Gynoid 3

乱暴な2.5をすっ飛ばしても話は通じるんですが…手加減しないガイノイドのキョコさんは恐ろしいですね。





Gynoid 3





昨晩…キョーコの見せた姿態は稀に見る美しさで
蓮はその身体に翻弄された。

何もかも搾り取られるかと思うほど手加減も何もなく、ずっと絶頂の中にいさせられた。
男であるなら普通は逆だろうと思うが、キョーコの人工知能にはその概念は存在しない。

「おはようございます、マスター。朝食が出来ていますよ?」

「ん…おはよう、キョーコ。君は…今日の気分はどう?」

「非常に気分がいいです。…と申し上げておきます。」

キョーコは蓮の身体にそっと触れ、唇に軽くキスをした。

「…体温、心拍数、血圧…やや昨日の疲労が残っているようですが、おおむね良好ですね。」
「……ありがとう」

少々苦笑いだ。

「キョーコ、おいで」
「…?」

やはり無表情なままで、俺の腕の中に納まるキョーコ…

今日は彼女を研究室に連れ帰り、データ修正をしなくてはならない。
表情の分析と…攻撃に関する修正と…昨晩の性的介助のデータ解析と…

俺はキョーコを抱きしめながら、小さく溜め息をついた。







「蓮…お前、酷い顔をしているぞ。」
「そうですか?」
「…上手くいってると思ったんだがな。」
「ええ、上手くいっていますよ…キョーコは素直に順応しています。」
「それはそうと、アレ…確かめたのか?」

社さんの意図するところが見えて苦笑いだ。

「確かめられた…というのが正直な感想です。」
「へぇ~、お前をそんな風に疲れさすほど凄かったのか、コレは…」
「どんな風ですか!?人聞きの悪い」

こんな冗談を言って笑えるのは社さんくらいだ。

勿論、性的な面でガイノイドが活躍してくれるなら、現在この世界に蔓延しているあらゆる性的な課題は縮小できると見込まれている。けれど、いくら人工的なガイノイドだからといって、そんな事を主目的に開発していいわけじゃない。あくまでもキョーコは家庭用ガイノイドだ。
それに…いや、研究者としてそれは口に出せない。

「まあ、この皮膚を開発できた時には震えが来たからな。滑らかで…柔らかくて…」

社さんがキョーコの腕を取る。

「腕だけじゃない。身体の至るところまで…「やめて下さい!」」

思わず俺は社さんの手を握っていた。

「れ…蓮?どうした?」
「………いえ、すみません。何でもないです。」

一旦、キョーコに繋いでいたケーブルを外した。

「キョーコ、どう?少し攻撃性について修正を加えてみたんだけど、自分で理解できる?」

彼女は再び眠りから目を覚ますように、息を吐いた。

「はい…侵入者に対する攻撃性には変化が見られます。新規データを受け付けます。修正完了」
「そう、良かった……」

「じゃあキョーコ、次はもう一つのデータを…」
「了解しました」
「社さん!それは自分で」
「…え!?…あ、ああ。まあいいけど…」

俺は、自分の中で既に何かがおかしい事をはっきりと自覚していた。

―――キョーコを誰にも触らせたくない―――

研究者として最悪な感情…今ならまだ間に合うと、どこかで警鐘がなる。

メンテナンスカプセルに彼女を入れてしまえば、昨日の行為の情報はおそらく確実に読み取られ消去されるだろう。それで良いと自分に言い聞かせ、彼女の衣服を取り払う。

こうなる事は分かっていてデータを提供した。
こうなる事を予測して、研究を重ねた。

今更…自分は何を言い出すのか。

美しいボディーライン
滑らかな皮膚の質感
吸い付くような肌触りと体温は昨日の情事を鮮明に思い出させる。

だが…彼女は………

雑念を頭から振り払うように、彼女の身体から目を逸らした。

「キョーコ、ごめんね。カプセルに入れるよ…?」

彼女を誘導し、カプセルの扉を閉めようとしたその時…

「私は…貴方との記憶を消されるのは、怖いです…蓮………」



一筋の…

一筋の涙が彼女の頬を伝った

無表情だった顔の筋肉が、悲しそうに歪む

「蓮………」

俺の名を呼ぶ彼女の声に、俺は扉を閉めることができなかった。



「…社さん、すみません、俺…」

社さんは一つ大きな溜め息をついたかと思うと、やれやれというように頭を振った。

「蓮…これは仕事だ。」
「分かっています。分かって…」
「いや、分かっていない。蓮、俺たちは研究者だ。一切の感傷を捨てなければ“Kyo‐ko”の開発は成り立たなかった。違うか?」
「違いません」
「お前だって、コレが彼女じゃないことくらい、分かっているだろう?」

「でも…!」

もうそれ以上、声を上げることができなかった。

キョーコではない“Kyo‐ko”

既に現実世界には存在しない大切な、大切な人…
たとえ、メインコンピューターがオリジナルを最適とはじき出そうとも
たとえ、この皮膚も、声も、頭のてっぺんからつま先までが人工物であろうとも…

Kyo‐koのモデルはキョーコであり、それを意図して作られたもの。

絶対に叶う事のない研究だと、もう一度キョーコをこの手に抱く事ができる日が本当に来るとは…夢にも思っていなかった…。
それがこんな形で暴かれてしまうなんて




まだ…子どもだった俺
IQ200を超える知能、神の申し子といわれ10歳の時点で研究の道を約束された。
誰もが遠巻きにして俺を見る中、唯一普通に接してくれたのは社さんと…キョーコだけ。

明るく聡明で美しいキョーコに恋をした
6つ年上の…俺の大切な恋人

彼女と過ごした5年の歳月は俺を子供だった俺を大人へと導いた。
研究に没頭する毎日に花開いた幼い恋心…
それを受け入れてくれた彼女を俺はとても大切にしていた。


そして、彼女を失ってからの30年は、彼女を作り上げるための30年だったのだ





(続く)
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Kyo-koとキョーコ

こんばんは。

あぁ、そういうことだったのですね。。。
歳上キョーコさん、新鮮ですが、、、。
次回ちょっと悲しい過去があきらかになりそうですね。

Re: Kyo-koとキョーコ

> harunatsu7711 さま

こんばんは。
そういうことだったのですよ。
かつての恋人を…っていうのは、やはり蓮さんならではのねちっこい愛情といいますか、なんといいましょうか…。
やっぱり純愛路線で突っ走って欲しいので、我輩の欲望が詰まっております。

“Kyo‐ko”の出来が

完璧であればあるほど、研究者としての喜びより、故人としての蓮の感情が大きくでてしまうでしょうね。

失ったはずのキョーコに手が届くようになってしまった蓮さんの「思い出という記憶の中に仕舞ってあった筈の愛情」が今後どう動き出すのか。

続きも楽しみにしてます。

Re: “Kyo‐ko”の出来が

> まじーんさま

いつもありがとうございます。

故人に向ける蓮の思いは並大抵のことではなかろうと推察します。
本来ならば感情を表に出すことなく作られたであろうガイノイド
けれど、いかなIQが高かろうと人間的な部分での彼らしさが滲み出るといいなあと思って書いた次第です。
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