嫁ものがたり 13

こんばんは!

初めて使うネタが湧いてきたのです。
ぬる~くご鑑賞くださいね。







嫁ものがたり 13




夜も更け、パーティー会場から退出しようとした時、セシルがクオンを追いかけてきたのが分かった。

「クオン!待って頂戴!」

社もキョーコもいる場所で声をかけてくるならば、さほど大した用事ではないのかもしれないとクオンは歩みを止めた。

「やあ、セシル、どうしたんだい?」
「貴方に謝りたくて…今、いいかしら?」

キョーコと社が顔を見合わせるが、クオンは彼女のために時間を割く気はサラサラなかった。

「申し訳ないけれど、君に謝られるような事はなかったと思うんだ。もしあったとしても、さほど大した事じゃない。だから気にしなくていいよ。」
「私が気にするの!!お願いだから時間を頂戴。」

ふうっ…とクオンは息を吐いた。

「…じゃあ、ここでどうぞ?」

君に時間をとる気はないと言外に匂わせた格好だ。
セシルが何を言いたいのかは知らない。けれど、日本人云々は二人の前で言えるはずはないだろうし、自分自身も不愉快だ。今は敦賀蓮のビジュアルのままなのだから余計にそう思う…

「あの…貴方に失礼な事を言った事を謝ろうと思って…」
「そう。気にしていないから大丈夫。もういい?」
「クオン!」
「……何?悪いけれど、連れがいるんだ。そこの所、理解してくれる?」

言葉とは裏腹に無駄に煌びやかな笑顔は、明らかに怒っているだろう…と社は宙を見上げた。
キョーコはといえば、ひくっと顔を引きつらせている。

「じゃお先に失礼するよ。さ、キョーコちゃん社さん行きましょう」
「クオン!…待って!クオン!」

普段のフェミニストらしからぬ行動に、社もキョーコも戸惑ってしまうほど、これ以上時間を取られるのは不愉快だとばかりにクオンは足早にその場を後にした。


「クオン君…ちょっと吃驚した。君は女性にでも厳しく出来るんだね。」
「いやですね。そんなつもりじゃないんですけど、お二人との貴重な時間をこれ以上持っていかれるのが我慢ならなかったので…」

「でも…あの人、凄く残念そうでしたよ?」

どうしてそんなふうに言うかな…と、クオンはキョーコを見た。

「何?彼女と一緒に行ったほうがよかった?」
「そんな…!」
「じゃあ、これでおしまいにしよう。本当に彼女とは何もなかった。事実だからこれ以上彼女に時間を取られるのは勘弁して欲しい。それだけだよ。」

((やっぱり怒ってる…))

若干の気まずさを伴って家路に着いた。





「クオン君、キョーコちゃん、ゆっくり休んでね。じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい、社さん」

「おやすみ…」

パタン…と扉が閉まる。

タクシーの中も私語厳禁な感じで、居心地が悪かった。けれど、クオンが何故怒っているか、社には見当がついていてもキョーコには全く理解の範疇を超えていた。

「クオン…何か飲む?」

深くソファーに腰掛けたクオンに遠慮がちに声をかけると、流石に気分を持ち直そうと思ったのか、クオンは少し微笑んだ。

「ん…そうだね。気分直しに飲もうか。キョーコちゃんも一緒に、どう?」
「そうね、いただくわ。」
「待ってて、準備するよ。甘い方がいいよね?」

バーカウンターからお酒をチョイスして戻ってきたクオンは、長めのグラスに綺麗な色のカクテルを二種類、キョーコの前に差し出した。

「わぁ!綺麗…これ、なんていうお酒?」
「こっちはカシスソーダ。こっちはテキーラサンライズ…」
「でも、二つも一度に飲めないよ?」
「順番にゆっくりでいいよ。」
「ホント?どっちから飲もうかな?」

嬉しそうに甘めのカクテルを口にするキョーコ。
クオン自身はウィスキーのロックを口に含みながら、その姿を眺めた。

(どっちの意味も知らないのだろうな…)

無邪気に飲むその姿からして、キョーコはカクテル言葉なんて知らないだろう。

カシスソーダは『貴方は魅力的』
テキーラサンライズは『熱烈な恋』

今の自分の気持ちそのままだ。
クオンは手の中の琥珀色した液体に目を落とした。

きっと、社には怒りの原因はバレている。

今更…見栄を張っても仕方ないけれど、キョーコが来てからは誠実なのだと…潔白であると証明したかっただけなのに、上手くいかなかった。それに、セシルが近くに来てもヤキモチを焼く風でもなく、さらっと流され、それどころか彼女との時間を取ればいいとさえ言われた気がする。
ようやく自然と頬に触れられるほどに距離を縮め、映画の中ではキスも交わした。
さっきだって、あんなに楽しそうに自分の側で微笑んでいたのに…まだそこまでの関係でないのだと、それだけ自分に関心がないのだと思い知らされるようで苛立つ。

自分の中ではキョーコを好きだという気持ちが既に膨らみきっているのに、キョーコの真意を掴み損ねている現実に呆れてしまう。

自分はこんなに臆病だったのだろうか?

こんなに自信がない人間だったのだろうか?


答えは簡単だ。

“嫌われたくない”

ただそれだけ。
今、隣にいるキョーコの肩を抱く事すら躊躇う自分をクスリと笑いたくなった。





(続く)


滅多にお酒を飲まない我輩なので、ちょこっと情報収集を…(汗)



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クオンの気持ち

こんばんは。

クオンさん、キョーコさんへの気持ちを改めて認めてますね❗これから、押せ押せとなってくれればよいのですが、、、。

いつも更新楽しみにしています‼

Re: クオンの気持ち

> harunatsu7711 様

こんばんは。
いつもありがとうございます。
押せ押せ~♪行かせたいですね~(うししし)
ちゃんと告白まではして欲しいんですけどね?実はこちらのクオン君、紳士以上のヘタレ感が漂うようかもしれませんよ?
楽しみに待っててくださいませ~♪

一番楽しい時期……それは両片想い

あふあふっ(///ω///)♪
ヤキモキしてる蓮さん……ではなく、クオンさん好きぃ〰♡
キョーコちゃんに嫌われたくなくて一生懸命な割に、空回って成果の出せないクオンさん好きぃ〰♡♡

ああ!もっとヤキモキしてっ!空回って!!クオンさんっ!私を悶えさせてぇっ(///∇///)

ちなみにぽてとも、クオンさんではなく蓮さん押しです………(//∇//)♡♡♡

Re: 一番楽しい時期……それは両片想い

> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

うふふふ♪悶えてくれてありがとう~
クオンも好きなのよ?好きなの!だけど、長い連載、一度くらいはね?ちょっと蓮さん姿を妄想したりして…折角のパラレルだしね?なんて自己弁護しておきます。

さて、空回りのクオン君は、可愛いですね。
我が家一番のヘタレストになっております。

そのヘタレ具合たるや、前回の「お城に行こう!」の蓮さんとは大違いです!!
でも、格好良くさせたいのですよ。さあ、後3話、頑張るぞ~~。
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かばぷー

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