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嫁ものがたり 7

こんばんはー

クオンの思い出にある日本の女の子キョーコちゃんと分かったら…多分、意地悪しなくなりますよね?
基本フェミニストなお人なんですから。
では、続きをどうぞ。






嫁ものがたり 7



例の夜以降、クオンはキョーコをからかう機会が多くなった。
あっちの方面では驚くほど奥手なキョーコが可愛くて仕方なく、真っ赤になって新鮮な反応を見せる事が面白くてからかいがいが出てきたのだ。

“ちゃん”付けで名前を呼ぶときも嫌味ではなく、寧ろ親しみを込めてその名を呼んだ。それ程に、キョーコが気になり始めたクオンだった。

(全く…俺も現金だよな。あれだけ遠ざけようと思ったのに、もう彼女が側にいる事に慣れて許容してるなんて…)

この時点では、二人の間に何も進展はない。

けれど、相変わらずキョーコは美味しい料理を作って笑顔でクオンを迎え、クオンはクオンで撮影が終わればいそいそと自宅に帰る日々。だんだんと二人の間に笑いが増え、相談事や報告が増え、ちょっとした揉め事が起こる日常が続いていた。

少し変化があった事といえば、キョーコの行動範囲は少しずつ広がり、クオンの付き人のようにスタジオへ出向いたり、映画の現場へ出かけたりする事も増えたということだろう。
そこで発揮されるキョーコの観察眼にも蓮は驚いていた。

実はキョーコのアメリカ進出はもともと計画されていたことらしく、本格的なマネジメント業務の担当として、日本でキョーコを担当していたというLMEのマネージャーが日本から派遣されることも新しく知った。

クーに頼めばエージェントと契約することも可能だったが、やはりキョーコはローリィの秘蔵っ子なのだ。キョーコのマネジメント業務をいくらクーの知り合いといえど、どこの馬の骨とも分からない人間に任せる気はなかったらしい。






「社さん!!」

いきなりぴょこんっと跳ねたと思ったら、到着ロビーに見えた人影に向かってキョーコは走り寄った。

「やあ、キョーコちゃん!久しぶりだね元気にしてた?」
「はい!勿論です!」

空港に迎えに行きたいと言うキョーコと、同時にクーに頼まれて空港にキョーコを連れてきたクオンは、にこやかにキョーコと挨拶をする眼鏡の男を見やった。
社はクオンの視線に気付くと、人好きのする笑顔を見せた。

「はじめまして、Mr.ヒズリ。LMEの社といいます。京子がお世話になっています。」
「はじめまして、社さん。クオン・ヒズリです。俺の事はクオンと呼んでください。」

流暢な日本語で握手を交わし、年上の…一見クールな社の穏やかそうな人柄に、いつもの柔和な笑顔で対応する。

「じゃあ遠慮なく…クオン君、凄く日本語が上手なんだね。いつも彼女との会話は日本語で?」
「ええ、大体はそうですね。父が日本語を教えてくれたので会話には困りませんから。けれど、彼女の英語もなかなかのものなので、いつ日本語になっていつ英語になるのか分からなくなるくらいですね。」
「そうかー…じゃあ、しばらくは英語でお願いしないといけないかもね。」
「そうなんですよ。クオンや先生の英語は凄く聞き取りやすいんですけど、自分の意思表現となるとあまり得意ではなくて…」
「そうかな?この前なんて“お黙りなさい!!”っていきなり英語で言われて吃驚したんだけど?」
「だって!それはクオンが意地悪言うから!!」

そんなやり取りを見て、社は後ろを歩きながら社長の伝言を反芻していた。

“最上君が人を愛するようになる日が来るならば、それは喜ばしい事だ。…だが、生半可な相手では困る。こっちの予定通りならいいんだが、そうでなければしっかり見極めてくれ…”

愛する事も愛されることも全身で拒絶したキョーコがLMEに入ってきたことも、その彼女を社が担当するようになった事も、それはすべて偶然だった。
不破に捨てられ、茫然自失となった彼女がはじめに抱いたのは復讐心。
けれど、時間がたつにつれ演技の楽しさ、周囲の人間に愛される喜びを感じ、女優として一歩を踏み出したキョーコ。彼女に足りないのは、愛する心…だけだ。

(不破の時のような間違いがあってはならない…。)

社はそのことを胸に、恐らく社長の言う予定通りがクオン・ヒズリのことであったとしても、クオンの事を警戒した。





「じゃあ、オーディションはこれと…これで行こうか」
「はい」
「そうだ、同じオーディションを森住仁子も受けるらしいって知ってる?」
「いえ、知りませんでした。森住さんも…」
「うん、キョーコちゃんは一足先にこっちに来てたけど、彼女は暫く日本に戻ってたからね。『泥中の蓮』の一件を引きずってなければいいけど、まぁ、気をつけるに越した事はない。」
「そうですか…」

紅葉役を争った彼女とまた役を争う事になるとは…と、キョーコは小さな溜め息をついた。

『泥中の蓮』で親友である琴南奏江と競演出来たのはとても良かったのだが、あの作品についてはいろいろと考えるところが多かった。古賀からのアプローチも散々受け、一度お断りしたのに諦めてもらえず、その件も保留扱いにしてある。

社が来てから確保した稽古場を拠点にあちこちに挨拶をして回るようになった今、いろんなコネクションを使ってでも、一つくらいは役が欲しいところだった。

「さ、今日はこれでおしまい!帰ろうか?」
「了解です!今日は何にしましょうか?」
「そんなこと言って…結局クオン君の好きそうなものを作るんでしょ?」

社の指摘に頬を染めたキョーコはコクリと頷いた。

(分かりやすくて可愛いいんだけどね…)

アメリカに来て、キョーコがクオンの自宅に居候をしているという事実に社は一瞬面食らったが、それ以上にクオンがキョーコに何の手も出していない事に驚いた。
こんなキラキラとした超絶イケメンであると同時に、流石に人気俳優だ。言い寄る女性が多いとも聞いていたのに…だ。キョーコが頑ななのか、それとも彼に思惑があるのか…。
どちらにしても、キョーコが傷つかなければそれでいい。

クオンの家の近くに小さなアパートを見つけ、時々は夕食のご相伴に預かりながらそこに腰を据えた社だった。





(続く)



ようやく社さんに登場してもらえました。
今回はどんないい仕事してくれるかな~。
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