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任務 3

うふふ…展開、早いかな?
今回は蓮さんバージョンです。





任務 3 〈ソレハ動揺?〉





社とロッカールームに向かった蓮は、じっと右手を見ていた。

「蓮?手、どうした?」
「え…?手?」

蓮はまじまじと自分の手を見た。

「…いえ、なんでもないです。」
「ならいいけど、それよりさっきのアレ、珍しい事もあるもんだな。お前がバランス崩して寝技に持ち込まれるなんてさ。」

社がそういうのも納得がいくほど、蓮は実戦に強い。
バランスを崩して押さえ込まれる場面だなんて、たとえ訓練中であっても社は初めて見たのだ。

「たまにはそういうこともありますよ。」
「たまには…か?」
「そうですね、実は…最上さんが思いの他、軽すぎたので。」
「あ~…そうか。そうだな、確かに彼女は軽量級だね。何?陸軍士官学校では女性はいなかったの?」
「いることはいましたが、身体的には恵まれている子が多かったですから。」
「ふ~ん、やっぱりそうなんだ。寝技に持ち込まれても、軽々と返してたもんな。」
「ええ……」


確かに、彼女は軽すぎる。
掴んだ襟を引き寄せたら、ふわりと身体が浮いた。
あまりの軽さに、調子が狂ったなんて格好悪い。
おまけに油断した途端に襟をつかまれて、くるりと反転した身体の反動を使って寝技に持ち込まれるなんて、初めての経験。
まさかあのタイミングで襟を取られるなんて、思いもしなかった。しかも、反動を上手く利用されたとはいえ、いきなり女性に押さえ込まれるなんて…

多分、押さえ込まれた時に顔に当たった柔らかいのは…いやいや、俺は何を反芻してるんだ?女性特有の柔らかな感触に、反応が若干遅れたなんて俺らしくもない…って、あれは柔道着!あの感触を思い出すなって!!


「おい?何を頭を振ってるんだ?」
「あ…いえ、何でもないです。」


どうも思考の渦に嵌っていたらしい。
本当に自分らしくない。次に押さえ込んだときにも、凄く細くてこのまま押さえ込んでもいいのかと不安になった。
どこかに力を入れると、折れてしまいそうなほどに細くて柔らかくて頼りなくて、組み敷いただけで動きを簡単に制御できて…って、組み敷くって何だよ!?

自分は上司として彼女の行く末を心配しているのだ。アレだけ軽かったら、実戦には不向きだろう。村雨が投げられたからって、それは一瞬の事だ。彼らだってボディーガードとしては上級の部類だ。彼女を押さえ込むくらい簡単なはずだ。
だから、彼女に練習相手を挑んだんだろうし…いくら、彼女から優しい匂いがしたからって、そんなにがっついたあいつらみたいな気持ちになったって言うのか?
いや、ないない…それは、ない。

……ないはず!


「だから、そんなに頭を振って、一体どうしたんだ?頭痛でもするのか?」
「いや!なんでもないですから、気にしないで下さい。」
「???」

(…ここまで思考が囚われるなんて、どうかしてるな。)

しばらく蓮は、己の脳の稼動領域を制限しなくては…と思う羽目に陥っていた。







「キョーコ、あんた今日、敦賀班長と試合したんですってね。」
「え!?モー子さん、何でそれ…」

就業後のロッカールーム
隣り合わせのロッカーで、同期入社の琴南奏江がキョーコに声をかけた。

「総務はその話でもちきりだったわよ。敦賀班長が女子社員の相手をしてたって。で?どうだったの?」
「どうって…?」
「お姉さま方が興味津々だったというか、半分やっかみ…だったわね。」
「え~?思いっきり負けたのに!?」
「何で負けたの」
「…寝技」
「あら、そういうこと。」

奏江は納得がいったように、頷いた。

二人はほぼ同じタイミングで着替え終わり、ロッカールームを後にする。

向かう先は会社の近くにある、賃貸のワンルームマンション。
入社式で偶々隣の席に座った二人。次に出会ったのはマンションのドアを開けたときだった。見た事ある人間が隣り合わせの部屋に住んでいることに、互いに吃驚した。
けれど、研修でも度々一緒になる二人は、何かと行動を共にする事が自然と増えた。もっぱら、クールな奏江にキョーコがメロメロになっているだけなのだが、奏江もまんざらではないらしい。
最近では料理の得意なキョーコの部屋で時々一緒に御飯を食べ、お酒を飲むこともあるほどだ。

「で?敦賀班長って実際、どうなの?やっぱり強いの?」
「うん!凄く!」
「ふーん、村雨さんや石橋さんとどう違うのよ。」
「う~んとね…」

班長は凄くがっしりしていた。
村雨さんも凄くしっかりした体つきなんだけれど、筋肉の付き方がちょっと違った。
足元も普通だったら簡単に投げられるのに、床に張り付いているみたいに重心がしっかりしていて、バランスを崩すだけで精一杯。
一件そんなふうに見えないんだけど、胸板が凄く厚くて、立派な上腕二頭筋と三頭筋の感触がして、おまけに体温が高くて…

「…って!!最上キョーコ!何を考えてるの!?」

「はあ?いきなり何?」
「うあっ!ごっ…ごめん!敦賀班長は、凄く重心がしっかりしてて、崩しにくかった!」
「重心が?アレだけ背が高いのに?聞いたところによると、始めはアンタが、上手い事押さえ込みに入ったって聞いたわよ?」

何でそんな情報が総務に行くのよ!?と突っ込みたいほどだ。

「う~、あれは~…」

押さえ込みって言ってもすぐ返されちゃったのよね。軽々と帯を引っ張られて、簡単に身を返されて、逆に押さえ込まれて…じたばたするだけ損だと思えちゃったのよね。じっとしていた方がいいみたいに…そういえば、柔道着なのになんだかふんわりといい匂いがして、少し夢心地だったような…


「…っ!だから!普通はそんなふうに思わないって!」
「……何?もしかして、押さえ込まれてときめいたりしちゃった?」

「とっ…トキメク!?なんて恐れ多い!そりゃ良い匂いはしたけど!」
「ふ~~ん、いい匂い、したんだ?」





「………………した。」

「あら、そ。まあいいけど。それ、黙っておきなさいよ。ボコボコに詰め寄られるわよ?」
「ひぇえっ!!やだ!やだやだ!怖いぃぃ~~!!」

奏江はかなりの情報通だ。
キョーコが実務研修で敦賀班になったことを、面白く思わない人間がいる事は知っている。
あれほどの容姿とスペックだから、当然といえば当然。
蓮の人気は高いけれど、女子社員にとっては高嶺の花過ぎるし、一向に靡かないのも彼の人気を高めている一因でもある。
だから、敦賀班の班長が新人女子社員相手に組み手の相手をした挙句、寝技に持ち込んだなんて前代未聞。
そんな他愛もないことが話題になるほどに、蓮の人気は社内でも凄まじい事になっているのだ。

「敦賀班長は、外見、身体能力、どれをとってもハイスペックで、狙っている女性は多いのよ。だけど経歴で躊躇しているお姉さまも多いくらいだから、言動には気をつけなさいよ。」
「経歴…?」
「ああ、何だ、まだ知らない?班長、ああ見えて日本人じゃないわよ。」

「…へ?」

「うん、アメリカ国籍。しかも、陸軍士官学校卒のトップエリート。なのに、どんな経緯かは知らないけど、日本でボディーガードなんてやってる。村雨さんは神のような存在だって言ってたわ。まるで信者ね。」

(敦賀班長がアメリカ国籍?しかも、陸軍士官学校?それって、陸軍幹部が約束されているという超エリートでしょ?うっそぉ~~~!!)

「有名な話らしいけど、私が言ったって黙っておいてくれる?自分の素性を人に言われるってあまり面白くないかもだし、ついうっかり…。ごめんねキョーコ。」
「きゃぁぁあん、モー子さん!ごめんなんて謝らないでぇ~~。」

この様子なら、キョーコが蓮に積極的にアプローチしているとか、敦賀班長が好きだとか、そういうわけではないらしい。
お姉さま方がピリピリしている理由は、この子にあるわけでは無さそうだと奏江は少しだけ胸を撫で下ろした。

まあ、村雨や光の積極的なアプローチにさえ気付かないニブちんのこの子が、蓮が珍しくキョーコを気にかけている事に気付く訳ないかと思う。
それがかえって、独身の…しかもイケメンぞろいの敦賀班に投げ込まれたキョーコに、嫉妬の眼差しが向けられる原因になっているなんて、筋違いもいいところだ。

「でもさ、敦賀班長の顔って、整いすぎて人間っぽくないのよね…」

「あんた…能天気な爆弾発言は大概にしなさいよね。」

その顔にどれだけメロメロな人間がいるのか、聞く人間が聞いたらボコボコにされるに違いないだろう発言に、奏江は唖然とした。





(続く)
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コメント

いやもう
面白すぎて、すぐに帰れません!!(笑何度か読み返して、満喫してから帰ります。

二人はお互いに、まだ気持ちには気づいてないんですね〜。うふふ。

しかし、キョコさんは、もしかして蓮さんが思うより強い?

「アレだけ軽かったら、実戦には不向きだろう。村雨が投げられたからって、それは一瞬の事だ。彼らだってボディーガードとしては上級の部類だ。彼女を押さえ込むくらい簡単なはずだ」とか思われてますが、蓮さんには勝てなくとも、体重や力で他の同僚に及ばないぐらいでは負けなかったりして〜。本気で危険ば場合の実践では急所で仕留めることも普通にありそうですものね。(*´∇`*)ハハハ

二人の関係がこれからどうなるのか。続きが楽しみです。

(ぎゃー、入力の反応がおかしい、次の火曜も無事これますように〜。ガクブル)
  • 2017-11-18│20:39 |
  • まじーん URL
  • [edit]
追記
「胸板が凄く厚くて、立派な上腕二頭筋と三頭筋の感触がして」というところ。

ボディーガードなキョコさんと、タレントで女優なキョコさんとでは、体の筋肉について語るにしても、ちょっと違う感じがしますね〜。

タレントで女優なキョコさんは、バランスの美しさに惚れ惚れしてますけど、このキョコさんは筋肉をフェチなところが出てますね〜。

筋肉への愛が感じられます。うふふ。
  • 2017-11-18│20:48 |
  • まじーん URL
  • [edit]
Re: いやもう
> まじーん様

>面白すぎて、すぐに帰れません!!
↑きゃう~ん!なんて嬉しい褒め言葉!

キョコさんね、強いんです!ええ、間違いなく強いんです!
村雨さんと光さんとがあっさり負けてますけれど、そんな…強くても油断がないと負けないレベルですが、まあそれには訳がありまして。何かの思惑を持ってキョコさんに乱取りを希望する男性社員の思惑も透けて見えますよね。

> (ぎゃー、入力の反応がおかしい、次の火曜も無事これますように〜。ガクブル)

これ…超、恐ろしい現象です。
本当で早いところバックアップをお取りになってください。
うちの先代パソコンも、そうこうしてたらあっという間でした。
それまでに買い換えたので事なきを得ましたが…本日もお引き受けくださり、ありがとうございます。

  • 2017-11-18│21:02 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
Re: 追記
> まじーん様

おおう!連続コメントありがとうございます。

> 筋肉への愛が感じられます。うふふ。

ぬひひひひ?うふふふふ?でへへへへ?
相変わらず筋肉フェチな我輩ですよ♪(←人はこれを変態という…ゲフン・ゴフン!)

やっぱりねえ、好きな筋肉談義には熱が入りますですよ。
消防士さんの格好いい使える筋肉の時もですが、このBG軍団もいい筋肉をしていて欲しいですよね。
それはもはや願望以外の何者でもありません!
  • 2017-11-18│21:06 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
密着寝技の後は
こんばんは。

ふふふ、密着した寝技から、蓮さんとキョーコさんはそれぞれなにかを感じ取った様子…。
これから、じんわりと近づいていく二人に、ドキドキしちゃいます。
蓮さんの過去も何かありそうだし、、、。
  • 2017-11-18│22:48 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: 密着寝技の後は
> harunatsu7711 様

密着寝技からの~~~って感じでしょうか。
またこれがじわりじわり…と接近していきまする。
でも、大丈夫!
ハピエン目指してGO,GO,GOなのですから。
  • 2017-11-19│13:46 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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