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嫁ものがたり 9

こんばんは~(^-^)/

さて、企画が終わりましたので、連載再開いたします!

そろそろ、タイトルの『嫁ものがたり』の意図がお分かりかと思います。

つとめて紳士的に展開していますから、ご安心くださいね。








『やあクオン、どうだい?キョーコと上手くいっているのかい?キョーコは恐ろしいほど生真面目なところがあるからね。一つ屋根の下にいるからって、あまり無茶な事はするなと言いたいのだが…どうなってる?』

「お蔭様でどうにもなっていませんね。何を期待しているか知りませんが、貴方の思い通りに物事が進展する筈がないですし、思い通りに進める気もありません。いい加減諦めませんか?」

『……何だ、一体何をしているんだ!全く…つまらんな。(ガチャン)』

クーの電話にげんなりしたクオンだった。




嫁ものがたり 9




社がアメリカに来てから、キョーコの生活スタイルが少しだけ変化した。
一人で行動するのではなく、いつも社に見守られながら芸能活動を始めた。

クオンのために美味しい食事を作るのは変わらないし、クオンの身の回りを世話してくれるのも変わらない。そして住む家も相変わらずクオンの家に居候をしているけれど、一歩家を出ると、いつも彼女の側にいるのは社になった。

偶々その日、クオンの出演しているドラマの撮影場所に挨拶に来たときも、社は柔らかい笑みを浮かべながら、キョーコの側に立っていたのである。

「クオン!」
「あれ、キョーコちゃん、今日はどうしたの?」

にっ…と少年のような顔をしたキョーコは、嬉しそうに報告をしたのだ。

「ちょっとした役なんですけど、今日はこれに出る事になりました。」
「え?」
「実はそうなんだ。丁度脚本を少し変更したいという話をある場所で小耳に挟んでね、そこで出演交渉をしたんだ。」

「…へぇー…それは凄いね。」
「うん、首尾よく行って良かったよ。さ、キョーコちゃんメイクに行っておいで。」
「はい!行ってきます!」

ペコリと礼をしてメイク室に向かった。

(しかし…急遽そんな話になって、キョーコちゃんの出演をねじ込むなんて、社さんは一体どんな手腕を…)

クオンの思考を見透かすように、くるりと振り向いた社はにっこりとクオンに話しかけた。

「クオン君のおかげでいろんな所に話が通じて、凄く有難いよ。」
「何もしていなくても、そう言ってもらえると嬉しいですね」

クオンの目から見ても社は有能だ。
こまめに働く日本人そのままで、誠実で尚且つ緻密。
キョーコのマネジメントにと、わざわざ日本からボスが送り込んでくるだけの人材であるだろう。

「クオン君は、キョーコちゃんの演技を見た事ある?」
「…いえ、まだ」
「そうなんだ、じゃあ今日は事実上の初共演になるんだね。彼女、とても楽しみにしていたよ。君と共演できるって。」
「それは光栄です」
「それと…多分メイクがすんだらびっくりするよ?」

「…え?」

クオンはその背後で、スタッフのざわめきを聞いた。

何の騒ぎだろうと振り返り、クオンもその姿に言葉を失った。







美しい…と、簡潔に言えばそうなるだろう。

普段は十人並みだと思っていた容姿も、凹凸に乏しいと思わせる身体も、一瞬で目が覚めるような輝きを放ち始めるなんて、誰が想像しただろうか。いや、誰も想像できはしなかっただろう。だからこそ彼女は賞賛に値するのだ。

そして演技を始めた瞬間に驚きは衝撃に変わる。

(どこが…役者の卵だって…?)

彼女の持つ雰囲気に呑まれ、周りがいつのまにか演じさせられているという事実。
端役であろうと妥協しない彼女の姿勢は、日本でもそうだったのであろうと想像できた。

“私自身の手で育て上げてみたいと思わせる逸材”

そう述べた父の心中さえも今となっては容易に察することが出来る。
自分もまた、油断できない相手と共演できる事にワクワクし始めていたのだから。





カットの声が掛かりキョーコの演技が終わると、周囲に興味を持ち始めた人の輪が出来た。そして、その輪とつかず離れず見守る社の姿がある。
着替えが終わっていつものキョーコに戻っても、彼女に興味を示す人間が周囲に群がった。
いつも彼女の近くにはクオンがいた筈なのに、いつのまにか彼女の周りにはいろんな人間が集まっている。
しかも様々な思惑と興味を持って…

遠巻きにキョーコを眺めている社はまんざらでも無さそうで、そんな姿を見せる社にクオンはポツリと呟いた。

「社さん、彼女は日本でもあんな様子だったんですか?」
「ああ…キョーコちゃん?相当もてるよ。」

クオンが聞きたいことを察したであろう社はズバッ!!と切り替えした。

「彼女は今、日本ではお嫁さんにしたい女優No.1なんだ。」
「お嫁…さん?」
「結婚したい女性ランキングNo.1ってこと。」
「そんなランキングがあるんですね。」
「こっちでは珍しいかもね。実は彼女のすごいところは一般受けするだけじゃなくて、共演した人間が彼女を好きになる…ってことかな。恋愛の相手役は間違いなく彼女に恋をするし、友達役は誰もが彼女と親しくなる…そんな不思議な魅力を持っているんだ。」

社の言葉にクオンの胸が一瞬チリッとした。

「でも、それでいきなり結婚したいって言うのは、乱暴じゃないですか?」
「そうでもないさ。料理上手で気立てが良くて、前向きで…一緒にいて心が和む。君もそうじゃないの?」

確かに…今の生活にキョーコが馴染むのは造作もなかった。

「それは…そうかもしれませんが…」
「うん、それに気付かないでうかうかしてると、誰かに持ってかれちゃうかもしれないよね。」

「誰かに…?」
「そう…。だってさ、なんにでも姿形を変えられる女優…いつもは地味で平凡だけれど一旦役をつけると走り出す。そして、彼女の元々持っている素材、気立てのよさや身に付けた所作は本物…まさに原石を掘り出す喜びがそこにある。一角の男だったら喉から手が出るほど欲しいんじゃない?」



「それは…社さんも?」

クオンにとっては、みっともないほどの独占欲を孕んだ問いかけだった。
自分でも不思議なほど無意識に…

社はそんなクオンにニコリと微笑むと、さらりと言ってのけた。

「彼女のマネジメントが出来ることは、マネージャー冥利に尽きるね。」





(続く)
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  • 2017-08-22│20:45 |
  • [edit]
Re: かばぷー様
> ち○○様

いえいえ、こちらこそ!
度々、足をお運びいただき申し訳ないです。

私の作品も楽しみにしてくださるということで、元気がわいてきます!
出来る限り(出来る範囲で)溢れる妄想を綴って行きますので、お暇なときは覗いてやってください。
これからもどうぞよろしくお願いします。
  • 2017-08-23│08:44 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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