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続・嫁ものがたり2

こんばんは かばぷーです。
今回の「続・嫁ものがたり」
一話一話がもの凄く長いんです。覚悟してお進みください。

12/1 微修正








パーティーの夜から数日後のクーからの電話。

とにかく早くキョーコとどうにかなりたいと思っていた俺は、さり気なくキョーコと両思いになった事を伝えたくて、キョーコを伴って両親の家に赴き、父の策略に嵌った挙句に両親の前でキョーコにプロポーズをした。

『キョーコ、君が好きだ。君を心から愛している。僕と…結婚して欲しい。』

真ん丸く開いたキョーコの目。
嬉しそうな表情。

『もう一度言うね。最上キョーコさん、俺のお嫁さんになってください。』

コクリ…と頬を染めて頷いた彼女
両親からの惜しみない拍手
腕の中にすっぽりと納まり、照れて俯くキョーコが猛烈に愛おしくて、手に入れた喜びで舞い上がってしまっていたに違いない。

やはり、その晩にもなぜか失敗したのだった。





続・嫁ものがたり 2





「今日はもう遅い、酒も入っているのだから二人とも泊まっていくといい。」
「そうね、クオンの部屋で良いかしら?」
「ああ、部屋はそのままにしてあるから大丈夫だろう。」

「ヘッ…と…泊まるんですか?」
「そうだね、お言葉に甘えるとしよう。ね?キョーコ」

「い…一緒に?」
「そうだけど、どうかした?」

「えっ!?いいいい…いや、いや、いや、いや…ごっ…ご迷惑でなければ、もう一つお部屋をお借りしたいのですが!」

「「「?????」」」

父と母と俺と…三人が三人とも頭にクエスチョンマークを浮かべた。


「部屋を…もう一つ?」
「はいっ!先生と奥様のご迷惑でなければ!」
「それは…構わないのだが…(チラリ…)…本当に別の部屋がいいのかい?」

「はいっ!結婚前の男女が、そんな!ふしだらですからっ!」

ぶうっ…!!!

堪えるように背中を震わせて俺を横目で見る父は、当然の如くキョーコがそう言う理由に思い至ったようで、情けない上に、何で今、この場でそれを言うかな…と、ゆらりと仄暗いモノが胸に渦巻いた気がした。

とりあえずそんな気持ちも押し込んで、自分の部屋に一番近いゲストルームを設えるも、やはり諦め切れずに招き入れた俺の育った部屋。
小さなコーン(俺)の写真や思い出の品に囲まれて、キョーコは終始上機嫌だった。
そんな可愛らしいキョーコを後ろから抱きしめて、愛の言葉を囁いて、キスをして…それが当たり前で、普通だと思っていたけれど…
するりと腰に手を滑らせた途端、その手の動きを止められた。

「あ…クオン、だめ…」
「だめ?どうして?」
「だってここは…」

静止する手に指を絡め、ちゅ…ちゅ…と指先に口付けていく。

「ここじゃ…だめなの?」
「だって…」

ぞくり…と震える様子に満足してゆっくりと顔を上げたその時…


「ひいっ…いぃ~やぁぁぁ~~~!!夜の帝王ぉぉぉ~~~!!!」


と、顔を真っ赤にしたまま超ダッシュでゲストルームに走り去ったのだ。

「…よ……夜の…帝王……????」

奇声を上げられて突然に取り残された俺は、呆然としてしまった。






コン、コン、コン…

「クオン、今いいか?」

カチャッ…

「…何です?」

部屋の扉を開けたクオンの顔を見た瞬間、クーは先ほどと同じように目を見開いて噴出した。

「…閉めます「ああ…すまん!話があってきたんだ。」……話?」

クーはグラスを二つ掲げると、にこりと笑った。

「はああああぁぁぁ~~ッ………」

諦めたように大きくため息をついたクオンは、ちらりとクーを見て仕方なく部屋に招きいれた。

「どうぞ…」

クーがゆっくり入ってくるのもお構いなしで、クオンは長いソファーに些か乱暴に座った。
その姿を眺めていたクーは部屋のテーブルにウィスキーのボトルとグラスを置いて、琥珀色の液体を注ぎ、クオンに手を伸ばした。

「ほら」
「………」

無言で受け取り、一口で流し込む。

「……そう拗ねるな…」
「……」

二杯目を注いでクオンに渡すと、向かいの椅子にゆっくりと腰掛けた。

「…クオン、お前、酷い顔をしてるぞ?それこそ…キョーコが引きかねんほどにな…」

クオンは目を瞑ると一つ息を吐き、グラスを持った手の親指で眉間を押さえた。

「…酷くもなりますよ…拒絶されましたから。」
「拒絶…ね、それがさっきの叫び声?ボスの言ってたとおりだな…」
「…ボスの?」
「ああ、あの子は難攻不落の城…だそうだよ。」

「……なんですか、それ…」

「まあ、そうイライラするな。彼女が恋愛拒否症だった事は聞いているか?」
「……いえ。」

「一緒に住んでいた幼馴染とやらに、便利良く使われて、捨てられて…恨みを持っていたらしいね。」
「一緒に住んでいた…」

チリッとした痛みに、眉間の溝が一層深くなる。

「だが、身体の関係は無いそうだ。それはあの子を見ればわかる、そうだろう?」
「………」
「私を父と慕う理由もそうだが、あの娘は一番身近である筈の母親から愛されたという経験が圧倒的に少なすぎる。褒められるという経験もだ。だからあの娘は自分に自信が持てないんだ…あれほど有り余る才能をもっていてもね。けれど、幸いな事に周囲の暖かい人間関係には恵まれた…だからこそ踏みとどまり、今があるんだろう。」

「だから…何だと?」

「…今のあの娘からは推測不可能だけれど、当時は相当傷付いていただろうな。」

“100点取れなかった…お母さんに…叱られちゃう…”
“私、ショーちゃんのお嫁さんになるの!”

記憶の中にある小さなキョーコがクオンの中で動き始める。
(母親と、ショーちゃん…それが一緒に住んでいた幼馴染か…?)

「だから、男性に対して非常に臆病になっていても仕方がないのかもしれない。」
「……臆病…?」
「そう、愛しても愛されないのは辛い…求めて裏切られるのはもっと辛い。自分に自信が無い彼女の事だ。恋愛に必要以上に臆病になっているのかもしれないと、そう思わないか?ん?」
「必要以上に…」

そういえばいくつか思い当たる節がある。
“クオンがいつか自分の元を離れてしまうのが怖いの!”
“愚かしい感情で、自分さえコントロールできなくなるのが怖い!”
…と。

それは…相手が離れていくのではないかという不安と同時に、自分自身が深い闇へと向かう事への恐怖…闇に捕らわれたまま抜け出せないかもしれないという恐怖はクオン自身いやというほど味わったのではなかったのか。

けれど…

ふ…とクオンは笑って、グラスの酒を飲み干した。

「…クオン?」

「頭では…頭では分かっているんです。けれど、心が付いていかないんです。どうして思いが伝わっているのに、全てを預けてくれないのか。どうしてキスも…抱きしめる事も許してもらえるのに、最後の一線を越えてくれないのか。俺だけが彼女を求めているみたいで、気が…狂いそうですよ…」

「――――…」

クーは黙ってクオンを見た。
ここにいるのは恋に悩む一人の男だ。
余裕と自信に満ちた息子の姿ではなく、恋に悩み、傷つき、一人の女が欲しくて、もがき苦しんでいる一人の男…


クーの口からクスリ…と笑みが漏れた。

「……可笑しいですね…すみません。」

「いや?安心した。とりあえず城の中には入れてもらっているんだな。」
「………?」
「天守閣まではなかなか入れてもらえないだろうとボスは言っていた。という事は、城の中には入れてもらっているということだ。だから安心した。」

そう言い残すとクーはグラスを持って席を立ち、ドアの前で上半身だけ振り返った。

「ああクオン、言い忘れた。」
「……?」
「恋愛なんて綺麗なものじゃない。嫉妬も欲望も根底にあるのは愛情と同じだ。あまり近くを見すぎると全体が見えなくなるよ?」

「それは、どういう…」
「よく考えるといい。…じゃ、おやすみ。」



…パタン…


にこりと笑って部屋をでた父親

クオンは空になったグラスを見つめ、ぎゅっと目を閉じた。




(続く)

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コメント

No title
きゃあ。クオンがんばれ!不憫だが、、、、。

クーお父さん素敵。ナイスフォローです。

  • 2017-11-30│22:07 |
  • ありす URL│
  • [edit]
Re: No title
> ありす 様

不憫ですよね~~!!書いていて、こりゃかわいそうだわと思ってしまった我輩です。
そして、クーパパ!!
格好いいでしょ?格好良くかいてみたかったんです!!
クオンの部屋で、酒を飲み交わす父と息子!
ちょっと妄想膨らんじゃいました!
フォローしているクーさんと、ぶすったれるクオン君。
原作でもこんなツーショット、いつか見れるかな?
  • 2017-12-01│21:17 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
クーパパナイスフォローですね。
お城の中には入れてもらえてるらしいクオンくん。

姫の寝室まではまだまだ遠いけれど、門外にいるよりは、ずっと容易い道ですよね〜。

城を愛の巣にできる日は近いのか。
彼は迷子にならずに攻略できるのでしょうか。

続きも楽しみにしてます。( ̄▽+ ̄*)
  • 2017-12-01│23:43 |
  • まじ〜ん URL│
  • [edit]
Re: クーパパナイスフォローですね。
> まじーん様

いつもありがとうございます。

ええ、“お城の中には入れてもらえてるらしいクオンくん。” なのにその自覚もなく、自信喪失状態です。

折角用心深い姫の城に入れてもらっているのですから、ゆっくりと姫の寝所に近付けばいいものを、「急いては事を仕損じる」になってしまいそうな勢いでした。
ようやく気付いて誓いを立てたものの、姫のペースに合わせた自分の方が悶々としているのです。

ぷぷぷっ!これを不憫といわずなんというのでしょう。
お付き合いくださり、ありがとうございます。
  • 2017-12-03│09:08 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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