ただひたすらに愛でる 未来

2017.4.26修正






「おはよう、キョーコちゃん」

麗しいお顔

麗しい美声


すべて敦賀さんの持ち物なのに、目の前の無邪気な瞳はコーンのもの
カーテンの隙間から差し込んだ光に反射して輝く金の髪がサラサラで、つい手を伸ばしたくなる。

「おは…よ…」

恥ずかしさのあまり、もぞもぞとブランケットを持ち上げようとすれば、おでこに唇が寄せられる。

「凄く…素敵だった」
「……黙りなさいよ。このエロガキ…」
「ごめんね?体は十分大人だったみたい」

「………エロ紳士…」

クスクスとコーンは笑う。
そんな6日目の朝だった。




ただひたすらに愛でる 未来





「アルマンディの撮影?今日から?」
「そう、言うの忘れてた。」

今日の午後から3日間、アルマンディの海外撮影に出かけると言う。そういえばあるとは聞いていたけれど、それがいつからなんて確認してなかった。

「今まで蓮は一人で海外に行ってたらしいね。現地で社と落ち合う事が多かったみたいだけど、今回は一緒に行くんだ。」
「社さん、でしょ」
「あ、ごめん。それで、もしよかったらキョーコちゃんも行くかなと思って。」
「仕事もあるし、私は行かないわよ。なんで?」
「え………っ…仕事、あるの?そうか、じゃあ無理は言えないけど…いや…その俺のお世話と称して、一緒に行けるのかとちょっと期待して…」

しどろもどろになって照れるコーンは今まで見た事がなくてなんだか可愛い。

「その…折角Steadyな関係になったんだから、少しでも一緒に居られたらいいと…」

ああ、そうか…コーンってば、可愛い事を言ってくれてるんだ。
14歳のコーンからしたら私は年上の彼女。もしかしたら今までにも年上の彼女たちからそんなおねだりをされたことがあるのかもしれない。海外ではトップスターともなれば恋人を伴う事も少なくないと聞くから。でも…

「コーン?貴方の今の役柄は?」
「敦賀…蓮…です」

「よろしい、人物設定を言いなさい」
「LME所属の日本人俳優で、アールマンディの専属モデル、抱かれたい男No.1に3年連続選ばれた温厚紳士な人物で、仕事に対してストイックな面があります」

「そうですね、そんな超絶人気俳優兼モデルの貴方が海外に私のようなタレント風情を連れて歩いたらどうなるか分かってますか?」
「でも!キョーコちゃんもれっきとした女優だし、それに海外だし…」
「いいえ!貴方は自分の影響力を知らな過ぎなんです!」
「そんなこと、俺には関係ないのに…」

しゅーんとなってしまったコーンを思わず抱きしめた。

「コーン?ちゃんと敦賀さんとしてお仕事してきて?私、ちゃんと待ってるから」
「本当?」
「本当です」

「じゃあ…俺の事、愛してるって言って?」
「はうっ…!?」
「だって…キョーコちゃんはそんなに綺麗で可愛くて、柔らかくて、いい匂いがして…だから一人にしておくのが心配なんだ!でも、俺…まだ好きって言ってもらってないから…」
「ふむぅ……(だっ…だから、その顔でそんな事言わないで~!)」


「……………ダメ?」


くそう…これってやっぱりコーンの元々持ってる技だったんだ!!
首をかしげてそんな目で見て!くぅ~~アサシン!!

カインの時もその他諸々も、萌えキュン過ぎていつもこれにやられる。


「………好き……に決まってるでしょ!」


それを聞いた途端にパアーッと明るい笑顔になったかと思うと、コーンはひょいっと私を抱き上げた。

「社が迎えに来るまでに、もう一回しよう!」
「バッ…バカ!社さんでしょ!このエロガキ!!エロ大魔王~~~!!!」




*  

*   






「社長!敦賀さんは!?」
「ああ、何とも言えん。今、社君が病院に付き添っているんだが…」
「どうして…」
「ん?どうしてそんなに早く帰ろうとしたかって?そりゃあ、会いたかったんだろうさ。好きな娘に…」

コーンがアルマンディの撮影に出かけたこの3日間、毎日メールと動画が来た。

今何を食べているとか、撮影はどう進んでいるとか…
たった1便、それだけでも早く帰ろうとコーンは撮影を巻いた。
車の渋滞で混雑する空港前の雑踏を抜けようとして、路地から出てきたバイクと接触し、石畳にしたたか頭を打ち付けたらしい。

それでもその場では何ともなかったように起き上がり、飛行機に無事に乗ったというから、敦賀さんらしいといえばらしい。
問題はその後…飛行機内で激しい頭痛を訴え、着陸後に病院へ直行したというのだ。

「大丈夫…なんでしょうか?」
「心配か?」
「はい…」
「今回も…殆ど外傷は見られない。頭も打っているかどうか分からないほどだと言っていた。ただ、医者の言っていた一時的な記憶障害がどうなっているかだな…」

社長室で不安と緊張に押しつぶされそうになり、何時間かの後、待ち人の来訪を執事が告げた時、私は幸せな瞬間の終わりを知った。

「社長、このたびはお騒がせして申し訳ありませんでした。」

深々とお辞儀をするコーンは既にコーンではなく敦賀さんで…

「最上さんにも、凄く迷惑をかけたみたいだね、ごめんね?」

“最上さん”と呼ぶ声は大好きな敦賀さんの筈なのに、どうしても心から喜べない自分がいて…

「明日から、キャンセルしていた仕事を再開しようと思います。」

それはもう、最上キョーコのお世話を必要としないということ。

「そうか…蓮、無理はするな」
「はい、今日はこれで失礼します」

深々と頭を下げた敦賀さんの姿を見て記憶が戻った事を喜ばなくてはいけないのに、なんだか涙が滲んできそうになった。
だって、私が好きなのは敦賀さんだと思うのに、私を好きだと…愛していると言ってくれたのは敦賀さんでなくてコーンで、やはりコーンにも恋していたのは間違いないから。


「じゃ、最上さん。行こうか?」





………………はい?

「何驚いてるの?さあ、一緒に帰ろう」
「かかかか…帰るって、どこに……」
「いやだな、俺の家にだよ」
「なななな…いえ、お役目が終わったのに…どどど…どうして…」

慌てふためく私を見て、社さんがにっこりと笑って付け加える。

「なんだかね、医者が言うには普通は混乱している間の記憶はなくなるとか覚えていないのが一般的らしいんだけど、蓮はこの数日の事をしっかり記憶しているらしくてね…」

「はへ?」

社長もにんまりと笑っている。
そそそ…それって、もしかして…あんな事やこんな事も覚えているってことですか?

「そう、覚えてるんだ。しっかりとね?」

ちょちょちょ…そんなにんまりと仰るなんて!

「…まあ、この数日間を覚えてなくても、いずれ結果は同じにしようと思っていたけれどね。」

いや…だから、どうしてそんな結論に!?

「では社長、最上さんを連れて帰ります。」
「ああ、さっさと連れて行け」

「蓮、俺はまだ社長に報告する事が山ほどあるから、気をつけて帰れよ?」
「そうか、社君の報告があるか、それは楽しみだな」

この状況で何を報告されるのか恐怖に慄き、既に半泣き状態で身動きが取れなくなっていた私を担ぎ上げて、敦賀さんはにこやかに耳元に囁いた。

「久遠に告げたみたいに、俺にも言って欲しい言葉があるんだ。だから…家に着いたらお願いね?」

何を…何をお願いされるかなんて、そんなのわかりきったことのように感じる。

「それと、もう遠慮なく呼ばせてもらうから、覚悟は出来てる?」

うっ…心臓に悪いことが起きるんですね。



「思い切り愛してあげるよ…キョーコ」






(おしまい)



うは♡ ときめいちゃった♪

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コメント

こんばんは~✨
現在編ですこーし蓮本体じゃないから複雑だなぁ…と思ったんですけど、思い出したらちゃっかり前の記憶もあるとか流石です☆蓮さんも本能で忘れたくなかったんですね(笑)
良かった良かった(^^)
番外編でゆーっくり夜編もねっとりお願いしますね(^_-)
楽しい記憶喪失ありがとうございました(^3^)/

Re: タイトルなし

> じゅんこさま

コメントありがとうございます。
ははははは!流石常連さんにはばれておりますね。
ありますよー!! 夜バージョン(←タイトルまで当てられちゃった)
既に予約投稿済みでありまする。
だから、おしまいといいながら本当は全4話なんです。
でも、お子様はここまでで…あとは大人の時間なんですよ。
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