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お城に行こう!3

行ってみたいなあ…ヨーロッパ。
ハイジもフランダースの犬も大好きだったな。

下調べしてる間、ささやかな旅行気分が味わえたよ。
本当に便利な世の中になったもんです。





「蓮、連れまわすのはいいが、くれぐれも明後日には飛行機に乗せてくれ。」
「了解しました。」
「それと…キョーコを壊さんでくれよ?」

「それは……(…一体どういう意味ですか?)」

「阿呆。あんまりハードスケジュールにするなという意味だ。」
「……肝に銘じます。」

藤木マネージャーの見送りを受けて、蓮とキョーコはホテルを出発した。




お城に行こう! 3




「さ、行こうか?」
「はい、お願いします!」

意気揚々と出発した先々で、キョーコは度々歓声をあげた。

「きゃぁぁぁ~!美しくて雄大なアルプスの峰!ハイジの故郷ですね!アルプスの少女ハイジ!」

(アルプスの…そういえば、そういうアニメがあったな。)

「ふふ…干草のベッドに一度寝てみるのも夢だったんですよね~。あと、雲の上に乗れるかも!って」
「クス…、このあたりは本当に景色が美しいからね。」

「にゅふふふふふ~~~~♪ とっても幸せぇ~~っ♡♡♡ 」

「…!?(ちょ…っ…ブレーキ踏みかけた!?)」

「ん?どうかしました?」
「いや、なんでもない。(あ~…危ない、危ない…)」

「そういえば、敦賀さんは外国でも運転が出来るんですね。」
「ああ、国際免許があれば一応出来るかな。」
「高速鉄道を使うかもと思っていたのですが、敦賀さんの負担になりませんか?」
「それは大丈夫…もしかして、最上さんは鉄道に乗りたかった?」
「ふふ…ちょっとだけです。敦賀さんと一緒だったら何でも嬉しいです!」

「………っ!」
「あっ!見て下さい!あっちにお城が見えます!」

(そんな反則技…!はぁ、もつかな…俺…)

本当に随分と久しぶりのキョーコだ。
ふっと見せる表情も、声も、車内の近距離に蓮の心臓が逸る。

確かに、高速鉄道の線も考えなかったわけではない。ヨーロッパは各都市への路線が発達している。もし鉄道であれば、隣の席に座り、もう少し身体を密着させたりなんかして外の景色を楽しめたかもしれないなと思わなくもない。けれど、昨夜蓮が予約した宿泊施設も、今日予定していた観光もどちらも車の方が便利だ。キョーコ好みのお城をホテルとしている場所など、さほど多くはないのだから。
それに…今身体を少しでも密着させるとなると、理性を総動員する必要が出てきそうだ。
社は当然のこと、キョーコのマネージャーである藤木にも蓮の気持ちはバレバレである。だからこそ藤木はあんな牽制をしてきたのであるし、社であっても暴走するなと釘をさすに決まっている。それ位、抱きしめたい衝動はもう押さえようがないほど漏れているのだろうと自覚も出来る。
昨日姿を見て、声を聞いただけでもキョーコに関する妄想は膨らんでしまうというのに…あまり無防備に側に寄られてもそれはそれで困るのだ。

“ずっと会いたかった”とか“君に触れたかった”とか、歯の浮くような台詞が出てきそうで、どうにかこうにかそれを押さえ込んでいる現在の状態。
そうかといって、折角のチャンスに二人で別行動をして、会えない我慢に我慢を重ねるなんて有り得ない。


一方…

キョーコの心臓もそれはまた盛大に弾んでいた。
随分と久しぶりに実物の蓮を見た。
最近では声を聞きたくても海外での仕事が多く、時差に遠慮してなかなか電話も掛けられない。日本にいる僅かな時間もすれ違いばかりで、蓮に会えたと言うスタッフや、LMEの社員に会うたび、憎悪の念さえ湧き出しそうだったのだから。しかし、いくら親しくしているとは言っても、大した用事もないのに、しがない後輩風情が天上人においそれと電話などできるわけがないのだ。
“会いたいです”とか、“声が聞きたかったので”なんてやり取りは夢のまた夢。
最近では会いたさのあまり、テレビ画面を見つめてぼ~っとすることさえあったのだから。

そんな中での昨日の偶然の出会い。

カメラの後ろで微笑む蓮を目ざとく見つけたときから、心臓が煩いくらいに騒いでいる。
キョーコは既に、敦賀蓮の残像でさえ愛しいと思えるくらいなのに、その場に佇む実物のオーラに目を奪われた。

そして、電話を貰った直後から眠気が吹き飛んだ。
こうやって二人でいるときですら、何か喋っていないと蓮に聞こえてしまいそうなほど、心臓の音がうるさすぎる。

間近に見る長い睫毛も、綺麗な指も…穴が開くほど見ていたいと思うけれど、やはりそれは失礼だ。暫く神々しいモノへの免疫が薄れていたせいで、真っ赤になって不審がられてしまうに違いない。または、もの凄くアホ面をかましてしまいそうだ。
せめて蓮のいい匂いと耳障りのいい声だけで我慢して、プチ敦賀セラピーといこうじゃないか。

二者二様の思惑を乗せて、車は美しい自然に満たされたアルプス山脈を抜け、ロマンチック街道に入る。一般的なコースとは些か逆向きではあるだろうが、この際それは置いておいた。

始めに訪れたノイシュバンシュタイン城を見て歓声を上げ、物語に出て来る様な町並みを見ては、うっとりと溜め息を付く。
風情のいい古城を見るに付け、神秘的な昔話を聞くに付け、旅行の始めの緊張感が噓のように、二人の距離はだんだんと縮まっていく。

だって、そんなデートはカインとセツカの時にはいつもしていた事。

まるで写真のような美しい景観の中で、自然と手をつなぎ、指を絡め、こっそりと楽しげに耳元に囁きかけるように会話を楽しむ一組の男女。

やがて車はライン川を見渡せる小高い丘の上に聳え立つ荘厳な城に着いた。

「すご…大きくて綺麗なお城…」
「ここはね、ホテルとしても有名なんだ。今日はここが俺達の宿」
「えっ…!?ここに泊まるんですか?」
「そうだよ、いや?」
「めめめめ…滅相もない!!こんな素敵なところに泊まれるなんて、思ってもみませんでした!!」
「気に入ってくれてよかった。今宵はここでお姫様気分を味わってみるなんて、どう?」

「~~~っ///!」

真っ赤になったキョーコに満足しつつ、蓮は車を駐車場に入れた。




(続く)
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