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任務 6

こんばんは

では早速、続きへどうぞ…








「最上さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…今、いいかな?」

敦賀蓮という人物は、いつもはそんな奥歯にモノが挟まったような聞き方はしない。
いつもはあくまでも冷静で、淡々と任務をこなす人物であるとの評価だ。

「はい、敦賀班長、何でしょうか?」
「君…英語が得意って聞いたけど、その…どれくらい得意なの?」




任務 6 〈苦悩ノ、アンポンタン!〉




「それ…は、何を持って得意というのでしょう?」
「例えば、TOEICとか、TOEFLとか」
「英検なら準2級を持ってます。あとCEFRはB2ですけど…それが?」

(CEFRでB2!?それなら十分じゃないか…)

「いや、琴南さんから聞いたんだ。君が英語が堪能だって。」
「えっ!?モー子さんが?」
「違うの?」
「いえっ!滅茶苦茶嬉しい~~!!他!他には何か?」
「いや、着物を着慣れている事とか、お茶や生け花もできると…」

やたらと期待感に満ちたキラキラした目で、コクコクと頷きながら次の言葉を要求しているように感じる。

「いや、そうか…事実なんだ。」
「…?班長、何か変わったことでも?」

無邪気に尋ねるキョーコに、蓮は頭を抱えた。

「いや、ちょっと…」
「あの…何か問題が生じているのでしょうか?」

ふうっと蓮は息を吐いた。

「仕事の依頼が来ている。…が、まだ内容は明かせない。」
「私、個人にかかわる事でしょうか?」
「……」
「あの……」



「蓮、ちょっと…ごめんねキョーコちゃん。」

見るに見かねた社が声をかけた。
一度キョーコを部屋から出し、待機させた。

「何?歯切れが悪くてお前らしくもない。例の古賀氏だろ?先に相談してくれたらいいのに。」
「…すみません。今回の依頼がかなりの要求になってしまったもので…」
「英語の堪能な若くて可愛い女の子でもつけろって?」
「その通りですよ。しかも、着物を着こなせて、英語での会話が堪能。古賀氏の恋人として違和感のない年齢と容姿のガードをつけて欲しいということです。」
「ふ~ん、で?彼女がそれに見合うと?」
「そう…らしいです。」
「それに若いし、確かに外見も可愛らしいよね。」

「………」

困ったように言い淀む姿は、普段の蓮らしくないと社は思った。

「蓮~~?何故そう悩む?」
「悩みもするでしょう、彼女…シングルですよ?しかも研修中です。ハイリスクに携わるなんて…」
「そうかなぁ?研修中だろうが何だろうが、任務は任務。いつものお前なら割り切るだろ?」
「………」

「蓮、一体どうしたんだ?任務と割り切ってしまえばいいんだろ?」
「…分かりません…。今回のガードに彼女を巻き込んでいいのか…」
「巻き込むも何も、あれはうちの社員だ。ハイリスクといえど、彼女は能力的にも合致している。前回の追跡の件も多少逸脱した感はあるが、熱意あってのことだし、研修後には目覚しい成長が期待できる人間だ。そうは思わないのか?」

社の言う事は理解できる。当然、蓮自身もそう思っている。
…だが、何かがブレーキをかけているのも事実だ。

「蓮…言いたくはないが、お前が引っかかりを覚えているのは、私情じゃないのか?」
「私情…?どこがです?」

「はあ!?…この…とんちきめが!」
「とんちき…って。」
「分からないなら、言い換えてやろう、このど阿呆!」
「?????」

「おい!…ムッツリ助平のあんぽんたん!」

「…何気に酷い言い方ですね。私情を挟むことはしていないつもりですが。」
「~~~っっっ!!もういい!なら、年上の副班長としてお前に進言する。今回の依頼に、最上キョーコは、『有り』だ!依頼人の要求を満たした挙句に、本人のスキルアップも同時に行える。彼女は飲み込みも早くて人材育成に現場実践は寧ろ好都合。彼女の能力が心配なら、バディはお前がやれ!俺でもいいが、精神衛生上よくないことが推測される。いいか?これは進言だ。判断はお前が下せ!分かったな!10分後に集合かけるぞ!」

社は珍しくプリプリと怒って、きっかり10分後にチームを召集した。




「班長、依頼ッすか?」
「ああ、そうだ。今回の任務の内容は海外在住日本人の護衛。レベルはハイリスク。クライアントの希望は…女性のガードだ。」

チーム内の視線がキョーコに集中した。

「え、それ…は、私が?」
「先方の希望は若くて英語での会話ができ、着物を着こなせる女性。わが社に該当する女性は一人だけらしい。」
「え!?でも、他に英語が出来る方は…」
「いるにはいる。でも年齢的にクライアントの要望に合わなかったり、警備部や護衛部でなかったりする。断る事もできるが…君はどうしたい?断るか?」

「どうしたい…と仰られましても…」

「キョーコちゃん、スキルアップのチャンスだよ。」
「最上、名指しでないとは言え、お前しか出来ない護衛が来たなら受けるべきだ。」
「そうだね。一気に研修期間は終わるけれど、サポートは俺達がする。」

次々にメンバーが声をかけ、蓮はキョーコをみた。

「最上さん、…できるね?」

「…っ!はい!頑張ります!」





依頼人である古賀のもとへ、キョーコを伴っての打ち合わせに向かう。
キョーコの研修をすっ飛ばして、実務に入ることになれば、当然勤務条件も変わる。
今までのように、全面的にサポートしてやることもできなければ、変わってやることもできない。

「今回、担当となりました、最上キョーコです。どうぞよろしくお願いいたします。」

キョーコの挨拶を見て、古賀はヒューっと唇を鳴らした。

「そう、君になったの?よろしく!」

ちらり、と蓮を見る目は満足そうだ。

「でも…そのスーツはいただけないなあ…」

キョーコが身に付けているのは、ストレッチの効いた黒地のパンツスーツ。
ニヤニヤと不躾にキョーコを眺めた古賀は、指を鳴らした。

「ねえ、ありきたりの地味~なパンツスーツじゃなくてもいいよね?こちらで服装は準備させてもらうから、近くにいるときは着替えて欲しいな。地味なボディ・ガードじゃないのが楽しみだな。」

「では、メインの護衛は最上が担当するという事でよろしいですね。」
「勿論!」
「ですが、前回申し上げたように最上は研修中ですので、私が同様に護衛を行いますがよろしいですか?」
「ああ、構わないよ。基本二人一組だもんね、そこは心得ているけど、敦賀君の扱いはこっちのガードと同じ立ち位置にしてくれる?」
「緊急時はそのようには参りませんが、よろしいですね。」
「大丈夫。だって、仮にもJPSSの新入社員だろう?さほど、心配してない。」
「ありがとうございます。では、契約内容について、確認をお願いします。」
「了~解~♪」


キョーコのバディは蓮が担当する。
基本的なキョーコの勤務時間は、古賀が始めに指定した恋人としての同伴時間をメインとし、夜間は最大12時まで。それ以降に及ぶ場合は、翌日延びた時間分だけ勤務の入りを遅延できる。また、蓮が緊急時の場合の護衛は社と光、村雨が交互に担当する事となった。
ただ…無茶振りは必須で、古賀のクライアントの顔と名前、相手方のビジネスの傾向は頭に入れて望まなくてはならないし、その場で、やれ花を生けてくれだの、お茶を立ててくれだのには対処せざるを得ない。
まあ、顧客情報やビジネス関連の情報に関しては古賀の有能秘書が情報を整理してくれるので、ありがたくキョーコのみならず蓮も恩恵にあずかることになる。
そして、古賀が要望していた衣服は依頼人負担、超過勤務の条件も良好。
何事もなければ、会社にとっては美味しすぎる依頼。


上機嫌な古賀と契約内容を確認して、二人はその場を辞した。





(続く)



古賀さん、こんな役回りです。
(実は、まだ彼をよく把握しておりませんの…おほほほほ)
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コメント

キョコさんの大役担当。
決まりましたね〜〜!

若い女性で、英語を話せるのも、着物を着れるのも単独ではありそうですが、長時間着用していても気分が悪くなったりと本来の働きに支障を出さず、優雅に振る舞え、ただ英語が喋れるだけでなく、社交界で恥をかかず会話相手にも失礼のない会話ができるというのは難題ですよね〜。英語でのコミュニケーションは通じれば良いというものじゃないですものね。

そこまでのスキルがあるほかの候補なんていないのに、キョコさんを使いたくない蓮さんの今後の反応はどうなることやらw

(馬の骨が量産されそうだしw)

続きも、古賀さんの着せ替えごっこも楽しみにしてます!


  • 2017-11-28│22:28 |
  • まじーん URL
  • [edit]
蓮さんの気持ち
まだ蓮さんの気持ちがもやっとしている様子。

きっとこれから、キョーコさんと古賀さんの様子を見てヤキモキして、自覚していくのかな~と、思ってます。

  • 2017-11-29│06:41 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: キョコさんの大役担当。
> まじーん様

お越しくださり、ありがとうございます。

ようやく…班長さんが重い腰を上げました。
社さんはとっくに分かってるのになあ?

着せ替えが一杯出来たらいいですね。
そろそろ、自覚とともにイライラを募らせたいところです。

  • 2017-11-30│20:48 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
Re: 蓮さんの気持ち
> harunatsu7711 様

もやもやもやもや・・・

なんて無自覚、本当にあんぽんたんですね。

そろそろ、イライラ&キョコさんへの恋心の自覚をして欲しいものです。やれやれ・・・
  • 2017-11-30│20:49 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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