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任務 8

こんばんは

付き合って…って、好きな子から言われたら、ドキドキすると思うんですが、どうなのかな。



続きより、どうぞ(^-^)/






突然、“付き合ってくださいませんか”といわれて、真っ白になってしまった頭。
どう返事をしようかと思いあぐねている時に追加でお願いされたのは、柔道の乱取り相手の事だった。




任務 8 〈痛イノハ、ドコ?〉 




(全く…勘違いも甚だしい。俺、どうかしてるのかな?)

そう思いながら、キョーコの練習相手を務めるために柔道場に出向いた。

「…あれ?空いてる。」
「ラッキーですね。貸切ですよ!」

翌日、指定された練習時間に道場に行くと、珍しい事に道場はがらんとしていた。

「では、班長、今日はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしく。」

打ち込みを始めると、貸切の柔道場に二人の声だけが響く。

「1!2!3!……10!せいっ!」
バンッ!

「うん、随分と力強くなってる。ウェイト、上げた?」
「はい!若干!」
「じゃあ、もう一度同じように打ち込みやってみて」
「はい!1!2!……10!せいッ……あ…れ…?やッ!…」
「うん、無理でしょ?」

普通の背負いで投げる事ができない。
蓮の懐に入っても、全く微動だにしない身体にうんうんと唸ってしまう。

「なッ…何で?」
「うん、柔道は相手の力を利用するだろう?この前も思ったけど、特に最上さんの場合はそれを利用している。けれど、打ち込みもあくまで練習ではなく実戦と考えて、君の力に逆らうとこうなる。逆に、君の力を俺が利用すると…」
「うぎゃっ!」

「……こうなる。」

さっと腰を攫い、突っ張っている足元を掬った途端、キョーコが蓮の下敷きになった。

「重ッ…」
「仕方ないよ、体重差は歴然だ。」

むっくりと起きた蓮は、キョーコの隣に座った。

「む~~!前回にも増して悔しいです。」
「ただ、君の場合は合気道もしているだろう?むしろそっちを磨いた方がよさそうな気がする。」
「本当ですか?」
「立って。肘の使い方、関節のとり方、体重差がある相手の力を別の方向に逃す術は持っているんだから、それを有効に使わない手はない。あとは関節技を磨くといい。」

そういいながら、蓮は懇切丁寧にキョーコを指導した。
何度も何度も同じ練習を繰り返す。
汗が滲んで、息が上がっても二人は練習を繰り返した。

「せいっ!」

バンッ!

「OK。じゃあ、仕上げの実戦と行こうか。」
「はい!」

二人は、真剣な面持ちで対面した。

(やっぱり…練習とは違う…)

スーッと雰囲気を変えた蓮の気迫に飲み込まれそうだと思った。
こうやって練習をした後でも、隙が見つけられない。

「…どうした?今日は俺から行こうか?」

ゴクリ…吐息を呑んだ瞬間、長い手が伸びてくる。
普通ならその手がスローモーションに見えるのに、全くそんな感じはしなくて、組み手を嫌うのが精一杯だった。逆に、組み手に意識を取られて足技が見えない。

「逃げるばかり?それもいいけど。」
「違いますっ!」

言葉では違うといいながら、実際は防戦一方。まともに受けたらすぐに投げられてしまう。

(どこか…どこかに隙が…!?)

見つけた!と思って入り込んだ胴元。
蓮がわざと作った隙に入り込んだキョーコは、ひょいっと脚を駆られて、身体がふわりと浮いた。

(―――投げられる!)

そう思って受身の態勢を取ろうとしたのに、…トン…と柔らかく畳に背中が付いた。

「はい、一本」

スッと蓮の腕が自分の襟から離れていく。
キョーコは畳に仰向けになったまま、離れていく後姿を呆然と見つめた。


「な…んで…」

その小さな呟きに振り返ると、キョーコが仰向けになったまま手を顔に当てている。
蓮はぎょっとして、側に駆け寄った。

「最上さん!どうした、どこか痛かっ…「違います!!悔しいだけですっ!!!」」

「……悔しい…?」

「…すみません。相手をしてくださったのに…こんなにあっさり手加減をされるなんて、あまりに悔しくて、歯痒くて…うっ…」
「…ごめん…悔しがらせるつもりじゃなかったんだ。前も言っただろう?俺達の任務は相手を傷つけることじゃない。クライアントを守る事だ。だから、できるなら…」

「分かってます!分かってますけどぉ~~~、悔しいものは悔しいんです~~~!!!うああああぁ~~ん!!」

まるで子供のように、キョーコは悔しくて泣いた。
蓑虫のように丸まって、背を向けたまましばらくの間、悔し涙が止まらなかった。

「やれやれ…手加減して泣かれたのは、初めてだ。」

呆れたような声が、背後から聞こえる。

「ひいっく…(ずびびびっ!)泣いてません!すみません!」

「……ぷっ…何なの、それ…。はい、起きて!悔しがって泣くなんて、子供じゃあるまいし、格好悪いからやめなさい。」

ぶすっとして、涙を止めると蓮を睨んだ。

「おやおや…、あのね、俺は君のバディだよ?何のためにバディがいるの。互いの安全確認のためだろう?あと一人では無理な事でも、二人なら可能だからなのに、いがみ合ってどうするの。」
「理屈は…分かります。でも、私は今回のガードでも班長に守られてばかりで、バディとして役に立ってません!」
「そう思うの?」
「はい!そう思います。」
「そんな事ないんだけどな…」

そう言って、蓮はキョーコの腕を引き上げる。

「さ、練習は終わりだ。着替えたら食事に行こう。奢るから。」

クシャリ…と頭を撫でられた。

その後、静かに道場を出て行く後姿。
その背中を見送って、キョーコはまたゴロンと畳の上に丸くなった。


「…やっぱりずるい…心臓…壊れそう。」







(全く…俺は何を焦っているんだ…)

そう言って、蓮は右手を見た。
柔らかな髪をくしゃくしゃと撫でつける感触を思い出す。蓮の大きな手のひらにすっぽりと収まりそうな小さな頭。柔らかな髪質が指先に心地いい。

仰向けで泣いている瞬間、どこか怪我をしたのかと思った。
けれど、そうではなくて、悔しいと憤るキョーコの姿。
一生懸命練習に打ち込んでも、まだ自分に勝てないと…勝たせる訳がないだろうと思いつつも、そのひたむきさに頬が緩んでしまう。
手加減だって無意識だ。彼女を傷つけたくないと、彼女を守りたいと…そう強く思うのは理屈じゃない。感情だと気付いてしまった。

任務が完了するまで、あと数日…

古賀のガードよりも、キョーコを守る方に気持ちがいってしまいかねない。けれど、それは自分にとって有り得ない。

(しっかり気を引き締めてかからないとな…)

練習後、キョーコが更衣室から出てくるのを幾分か待った。
案の定、ぶすーっとした表情で出て来たキョーコの表情がふてぶてしくて可笑しい。

「……お待たせしました。」
「そんなに待ってないよ。行こうか?」

(やれやれ…これが、昨晩ドレスで微笑んでいた淑女かね…)

「何が食べたい?」
「………何でもいいです。」

憮然とした態度に憎らしささえ覚える。

「…………そう?本当に何でもいい?」
「勿論です」

「じゃあ、カエルの姿焼き「ぎゃああああっっっ!!絶対やだ!!!」」

「ぷっ…じゃあ何?」
「めっ…目玉焼きののったハンバーグで!」
「クスクス…了解」

結局、感じのいい洋食屋を見つけ、黄身の色が艶やかな目玉焼きののったハンバーグ定食を食べ、キョーコの機嫌はすこぶる上機嫌に戻ったのである。





(続く)



なんちゃって♪

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コメント

にょほ…にょほほほほ…(*^ω^*)

じれったい2人…もじもじニマニマしながら読んでます。


お外で読むのは危険と判断して、お家まで我慢してました!笑
  • 2017-12-05│20:14 |
  • なかじ URL│
  • [edit]
Re: タイトルなし
> なかじ様

お越しくださりありがとうございます。
ほっ…ホントですか?
滅茶苦茶嬉しいコメントですよ♪

お家まで我慢してくださったなんて~。
お家では、ぜひニヤニヤ全開で読んでやってくださいませ!
  • 2017-12-05│20:46 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
恋愛をゆっくりと
朗らかで、清清しい二人ですよね。

ふんわりと、しっかりと、距離を保ちつつ、なんだかじれったくて。

ぽてとなんか短絡的だから、組み手の時に、もっと、こう!くっついて!ギュッてしちゃって!みたいに妄想してしまうから、きちんと出会いから自覚まで進んでいくこのお話が、キラキラと眩しいです(*^^*)
  • 2017-12-05│21:51 |
  • ぽてとたべたい&ぽてとあげたい URL│
  • [edit]
蓮さんの期待とは違ったかもですが。
二人っきりで濃厚な「稽古」時間に、上司として嬉しい彼女の向上心ややる気を見せてもらい、最後は二人きりでディナーデート!!

これだけでも十分特別ですよね〜。

読んでいて、ニヤニヤしちゃいます!

まだ続く任務で、キョコさんの成長や、蓮さんの恋愛感情がどこまでになるのか。

続きも楽しみです!!!(*´ェ`*)…♪
  • 2017-12-06│00:01 |
  • まじ〜ん URL│
  • [edit]
Re: 恋愛をゆっくりと
> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

きらきらキラキラ~~☆
なんちゃって。
このじれったさにトキメキを求めてしまう今日この頃。
お楽しみいただけて何よりです。
  • 2017-12-06│21:16 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
Re: 蓮さんの期待とは違ったかもですが。
> まじーん様

濃厚な「お稽古」だったでしょ?
別の意味で濃厚だったらよかったんですけどねー♪(←あらやだ!)

なんだかじれったい二人になってしまったので、リクからは若干遠ざかり…ヘタレ発動と相成りそうです。
ま…基本、ヘタレ好きな私ですから、これでいいのね~ん。

お楽しみくださり、ありがとうございました。
  • 2017-12-06│21:21 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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