それは受難か恩恵か 5

コレでよかったのか、悪かったのか…







「キョーコ、ちょっと話があるんだけど…いい?」
「はい、なんでしょう?」

蓮の姿をしたキョーコが料理の後片付けを済ませ、洗い物が終わった頃を見計らって、キョーコの姿をした蓮はキョーコに声をかけた。

「びっくりしないで聞いて欲しいんだけどね」
「…?」
「…今日…石橋君から “坊” 卒業の記念に一緒に食事会はどうかな、って君へのお誘いがあったよ。」

その瞬間、案の定キョーコの表情がピキリ!と固まった。




それは受難か恩恵か 5




「たっ………大変申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁ~~~!!!!!」

盛大にへしゃげた俺の大きな身体。
イメージ的にはキョーコで間違いないのだけれど、凄い違和感。

「それはいいから。ほら、身体起こして…」

ひれ伏す敦賀蓮の側で大丈夫と諭す最上キョーコの図…
これは自宅じゃなかったら、大変だな…と、意外と冷静な蓮の思考回路だった。

「怒って…ませんか?」
「怒ってないよ。」
「ホントに…?」
「うん、ホント。」
「絶対…?」

困ったように見上げる自分の顔は、凄く情けない。
そうか、自分は困ったらこんな表情になるんだな…と思うと、ぷっ!と笑みが漏れた。

「ねえ、キョーコ、敦賀蓮的にはそのビジュアル、かなり拙いから!まあ座ろうよ。飲み物準備するけど、いつものでいい?」
「うっ…はっ、はい、すみません。」
「じゃあ、待ってて?」

キョーコをリビングに追いやり、いつものようにコーヒーとカフェオレを準備する。リビングに目をやると、ちんまりと…ソファーに座っている姿はなんだか叱られている小さな俺みたいで、これもまた可笑しい。

「お待たせ」

カフェオレとコーヒーを入れると、キョーコの前にそれを置いた。

「いただきます…」
「どうぞ」

コクリ…

「苦っ…」

いつものコーヒーが苦く感じた。

「キョーコの味覚になっちゃってるみたいだね、今日は凄くお腹が空いたよ。」
「あ!それは私も思いました。本当に蓮さんの身体ってお腹が空かないようにできてるんですね。食べると一応入るんですけど、すぐにお腹一杯になるし。」
「そうかな?最近は規則正しく生活してるから、ちゃんとお腹が減っていると思ってたけど?」
「まだまだです!」
「そうか…で、さっきの件なんだけどね」

ぴきッ…

「そんなに警戒しないで?本当に怒ってないから。」
「でもっ…!黙っててすみません!本当にごめんなさい!」
「あ~…うん。結局俺はキョーコにキョーコの相談をしてたわけだったんだね。」
「う…はい。」
「それなのに、どうして自分のことを相談されてるってことに気がつかなかったの?付き合い初めの頃も、相手は自分じゃないとか言って変なことを言うとは思ってたけど…」
「いや~…そのぉ~…四歳年下の“キョーコちゃん”が、その当時は自分だと思ってなかったので…もっ…勿論、今現在は解決しておりますが!」
「じゃなきゃ困るよ。…で、実は話の本題はそこじゃなくて、行くの?食事会」
「食事会…う…できれば行きたいのですが、蓮さんは…」

「ごめん、できれば遠慮したい。」
「…ですよね。すみません…。」

「ん~…行きたくないのは、石橋君の気持ちが見えちゃったからだけどね。」
「石橋…光さんのですか?それとも?」
「ああ、光君のキョーコに対する気持ち。気がついてた?」
「え?事務所が同じで番組を一緒にさせていただいているだけですけど。」

はぁ~っと蓮は溜め息をついた。

「…無自覚ってホント、手に負えない。行くときっと告白されるよ?」
「告白…うっそぉ~!されませんって!」
「じゃあ俺が行ってこっぴどく振ってもいい?」
「なッ…何てことを!…まさか、本当に本当ですか?」
「俺の勘違いでなければね。もしかしてとは思ってたけど、もうキョーコは一人で行動しない方がいい。危なっかしくていけない。」
「む~~!!それを言うなら蓮さんもですよ!どれだけタラシでコマシなんですか!まあ…知ってはいましたけど…間近でみると、やっぱりいやなものなんです!」

可愛らしいヤキモチを心から嬉しいと思う。

「それは元々そんなつもりの無い事だけれど、キョーコを不安にさせたなら謝るよ。キョーコだけしか好きじゃないよ?」
「う…(///)でも、ごめんなさい…嫌だって言いながら、今日、女優さんに無駄に笑顔を振りまいてしまいました…。そして誤解させるような事も言ったかも…」
「ま、不可抗力かな。他には?」

「社さんに叱られました。」
「……社さんに?なんで?」

「蓮さんの気持ちを疑ったから…」

本当に困ったように、申し訳無さそうに指先を弄るキョーコ。
蓮は目をこすりたくなった。
そこに見えるのは自分の顔に違いないのだが、キョーコに見える。

「そうか、やっぱり不安にさせてたんだね。でも、俺も一緒かもしれない。俺は俺で、必死に俺以外の男に振り向かないで欲しいと願ってたから。」
「振り向きませんよ!私は一途なんです!」
「うん、違いない。そういうところも好きになったんだから。けれどね、警戒も大事なんだ。そこのところは肝に銘じておいて。ね?キョーコ。」

キョーコは、まじまじと自分を見た。
自分の顔からもれるのはやっぱり蓮の神々スマイルで、怒りは見えないどころか、微笑む蓮に見えてくる。

「あの…“坊”の事も、蓮さんの気持ちを疑った事も……怒ってない?」
「…うん、怒ってない。」

「本当に…怒ってない?」
「怒ってないよ。まあ…キョーコがふらふらとし始めたら、どうなるか分からないけどね。」

「(ほっ…)…よかったぁ…」

キョーコが頬染めたその瞬間、蓮の心臓がドキドキと脈打ち始めた。
前にいる人間の中身は無論キョーコに間違いはないのだが、ちゃんとキョーコに見える不思議…
自分自身の顔の筈なのに…だ。

(不味い、こういうの…倒錯…って言うんだろうか?)

自分の顔したキョーコに口付けたくなるなんて、これは困った…
自分自身に口付ける事になると、それはそれで倒錯じみていると思い、憚られる。
…と、思っていたその時、


「あの…蓮さん…困りました…心臓がドキドキしてきて、股間が…その…い…痛いです…」

ぶっ!!


(そうか…お互い、そんな気持ちになるんだな。)

けれど、自分自身のキョーコに対する欲望を、身をもって体感してもらえる機会なんて普通だったら100%無い。
そういえば、心臓のドキドキも自分が感じている以上に新鮮な気がする。

「目…瞑ろうか?どうしてもキスしたい。」
「…はい。いい提案だと思います。」

目を閉じて、ゆっくりと二人は唇を合わせた。





(続く)



どうしよう?自分自身が見えたら…欲情、するのかな?いや、しそうにない。(自爆!)
この二人はまあ良いかってことにしておいて!!
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こんばんは(^^)

ヾ(≧∀≦*)ノ〃アハハハハーーーー!!!!笑えます!!
キョーコちゃんの口から股間が痛いとか(爆笑)
なんだか怪し〰️い雰囲気ですね(  ̄▽ ̄)💦
どーなるのやら…
ここまで面白い方向になるなら、イメージがーとかならないと思います(^^)
次も楽しみにしてます😀

楽しいお話ありがとうございました☆

Re: こんばんは(^^)

> じゅんこ様

笑ってくださって、ありがとー!!
きっと、何これ?何これ?状態だったんでしょうね。
どんな感じなんだろう?体験してみたい気がしますよ。(うしししし)
もう既に、敦賀蓮イメージなんてどうでもよくなっている蓮さん。
だって、自分の顔がキョコさんに見える不思議ですよ?
有り得ないわ~~!!
コメントをありがとうございました。

大変な1日を

傍目には、何事もなく、スムーズに終えた二人。

互いに相手の立場を踏まえ、我慢をしつつも、自分の気持ちに正直になれ、それを告白しあえてよかったです。

キョコさん、蓮さんの興奮を自分自身で体験できてよかったですね〜〜!しかし、キョコさんさえ、やる気になれば、最後まで体験できそうだ。(笑)

まあ、顔はともかく、自分の全身に口づけは無理そうですけど。(大笑)

とりあえず、キョコさんが自分に戻ったときには仕事のためではなく、守るためにマネージャーがつきそうですね!←

続きも楽しみにしてます。

Re: 大変な1日を

> まじーん様

コメントをありがとうございます。
最後まで体験…しちゃうんですけど、その気になったのはやはり蓮さんの影響が強いかも?
男性の興奮状態って、どんな感じなんでしょうね?
ちょっと興味があります。でも絶対に体感は無理ですけど~~(まあ、破廉恥!)

自分自身にキスはいいけど、確かに全身は無理ですね。
だから目を瞑ってして頂きました!!
バカ話ゆえ、笑っていただけましたら最高に嬉しいですよ~~♪
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かばぷー

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