ボン・ボン・ショコラ 15

最終話になりました。
長い事お付き合いくださり、本当にありがとうございます。









「これを…敦賀さんに作ってきたんです。」

長い長い口付けのあと、キョーコが持ってきた紙袋から大事そうに取り出したショコラ。

「ワインのチョコと、オランジェットなんです。」




ボン・ボン・ショコラ 15




「やっぱり、オランジェットだったんだね。」
「やっぱり…って、どうして敦賀さんは、私がこれを作ってくると思ってらしたんですか?」

「君がくれるって言ったから。」

キョーコが準備していたオランジェットの材料たち。今はその材料は冷凍庫に入れてしまったけれど、キョーコが作ってくれるなら、きっとオランジェットだろうと思っていた。

“待っているのは、たった一つのチョコレート…”

そう、あの日のキョーコが作ろうと思っていたはずのオランジェット。
それは、消そうと思っていても消す事ができない執着。

もしもオランジェットをキョーコが自分にくれるなら、あの事故で失った日々のすべてを仕舞い込んで、ここから始めようと決めた。キョーコが消さなくていいといったあの日のキョーコも、やはりここに繋がるのであると思える、自分を好きでいてくれたという確信。
取り戻せなくてもいいと言いながら、一縷の望みをかけたキョーコの記憶の一筋の光。

「どうしてか分かりません…けど、ケーキショップで初めて作ろうと思ったのが、このショコラなんです。敦賀さんに召し上がって欲しくて、いっぱい、何度も作ったんです。間違ってなかったんですね。」

「ありがとう。…これをずっと待ってたんだ。食べさせてくれる?」

キョーコはコクリと頷く。

恥ずかしそうにオランジェットを優しくつまみ、ゆっくりと…口に入れてくれた。
オレンジの甘さと、チョコレートのほろ苦さが舌の上に広がり、オレンジの香りがふわっと甘く鼻腔を擽る。


「凄く…美味しい…」


待ち望んだ喜びに耐え切れなくて、蓮は瞼を閉じた。


「敦賀さん?大丈夫ですか?」

キョーコは心配そうに蓮を覗き込み、ゆっくり頬を両手で挟んで眉間に唇を当てた。


ちゅ…っ


その瞬間、強くセツカの面影を浮かべる。
初めてキョーコから送られた口づけも、額だった。

「キョーコ…」

きっと自分でははじめてだと思っているだろう口づけに、真っ赤になったキョーコがさらに続けた。

「キス、してもいいですか?」

その言葉に、蓮は苦笑いをした。

「チョコレートがなくなってから…ね。」
「え!?あ、すっ…すみません!ずうずうしいですよね、ぎゃ!恥ずかしい~~」
「恥ずかしがる事ないけど…それだけは、ごめんね。」

「でも…あの…駄目なのは、どうしてですか?」
「ん~理由は…言いたくない。だけど、口にチョコレートがあるうちは、絶対ダメ。ムードがなくなっちゃうから。」
「む~!ムードって!チョコ食べてキスって、可愛いじゃないですか!」
「いや、可愛くない。少なくとも俺は嫌だ。この話はもうおしまい。はい、なくなった。キスしよう。」
「なっ!そんな簡単にキスしませんよ。」
「君がしたいって言ったくせに。」
「…だって…」

急にしおらしくなる。

「敦賀さんが、私のショコラを美味しいって…。」

蓮はぶちぶちと拗ねるキョーコの頭に、ポンと手を置いた。

「言っただろう?キョーコの作るものは何でも美味しい。それが俺を思って作ってくれたものなら尚更。それと、キョーコのキスはもっと嬉しい。チョコと一緒にキスしたくないのは…別の理由。キョーコは知らなくていい。思い出さなくてもいい。いや、思い出して欲しくない事なんだ。ここまで言っても、まだキスしたい?」

キョーコはふるふると頭を振った。

「分かりました。それはやめます。じゃあ、アイスクリームも?」
「アイスクリームはOK」
「じゃあ、プリンは?」
「○ ちなみに、ゼリーも生クリームも○。」
「チョコだけ…」
「チョコだけはバツ」
「変な敦賀さん。」
「変じゃないよ。俺にとっては。」

子どもみたいにむくれる蓮を見て、キョーコは笑った。
見つめあった後、お互いに吸い寄せられるように長くて深いキスをしながら、蓮はキョーコを抱き上げ寝室に消えた。









息が上がるような口付けを何度も交わした。
何も思い出せないけれど、時々涙が出た。
そのたびに蓮は涙を掬い取って、“愛してる”と囁く

そのうち身に纏っていた衣服を取り払うと、キョーコの視線はいつかの時のように盛大にうろたえて、それを見てまた蓮は笑った。

「敦賀さん、そ、そそそ…それ、そそそ…そんな、ままま…まさか!?むっ…無理!!」
「うん、大丈夫。ちゃんと入るのは証明済みだから。」
「なっ!なッ…!?はっ、はっ、はっ…」
「うん、破廉恥だよね?でも大丈夫。破廉恥なキョーコは凄くかわいいから。」
「△#※■○&!?%$~~~~!!!」

赤くなったり青くなったり、目を見開いて涙目で抗議するキョーコは、とても懐かしい感じがする。
蓮はキョーコの手を取って、自分の胸板に当てた。

トクトク、トクトク…

「キョーコ、感じる?俺も凄く緊張してる。でも嬉しい。ごめん、凄く…嬉しいんだ。」

逞しくて滑らかな肌から伝わる鼓動に、蓮の体温と想いを感じる。

「凄く…速い…」
「うん、もうダメ。苦しい…」

キョーコの手を胸に当てたまま、ゆっくりとキョーコの肩に頭を降ろす。

「愛してる。キョーコが欲しい…。お願い…抱かせて?」


「(………はい…)」

嗚咽に紛れてキョーコの返事が聞こえる。

心から待ち望んだキョーコの温もり…
待ち望んだボン・ボン・ショコラ…
チョコレートの甘い匂いのする指先に唇を寄せ、蓮はキョーコを強く、強く抱きしめる。




---キョーコ…愛してる

もう一度、君にクオンの事を伝える日も近いだろう
あの日君に渡せなかった指輪を、今度こそ渡すことを誓うよ



必ず…君に










(ボン・ボン・ショコラ 終)





ハッピーエンドでございますーー!!ヽ(≧∀≦)ノ

15話という長い話にしてしまいましたが、ここまでお付き合いありがとうございました!!
はじめはもうちょっと少なめになるはずだったんです。
あ!キョコ誕、あ!蓮誕と、思いつくイベントも盛り込んでしまいましたので、どんどん長くなってしまいました。
しかも、記憶喪失の設定なのでいろいろと悩みながらも楽しく書き上げた作品です。
ちょこちょこ修正を加えながら今日の日を迎えることが出来、とても満足しています。(今回限定無しなの!褒めてー!!)

この後のおまけ話、番外編も書きたくなってしまったので、続きとしてUPすることになっています。
また、Poppy社長様のイベントにも乗っからせていただく事になりました。
また今後ともどうぞよろしくお願いします。


かばぷー

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コメント

チョコを食べたまま…
完結おめでとうございます。おまけ、番外編も楽しみにしてます。

蓮さんが、チョコを食べたままのチューが嫌な理由って松とのアレが原因ですよね(笑)
  • 2017-02-16│20:29 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: チョコを食べたまま…
> harunatsu7711 さま


ピンポーン!!(笑)大正解!

いやさ、かばぷー的にはあれは嫉妬が続くパターンで、蓮さんの中では吹っ切ったつもりでもなかなか昇華しないだろうと…。でも、あんまり嫉妬深いのもなあと思って、番外編にはその辺りの事もチラリ…ほらり…とね。
エンディング…もっと上手になりたいんだけどな~。
  • 2017-02-16│22:06 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
ああ、よかったあ。
もちろんハピエンだと思って読み進めていましたが、やっぱりすごくホッとしました。はあ〰よかったあ。蓮さん、再び恋を始めるために頑張ったかいがあって。一生懸命我慢して待ったかいもあって。キョーコちゃんもまた蓮さんに恋して愛を受け入れることができて…。

かばぷー様のすごいトコロ。お話の中にテーマの筋が通っているところ。ほんとボン・ボン・ショコラでしたね…。今度ゴディバのお店でオランジェットか、それが無ければ、ワインのショコラを食べようっと。

王道設定を天晴れに調理されて感服です!書き手様として、羨ましいかぎり(*^^*)
  • 2017-02-16│23:05 |
  • ぽてとたべたい&ぽてとあげたい URL│
  • [edit]
Re: ああ、よかったあ。
> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい さま

いつもありがとうございます。
どうしてもチョコレートネタで書きたくて、書いちゃいました。

ゴッ…ゴデ○バとは! オランジェットがあればいいんですけど、なかなか丸いタイプは無さそうです。
最近、輸入オレンジ風味チョコレートに嵌っています。
結構いろんなお味がありますね。
本当に皆様が沢山書かれているテーマに挑んでしまいました。かばぷーテイストで楽しんでいただけたら何よりです。
  • 2017-02-17│20:05 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
うふふ。
途中から読むのを我慢していた甲斐がありました。

一気にと言うか、続きが読めるのが嬉しくて、ついまとめ読みしちゃいます。

記憶はなくと、愛はきえない二人。

今回は記憶がある蓮さんがとても辛く不安だったと思いますが、無事再びキョコさんと愛を交わすことができてよかったです。
おまけや番外編、企画参加作。
まだ続きが読めて幸せです。

では、行ってきま〜す。

  • 2017-02-18│14:07 |
  • まじーん URL│
  • [edit]
Re: うふふ。
> まじーんさま

ありがとうございます~!
幸せだなんて、照れますよう。(えへへへ)

我慢に我慢を重ねた蓮さんの想いが実った、ボン・ボン・ショコラでした。

ご賞味くださり、ありがとうございました。
  • 2017-02-18│16:56 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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