のつばを少し下げてニコリと微笑むと、蓮は店を後にした。

最上キョーコがパティシエ見習いとして勤めているそこは、とても小さなケーキショップ。
オーナーが道楽でやっているという小さなお店に、ご縁があって雇われる事になった。
小さなカウンター横のガラスケースには、色とりどりの旬のフルーツを使ったショートケーキが並び、店の隅には2席ほどの小さなテーブルが置いてある。そんな小さなお店のケースの中に、ほんの少しだけ場所を分けてもらったショコラたち。
このショコラは、もともとこの店にはなかった商品だ。
店に入る事になって、もともとあった商品をすべて作れるようになった後、店長に頼み込んで作らせて貰った。ショートケーキに比べたら単価も高く、なかなか手に取る客はいない。
ショーケースの隅で申し訳無さそうに並んでいるショコラを見つけて声をかけて来た客が、彼だったのだ。

キョーコは有名なその男が次に来てくれる約束を心待ちにしながら、店を出て行く後姿を見つめた。




「すみません、社さん。お待たせしました。」

蓮が助手席に乗り込む。
住宅街が程近い小さな裏路地にあるこの店に寄るためには、蓮の外車より、社の静かな国産車が何より頼りになる。

「うん、大丈夫。今日は何?」
「オランジェットです。」
「そ、か…オランジェットか。元気そうだった?」
「ええ…」

そう言ってふわりと笑う蓮の顔を見て、社はアクセルを踏んだ。





いつもの見慣れた部屋
深くソファーに身を沈め、蓮は呟く。

「ただいま」
(お帰りなさい、敦賀さん。)

「今日も可愛かったよ。キョーコ。」
(ありがとうございます。)

「オランジェットもとても美味しそうだ。」
(はい、オレンジの香りが引き立つように、リキュールを強めにしてみたんですよ。)

「うん、頂くよ。」

蓮は小さなショコラに小さく口付けると、ゆっくりとその塊を口に含んだ。
甘い、甘い…オレンジの香り中で、まろやかに溶けていくカカオ…
舌の上で転がすように舐めて、ゆっくりと余韻に浸る。

もうこの部屋には何ヶ月も足を踏み入れていないキョーコの面影を瞼に感じなから、今日見る事ができたキョーコの笑顔を思い浮かべる。

舌の上から塊が消えていき、蓮は目頭を押さえた。

抱きしめたい…
強く、強くキョーコを抱きしめたい。

鼻に残るオレンジの香りさえも逃したくなくて、両の手で顔を覆った。





(2に続く)




ひゃー、怒らないでくださいまし!!!
ここでのオランジェットのイメージはトリュフ型で、オレンジピールにちょこっとつけたタイプとは少し違うものをイメージしてみました。
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Comment

うっ(T^T)
失礼を承知で書きますが。パロディではなく、記憶喪失ものでしょうか。

もういきなり、ずっきゅんバッキュンきたのですが。心臓が痛い……私の目頭が…………

何はともあれ、かばぷー様の描写は完璧過ぎて本当にドラマを見ているみたいです!尊敬してます(>_<。)
  • 2016-11-26│22:10 |
  • ぽてとたべたい&ぽてとあげたい URL│
  • [edit]
Re: うっ(T^T)
> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい さま

二次の世界で定番といえば、やはり記憶喪失ものだと思っています。
そこ行っちゃうか~って、ぬるく鑑賞していただけるといいなと思ってたのですが、「いきなり、ずっきゅんバッキュン」させてしまいましたか?それは私にとって超ほめ言葉なので、うきゃ!!っと嬉しいです。
目頭が熱くなるくらい皆様をドキドキさせたいとは思っていても、思い通りになるかは…う~ん、難しいですね。
なので、またやる気が湧いてきます!!
嬉しいコメント、ありがとうございます!
  • 2016-11-27│16:08 |
  • かばぷー URL│
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