ボン・ボン・ショコラ 2

第2話です。
何がなにやら分からない1話ですみませんでした。
パラレルかと思われたかもしれませんが、原作沿いです。
今回の蓮さんの告白で全体像が見えるかと思います。






---どうしてこんな事になってしまったんだろう?




ボン・ボン・ショコラ 2




バレンタインデーの贈り物はいつもゼリーだった。
ガラスのバラにワインゼリーが美しく透けていたのは初めてのバレンタインの事。
その直前、不意打ちで奪われた彼女の意識を自分に取り戻したくて、頬に口付けた。
次の年も、その翌年も、俺へのプレゼントはゼリーと決まっていて、彼女からチョコレートを貰った事がなかった。
けれど、4回目のその日、彼女はくれると言ったんだ…チョコレートを。

それなのに、ようやく一緒に住み始めて、彼女の甘さに溺れていた毎日が、ある日突然消えた。

急に降り出した雪。麻痺してしまった交通網。
空港に迎えに来るはずの君の姿はなく、社長に連れて行かれた場所は病院で、頭に包帯を巻いた君に血の気が引いた。

ロケ先でバスが横転するという大事故。
スタッフの中にも負傷者が続出し、その撮影は打ち切りとなった。
“京子”の負傷は秘密にされ、表舞台から姿を消した。いや、消さざるを得なかった。

彼女に残ったのは、ぽっかりと空いた空白

女優の“京子”も、“ダークムーン”も、“坊”はおろか、“ラブミー部”さえも残っていなかった。
その途切れた空白の中に、俺も含まれていただけのこと。

けれど…、それは俺にとって非常に受け入れがたい事実だった。
彼女に嵌めようとしていたリングは、まだ渡せずにいたから。
そのまま家に連れて帰りたかった。たとえ記憶がなくても、習慣は?心は?俺を覚えていると信じたかった。
けれど、彼女の記憶にある俺は、あの男の架空のライバルというだけの、今だ見知らぬ存在で、それ以上踏み込む事は社長から禁じられた。

彼女自身の生活を元に戻す。その最優先事項に、既に修復をしていたにもかかわらず、彼女の母親が関わる事すらもできなかった。

東京での頼れる記憶は“だるまや”と“あの男”のみ。だが、絶対にあいつとかかわる事はさせない。そして、あいつもソレだけは辛うじて分かっていた。だから、事務所を通じてだるまやに、彼女はお世話になる事になった。


やがて、回復した彼女はだるまやで働き始めた。
けれど、彼女が京子である事を知っているお客さんもいて、キョーコの混乱を避けるように、他の道を探した。

彼女が選んだのは、パティシエの道で、しかも、ショコラティエ。


『今年は、他のどなたにもチョコレートは差し上げません。』

そういって、恥ずかしそうにキスをくれた君。

彼女の戻らぬ冷蔵庫に入っていたのは、手作りされたオレンジのピールとリキュール。
きっと取り寄せたであろう苦いチョコレートが数日経ってから届けられた。

そこに一縷の望みをかけた。

最上キョーコと敦賀蓮の接点がないのであれば、作ればいい。

最悪の始まりの後、俺がキョーコに心惹かれたように、パティシエ見習いの最上キョーコと俳優、敦賀蓮の物語を新たに紡げばいい。

そう思って、ここまで来た。

焦りは禁物と社さんは言う。それは分かっている。分かっているつもりではいるけれど、彼女に真っ直ぐに向かう感情と、どうにもやるせない気持ちを押さえられない。
この先、どうやって彼女との接点を多く取るのか?
どうやって、彼女の気持ちを俺に向けるのか?

先輩、後輩を崩す事にさえ3年もかけてしまったのに、この先、客と店員を何年…。


無理だと心が訴える。
どうしても、今すぐに抱きしめたい…

キョーコへの思いがふつふつと湧いては、消化できずに募っていく。


蓮は大きく息を吸うと、両手を顔から外した。



キョーコの手作りの小箱のふたを閉め、サイドボードに向かい、透明なコレクションボックスにその小さな箱を整然と並べた。

今はまだ、箱の中に納まるだけしかない小さなつながり。
それでも、その並べていく箱のぶんだけキョーコが増えていく。
自分自身の募る思いも…


蓮は静かにコレクションボックスの扉を閉めた。





(3に続く)


少し暗い感じが続いていてすみません。
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