[Edit]

憧れ~気になる彼女~

何故かふっと降りてきた第三者目線
しかも社さんでも奏江でもなく名もない誰かの目線だなんて、でも書いていて楽しかったのでUPして見ます。

好き嫌いがあるやも知れませんから、ぬるい目でご覧下さいませ。








憧れ~気になる彼女~




私の通う高等学校は、桜並木が学校の近くにあってとても有名な学校である。けれど、有名なのは桜並木のせいじゃない。

我が高には“芸能クラス”と呼ばれる芸能活動をしている煌びやかな人種が在籍するクラスが存在し、実際にその煌びやかな人種が同じ学校内にいるのだ。
そういえば、テレビで見かけた事がある顔もいるような気がするし、たまに正門横付けで黒いフィルムのはってあるバンが停まっていたりもする。

廊下ですれ違う芸能クラスの人たちは、いつも不健康自慢をしている病院の待合室みたいに、聞きもしないのに自分のスケジュールを自慢げに話している。
仕事をしながら学校に通うというのは、とてつもなく根気がいるようなことのように感じるのだが、彼らは学業と仕事の両立はどうなっているのだろう?
通常クラスに在籍している私には理解できない世界だ。

それに、授業中の場合は芸能クラスとは基本的に校舎棟が違うせいか、同じ学校内にいるのだと意識する事も少ない。
けれどたまに一緒になる選択授業や休憩時間に意外と他のクラスメイトは上手に接点を持ったり、恩恵にあずかったりしているらしい。

芸能界にはあまり興味も湧かず、いたって普通の一般家庭に生まれて、いたって普通の学業成績の私は、芸能界なんて全く縁もゆかりもない世界だと思っていた。
全く芸能人と接点があることなんて期待もしていなかったけれど、たまたまここの高等学校に入学を決めた。

一番の理由は家が近いから。
歩いて5分の立地だもの。通学電車に乗らないのは大きな魅力だった。

二番目の理由は、桜。
小さな頃から慣れ親しんだ桜の並木
登下校しながらこの桜を見る事ができる幸せを噛み締めたかった。
幸いな事に3年間、無事に桜を満喫したその春、私は彼女に出会った。
嬉しそうに桜を見上げていた彼女は、一瞬、桜の精かと思って目が離せなかった。

偶然一緒になった倫社の授業で再び桜の彼女を見たとき、同じ3年生なのだと初めて知り、単純に誰だろうと思った。

けれど、出席を取る時に聞いた名前は、見た事がある名前だと思った。

“最上キョーコ”

「はい」と返事をする声に、ああこの人がと思って彼女を見た瞬間、不思議な気持ちになった。

うちの高校では定期考査で50位以内の生徒の名前が掲示される。
その中でいつも10位前後にあるのが彼女の名前だったから、見た事があるのだ。
驚くべきは、それが芸能クラスに在籍している生徒であり、通常クラスの誰も彼女がその最上キョーコ本人だと知らなかった事。
私の名前はそこにあったりなかったりするのに、仕事をしながらでも常にそこに名前があるのはかなり努力を要する事なのだと改めて思う。
聞くところによると、彼女は1年の頃、遅れて芸能クラスに入学してきたのだという。

けれど、同じ授業を受ける通常クラスの誰もが、彼女が芸能人であることを知らなかったし、どんな活動をしているのか、誰も知らなかった。

髪の色は薄ら茶色を帯びていたけれど、そんな子はほかのクラスにもいたし、時折授業を休む事は確かにあったけれど、それ以外はいつも真面目に受けていた。何より彼女からはあの煌びやかな雰囲気も、鼻が曲がるような毒々しい香水の匂いも、うっとおしいほどの自己アピールも感じた事はなかったから。

……一見、どこにでもいる普通の高校生

だから、誰も彼女に関心を持たない。
だから、誰も彼女に話しかけたりしない。
まるで空気を纏うように教室にいる彼女。

周りの人間は事務的にプリントを配り、そこにいることを許容しているだけ。

けれど、ふとした瞬間に見せる彼女はやはり普通の女子高生とは一線を画しているように思った。
賢さも私とは少し違っていて、時折呟く言葉も少し違っていて、何より周囲に埋没しているはずの彼女の周りの空気がなんとなくだけれど、微妙に違った。

たまたま彼女の隣に座った私は、さり気なく薫る彼女の匂いにも引き寄せられた。
彼女からは、控えめで優しい香りがした。

ノートを取る時に伏せられる長い睫毛。
明らかにノーメイクだけれど、艶めいている肌。
耳に髪をかける仕草も、時折ふっと溜め息をつく仕草も、綺麗だと思った。

楽しそうに問題を解く姿も、時折鬼の形相を浮かべて問題を解く姿も、どこか普通だけれど普通じゃなくて、やっぱり…芸能人には見えなくても綺麗だと思った。


だから…一度だけ彼女のあとをつけた事があったのだ。
何故そうしたのか、今になってもわからない。
授業終わりに急いで教室を行く彼女が落としたケータイを拾い上げた時、「最上さん、落ちたよ」って渡したら、慌てたように「あっ…!ありがとうございます。」と丁寧に腰を折った彼女は、とても礼儀正しかった。私のほうがきっと一歳年下なのに、そんな事は関係無さそうだった。
その照れくさそうな笑顔と、腰を折ったときにふわりと漂った香りがやけに印象的だったからかもしれない。

手早く荷物をまとめた彼女が向かったのは裏門で、その少し離れた場所には、高そうな外国車が停まっていた。
ペコリと一礼して乗り込んだ彼女と、運転席に座るシルエット…
勿論、助手席にも誰かが座っていたけれど、きっとその風景を私以外の誰かが見ていたなら、すぐにスマホのシャッターを切るに違いなかった。


私は女でありながら、彼女に恋をしたのかもしれない。

ううん、きっと恋をしたんだと思う。

それからも彼女が隣に座る事が嬉しかったし、彼女が嬉しそうに授業を受けるのを見るのが好きだった。
芸能人としての彼女に憧れたのではなく、桜の精みたいな隣の席の綺麗な子に憧れた。
一度しか声をかけなかったけれど、彼女の隣にいたいと思った。



彼女が芸能界でどんな名前で活動していたか、一体どんな仕事をしていたのかを、私を含めた周りの人間が知ったのは卒業してから随分とたった頃だったと思う。
そして、誰と付き合っていたのかという事も…。

何だかんだ言って、芸能クラスの人はそんな事は言わないんだね。
それとも本当に知らなかったのかな…

そう思うと、やはり彼女は芸能人…いや、女優だったのだ。
改めて納得できる。

演技力を磨きながら、きっと彼女は高校生活を満喫したのであろう。
そして、あのシルエットの人との恋も…


ねえ…最上さん、本当は私、貴方と友達になりたかったんだ。
知らなかったでしょう?
ちゃんと貴方が凄く綺麗だって知ってた。

そして、貴方に憧れてたよ。

きっと貴方は私のことは記憶にないと思う。けれど、これからも応援してる…貴方は平凡な私にとって、漫然とした高校生活唯一の自慢。

私の憧れの桜の彼女だよ。






(END)



ちょっと一風変わったものにチャレンジ。
今回のSSは、新しい試みが多かったですね。(限定は相変わらずですが…)
次回連載もちょっぴり新境地?な感じです。


関連記事
スポンサーサイト

Pagetop

Trackback

Comment

おはようございます♪
第三者目線のお話嫌いじゃないです☆
その頃のキョーコちゃんのしている事や、端から見た成長具合も興味ありますし、その頃の蓮さんとの関わり方も気になりますし…
多分最初は付き合う前で、卒業間近はお付き合いしてたのかな?とかそこからいつ発表したのかな…とか色々裏の動きが気になったり…と、妄想族としましては色々考える事盛りだくさんです。

今回のお話のキョーコちゃん目線もお暇ならよろしくお願いします(*^^*)
この方以外のクラスメイト又はその他のスタッフ又はキョーコちゃんの通学路の花屋さん(笑)とか目線とかね。隠してるつもりが蓮さんが常に側にいてたり、さりげに一人だけエスコートされてたり…皆黙ってるけどばれてますよーみたいな。
うーん楽しい妄想だ☆それを文字に起こす才能がないので色々な方に託してます(  ̄▽ ̄)

更新ありがとうございました❗
Re: おはようございます♪
> じゅんこさま

御気に召しましたか?
そうか、これって皆様に妄想していただくには良いんですね。なるほど~勉強になりますわ。
もし、我輩がキョコさん目線の妄想話を書くとしたらとんでもないことになりそう…だって、きっと普段普通に生活しているように見えて、彼女は妄想と言う名の病もち。きっとよからぬことを考えているに違いありませんですから。

でも、もしかすると彼らを見つめる第三者は一杯いるのかもしれませんね。
また頭にイメージできたら書いてみます。
コメントをありがとうございました。
  • 2017-06-17│21:07 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
こんにちは。
私も第三者目線好物です。
蓮キョの場合自分自身は明らかに第三者で、感情移入しやすいですよね。
実はそのタイミングで付き合ってたのねーー。
って、妄想が脹らみます。
実際の芸能人で結婚したカップルの共演過去作品みて、この時のこの顔は素?なんて妄想を楽しむタイプです(笑)
  • 2017-06-19│10:37 |
  • めい URL│
  • [edit]
Re: タイトルなし
> めいさま

こんにちは。
気にいっていただけてよかったです。
そっかーいろんな楽しみ方があるんですね。と勉強になりました。
第三者目線って、社さんとか奏江とかでしか書いたことがなかったので、ちょっと心配でしたが結構皆様が受け入れてくださってありがたいです。
コメントありがとうございました。
  • 2017-06-19│23:29 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

Post a comment

Secret

Pagetop


プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
ルールを守っておられる「ス/☆ビ」二/次サイト様、お付き合いあるマスター様と相互リンクさせていただいています。お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りさせていただきます。
(リンクはトップページにお願いいたします)

ようこそ

最新記事

リンクご案内

ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様