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嫁ものがたり 5

こんばんは

ようやく書きたかった場面に近付きました。







嫁ものがたり 5




キョーコがアメリカに来てから、10日ほど過ぎた頃
強引に食事を取らされ、身の回りのことを甲斐甲斐しくこまめに世話をされたせいで、精神的にはぐったりしていたクオンだったが、ここ最近の体調のよさに気がついた。
元々健康でタフな自分である。
疲れを感じにくかった身体は更に疲れなくなったし、肌の調子も悪くない。

キョーコはといえば、黙々と残さずに食事を取るクオンを穏やかな顔で静かに見つめ、嫌味など気にする風情もなく、演技や撮影所のことを興味津々とばかりに聞いてくる。プラスその後に続くクーの話…
確かに自分にとっても父が自慢の父であることは間違いないのだが、キョーコのクー自慢は絶えることがない。

「君…本当にあの人が好きだね。」
「好き…などという愚かで浅はかな感情ではありません!尊敬しています!崇拝しています!!先生は神ですから!!」
「それ、逆に褒めてないよ。君にも呆れる」
「呆れないで下さい。あれほど愛を持っている人がお父さんだなんて、クオンさんは幸せですよ?」
「あ…そう…(///)…確かに俺にとってもヒーローだったよ。」
「ですよね!?ですよね?ゴッド・ファーザーですよね?」
「ぷっ…マフィアじゃないんだから、それはやめようよ」

たまには楽しい会話も弾んだ。
日本の芸能界の事、社長の事、キョーコの仕事のこと…
彼女が演技の勉強をするために渡米した事も一応理解した。

けれど、やはりクオンは面白くなかった。
恐らく何かの意図を持って送り込まれたキョーコだろうが、その真の意図を彼女は知らないらしい。

あれからキョーコを一緒に連れて来いとは言うものの“結婚しろ”と言わなくなった父と、穏やかに生活になじんだ彼女に違和感が拭えない。
それどころか、自分に興味を示すわけではない彼女との生活は、やたらと安定している割には自己の欲望は満たされないのか、逆に心がざわつき始める。

(一体俺にどうしろというんだ?)

健全な食生活
健全な肉体
健全な…

別に女性を抱かなくても性欲処理ならいつでもできる。
だが、心のどこかに不満を抱えていると油断や緩みは出てくるものだ。だからクオンは誘いをかけて来た女優の誘いに久しぶりに乗ってみる事にしたのだ。

キョーコには連絡を入れる気はなかった。彼女は自分に興味を持っているわけではない上に、主に食事中心のハウスキーパーだからだ。


ところが……だ

女性と向かった先のレストランで、食事が口に合わない事に真っ先に違和感を感じた。
食が細いと言っても食べなれている筈のアメリカンステーキ
ニンニクたっぷりな肉と濃厚なソースが胃に堪える…

食べたくない気持ちが先行して、ナイフとフォークを置いた。

「どうしたの?クオン。食べないの?」
「いや、食欲がないんだ」
「そうなの?困ったわね、とても美味しいお肉なのに…」

セシルとの食事をそこそこに切り上げ、スタイル抜群の彼女に誘われるままホテルに行った。

「ふっ…ああん…クオン…」

部屋へ入った途端、彼女の方から積極的に舌を絡め、おもむろに肌を顕わにされる。
クオンの逞しい筋肉に吸い付き、指先で男の劣情を煽る術を駆使して待ちきれないように腰を寄せてくるセシル。

だが、女性とはそういうものだと思っていたのに、今日に限って気分が乗ってこない。
真っ赤に彩られた唇が、毒々しく視界に入って胸焼けを起こしそうだった。

「ああ、クオン…綺麗な身体…素敵よ、最高!」
「セシル…」
「貴方、最近元気がないって皆が言ってるからどうしたのかと思ってたの。最近日本人の家政婦を雇ったんですってね。」
「どうしてそれを…?」
「だからじゃないの?日本の淡白な食事はきっと貴方に合わないのよ。だから元気も出ないのよ。」
「そういうわけじゃ…」
「ふふ…そういえば…次のリッチー監督の映画に日本人を起用するそうよ?最近ハリウッドでも日本人をよく見かけるわ…全く、目障りよね?」

彼女にとって見たら、何の気なしの言葉だったのだろう。
けれど…
セシルの細い腕から逃れるように、クオンは身を翻した。

「どうしたの?クオン…続き…」
「悪い…気分がそがれた」

半裸の女性を残し、さっとシャツを身に付けベッドから立ち上がる。

「どうしたの?クオン!」

クオンは美しい微笑みを浮かべながら振り返る。

「食欲がない時はやっぱりこっちもだめなようだね。無理はしないほうが良いみたいだ。」

その気が起きなかったことを誤魔化すように彼女に告げた。そして、もう二度とこんな夜はないと匂わす一言を残して、ホテルを後にした。

「ああ…それとねセシル、俺の1/4は日本人なんだ。凄く目障りだろうから、覚えておいて?」







「お帰りなさいませ!」
「………ただいま」

「お食事は召し上がりましたか?」
「………多少は」

「そうですか。では軽いスープでも召し上がりませんか?」
「………いや、今日は止めておく」

「クオンさん、もし帰りが遅くなるようだったら、次の時はご一報いただけますか?食材が勿体無いので、次回に回そうと思うんです。」

「………分かった…」



ばつが悪い事この上なかった。

しかし…いくらなんでもこの事務的な対応は何なんだ?
そんなに俺は魅力がないのかと、したたかアルコールが回った頭も手伝って怒りに似た感情が押し寄せる。

「…君…」
「はい?なんでしょう?やっぱりスープを召し上がりますか?」
「……いや、君は俺の食事のことしか関心がないの?」
「それ以外の何に関心を持てとおっしゃるのですか?」
「いや、俺がどこで誰と何してたとか…」
「いえ、全く?」
「本当に?」

そう言いながらじりじりとキョーコとの間隔を詰めた。

「な…んで…しょう?」
「警戒心がないのも大概だよね。成人男性の家に転がり込んでおいて、食事の世話だけで何もないとか、普通は有り得ないと思わない?」

じりじりと身体を寄せると、じりじりと後退する。
冷蔵庫の前に追い詰め、退路を絶った。

「今日だってさ…俺、女性といたんだけど、そんな事君はどう思う?」
「いえ…あの、匂いは噓をつきませんので…」
「そう?気が付いているんだ?俺だって男だけど、軽く見られたものだね。」

クオンは自分のシャツのボタンを外し、更ににじり寄る。

「あの…一体何を?」
「成熟した成人男女が同じ家に二人でいてすることって…一つじゃないの?」
「ちょっ…!!やめっ…!!!」
「ふぅん…その辺は分かってるんだ。じゃあ、いいよね?」

顔を寄せたときの慌てたキョーコの表情は、クオンの嗜虐心を大いにそそった。
ニヤリ…と顔を歪ませて唇を寄せようとしたとき、視界からすとんとキョーコが消えた。
足元からあわあわとGokkyのごとくに逃げだそうとするキョーコの行く先をその長い腕で遮り、身体を寄せた。

(ひぃぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~っ!!)

声にならない叫び声を発しようとした時、思わず両手がクオンの顔を押しのけ、その瞬間を狙うようにクオンの手がキョーコの手首を掴んだ。

「だめっ!!」
「…なんで?これくらい別にいいじゃない」
「まっ…間違ってます!!」
「間違ってないだろう?」
「やだっ…!だめっ…助けて!!コォォォーーーーーーーン!!!」
 



(続く)


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  • 2017-07-31│12:24 |
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Re: ここで言う!
> G○○ENさま

投票ありがとうございます!…って、あら?こちらで投票ですか。
でも大丈夫です。一票いただきます。

このパラレル、クオン君以外の設定はかなり原作寄りですからね。皆様のよくご存知なエピソードだらけです(笑)
  • 2017-07-31│20:47 |
  • かばぷー URL│
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