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嫁ものがたり 10

そろそろ夏休みも終盤です。
宿題…溜めちゃう人はそろそろエンジンを掛ける頃でしょうかね。
実は私自身も煮詰まっている今日この頃…でも、逃避行動しちゃっています。
ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3

ではどうぞー

(8/30)修正







スタジオの隅で、クオンは酷く落ち込んでいた。

(俺は…何を口走ったんだ?勢いに任せて、アレじゃキョーコを好きだと社さんに公言したようなものじゃないか。)

まさか、自分の中でのキョーコの存在がこれほど大きくなっているなんて…と、クオンは初めて気がついたその事実に動揺が隠せなかった。




嫁ものがたり 10




「クオン、今日は午後からどうしたの?」
「午後…?何だっけ?」

食事中の上の空
キョーコに今日の撮影の事を指摘されたのだが、一瞬何を聞かれたか分からなかった。

「もう、聞いてなかったの?今日の午後の撮影、演技に身が入ってなかったってこと。調子でも悪かったの?」
「いや…別に…」

すいっ…とキョーコの手がクオンの額に伸びた。

「……!!」
「熱は無さそうよね。あれ?どうしたの?」

いきなり頭を抱えたクオンの姿に、キョーコは戸惑った。
いや、正確には盛大にうろたえたのはクオンの方だったのだ。

(……っ!なんて無自覚に!)

不意に与えられた温もりと、首をかしげて自分を見る眼差しに衝動的な何かを感じるなんて初めてのことだったからだ。

(くそ…ッ…自覚した途端にこれか?何て進行の早い病気なんだ…これじゃ、まるで拷問じゃないか…)

クツクツとおでこと格闘して、冷静さを取り戻す。

キョーコが自分には全く関心がないことは分かっている。しかも、男性として見られていないという情けない事実もだ。

(全く…そんな相手に盛ってどうするんだ?…瞬殺なんてみっともないだろうに…)

半ば諦めとも取れる自制心を発揮せざるを得ない。



キョーコがあの時の少女だと分かって…
キョーコの隣にいる社に苛立ちを感じて…
キョーコの美しさに目を奪われて…
キョーコの演技力に興味を惹かれて…

ふとした仕草に衝動が抑えられないだなんて、クーの思う壺すぎるだろう。



今更ながら、これが恋なのだと初めて知る思いだ。

今なら、何故あの時セシルの誘いを断ってしまったのかも分かる。あれは日本人を馬鹿にされたというのも半分はあるだろうが、キョーコを無視して彼女と一夜を共にすることが憚られたからだ。

…つまり、あの頃から図らずもキョーコのことが無意識に気にかかっていたと言えるわけで…

あの時点で一体どこをどうすればキョーコに惹かれる要素があったのかは分からない。けれど、間違いなく彼女に惹かれ始めていたのだ。

(全く自分に関心がないキョーコに苛立ちもするはずだ。全く、とんだ茶番だな。)



「クオン…?」

不思議そうにこちらを見るキョーコをまじまじと見て、ふっとクオンは笑みを漏らした。
その笑顔に、キョーコは少しだけドキッとした。

「…うん?いや、ちょっと頑張らなきゃいけない事ができたと思ってね…」
(さて…これからどうしていこうか…?)

クーの思い通りになりそうな展開では癪に障る。
そして、なりふり構わずキョーコにアプローチするのは…うん、危険だな。

そう判断したクオンはキョーコを手に入れるための策略に思いをめぐらすのであった。






リッチー監督の映画、クオン・ヒズリが演じる日本人将校の妻役オーディションには、アメリカ国内外から多くの応募があった。
そこで、クオンは主演の男優を含め多くの出演者とともに、ことの動向を見守った。
そういえば、森住仁子との共演も以前確かにした事がある。ちょっとした場面での日本人女性の役を上手く手に入れてきた彼女は、クオンに興味を示してきた一人ではあったのだ。遊びと割り切ってくれなさそうだから、無難に断っておいて良かったと密かに胸を撫で下ろした。

「今回も間違いなくキョーコちゃんが獲るだろうね…」

自信満々に口にする社を見ると、不思議とクオン自身もそうだろうと思えた。…いや、獲って欲しいと思っていた。

二人の思惑通り、圧倒的な差を見せ付けて役を勝ち獲ったキョーコとの共演が決まったクオンは、社と3人で祝杯を上げた。


「「おめでとうキョーコちゃん」」

「ありがとうございます。クオン、社さん」
「明日からクランクインだね。そういえばクオン君はもう撮影が始まってるんだった?」
「ええ、もう始まっています。現場の雰囲気は割りといい感じですよ。」
「それを聞いてホッとするね。」
「はい!クオンがいることもホッとします。」

「………(もしもし?お嬢さん、それは煽っているというんですかね?)」
「………(ぷぷぷっ…固まっちゃってるよ。キョーコちゃん、無自覚だからなあ…)」

男性二人の思惑に気付くことなく、甲斐甲斐しく料理の世話をするキョーコ。

「クオン君の役柄は日本人だそうだけど、イメージ的にはどうなんだろう?馴染めている?」
「ああ、それは問題ないと思います。俺の日本語も違和感無いそうですし、外見も…そうですね、人物設定上ハーフにしようかという話も出てきて複雑ではあったのですけど、ウィッグのおかげでちゃんと日本人に見えているそうです。」
「へぇ~、凄いねそれは。」
「まあ、俺自身が1/4は日本人なのでそのあたりは何とか…けれど、金髪と黒髪では印象が大分違うみたいですね。今のドラマが終わり次第、映画仕様に髪を黒く染めようと思っています。」
「早く会いたいですね、敦賀蓮さんに!」

「………(だからっ!その笑顔はやめてくれ!)」
「………(ぶふっ!)」


てれてれと笑うキョーコに、よくクオンの理性が保てるものだと社はひやひやする。

しばらく前、その外見とハリウッドスターであるが故に女性に手馴れているであろうクオンが、キョーコに惹かれ始めていることに気がついた。

クオンから発せられた独占欲と取れる言葉…

キョーコに対して何も思っていなければ、マネージャーである社にあんな言葉を言ったりはしない。

だが、その後もキョーコに対するクオンの紳士的な振る舞いは当然のこととして続き、その紳士ぶりはクオンの好感度をあげるには十分であったし、キョーコを得るためには有効だと思える。


実際のところ、キョーコが無自覚にクオンに惹かれているのは間違いない。
日本にいた頃とは比べようにないほど、綺麗で柔らかい表情を浮かべる。そして、この距離感…思わせぶりなこの距離感も、無自覚&超天然なことには変わりないのだが、頑なに男性と“皆さんお友達”的な距離を保っていたあの頃とは大違いだ。

けれども、恋愛面に関してキョーコは手強い。

日本で抱かれたい男性No.1である古賀が散々アプローチをかけて来たけれど、彼女は応じなかった。
気のある言葉やそぶりには一応初々しく反応するので、それに男性はコロリとやられる。…が、キョーコは元々、愛する事も愛される事にも拒絶反応を示したラブミー部員1号なのである。

(クオン君…キョーコちゃんは相当手強いと思うよ?)

彼女を攻略できた男性は、未だ出現していないのであった。





(続く)




攻略…上手く攻略させたいのですが…
う~~ん、むずかしいねえ。
両片思いって難しい。
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コメント

ブラボーパラレル
こんばんわ。
ワクワクしながら拝読しております。
本誌で活躍中?の古賀さんが抱かれたい…No.1とか、蓮さんになる前のクオンとか、パラレルならではです。ブラボー!!!
火曜金曜が楽しみです‼
  • 2017-08-22│20:18 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: ブラボーパラレル
> harunatsu7711様

いつもありがとうございます!
蓮さんが日本にいないなら、確実に古賀さんがNo.1のはずですし、そして、古賀さん程度の事(←失礼)キョコさんが靡くわけがないのではないだろうかと勝手に妄想してしまいました。

クオン君との恋愛模様が早い事進展すると良いのですがね~
我が家では蓮さんよりもクオン君のほうが理性的な場合があるかも?
  • 2017-08-23│08:39 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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