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超ダメダメな彼

こんばんは

ちょっとしたSSです。







「敦賀さん…」
「……」

「…あの…」
「……」

「…敦賀さん?」
「………ん…もうちょっと…」



超ダメダメな彼




「ダメですよ?もう時間が来てしまいます。」
「…………」

そういうキョーコに、しぶしぶといった風体でのろのろと身体を起こした。
事もあろうに、ラブミー部の部室のソファーでキョーコの上に覆いかぶさり羽交い絞めにしたまま20分が経過。

そろそろ用事を終えて、社が戻ってくる頃だ。

「~~~~~…もうちょっとだけ…」
「ダメですってば!」

油断すると、一旦起こしたその大きな身体の全体重をかけるように覆いかぶさってくるので、不安定な体勢では、すぐに組み敷かれてしまう。
キョーコをがんじがらめにしている手が、不埒な動きをしていないだけまだましだ。

「…だって…」

そう言って、更に首筋に鼻を擦り付けてくる。

「ひゃうわっ!ま…まままま…待ってください。」
「…補充中だもん…」
「だもん…って、敦賀さん、お願いですからそろそろ離れてください。社さんが帰ってくる時間です。」
「別に、気にしなくていい」
「敦賀さんが気にしなくても、私が気になるんです!モー子さんだって天宮さんだって、いつ部室に帰ってくるか分からないんですよ?」
「…別にいい…鍵閉めたから…」
「私がよくありません!!」

もがきにもがくキョーコだが、当然のように蓮の体はびくともしない。
きっとこの体勢を目の当たりにして、この会話を直に聞いたなら、温厚紳士で抱かれたい男No1なんて、誰が思うだろう?
ただの駄々っ子にしか見えない。

けれど、蓮の表情から時々垣間見えるのは、不安そうな瞳。

「…これからロケで一週間も離れるのに…最上さんは平気なの?」

「平気なわけ…無いですけど…」

そう、現在キョーコが困っているのは、つい一ヶ月ほど前から付き合い始めたばかりの事務所の先輩、敦賀蓮のダメダメっぷり。
勿論仕事に支障をきたさない範囲での甘えだとは分かっていながらも、神と崇めたあの男が!芸能界で活きる術を、心の法則の教えを出す敦賀教の教祖が!こんなに甘えた態度でLME内にいることが信じられない。

「敦賀さん…一言申し上げてもよろしいですか?」
「いやだ…お説教は聞かない。」

「な…!!?子どもっぽいですよ?仮にも抱かれたい男でしょう?」
「最上さんに思ってもらえなければ意味が無い」

「うわ!屁理屈!本当に子どもっぽいですよ?」
「子どもっぽいなんて、最上さんには言われたくないな」
「うわー!うわー!幻滅!」







「…幻滅…する?」
「しますよ!当たり前じゃないですか!」

「…幻滅……するんだ…」

そう言って、またしょぼ~んとキョーコの首筋に顔を埋めた。

あら、言い過ぎたかもと、ちょっとキョーコも少し反省だ。

だって、本来ならばそんなダメっぷりを晒すような男ではない。
当然いつものように颯爽と、格好よくロケに出かけるものだと思っていたのに、昨日たまたまキョーコのロケが長引いて、蓮のほうもハプニングがハプニングを呼んで…ようやく社がもぎ取ったはずの晩御飯タイムが露と消えた。

しかも、今日のお昼はこれまた久しぶりにキョーコのお手製弁当を食べる筈だったのに、よりによって断れない部類の番組プロデューサーから無理やり食事を取らされてしまい、彼の胃の中にはもう余裕が無い。
消化剤を飲み、キョーコの膝枕で休憩を取るはずだったのだが…

ここしばらく会う事さえままならなかった反動で、キョーコを羽交い絞めにしてしまったのだ。

スケジュールが詰め詰めなのも、人気俳優の泣き所
キョーコに会えたことすら10日ぶりの、久しぶりの抱擁
顔を見た瞬間に、ここが事務所でラブミー部室である事すら一瞬忘れたほど

キスしたいのはやまやまだが、外ではしない…と一応決めている。
いや、決めさせられたというべきか。

(だから、昨日したかったのに…明日からまた一週間も会えないのに…キスさえも出来ないなんて拷問だ)

まだ、身体の関係には至っていないキョーコに許される接触は、“キス”と“ハグ”まで
それを最大限に補給したいと思うのは、いい加減成熟した男なら仕方がないのかもしれない。

「キス…していい?」

「ダメです。約束したじゃありませんか」
「………じゃあやっぱりもう少し…」

「ダメです!時間切れです!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~」

「ダメ息ついたってダメです。」

「…つれない…」

キョーコに向かう気持ちと、キョーコが自分を思ってくれる気持ちに差があることは、重々承知している。


ドサクサに紛れて告げた言葉
うっかり反応したラブミー部のラスボス


もうそれからは気持ちが止まらなくて、少々強引に彼女を絡め取った。

たどたどしい唇も、ぎこちない抱擁も、全部…全部自分だけのもだと分かっていても、それでも渇きが癒されない。


与えたい、与えられたい

愛したい、愛されたい

包みたい、包まれたい


今はまだ多くを望みすぎな事も分かってはいるけれど、会えなかった10日間も、これからロケで会えない一週間も、その間に予定されているキョーコと馬の骨予備軍のキスシーンも…

全部…どこかに放り投げてしまいたい


(全く…俺がどんな気持ちでいるのかも知らないで…)


チリチリと渦巻く独占欲を隠しきれず、悶々とキョーコの匂いと体温を必死に吸収していた時、それは聞こえた。

「大丈夫ですよ?帰ったら抱きしめてあげます…」




「…え?」

不意に顔を上げると、キョーコはちょっとだけ顔を赤らめていた。

「え!?って…そりゃ私だって敦賀さんとずっとこうしていたいですけど、お仕事なんだから仕方がないじゃないですか。その…敦賀さんが私…と一緒にいたいって思ってくださるのは、素直に嬉しい…です/// だから、帰ったら、次は私に抱きしめさせてください!!」




「……うん、楽しみにしてる…」




その瞬間、部室前廊下には砂山が出来た。
ノックできずに固まったままの有能マネージャーが放心状態で吐き出すじゃりじゃりとした白い砂…

しかし、先ほど聞こえていたでろ甘い会話がぱたりと聞こえなくなった事に、どうしよう…と胃を押さえながら青褪め始めている事など、部屋の中の二人は知らない。





(終わり)





甘えた蓮さん。


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コメント

No title
敦賀さんかわいいですね(*^^*)今度会うときはキョーコちゃんは離してもらえないですね(笑)
  • 2017-09-18│21:21 |
  • あやめ URL│
  • [edit]
Re: No title
> あやめ様

コメント、ありがとうございます。

敦賀さんかわいいでしょう?
超だめだめんずなんだけど、可愛い~~!!と一人萌(乙)
本当に、次に抱きしめたキョコさんはどうなっちゃうんでしょうか?
  • 2017-09-23│09:58 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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