墨色のシンデレラ

10000拍手記念リクエスト
【第2弾】 Saileeさまよりのリクエストです。
 ①着物キョコさんと金髪蓮さん 
     → 濃厚抹茶味de姫☆はじめ(前編)(後編) 
 ②継母(尚)にいじめられるシンデレラ(蓮)と魔法使いか王子のキョコさん

①のほうは以前書いたものでいかがかなと思いまして紹介いたします。
今回は、②の方でリクエストを受け付けさせていただきました。

ではどうぞ







墨色のシンデレラ



むか~し昔、あるところにそれは美しい少年がおりました。

その少年の名は久遠

流れる金の髪に緑色の瞳と、とっても素直な心を持った、それは目鼻立ちの整った美しい少年でしたが、あるときその母親が流行り病でポックリ逝ってしまったのです。
大食いの旦那様は大慌てで後妻を探しましたが、大してろくな女はおらず、仕方がないので某旅館の一人息子を後添いにもらいました。

え?BLですかって?いえいえ、大丈夫です。この馬鹿息子、女装がたいそう上手で歌も上手く、女に化けていたのですから…旦那様もいい迷惑です。
けれど、大食いの旦那様はある日、生牡蠣にあたってこれまたいきなりポックリと逝ってしまったのです。

それから、一人残された久遠少年の苦悩の日々が始まりました・・・



「久遠、炊事はしたのか?けっ・・・何だこの味」
「久遠、洗濯はまだか?おい・・・どうしてこうぼろぼろになる?」
「久遠、さっさと掃除くらい済ませてしまえ。おまっ・・・どうしたらカーテンが破れるんだ!」

ショータロー奥様はおかんむりです。

「全く…お前はアイロンがけくらいしかできないのか。全くとんだ役立たずだ。そんなお前は、こうだ!!(ばしゃっ!)」

怒ったショータローは久遠の頭に墨をかけて髪を真っ黒に染めてしまいました。
しかしまあ、久遠に向かって役立たずとはよくぞ言ったものです。自分は全く家事能力がないくせにねぇ。

「あっはっはー!いい様だ。ずっとそうやって過ごすがいい!あーいい気分だ!おっと、脚が長くて灰皿をひっくり返してしまった!片付けとけよ?あーっはっはー」

「…………はぁ」

久遠は大きな溜息をついて灰皿を片付け、習慣となっている暖炉の掃除を始めました。
そう、まさに灰かぶりのシンデレラだったのです。

そんな生活を何年重ねたある日のこと、お城からお婿さん探しの御触れが出されました。

お城の瑠璃子姫が結婚相手を探していると言うのです。
その条件も出されました。

一、イケメン
一、とにかくイケメン
一、何をおいてもイケメン
一、そしてとりあえず高身長
一、出来たらヒズリ家の久遠君みたいなイケメンがいいわ♪


あれあれ、とにもかくにも顔…ですか。
そして、久遠の幼少期にでもあったことがあるのでしょうか?ご指名とは…瑠璃子姫も随分と強気に出たものです。まあ姫だからいいのか…

そして、お婿さん探しのための舞踏会を催す事になりました。

こんなときばかりは人妻となったくせに、ショータローはいそいそと男の姿に戻り、舞踏会に出かける準備をしていました。

「おい久遠、一応お前にも招待状が来ていたが、お前はいく必要がないからな。俺様が行っておいてやる。お前は家でアイロンでもかけていろ!」



「…………ちっ…(勝手に行けよ)」

久遠は大きな溜息をつきました。

確かに、もしも舞踏会で王女様の結婚相手に選ばれたらそれはもの凄い玉の輿です。しかし、久遠に招待状が来ているとは言っても、今の姿の久遠にはその舞踏会に出る事が叶わないようでした。

墨汁色の黒い髪、ボロボロのシャツ、ズボンは擦り切れて靴もボロボロです。そしてあまりの仕打ちに目つきは悪くなり、ガラも言葉使いも悪くなってしまって、まるでどこかの殺人鬼のようでした。

「さあ、鬼のいぬ間に心の洗濯と行くか…」

ショータローの外出の間しか酒を呑むことが出来ません。
ガシガシとタバコをふかし、ストレートで酒を煽りました。

そんな時でした。

“シャララララララ~~~ン!!”

「はぁ~い!いつも頑張る久遠君に舞踏会に行ける準備をしに参りました~~~!!あら?今日は煽り酒ですか?まあ!身体に悪いわ!まずごはんを食べましょう!!」

なぜか突然、冷蔵庫の中から可愛い妖精の衣装を着た魔法使いが現れたのです。

「…いらん」
「駄目です!!ごはんは基本です!さあ、ごはんを食べましょう!そりゃっ!(シャララララ~ン)出来上がり~!」

魔法使いはあっという間においしそうな食事を作って見せました。

「次はそうですね…まあ、何てみすぼらしい服なんでしょう。えいっ!!(シャララララ~ン)はい!できた!きゃあっ!!格好いい!!」

素敵なスーツを身に纏わせました。

「ん~~~、でも、髪も元の姿がいいですね。ていやっ!!(シャラララララ~~ン)うわあ~!王子様みたい!」

魔法使いは金髪に戻った久遠をキラキラと見つめます。

「タバコなんかもポポイのポーイ!」

魔法使いはみすぼらしい久遠から、目も覚めるような美青年の姿に変わっていく久遠を満足げに見つめます。

「さ、久遠…今こそあなたの美しさを見せ付けるときですよ。お城に行って是非、舞踏会に出席しましょう!あなたの美しさは神をも虜にするでしょう!さあ!いざ!」

魔法使いはどうも『舞踏会』と言うキーワードに異様に興奮しているようです。
ほいほいとかぼちゃを馬車に変え、ネズミを従者に変えました。
さあ!舞踏会へいざ行かん!と腰を上げたその時…久遠君が呟いたのです。

「舞踏会には行かない。お城に行く気は始めからないよ。」

「はぁ!?ななな…何を言っているのです?舞踏会ですよ?お城ですよ?玉の輿ですよ?」
「うん、玉の輿には興味がないんだ。ご馳走にも興味はないし?」
「…へ?興味が…ないの?」
「そう、ないの。因みに格好いいスーツにも煌びやかな王子衣装にも興味ない。」
「…う…」
「贅沢にも興味はないし、それにもう願いは叶ったから、お城は行かなくていいんだ」
「願いが叶った…の?」
「そう、叶ったみたい」
「え…なんで?何で叶っちゃったの?」

久遠はするりと魔法使いの腰に腕を回しました。

「君、ずっと前から家に住んでる魔法使いだよね?小さい頃は暖炉から出てきて俺と一緒に遊んでくれたでしょ。なのに最近姿を見せないから会いたくて…だから俺は暖炉掃除が日課になったんだ。」

「え?覚えてて…くれたの?」
「当たり前だろう?君は俺の初恋だったんだから」
「はっ…初恋?」
「そうだよ。だから君に会えたら君を離さないようにしようと思ってたんだ。だから願いが叶ってうれしいよ。さ、俺の妻になりなさい。」
「つ…妻にぃ~?」
「全く、何年間も姿を見せないなんてどうかしてるよ。ほら、逃げるよ?」
「に…逃げるってどこへ?」
「う~~ん、君がいるならどこでもいいけど、とりあえず二人っきりになれるところ。あ、お金の事なら心配しないで、一応これでも貴族の相続人だから。さ、行くよ」

そういうと久遠君は魔法使いを連れてすたこらさっさと屋敷を後にしたのでした。

え?何?お城?
ああ、忘れてました。

お城では瑠璃子姫がイケメン久遠君を今か今かと待ちわびていましたが、ショータロー奥様の他は結局これといったイケメンにめぐり合う事ができず、とりあえず未亡人?の風情をしたショータローを婿に迎えてこれまた浮気の虫に悩まされるのでした。



めでたし、めでたし?




(FIN)



なんて?シリアスにはなりませんでしたー(´・_・`)
あ、実は始めは白雪姫だっけ?シンデレラだっけ?と思ってもう一つねりねリしたものもあるので、また折をみてそちらもUPしまーす。
どちらもバカ話に違いはないのですが…

Saileeさま、リクエストありがとうございました!




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コメント

わーすごい!!!

無茶振りだったのにきれいにまとまってました。
すごいです!!!
瑠璃子姫いい働きですね。
見るのが遅くなってしまってごめんなさい。
ちょっと旅に出てました。
しかし、妖精キョーコサンはわからないうちにあっというまにおいしく食べられてしまいそうですね…
素敵な話をありがとうございます。
白雪姫も楽しみにしています。

Re: わーすごい!!!

> Saileeさま

コメントありがとうございます。
綺麗に纏まっていましたか?物語の設定無視も甚だしい作品ですね。ハハハ…お恥ずかしい。
もともとお家に住み着いていたキョコさんは、ショータロー奥様がいると怖くて出て来られなかったということで!でも、カイン風久遠少年は平気なキョコさんでした。
白雪ちゃんも何だこれ?的なバカ話になってます♪

ある意味たくましいシンデレラ

可愛い可愛い魔法使いと一緒なら楽しく、「幸せに暮らしましたとさ」となりそうですね。

魔法ではなく、久遠くんに貴族としての所持金でお姫様みたいにしてもらって、ニコニコなキョコさんが思い浮かびました。(∩*´ω`*∩)

Re: ある意味たくましいシンデレラ

> まじーんさま

そのとおりです!私もそれが頭に思い浮かんでしまいました。
住み込みの魔法使いにドレスを着せて、キョコさんニコニコ…そしてそのドレスに手を…え?何をしようとしているのだね?シンデレラよ…的な!!!
我輩、ちょっと頭が壊れそうです。
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