濃霧

みなさんこんばんは~♪

昨日、職場付近には濃い霧が発生していました。運転中の霧の中、久々に…ストン…と降りてきたもの。
あまりにいきなり来て、滅茶苦茶嬉しかった。
(↑本当に久しぶりすぎて、妄想涸れてなくてよかった~とホッとしたの)

ただ、勢いに任せて書いたので自信はありませんが、時期が時期だけに投稿しちゃいます。






濃霧





「あ………」

仕事終わりの夜、バス停に向かうべく事務所のドアを開いた時、いつもと違う周囲の空気に気がついた。

「霧雨?んっ…と、霧かな?」

あたりには濃い霧が立ち込め、周囲のビルの輪郭さえおぼろげで、街頭の周りはぼんぼりのように丸く光って、薄い暗闇の中にいくつも浮かんでいるように見える。

温かいような…でも若干の肌寒さを感じながら、その一歩を踏み出した時だった。
パアッっと、車のヘッドライトが柔らかく光った。

「最上さん?」

車の輪郭さえ分からないほどなのに、その光の中からはっきりと聞こえる心地いい声…
この声の主を間違えたりしない。

「もしかして…こんな夜に一人で帰るつもりだった?」

そう、偉大なる先輩俳優、敦賀蓮…

「敦賀さん、事務所に用事だったんですか?」
「ん?ああ…さっき、社さんを送ってきたところ。こんな霧の晩は危ないから送るよ」

そう、この偉大なる先輩俳優は、私のような者にでもいつも優しい。
この優しさに甘えたい…甘えてしまおうか…?
…でも…

「あのっ…申し訳ないので、大丈夫です!」
「う~~~ん…素直に乗ってくれた方が、俺としては嬉しいんだけどな。」

ほら、また勘違いしそうな事をのたまう。

「それとも…担いで無理やり乗せようか?」

……前言撤回。

いじめっ子が発動してしまえば、素直に従うしかない。

「では…お言葉に甘えて遠慮なく…」
「どうぞ、始めから素直に乗ればいいのに」

ご丁寧に開かれた助手席のドア。
エスコートされてる気分になるから、本当にやめて欲しい。

後部座席に乗り込んでシートベルトを締めると、ドアを閉めた瞬間に、敦賀さんから湿気混じりのいい匂いがした。

車は静かに動き始めたけれど、濃い霧のせいで視界が悪い。
前の車のテールランプでさえぼんやりと霞んで見えるほどだなんて…
……でも…でも、空中にぼうっと浮かんでは消える大小の真ん丸い光の群れが、なんて幻想的なんだろう…

「………凄く綺麗…」

思わずそう呟いた。

「うん…。こういう日は滅多にないから、最上さん…ちょっとだけ付き合ってもらえる?」
「ど…どこへ?」

そう聞き返したけれど、無言のままで車はウィンカーを点滅させた。




更に濃くなる霧
浮かんでは消える丸い光…

「着いたよ」

開いたドアの外に潮の香りが漂う
あたり一面濃い霧に包まれた波止場の光は本当に幻想的で、晴れた日の夜景とはまた違った趣がある。
けれど、霧の中に見える幻想的な朧光はあまりに美しすぎて、ともすれば恐怖さえ覚えてしまう

「目的地はこの先にあるんだ、少し歩こう」

先を行く敦賀さんの輪郭も、ほんのちょっとだけでも離れるとぼやけてしまいそうで、慌てて背中を追った。

「敦賀さん!待ってください、暗くて怖いです!」

ぴたっと止まった背中
振り向いた優しい横顔

ふわりと差し出された右手…

「お嬢さん、お手をどうぞ」

躊躇うことなくその手に自分の手を載せると、きゅっと握り返してくれた。

もう怖くない。
敦賀さんが一緒に歩いてくれるから。

小さな水滴が体中に纏わりつくように、敦賀さんの手の温もりが私の意識を絡め取る…

「見てご覧」

敦賀さんの背中しか見えてなかった私の目に突然飛び込んだ花びら
さっきまで輪郭も何も見えなかったのに、霧の中にいきなり現れた大きな桜の木
晴れた晩ならもっと華々しいのだろうけれど…

………けれど、今夜は霧

はっきりとは見えないぼやけた世界に突然現れた桜
霧の中に見える桜はこの世のものとは思えないほどに儚げで、霧のせいでしっとりと露を帯びた花びらが、静謐とした美しさを湛えている。
その姿は本当に…どうしてこんなに心に押し迫るんだろう。

「晴れた日の夜景や夜桜もいいけど、こんな日でもないと君とお花見できないから」
「確かに…そうですね。敦賀さんが現れたら、大騒ぎになっちゃいます」
「うん…どう?気にいってくれた?」
「はい!勿論です!凄く幻想的な映画の一場面のようです」
「映画の一場面…か」

そういうと、ふわっと温かいぬくもりに包まれた。

「!!!????」
「うん、いいね、映画の一場面。拝借しよう」


敦賀さんの温もり…
湿った私の身体を包み込むその温もりは、仮初のものだとしても十分すぎるほど心臓を逸らせる。



映画の一場面のようにヒロインになった気分に浸る。
こんな秘密の出来事は今日だけの特別……

すべてを霧の中に隠してしまおう




(おわり)





なんて…蓮キョのデートシーンを書くと、なぜか進展も何もありゃしない、些細な喜びを噛み締める両片思いな二人になってしまうのであります。コレで付き合ってないとかのお話は他にもあることに気が付いてしまいました。幸せ10個分も、Osmanthusも同じ系統なんだわね。もしかして、流れ星も同じだね。発想がワンパターンなのだよ(だはは!(*ノ∪`*))
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コメント

おはようございます☔
桜が満開になって視界が全体にピンク色になりましたね🌸
若返って蓮さんのようなイケメンと花見でもしたいわぁ…(笑)

濃霧…夜の帰宅で真っ暗の中車走らせるのすごい怖いです。今住んでるのが田舎なので街頭も少ないしライトは遠くまで行かないし…でも濃霧の中の桜は幻想的で少し非現実的なんだろうなぁ…
素敵なお話ありがとうございました(*^^*)🎶
手を繋ぐ…肩を抱くよりもきゅんってきます💖
Re: タイトルなし
> じゅんこさま

濃霧の中の運転は本当に恐ろしいです。そんな緊張した運転中、今回は視界に入ってきた丸い光と桜が降りてきて、書いちゃいました。
夜霧と桜…本当にぼうっと大きな桜の木が白く淡く浮かんで見えたのには吃驚しました。いつも見てるはずなのに雰囲気がガラッと変わって不思議な感覚でしたね。
コメントありがとうございました。
  • 2017-04-09│08:01 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
霧の夜のデート
ロマンチックで良いですね〜。

帰りはより安全運転で、ゆっくり二人の時間を過ごせそうです。

が。リアルな霧は幻想的だけど、視界が心配ですね。

かばぷーさんがご無事でなりによりでした。
  • 2017-04-09│19:09 |
  • まじーん URL│
  • [edit]
Re: 霧の夜のデート
> まじーん様

はい!無事で何よりでした。
濃霧は職場付近だけで、自宅に向かうほど薄れたのでラッキーでした。

コメ返が凄く遅くなってしまって、すみません。
滅茶苦茶忙しかったのです…(と言うより眠くてパソコンを開けませんでした)
今週は修学旅行もあるので、またちょっとご無沙汰になりそうです。
  • 2017-04-14│20:54 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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