神の贄 三

社さんの設定は某マンガを少々参考に…(えへ?)(*ノェノ)
アレ?と思った人、ごめんなさい。

※うっかり通常公開してしまいました。ご覧になった方すみません。









「キョーコちゃん、アレの正体が分かったよ。ヴァンパイア。」



神の贄 三



調べてみましょうと言ってから僅かに二日。流石に白魔女の騎士は働きが違う。

「ヴァンパイア…?それ…吸血鬼って事ですか?」
「ええ、しばらく張っていたら、向こうから動いたよ…君を探しているようだね。」
「私を?…なんで?」
「おや?分かってないなんて驚きだ。君のその匂い…人でないものを誑かし、狂わせるんだ。ご存知ではないの?」
「いつもそう言われるし、実際襲われたこともあるけど実害は無かったですから。」

人でないものを狂わせる…

神の贄として生まれたキョーコの芳しいほどの匂いは、神をも虜にするための匂い…それはさながら甘い蜜のようであろう。
人でないものを誘き寄せ、誑かし、そして狂わせてゆく。

だが、神に捧げられるためだけに生まれたキョーコは、他の誰のものにもならない。

神のための身体は、いまだに神の加護に守られ、人外のモノがそれを欲しさに手を出せば、塵のように消えていく。

白魔女の騎士であり、キョーコに邪な感情を持たない社はその対象外であった。

「私の白魔女さまを眠りに追いやっている一族…でしょうか?憎いですが、風貌は非常に美しい一族です。」

そう、彼が忠誠を誓った白魔女ジュリエナは、ヴァンパイアと禁断の恋に落ちた。そのせいで白魔女としては封印されて眠りの途にある。社は…再び禁を解かれるであろうジュリエナを待ち続け、人ではない長い時間を過ごしているのだった。

「キョーコちゃん、どうしようか?明らかに君を狙っているようだね。」
「うーん…気のせいじゃないのかしら?ヴァンパイアさんたちって最近とんとご無沙汰ですもの。」
「また能天気な…そんな事言っていると痛い目に会うんだよ?誘き寄せて…先に始末しちゃおうか?」

キョーコは目を真ん丸くした。

「誘き寄せて…って、社さん!そんな力は私にはありませんってばー!!だって神にも見捨てられた地味で貧相な私ですから!」

そんなキョーコをみて、社は大きな溜息をついた。

「やれやれ…この能天気な自己肯定感の低ささえなければ、その容姿と芳しい匂い、知性のすべてで世界を虜にできたでしょうに…欲の無いこと…」


しかし、社の心配は杞憂では終わらなかった。
久遠の一族はその美しい容姿とは裏腹に、獰猛なハンターであったのだ。それはある意味、由緒正しいヴァンパイアの姿である。

そして、その強固なネットワークを使って探し当てた。

この“占いの館”を…





はじめは、何人かのヴァンパイアがやって来た。おそらく久遠の動向とともに、匂いの存在に気がついたのだろう。

社がわざと薄くした結界の隙間を縫って発せられるキョーコの匂いにつられ、キョーコの血を求めるもの達。…けれど、簡単にキョーコには辿りつかせはしない。
迷路のような結界に翻弄され、先に進むことも、戻る事さえもできない。白魔女の結界の中では邪悪なものはとことんそのエネルギーを消耗していくのだ。
そして、ようやく辿り着いたキョーコに牙をむいた途端、最後はキョーコに触れるか触れないかで灰と化す。

そんなキョーコの近辺の様子に、久遠は焦り始めていた。

(人だと思っていたのに…まさか、あの時の贄が今も生きていると言うのか?)

あれは間違いなく人だった。
十歳ほどにも満たない少女。
あどけなさが残る中にも凛とした巫女の贄…

まさか、それが今まで生きているとは思えない…

匂いを嗅ぐだけで幸せに包まれた子ども時代と違い、今はその匂いに猛烈に欲情する。

普段の久遠はそれほどまでの空腹を感じたことは無かった。
由緒正しい一族の中にあって、必要以外には人を吸血したりせずに済むコツも覚えた。そうでなければこの近代社会において生き延びる術はない。

だが、彼女の匂いをかいだ途端に音を立てて崩壊していった理性……首を噛み、流れ出る温かい命にむしゃぶりつきたい衝動が抑えられない。
そして、当然のように彼女を暴き、その身体の隅々まで舌を這わせ、奥底に秘めた泉に己を埋めたいと、そうしている自分が想像できるほどに飢えていた。



久遠は目を閉じ、故郷の土を握り締めた。
今は…一緒に旅をしていた父はいない。

美しい白い魔女に魂を吸い取られたように恋に落ち、命を賭して一族を抜けた。
父が抜けたことで久遠が一族を統べる長となり、こうしてここにいる。

憎しみと怠惰と享楽と…そんな中に身を置き続ける苦悩。
唯一の安らぎともいえる故郷の土を握り締め、だんだんと数を減らしていく仲間の気配を憂えた。



(四に続く)
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コメント

ジュリとクーも出演
こんばんは。更新楽しみにしすぎて、毎日訪問しています。

今回は、蓮、キョーコ、社の主要人物の他、ジュリとクーの描写も出て来て、嬉しくなりました。ますますこれからが楽しみです!

キョーコにふれる寸前で灰になったヴァンパイアに、村雨とかいたらちょっと笑えますね。
  • 2017-03-09│22:29 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: ジュリとクーも出演
> harunatsu7711 さま

う~ん・・・とりあえず今回は名もない誰かです。


  • 2017-03-10│22:07 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
おお、関係が繋がりましたね!
白魔女に社さんに、クーに蓮、そしてキョーコ。

遠い昔に出会い、別れた人たちが、今度はある意味縁のある存在と出会ったり再会したり?

神の鉄壁の守りと社さんの力があれば、キョコさんは今の所安泰なようですが、蓮さんは仲間を減らしちゃってるし、立場的にも大変ですね〜。

でも手下のヴァンパイアは探る予定が、贄に魅了され襲いかかってますから、蓮さんの望みを叶えるためには、今はキョコさんが無事な方が良いのかもしれませんね。
( ̄∀ ̄*)
  • 2017-03-11│21:18 |
  • まじ〜ん URL
  • [edit]
Re: おお、関係が繋がりましたね!
> まじーんさま

きっと予想外の展開に…というか、裏展開でぶっ飛んじゃってます。
神の贄のお話なのに、なぜか蓮さんメインになってきてしまいました。
う===神の贄、神の贄・・・
  • 2017-03-12│12:20 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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