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嫁ものがたり 12

何故に仮面パーティ?って突っ込まないでくださいね。
妄想書き散らかしのお約束ですから~♪







嫁ものがたり 12




セシルは日本からやってきたという貧相な女優、キョーコを一瞥した。
確かにかわいらしくはある。
しかし、リボンとフリルのドレスに隠された凹凸の少ないボディーラインは、スレンダーではあるけれど抱いていてどこが楽しいのだろうかと思わせるし、子供っぽい気がする。
なのに周囲の男は仮面のキョーコに興味津々で語りかけるのだ。

“オリエンタルな瞳の色だ”
“艶やかな肌が素晴らしい”  と 

そんな賞賛の声とクオンのキョーコを見る柔らかい眼差しが、セシルを苛立たせた。

(全く忌々しい…日本から来た小娘にクオンの妻役を奪われた上に、その隣で微笑んでいるのを指咥えて見てるだけなんて…)

クオンはあの時、日本人の血が1/4入っているといったけれど、金髪のクオンはどこからどう見てもそうは見えない。けれど、今日のような黒髪で軍服風のクオンは間違いなく日本人に見えてしまって、しかもそれがあまりにセクシーだと思うから、余計に腹立たしいのだ。


自分の誘いにようやく応じてくれたと思ったら、何の関係も持たずに放置された。
クオンのようなサラブレッドと関係をもっておけば、何かの時に自慢になる。だって彼はセレブリティなだけでなく若く美しく逞しい…そんな男性と関係を持ちたいと思うのはセシルだけではない。
けれど、彼が自分から女性に積極的にアプローチしない事も、言い寄る女性が多いのになかなかOKを出してくれない事もこの業界では有名だ。
そして、絶対にクオンを振り向かせて見せると息巻いていた筈の女性たちが、泣きながら彼に別れを切り出すことも。

自分のように途中で放り出されたなんて、女として恥ずかしすぎて誰かに相談も、文句も言える筈がなく…思い出しても苦々しい。



イライラを募らせるセシルの表情がよほど険しかったのだろう。
やがて、キョーコはその空気を敏感に察知して、あたりを見渡した。

(だっ…だれ?)

女優にあるまじき敏感さで、あたりをバババッ!と警戒した姿を見て、やれやれと社は溜め息をついた。

「キョーコちゃん…どうしたの?いきなり」
「いえ、なんだか背後に視線を感じてむずむずと…」
「うん?相変わらずだね。」

そんなキョーコと社の様子を見て、クオンが心配そうにこちらを見た。

「どうしたんですか?社さん」
「ああ、ちょっとキョーコちゃんが微妙な雰囲気を察知したらしくて…」
「え?」
「あっ…!クオンは気にしなくていいから!」
「微妙な雰囲気…?」

クオンはキョロキョロとあたりを見渡し、キョーコの言う微妙な雰囲気の元を特定した。
確かに…こちらを伺い見る女優たちの群れに紛れて怪しい雰囲気を醸し出す一人の女、セシル。

(おっと…しまったな。不手際があったか…)

今更ながら、そういえば彼女に失礼なことをしてしまったとは思うが、だからといって先に失礼な物言いをしたのは彼女だ。だからこそ、誰にも愚痴を言えずにキョーコを睨みつけているのだろうと合点もいく。

「ごめん…不快にさせてるみたいで」
「クオンのせいじゃないでしょ?」
「でも…」
「あ~…いつかと同じ香水の匂いがどこからかしますね。もしかして、その方ですか?」

鋭い…
ばつの悪さが蘇る上に、今更誤解されたくはない。

「ごめん、でも誤解しないで?その…今付き合っている女性はいないし、彼女と付き合ってたわけじゃないから。」
「お付き合いなさってたわけじゃないんですか?」
「うん、違う。」

「……………(それでこれですか…天然タラシ…)」

「……誰が天然タラシだ…」
「…………」
「じゃあコマシじゃない。」

「あら?聞こえました?」
「勿論、どの口が言うかな?」
「何も言ってませんよ!心配しなくても!」
「本当に?」

クオンが意地悪そうな顔をして仮面を半分ずらすと、キョーコのほっぺたをぐにぐにと弄び始めた。
傍目で見ると、思いを寄せ合う男女がじゃれあっているようにしか見えない…。

「いひゃい…やめてくらひゃい…」
「仮にも夫役をした男の悪口を言うのはこの口か?」
「むひゅう…しょれはほっぺと…」
「この口か?この口だな?」
「にゅ~うっ…言いました!ごめんなひゃい!」

「ぷっ…冗談だよ。ごめん、ごめん」
「もう、クオンの意地悪!いじめっ子~~!!」
「キョーコちゃんが悪いんだよ?」

「むぅ~…蓮さん姿のクオンってば意地悪。」
「キョーコちゃんだからだよ。いや、妻だから…かな?」

その言葉にどうしようもなくキョーコは照れてしまう。

「そういえば…蓮さんのその姿、凄く似合っていますけど、その髪色はいつ戻すんですか?」
「うん…どうしようかな。もう少しこのままでいたい気もするし…」
「確かに金髪も素敵ですけど…黒髪…結構好きみたい…(てれっ…///)」

「………っ!(だからそれはっ!)」

流石にその場でしゃがみこんだりはしないものの、心の中では絶賛欲望抑制中のクオンは、盛大に息を吐いて無邪気な攻撃に顔を覆った。指の隙間からチラリとキョーコを伺い見れば、心配そうに首を傾げてクオンを見上げている。

「…………クオン?」


「……あんまり可愛い顔して覗くと…襲うよ?」
「おそっ…///!!??」
「冗談じゃないからね?ほら、こんな風に…(ちゅっ…)」

「☆*%☆※~~??」

抱き寄せておでこに唇を寄せると、仮面を口元に当てたまま、キョーコが真っ赤な顔をして俯く。

「ほら、機嫌直して?」
「直すも何も…始めから悪くないです…」



(くはぁ~~~!…こっちが面映い…)

隠せなくなるほどに思いを溢れさせる二人から背を背け、社は砂を吐き出した。

傍目で見ると…本当に傍から見ると、ただのバカップルのじゃれあいにしか見えないし、互いに思いが通じ合っているように見える。…が、二人の間に微妙な距離感が残っていることに関しては紛れもない事実なので、この二人は思いを伝え損ねているのだと社は痛感していた。

じれったいほど、もどかしいほどに双方片思いだと思っているらしい二人は、ある意味お似合いなのかもしれない。


「お二人さん…それ、家に帰ってからしてくれる?目の毒だから…」





(続く)




にゅふふふ
コミックス37巻の裏見返しイラスト妄想にございます。
そのほかにもトキメキをふんだんに盛り込んでみたじょ♪

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Comment

No title
初コメです。
とても素敵なお話をありがとうございます。
クオンが可愛くてカッコよくて、とても嬉しい。
37巻のイラストは、私も気になっていました。
ここでこんなキュンキュンなストーリーをつけてもらえて、それを運良く読めてハッピーです。
  • 2017-09-14│18:13 |
  • ありす URL│
  • [edit]
Re: No title
> ありす様

初コメント、ありがとうございます。
素敵なお話といっていただけて嬉しいです。
後半は、あまり甘くなくて物足りなさを感じるかもしれませんが、最後まで楽しんでいただけると嬉しいです。

裏見返し妄想…なんだか書きたくなってしまいましたの。
可愛く照れるキョコさんと、軍服っぽい蓮さん。
お話の流れ上「お?いけるのでは?」と思い立ちました。
ハッピーな気分だと、私も当然ハッピーです。
  • 2017-09-14│20:30 |
  • かばぷー URL│
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