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任務 4

こんばんは かばぷーです。

4話ですね。
なんだか最近、お話が長くなりがちなんですよ。
コンパクトにまとめたいんですけどね。

では、続きより、どうぞ。







任務 4 〈負ケタクナイ!〉 





研修中のキョーコに割り当てられる仕事は、主に警護の補佐だ。
敦賀班のメンバーは5人。班長の蓮を筆頭に、副班長でフォー・スターの社、トリプル・スターの村雨と光がいる。社と村雨、光にくっついて護衛を行い、仕事を覚えていく。
しかも、シングルであるキョーコができるのは、ローリスクまたはミドルリスクの仕事に限られ、ハイリスクの仕事にはまだ携わったこともなければ、一度も蓮と組んだことはなかった。

「蓮、次の仕事は貴島班の応援に入るけど、キョーコちゃんどうする?」
「そうですね…」

依頼内容にざっと目を通す。

「…入れましょう。前の研修先でもあるし、動きやすい筈ですから。」
「そうだな。そうしよう。」

社はミーティングのために班員に声をかけた。





とあるアイドルグループのコンサート会場の警備
握手会やサイン会も用意され、ファンにとっては涙が出るほど身近に感じられるイベントだが、アイドルたちにとっては緊張の1日となる。

キョーコの前の研修先でもあった貴島班は、警備のための大きな人員を抱えている部署だ。
アイドルのコンサートや官公庁主催のイベントなどの警備を中心として配置されており、男性も女性も多くいる。

普通ならば貴島班だけでも十分まかなえるイベントの筈だった。だが、今回の敦賀班への応援依頼はまた別の理由がある。

グループの中心となるアイドル2名の訴えによると最近ストーカー行為が頻繁にあるという。普段は事務所の車で送迎しているがファンに紛れて接触を試みて、若干怖い思いもしているというのだ。
それがコンサート会場となると、対象が広がる上に警備も甘くなる。サイン会や握手会を中止するわけにも行かず、そこを狙われる可能性があるが故の二重警備が今回の依頼だ。

敦賀班の5名はスタッフジャンパーを身に付け、一般警備に紛れ込んだ。
いくらスタッフジャンパーを身に付けているといえど、あまりに近寄り過ぎてはいけない。よって、アイドルが移動する場所ごとに社とキョーコ、村雨と光がバディを組んでその二人の身辺警護に当たり、会場全体を蓮と貴島が把握していた。

握手会も終盤に差し掛かり、満足そうに会場を後にする客たちを見送ろうとしたその時、怪しい視線をキョーコは捉えた。

鉢植えの影でこちらを見ている帽子を目深にかぶっためがねの男。青のチェックが入ったシャツにデニムのジーンズ。ありきたりの格好には違いないのに、違和感を覚える。
キョロキョロとあたりを伺うように握手会ブースに近づいた時、アイドルの表情がさっと強張ったのをキョーコは見逃さなかった。

「社さん!ストーカーです!」

イヤホンですぐに社へ連絡を入れる。

『了解、すぐに行くから刺激はするな。』

その時、男が一瞬で動いた。アイドルまでの距離は約2m
さっと出した右手には白いものが見える。

「刺激はするなったって…!」

「あっ…!」とアイドルが短い悲鳴を上げた時、同時に「…くそっ」という呻き声が聞こえた。キョーコがアイドルを背にして庇ったのを見て、男の動きが止まった格好だった。
周囲には瞬く間に悲鳴が上がり、それに興奮した男は一目散に駆け出していく。

「あっ!待ちなさいよ!」

小太りのくせに意外と逃げ足が速い男をキョーコは追いかけた。
直後に無線が入る。

『最上?どうした?』
「男を追跡します!西出口方向へ逃走中です!」
『だめだ、最上!社を待て!……チッ』

イヤホンから聞こえるのは班長の声。
だが、キョーコは制止の声を聞かず、男を追跡した。

追い詰めた先で、男は荒い息をしていた。
肩を震わせて眼鏡を白く曇らせている。キョーコに追い詰められた男は持っていたナイフをキョーコに向けた。

「そんなもの出したって無駄よ。もうすぐ警察が来るから、大人しくして!」
「寄るな!寄るなあ~~!!」

ナイフをブンブン振り回して、キョーコのほうに向かってくる。

「寄るなって言ったって!そんなもの振り回したら、危ないでしょーが!」

向かって来る刃物の奥に見える油断した手首…
キョーコの目が捉えたそこを的確に掴み、体重を横に逃す。

ズチャッ!

不細工な音とともにつぶれた男の上に乗り、ナイフをもった手を上から押さえつけた。

「班長!男性を確保しました!」
『最上!油断するな!』
「大丈夫です…うわ…ちょっ!!動けるの!??」

言い終わらぬうち、男がむくりと身体を捩る。キョーコはその勢いを自重で抑えきれない。
蓮が前回、寝技を返してきたように、形勢があっという間に逆転した。自分の上にやたらと大きい何かが覆いかぶさって動けない。男が手を振りかぶった時、咄嗟に目を閉じた。

“ごりゅ…っ…”

「ぐうっ!うぁああ~っ!」

有り得ない音と叫び声。

「最上、目を閉じるな、開けていろ。」

低く…地を這うように声が響いた。
やがて取り除かれる男の体重。

そろり…と薄目を開けると、目の前に怒りに満ちた蓮の顔がある。

「どこも怪我はないか?」
「はっ…はい。」
「…そうか…。」

視界の端では、社さんが警察とともに男を連れ立っている。引渡しをしているようだ。
それを見届けると、再び蓮はキョーコに向き直り、ほーっと息を大きく吐いて膝をついた。

「全く…無茶をしてくれる。いいか最上、俺たちの仕事は警備、あくまでも護衛だ。逮捕じゃない。」
「…はい。」
「俺達は警察じゃないんだ。拳銃も何もない。」
「…はい。」

「頼むから…丸腰で武器に向かうのはやめてくれ。」

真剣な、それでいて悲痛な面持ちで、蓮はキョーコに諭した。



「………………すみません……軽率でした…」

ポン…ポン…

しゅーんと俯いたキョーコの頭を大きな手が優しく触れる。
チラリ…と目線を上げると、柔らかい笑顔がそこにあって、またキョーコは息が止まるかと思った。

「分かったならいい。さあ、撤収しよう。」

スッと立ち上がった蓮の姿を思わず目線で追いかけた。





(続く)
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コメント

コメント(4)
日本での警備は。
確保といっても、拳銃突きつけて相手を地面や壁にくっつけるわけではなく、体を押さえつけるだけなんですよね〜。
ただ押さえて安心・・・はしちゃダメですね〜。
まあ、警察なら確保した瞬間手錠を早業でかける人もいそうですが。
(図○館戦争で、試合では勝負がついて終わりだけど、実戦ではそこで終わりじゃないとおこられていたような)

キョコさんの命の危機に、蓮さんが間に合ってよかったです。

蓮さんなら、相手を上手く引き離して上で抑えることもできたでしょうけど、何気に犯人は制裁を加えられてそうですね。(笑)← 

この出来事で、ふたりの距離は縮まるんでしょうか。
うふふふふ。
続きも楽しみです。



まじーん

2017/11/21 20:20 URL 編集返信
Re: 日本での警備は。
> まじーん様

今回もお越しくださり、ありがとうございます。
さて、これがSPのお話ならば、拳銃の携帯も考えたのですが、BGのお話なので悩んだところです。
現実、一般の警備会社は武器類の携帯は出来ませんし、逮捕活動なんかも出来ませんからね。
あくまでも、護衛一本でお話を作ってみました。
だからこそ生まれた設定といえますでしょうか。
今更ですが、SP系でお話を書いてもよかったと思わなくもないですが、調子にのって戦闘シーンとかこてこて書きたくなってドツボに嵌ってしまいそうだったので…
二人の距離…どうなります事やら?

かばぷー

2017/11/21 22:42 URL 編集返信
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-

2017/11/22 14:51 編集返信
Re: うふふ。
> ○じーん様

うひゃあ~!!誑かされてるっ!?
おねだり来ちゃうなんて感謝ですけど、ハードル高!!

ホントにねえ、SPで書けたらまた別の意味で楽しいんでしょうけど、研修中って言うのが意外と私の中で引っかかってしまって…
警察学校をでた後の動きとか、実務経験年数何年とか…完全な空想世界ならありなんでしょうけど、現実世界よりでかいちゃいましたから、その辺が自分の頭が硬いんだわ~と思わなくもないです。
でも、私の呟きが新しい罠の元になるとしたら、それはまた嬉しい事ですね。

こちらこそ、楽しみにしておりますよ~~!!

かばぷー

2017/11/24 21:03 URL 編集返信
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