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任務外 After21:00

こんばんは

任務を終えての番外編にございます。
今回でてきたオリキャラ、ハワード氏

蓮さんの元部下で、アメリカ陸軍にお勤めだったという彼。
非常に大柄な、そして肉厚な男性像をイメージしていただけると嬉しいです。
では、任務中のとある日 After 21:00 の様子をお楽しみ下さい。








任務外 ~After 21:00~





「本当にお久しぶりです。大尉。お元気そうで良かった。」
「だから…大尉はやめてくれ。少なくとも俺はハワードより年下だ。」

二人は小さな店のカウンターで、グラスをカチン…と合わせた。

「そうは言っても、私はあなたの部下だったのだから仕方がない。あなたが退役してから、随分と多くの人間が辞めたんですよ?」
「そうか、それは悪いことをしたな。」
「そんな言い方をするものじゃありません。大尉、いえ…蓮、あなたが部下を大事にしたからです。あなた以外の下ではもう耐えられなかった。」
「……そうかな。」
「そうですよ。自信を持ってください。」

蓮はふっと笑った。

「ありがとう。」

「何人かは、あなたの後を追うようにフランスに行きましたがね、あっさりとそこも短い契約期間で去ったでしょう?その後日本にいることは、風の便りに聞きました。」
「部下を失うのは二度とごめんだったからね。正義を盾にして人の命を奪うよりも、守る方が性に合っている。」
「そう…ですか。まあそうですね。それは俺にも言えますよ。」
「だろう?」
「ええ、間違いなく!どんなに面倒くさい人間のガードであってもね!」

クスリ…と二人は笑う。

「確かに…ハワードの就職先がまさか、古賀氏の所だったとはね。」
「ええ、人使いは荒いし、女好きだし、リスクは高いし…いい所はありませんが、コレだけはいいので。」

ハワードは親指と人差し指で輪っか作ってみせた。

「ああ、それは分かるな。面倒くさい顧客だが、会社にとっては有難い。」
「やはり日本でも嫌われ者なんですねぇ~。我々も、どれだけ現地のボディ・ガードと揉めた事か…」
「何だ、揉めるの?」
「ええ、揉めないのは日本くらいですよ。本当に日本は平和だと思います。いい就職先ですね。俺も日本に来ようかな。」
「それじゃあ、先ず日本語から教えてやろうか?」
「ふはははっ!!やっぱり無理です!俺、バカなの知ってるでしょう?」
「大した謙遜だな。」

ハワードはスラムの出身だと聞いていた。
小さな頃からギャングで、そこから抜け出すにはアメフトか、バスケか…軍に入隊するしかない。すさんだ生活を矯正するための厳しいキャンプ生活に耐え切れず、我慢が足りずに除隊するものも多い。それをクリアしたとしても、元々が雑多な集まりの荒くれ者が集まった部隊。
そんな荒くれた部隊の中でも、全うな生活を強く望み、部下を従える知恵を持った男だ。

実際は、荒くれ者をまとめる中心人物、軍曹であったハワードとは何度も衝突した。
鬱屈した毎日を持て余している兵士達。命と向かい合わせの訓練と、ならず者達への理不尽な暴力が横行する中、突然やって来た年下のエリート部隊長は、さぞかし気に食わなかったに違いない。
荒んだ目をした年上の部下の反発を制し、文字を教え、役割を教え、人間らしく生きる事を教えたとき、彼らは変わった。
今では、ハワードも古賀の私設BGの指導者的存在だそうだ。


「そういえば…彼女、キョーコ!あれは面白い!」

蓮の眉がピクリと動いた。

「面白い?」
「ええ、ボスの無理難題にも応えるし、冗談も通じるし、そして…クククッ!あれだけ鈍感な娘も珍しいですね!流石は、蓮の部下です。」
「そうかな…」
「ええ!流石に女性を口説き慣れているボスも唖然としていましたよ。……っと、失言でした。」
「いや…いいよ。」
「蓮も…攻めあぐねてるんですね?」
「攻めあぐねるとか言わないでくれ。そもそも、そういう対象じゃない。」
「え?そうなんですか?じゃあ俺がいっても?」

キロリ…と、蓮の目つきが変わった。

「ぶはっ!!!!心配しないで下さい、からかっただけですよ。俺、退役と同時に結婚してるんです。」
「…あ、そうなのか。知らなかった。おめでとう。」
「ええ、ありがとうございます。何?そんなナリして、蓮は自覚無しなんですか?」

「自覚なし…って何。」

ふてくされるように、酒を口に含んだ。

「あ~~、ヤシロのいうとおりだな。」
「何で、社さんが出てくるの?」
「いや、だから、普段は我々もあまり現地のガードとはトラブル起こしたくないんで、必要最小限の会話しかしませんよ?けれど、JPSSの皆さんはコミュニケーション能力も優秀なので…まあ、それなりに楽しませてもらってるんですよ。」
「うん、それで?」
「で、キョーコの話題になって、ヒカルとムラサメが乗ってきて、うちの若い者も実は気になっていたところへヤシロが…」
「社さんが…?」

笑いをかみ殺すように、ハワードは言ったのだ。

「彼女に手を出すとうちの班長の機嫌が悪くなるからやめてくれ!って。」
「………なんなんだよ、それ…」

全く、人が意識しないようにしているのに、周りからご丁寧に煽ってくれる。

「………そんなに…気にしているように見えるのか?」
「ええ、かなり。それでも自覚なし?」

「……ない。」

クツクツとハワードは笑う。

「そろそろ自覚した方がいいでしょうね?でないと、キョーコの周りの善良な男が被害に遭いそうだ。変に独占欲を巻き散らかされるのも、はた迷惑でしょうから。」
「……はっきり言うな。」
「ええ、勿論!はっきり言わせて貰います。恋もしたことがない朴念仁の若造が、気のない素振りをしたって、恋心は隠せないもんです!これだから言い寄られることに慣れた男は、自分の感情に鈍くて仕方がないんです。さっさと観念してください。」

「若造言うな!どいつもこいつも…」

ハワードは、歳相応にふてくされる元上司の過去を思い浮かべる。

陸軍士官学校を優秀な成績で卒業したであろうこの男。
アメリカ国籍を持ちながら、何故かは知らないが荒くれた部隊の部隊長として赴任した。過去にもそういう輩がいて、皆虐め倒して追い出してやったのに、この男は逃げなかった。
学歴も何もない、ただ、身体のエネルギーだけを持て余していた自分たちに、言葉とルールを教え、事情があって軍律違反を起こした隊員を、切り捨てずに身を挺して庇おうとした男。自分たちのようなならず者に愛情さえも示したエリートは、この男以外にただの一人もいなかった。

だから、気がついた時には蓮を好きになっていた。
初めて信頼できる男に出会えたと思った。
部下の恋人が蓮に一目惚れすることも多く、それだけが玉に瑕だった。
だが、その誘惑にのる事さえなかったストイックな男が…たった一人の小さな日本人女性にうろたえている。
彼女の言動に、表情に釘付けになる男が可愛くて仕方がない。

「本当に…蓮は若造ですよ。次の来日までにはいい報告を待ってますから。」

そう言って、二人はまた、グラスを重ねた。





(おしまい)




なーんてお話。
ちょっと格好つけてみちゃいました。

本当は、陸軍士官学校の卒業後の階級なんかも厳密には正しくないようなのですが、妄想ですから!
ええ、さらっと読み飛ばしてください。

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コメント

コメント(4)
どんどん煽ってほしいです
番外編、蓮さんの過去が少し明らかになりましたね。年下部下に慕われるなんてさすがです。

蓮さん本人はキョーコさんを意識しないようにしていたんですね。それでは、周りの人にどんどん煽ってもらわなくては‼

自分の気持ちに鈍い蓮さんと、周囲からの好意に鈍いキョーコさん。やっぱり二人の進展には時間がかかりそうですね。

harunatsu7711

2017/12/17 05:44 URL 編集返信
Re: どんどん煽ってほしいです
> harunatsu7711 様

蓮さんの過去のお話は、設定上入れたくて堪りませんでした!
だって、アメリカ陸軍士官学校って、幹部が約束された超エリート集団なんですよ!
本当は様々な裏設定を心の奥底で楽しみつつ、でも、日本でBGをしている蓮さんなのです。
私…何でこんなハードな設定にしちゃったんだろう?って思いましたが、浮かんじゃったものはしょうがないので。
たとえ現実ありえない裏設定でも、皆さんに紹介したかったのです。

お楽しみいただけましたら、とても嬉しいです。

かばぷー

2017/12/17 12:23 URL 編集返信
楽しい〜〜!!
ヤッシーの立ち回りは完璧ですね。

過去のヤッシーの立場だったハワードさんも素敵です。
ハワードさんファンになりました。

年上の部下からすると、尊敬もしていて、好きではある元上司のある意味初々しくド下手な恋模様は、話題にするのが楽しくて仕方がないネタでしょうね。

愛溢れる助言で、正確に色々指摘されまくっているのに、まだ「恋を認めない」、蓮さんが可愛いですね。

初めての経験すぎて認めた後どうすれば良いのかわかんないんだったりして!

(*´∇`*)ハハハ

番外編も最高でした。
遅くなりましたが、頂戴して帰りますね。

後1話も楽しみにしてます。

まじーん

2017/12/17 16:40 URL 編集返信
Re: 楽しい〜〜!!
> まじーん様

お越しくださり、ありがとうございます。

> ハワードさんファンになりました。

キャー!!嬉しい!
ハワードさん、格好いいでしょう?(かばぷーも大好き)
ビジュアルは読者の皆様にお任せしております。

きっと社さんとハワードさんが一緒に飲んだら、ヘタレだのなんだのと、蓮さんの恋愛ベタを酒の肴にして、結局最後は有能で可愛い上司を持ち上げるのでしょう。
それもまた、妄想が楽しいです。

そして、これは時系列的にドレスでパーティの翌日あたりになります。
そこから、蓮さんの恋心自覚が急速に進んでいったものと思われます。(書いとけって話しですね)
とにかく裏設定の中で、どうしても書きたかった蓮さんの過去。それを語るハワードさん。
楽しかったー。

そして!何と最終話の拍手が、100拍手を超えました!!(私的には100を超えるとでんぐり返し!)
もう吃驚で、嬉しくて。本当に美味しい罠をいただきました。
そしていつも丁寧なコメントと、リンクをありがとうございます。

かばぷー

2017/12/17 17:02 URL 編集返信
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