思い出は苦くもあり甘くもあり【Kiss】

番外編③も引越し編ですよ。
「思い出…」三作は引越しの時のバカ話なの。







思い出は苦くもあり甘くもあり【Kiss】
~ボン・ボン・ショコラ番外編③~




「だるまやに、あまり荷物を置いてなかったのは、ここにこんなにたくさんあったからですね。」

どんどん荷物を解いて整理していくキョーコ
自分の荷物を興味津々で開いては閉じ、眺めては頭にクエスチョンマークを散らす。
厳重に封をしたある箱にたどり着いたとき、ぱあぁぁぁぁ~~っと顔を緩ませた。

「敦賀さんっ!!これっ!!この箱の中身は、誰からですか?まさか、自分で?」

蓮は…というと、その箱の中身を思い出した途端にまたまた苦虫を噛み潰した表情…

(ハレ…?こ…これは…もしかして、マズイ物?)

はあぁぁぁぁ~っと蓮は大きな溜息をついて頭を抱えた。

「キョーコ…ソレ…そんなに好きなの?」
「え…?好きですよ?ひ~らひら蝶々とスワロフスキーがキラキラキラキラ…」

頭にキラキラ光る蝶々をつけたキョーコの目はもはやメルヘンの国の住人で、何を言っても無駄らしい。

「実はその蝶はグレイトフルパーティーの中で飛んでたもので…」
「えっ!?パーティー?」

「そう。スワロフスキーは…不破が君に持ってきたものの残りなんだ。そっちは思い出したくも無いけれどね。」
「え…ショータローが何で…?」

(くっそ…やっぱりこれだけは黙って捨てて置けばよかった…)

後悔先に立たずである。

キョーコの残したものは名残惜しくて残しておいたのが間違いだったかもしれない。特にこれだけは…と思うのも無理はない。
なぜならそれは、例のバレンタインに不破が持ち込んだキョーコが好きなものの塊で出来た“慰謝料”の残骸だったからだ。

この箱を見つけたとき、どうしてキョーコはこの残骸を残したのだろうと、黒い感情が一瞬で蓮を支配した。特にこれは…思い出したくも無い。

キョーコはだんだん沼に沈み込んでいく蓮の姿を見て、焦った。

(これは…っ…もしかして地雷を踏んでしまったのですか!?)

「つ…敦賀さん、ごめんなさい。これ、捨てます。」

「………………」

「だから…ごめんなさ…」

ぶわわわぁっ…!!とキョーコの目に涙が浮かび上がった。

「!!!!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!不機嫌にさせてごめんなさい!こんな物取って置いてごめんなさい~~~~!!」

「!!!キョ…!!」

えぐえぐと涙を流して箱をゴミ袋に持っていく姿を見ると、焦るような、なんだかいたたまれない気持ちになった。


「キョーコ、違う!本当に嫌だったのは、ソレじゃなくてっ…」

「ほへ…?これじゃ…無いんですか?」

「う……それじゃ、無い…」

「じゃあ、何?」

うりゅうりゅと今にもこぼれそうに目に涙をためてこちらを見上げるキョーコにたじたじになりながら、蓮は口を開いた。


「それは…慰謝料…なんだ。不破の。」
「ショータローの?慰謝料?何で?」

「………………ファーストキスの…」
「…………ファースト…キス…?敦賀さんじゃ…」

「………………ないんだ…」









「!!!(…うん!?)」

ぐぬぬぬぬぬぅ~~~!!!

その瞬間、どこかで見たような青筋を立てて、キョーコが憤怒の表情をした。

「お~の~るるるえええ~~~!!!ショータロー!!!」

まさに脳内不破汚染状態と思われるその表情は…デジャブ?
いや、かつて見た形相に、蓮はまた固まった。

「許せん~~~!!!敦賀さんをこんなに不快にさせるなんてぇぇぇ~~~!」

(あれ…?乙女の唇…って怒らないの…かな?)

「ショータローのくせにぃぃぃぃ~~」

ファーストキスが奪われたことよりも、蓮を不快にさせたことに怒りを顕わにするキョーコを見て、ああ、時間が経ったんだということをまざまざと実感する。
蓮はキョーコをなだめるようにゆっくりと抱きしめた。

「敦賀さん?」

ゆっくりと蓮の唇がキョーコに重なる。

ちゅっ

リップ音を残して、蓮は呟いた。

「リセット完了」

ぶわっとキョーコが赤くなる。

「リセットって…」
「うん、バレンタインのときに言いたくなかったこと、白状するよ。実はこれだったんだ。でも、もういい。やっぱり君に話しておくべきだったね。君に二度目はないと言っておいたけど、それも守ってくれたし。もう、俺も吹っ切っていい頃だ。」
「二度目は…ない?」
「そう、凄い脅しだよね?俺自身も今更ながら呆れるけど、それで君はキスに関してはかなり神経質になってくれたらしくて、グァムでクオンとファーストキスをしたと報告してくれたんだ。それは実は俺とのキスだったんだけどね。」

そう言って、ちょっとだけ笑った。

「じゃあ、私、ちゃんと敦賀さん、じゃなくて久遠とファーストキスを経験したってことですか?あれ?違う?????」
「ううん、違わない。不破とのあれはキスとは言わない。あれはアリクイの餌やり。俺が君にしたのがファーストキス。」

そう言ってもう一度口付けると、キョーコはホッとしたように、でも少しだけ申し訳無さそうに、蓮を見上げた。

「…あり…がとうございます」
「うん?どういたしまして?」

「そか…、私のファーストキスは久遠…うふふふふ、そっか…ふふ。」

もう、テレテレと顔を綻ばせている。
捨てるチャンスを逃したのは失敗だが、キョーコが好きなものを見てニヤニヤし、ファーストキスが俺とでよかったと頬を染めるキョーコ…

ああ、もうどうしてくれようか?




---思い出は、苦くもあり甘くもあり…




(Kiss完)



二度目はばれてない?  …セーフ。
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ムフフ。まさに。

思い出は、苦くもあり甘くもありですね!!
でも、キョコさんが側にいての、思い出の開封作業には、寂しさや悲しみはなし!!

二人の過去が詰まった箱を開けるたびに、当時の記憶は戻らなくても過去の記録としてのそれを覚えていけますものね。

この先もまだ読めるのかしら?
続きも楽しみです!

Re: ムフフ。まさに。

> まじーんさま

コメントありがとうございます。
やった!褒めてもらっちゃった。
思い出は本当に苦くも甘くもあります。それこそチョコレートのようにね。
だけど、その思い出も全部ひっくるめてこれからを紡いで欲しいなと思っています。
番外編は④で一応おしまいです。
ありがとうございました!!
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