流れ星 ~続・幸せの定義~

 昨日から今日にかけてふたご座流星群がピークでしたね。午前3時の最大時は見逃してしまいましたが、綺麗な星空でしたので記念に残したくて書いてみました。魔人さま4周年企画「幸せの定義」の続編その1です。(←その2もあるつもりでいるんかい?)
魔人さま~!今回は申告しませんから、見つけたら、どうぞ勝手に持って帰ってくださいませ。

(追記)キョーコさんの労働時間をうっかり忘れてました。ご容赦下さい。





流れ星 ~続・幸せの定義~



Pm 11:00  撮影終了
 
「最上さん、終わった?」

キョーコがスタッフにあいさつして、スタジオを後にした後、急いで楽屋に戻ると、入り口の前で先輩俳優に声をかけられた。
今、撮影中のドラマ「愛やら恋やら男やら」
キョーコと蓮が共演しているドラマである。
蓮の出番は一つ前に終ったはずで、キョーコの収録が終わるのを待っていてくれたらしい。

「キョーコちゃん、お疲れ!今日はもう遅いから、蓮に送らせようと思って、待ってたんだ。」
「敦賀さん、社さん、いつもすみません!」
「いいから、いいから。な?蓮。」
「社さん、先に行って車を暖めてきます。」
「気が利くなあ。ほら、キョーコちゃん、待ってるから着替えておいで。」
「はいっ。すぐに!」

(嬉しい・・・。)

最近、こうやって遅くなった日には、必ずといっていいほど待っていてくれる。先輩後輩の域を出ない蓮の親切心と知りつつ、恋心を自覚した娘は頬染めて、急いで着替え始めた。


Am 0:00 社のマンション

「社さん、お疲れ様でした。」
「いつもありがとうな。蓮、明日は10時入りだけど、先に事務所に寄るから、別行動で。」
「はい。分かりました。」
「キョーコちゃんも、10時入りだからね。じゃあ、また明日。」
「はいっ、ありがとうございました。」

社を送った後はだるまやへ向かうのが、この撮影の間のコースになりつつあった。

「最上さん、申し訳ないんだけど、今日、少し遅くなってもいいかな?」
「はぇ?どうなさいました?」
「う~ん。ちょっと寄りたいところがあるんだけど、ついて来てもらう訳にはいかないだろうか?」
「え?敦賀さん、この後御用事があったのですか? すす・・・すみません。すぐに降ります!」
「え?(今、俺付いて来てもらいたいって言ったよな?)・・・いや、最上さんと一緒に行きたい所があるんだけど、だめかな?」
「はぁ・・・?」
「君の時間を少しもらいたいんだけど、だめ?」
「!(また、紛らわしい言い方を///)はぁ、まあ、だめじゃないので、いいですけども・・・。」
「じゃあ、少し遅れるって連絡しなくて大丈夫?2時間くらい空けてほしいんだ。」
「はい。分かりました。」

だるまやに連絡を入れると、女将さんが心配していたが、「送ってもらえるから」ということで安心してもらった。

「じゃあ、行こうか。」
フェラーリはすべるようにその場を後にした。

蓮が向かう先はどこなんだろう?かすかな期待と不安を胸に、おとなしく後部座席に収まる。しかし、疲れていたのだろう。あったかい車内といい匂いに眠気が襲ってきて、キョーコは心ならずもうとうとしてしまった・・・。



Am 0:30  公園 

「最上さん、着いたよ。」
「はわ・・・?はっ、すみません。寝こけてしまいました。すみません!」
「ああ、大丈夫。後ろ窮屈だったでしょ?少しは眠れた?」
「はい。良い香りに包まれまして・・・、つい、その・・・。」
「寧ろ嬉しいね。安心してくれたってことでしょ?」
(また、そのように持って回った言い方を・・・。だから世の女性たちは・・・)
「ああ、車に乗せるのは社さんと最上さんだけだからね。」
「・・・!! はい。すみません!」
「(くす・・・)最上さん、少し歩くから、座席にある毛布、取ってくれない?」
「はい。これですよね?・・ていうか、ここ、どこですか?都内でしょうか?」
「ついて来れば分かるよ。コートちゃんと着てね。」

車外に出るとブルッと身震いする寒さだ。今年は12月といっても日中は晴れることが多く、特にここ数日は夏日が訪れるくらいの暑さだったが、夜間は放射冷却の影響で、かなり冷え込む。
駐車場から辺りを見回すと木々が生い茂り、木立を抜けたその先には、薄暗くだだっ広い芝生に、ぽつ、ぽつと人影が見える。カメラを抱えて、こんな真夜中に何をしているんだろう?

「敦賀さん、ここ・・・公園ですよね?」
「正解。」
「あの、人がいますけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫。彼らの目的は宙にあるからね。」
「そら?」

キョーコはぐいんと宙を見上げた。

「わ・・・ぁ・・・っ、すごい、星!!」
街灯が少ないその公園の芝生広場の上には、ぽっかりと宇宙が広がる。
「あっ!流れ星!わっ!」
「(しーーーーっ・・・)」
「(むぐっ!)」

蓮が人差し指を立てて、キョーコを見つめる。
見つめる目線に、急に照れくさくなって、キョーコは宙を見上げた。

「ふたご座流星群。今日がピークらしくてね。最上さんは流れ星は初めて?」
「こんなにたくさんの流れ星は、初めてかも…流星群・・・。すごい・・・。次から次へと降って来る。あ、ほらまた!沢山お願いしなくちゃ。」

キョーコは目を輝かせながら宙に夢中になってしまった。
あまりに幻想的な夜空に吸い込まれるように、うっとりと見入っていると、

“ふわ・・・”

急に背後から暖かい温もりに包まれた。
「寒いでしょ?毛布を持ってきて正解だったね。」

蓮がキョーコの肩に毛布をかけ、後ろからすっぽりとコートでキョーコを包み込む。

(あったかい…。)

キョーコは跳ね上がる心臓を抑えながら、きっと赤くなっているだろう頬を悟られまいと、宙を見上げた。
蓮は自分の懐にキョーコを覆い隠すようにして、キョーコと同じ宙を見上げる。

(あぁ、幸せだ…。)

自分の腕の中には、愛しい愛しい彼女。
ドキドキが伝わればいいのに…。と思うくらいの距離に閉じ込めた温もり。蓮は嬉しくなって、今日、誘ってよかったと思った。

ここ数年間で条件が最高の流星群。
思いを寄せる女性と一緒に観ることができたら、どんなに素敵だろう。
そう思っていたら思いがけずチャンスに恵まれた。
キョーコが囁くように、つぶやく。

「夢・・・みたいです。こんなきれいな宙を見ているなんて。」
「うん。本当だね。そういえばさっき、最上さんは何をお願いしたの?」
「ふふ…。秘密です…。」

(俺はずっと、最上さんと一緒にいたいな…。)
暫く時を忘れて、細く糸を引く星空に見入った二人だった。



Am 2:30 だるまや前

「今日は、ありがとう。遅くなっちゃったね。ごめん。」
「そんな!素敵な流れ星観測に誘って下さって、ありがとうございました。」
「最上さんと一緒に見ることが出来て、とても、嬉しかったよ。」
「…はい///(また!そんな神々スマイルだと勘違い…)」
「こうやって誘うの、最上さんだけだから。」
「(ふぐっ)」
「また、行こうね。」
「は…、はい。」
「本当は、これから3時ごろが流星群のピークらしいけど、もう遅いから…。ちゃんと眠るんだよ。じゃあ、また明日。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみ」



キョーコは、大将と女将さんを起こさないように部屋へ上がり、静かに窓を開けた。
小さく四角に切り取られた夜空はさっきより少し明るい。
白い息が目の前に薄く広がり、時折、流星がスーっと光の糸を引く。
星の軌跡を目で追いながら、願い事を想った。


(敦賀さんと、また、流れ星が一緒に見えますように…。)



(終)
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コメント

んぎゃーー!魔人としたことが見落としていました!!!

大ぼけ魔人ですみません!

大遅刻ですが、しっかりゲットさせていただきました。追加ボーナスを有難うございます。

幸せの定義 の修正版も読ませていただきました。キョコさんと蓮さんのやり取りが良い感じになっていて、楽しかったです。
  • 2015-12-28│22:07 |
  • まじーん URL
  • [edit]

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