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任務 9

こんばんは

あとは二話を残すのみとなりました。
進展するのかしら…それともしないのかしら…
ヤキモキする展開にございます。

続きよりどうぞ。




古賀のボディ・ガードもようやく終わりに近づいた。
ほんの僅かな休憩時間には私設BGたちとの意思疎通も滞りなく、何事もなく任務が終わる事が期待できそうだと思った。





任務 9 〈オ前ハ俺ヲドウシタインダ?〉






(ちょ…ちょちょちょ…古賀さん…この手は何ですか?)

キョーコがテーブルの下で、腰のあたりをやたらとなぞる古賀の手を必死に払いのける。
そんな姿は後ろのBGたちには丸見えであるのに、相変わらず古賀は意に介さない。

「何?そんなにうろたえて…笑顔、笑顔!」

胡散臭い笑顔を貼り付けて、にっこりと微笑む古賀に、キョーコの笑いが引きつる。
着物を着るのはこれで2度目。
さっきはクライアントの要望で、お茶席でお点前を披露させられたばかりだ。

勿論、今回の護衛期間に身に付けたスーツもドレスも振袖も、全てが古賀からの支給品ではあるが、その感触から一級品であることは、キョーコは重々理解していた。
いつも何気に着飾らされて、ボディ・ガードとしての役割を封じ込められている気がするのは気のせいなのだろうか?

しかも…背後からは、微妙に怒りの波動がクツクツと…

ここ最近は、特に班長の視線が痛くて仕方がない。

(絶対怒ってる…まともにボディ・ガードの仕事が出来ていないから、絶対呆れられてる…ひいいっ…怖い…)

蓮の心配…いや、不快の種を増やしてしまっていると、深く反省するキョーコだったが、とりあえず頑張って任務に取り組むしかないと腹を括っていた。


「ねえ、キョーコちゃん。今日の任務終わりはホテルまでだからね。分かってるよね。」

会食の終わり、古賀の押しの強さに、いつも否とは言えなくて、リムジンに乗り込む時にも古賀の隣には勿論キョーコが座り、運転はハワード、助手席には蓮という光景ばかりになった。

ホテルに到着してから、契約終了まではあとわずかという時、古賀は猛烈なアプローチを始めた。

「さて…キョーコちゃん?最後にここに来た意味、分かるかな?」

その言葉に、BG団は苦笑いをしながら、部屋を出るものもある。

「…意味…ですか?」
「そう。今日君が着ている加賀友禅。君にあげるよ。」
「いえ!滅相もございません。受け取る理由がありませんから、お断りします。」
「受け取る理由はこれから作るんだよ。」

「これから…作る?」

「そう、これから作るんだ。君に心地よく洋服たちを受け取ってもらう理由をね。」
「意味が分かりませんが…」

古賀は、ふふっと意味深に笑う。

「ねえ、キョーコちゃん、現在の君の月給…いくら?20万?30万?二十歳そこそこなんだから、そんなもんだよね?」
「う…まあ…。」
「俺のところに来ない?月100万は出すよ?別に手当てをつけてあげてもいいかな。」

ピクリ…と、壁際にいた蓮の眉が上がる。

「え…?は…?何…を…」
「俺の私設ボディ・ガードに就職しないかって事」

キョーコは眼をひん剥いた。

(ひゃっ…100万円!?こんなペーペーに100万!?はあっ?古賀さんの言っている意味がわかんない!)

「勿論、それだけじゃないけどね。君の事、気にいったから側に置きたい。だって、君…未経験でしょ?」

「…は?え…?未…経験って…」

といった瞬間に、キョーコの顔が、ぼぼぼぼっ!と茹で上がり、蓮はぎりりと拳を握り締めた。

「う~ん、その反応、新鮮!ますますいいね。」

すい…と、キョーコの腕を取る。
ちゅっ…と手の甲に口付けた瞬間に、キョーコの口から ひいっ…と悲鳴が漏れた。


「それに…君、他に好きな人…いるよね?そういうのって…そそられるなあ。」


ニヤリと笑みをたたえて手と腰を取られ、身体を寄せてくる。

キョーコの背中にざわざわざわ…と悪寒に似た何かが駆け上がり、鳥肌が立ち始めた。



「なッ…なななっ…やめて…」
「いや~…こんな反応も楽しくていいね。」

「じょっ…じょじょじょじょじょじょ…冗談は…」
「冗談だと思うの?」

「ややややややや…やめてくださ…」
「嫌よ、嫌よも好きのうち…ってね♡」


ニヤリと迫る古賀の目線は、キョーコの頭の上をほんの一瞬通り過ぎ、蓮の隣にいるハワードも、一瞬、ちらり…と隣の蓮を見た。




「いっやああぁぁあぁぁ~~~っっ!!」




ドーン!バーン!!ドッデーン!!!


「…え?」

「き…きき…きききき…気持ち悪っ!!冗談もいい加減にしてください!!勤務時間は終了いたしましたっ!これにて失礼致します!!!」

わなわなと震えながら古賀を突き飛ばし、尻もちをつかせた挙句に、キョーコはダッシュでその部屋を出て行った。


ハワードは肩を震わせているし、蓮は蓮で、顔を覆って俯いている。

「……敦賀君…これ…何?」

「古賀さん。大変申し訳ないのですが、先ほど最上が申し上げたとおりです。先程…10分少々前に、そちらの指定した契約時間が終了してしまいました。また、最上の契約云々については私からは何も申し上げることはありませんが…ルール違反は否めませんね。」
「じゃあ…何?彼女、貰えない?」

「残念ながら…」

「あ!じゃあさ!勤務時間が過ぎたなら、本格的に口説くってどお?」
「もし、あれ以上の対応を個人的な理由でご希望でしたら、どうぞご自由に。止めは致しませんので。」

「……………あれ、以上?」
「はい。あれ、以上です。」

「う~ん…あれ以上の拒絶は困るな。そうか~…本当に気にいってたのにな。あの反応はないなー。可愛いのに…残念。」

「ご希望に添えず申し訳ございません。クレームはどうぞ私のほうに…」
「あ~…なんだか、気がそがれた。今回はいいや。それなりに気分良かったし。でも、ある意味本気ではあったんだよね。彼女、いい人材だと思うよ。」
「そう言っていただけると有難いです。」

やれやれと頭をかきながら、古賀はチラリと蓮と見る。

「ちぇ~…つまんないの。敦賀君、いいとこ持って行っちゃうつもり?」
「何の事でしょうか?」
「しらばっくれて…まあいいや。勘違いじゃ無さそうだし、俺だって自分の身は可愛いからさ。」

「危機を感じられるなら、喜んで、ガードいたしますが?」
「おっと…余裕発言。癪に障るね。」
「申し訳ございません。」

「まあ、仕方ない…“また”日本に来たときには頼むかな。彼女も込みでね。」
「ありがとうございます。“また”のご利用をお待ちしております。では、これで失礼します。」

蓮は礼儀正しくお辞儀を残して、部屋を後にした。






コン、コン、コン

「……はい」

キョーコは更衣のための部屋の扉を細く開けた。

「入っていいか?」
「……どうぞ」

既に帰り支度を終え、着物もたとう紙に収まっている。
そして、気まずそうに自分を見上げる姿…それをみて、蓮は大きな溜め息をついた。


「お前は…っ!バカかっ!?」

いきなり蓮に怒鳴られて、キョーコは身を硬くした。

「クライアントを突き飛ばしてどうする!?あれくらい我慢しろ!勤務時間云々じゃない。上手くあしらえ!!」
「…すっ!すみません!!」
「大体、今まであれだけあちこち触らせておいて、向こうだって勘違いするに決まっているだろう!?おかしいなと思った時点で、ちゃんと拒絶しとけ!バカ!」

「は…?バカ!?バカって言いました?部下がセクハラされてたんですよ?馬鹿じゃなくて、庇ってくれたっていいじゃありませんか!?」
「バカにバカって言って何が悪い?任務中にこんなにイライラしたのは初めてだ。一体お前は俺をどうしたいんだ!?」






「…え?」
「え…って何だ。」

「え…どうって…」

その直後、ふわり…と抱きしめられた。

「庇いたかったさ。だけど、仕事だ…すまん。よく頑張ったな」



「う…あ……え?今…何て……?」

その呟きに、ゆっくりと蓮は体を離した。

クシャリ…

「よく頑張ったって言ったんだ。まさか、クライアントを最後の最後で“気持ち悪い”って突き飛ばす人間がいるとは思わなかったけどね。」

キョーコの頭をくしゃくしゃと撫で、蓮は困ったように微笑んだ。




「だって…好きな人とじゃないと、やですもん…」

頭を撫でる手の動きが止まる。

「………もしかして…これ、嫌なのか?」
「いっ…嫌じゃありません!」

「本当?」
「ほっ…本当です!班長に撫でられるの、嫌じゃないです!」


「…なら、良かった…」



何となく手を頭から離すタイミングを逸してしまった事を気まずく思いながらも、何となく頭を撫で続け、ようやく離す事が出来たのは、痺れを切らした社から業務終了確認の電話がその5分後に鳴ってからだった。






(続く)


……ヘタレめ!
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コメント

ブフッ!!
お話の後のつぶやき的ツッコミ「……ヘタレめ!」に爆笑でした。(笑)

隊長の苛立ちを感じ、それを楽しみつつ彼の部下セクハラしまくっていた狸親父!! (*´∇`*)ハハハ

キョコさんの拒否感までわかって楽しんでるし!

こんな相手へのセクハラ対応は、キョコさんにはまだまだハードルが高いようですね〜。

愛しのキョコさんに触られまくりつつも、この程度では相手にそう強く出れなかった蓮さんもよく耐えましたが…

キョコさんとの口論のあと、いい雰囲気になったのに…ヘタレ克服は実に難しい!(大笑)

今回も非常に楽しかったです。

あと2話も楽しみにしてます!ありがとうございました!





  • 2017-12-09│20:16 |
  • まじ〜ん URL│
  • [edit]
Re: ブフッ!!
> まじ~ん様

おお!爆笑いただけましたか!
嬉しゅうございます。

とんでもなくセクハラ&パワハラ&モラハラな古賀さん(若き獅子ならず狸オヤジですね!)
全く…抱かれたい男№2がこんな扱いですよ。ううう、何てこと。
そんな男の扱いはまだ研修直後につき、教えられておりませんのよ。
飯塚班ならばきっと教えていただけたのでしょうが、まだまだプロフェッショナルへの道は長いのです!

残すところあとは最終話のみ(勘違いさせてごめんなさい。書き方が変でした!)
どうぞお楽しみくださいませ~~♪ヾ(@°▽°@)ノ

  • 2017-12-09│20:55 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
もう、いっちゃって(笑)
何時まで撫でてりゃ良いのか、ホントーに速くやっちゃってくりゃれ!蓮さま。まあ、今回のキョコちゃんは強い娘なので、古賀さんの攻めに心配はしておりませんでしたが、蓮さまは、我犠愚外冴(ガギグゲゴとお読みください。あっ歯が砕けそう。)でしたでしょう。ホッとしたのでしょうね。次回はヘタレ返上してね!
  • 2017-12-10│16:44 |
  • GREEN URL│
  • [edit]
残り一話
こんばんは。

甘さがほとんどないままラスト一話。。。。早いですね。
頭ナデナデの蓮さんは、精一杯の接触だったのでしょうが、早く寝技(キャー)に持ち込んでほしいです‼
  • 2017-12-10│16:49 |
  • harunatsu7711 URL│
  • [edit]
Re: もう、いっちゃって(笑)
> GREEN 様

本当にね~、いつまで撫でて満足してるんでしょうかね、こちらの蓮さんは。
告白もしてなければ、何にもしてない!
ヘタレ返上できるんでしょうか!?
困った、困った。
今回もお付き合いくださり、ありがとうございました。
  • 2017-12-10│19:41 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
Re: 残り一話
> harunatsu7711 様

あははははは!糖度ゼロ!確かに甘くない「任務」でしたね。
本当は桃まっしぐらな設定のお話だったのですが、理性が強すぎたみたい。

道場以外の場所での寝技…持ち込みたいですけど、いつ持ち込んでくれるのかしら?
これもまた、じれじれしそうな感じです。

あと1話ですけれど、進展はありそうな、無さそうな?
甘くないお話ですが、お付き合いくださり、ありがとうございます。
  • 2017-12-10│19:45 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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