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続・嫁ものがたり6

最近…投稿したあと、すぐに書き直したくなるのです。
お話をかいた直後は、ひゃっほーい!!ってなるのにね。

時間をおきすぎなのかしら?・゚・(つД`)・゚・

では、続きをどうぞ。








社は眼前にいる男を凝視した。

グラスを片手に首を傾げるその男は、ハリウッドスターだ。

サラサラと流れるプラチナの髪とグリーンの瞳、輝くばかりの美貌を纏い、その口から聞こえるのは低く甘い声。
バランスの取れた長い手足、美しい肌質の下には、逞しくも滑らかに鍛え上げた筋肉。

男の俺でさえ見とれてしまうほどのその類稀なる容姿の男が…



………一体何をしてたんだ!??





続・嫁ものがたり 6





「そんなに変ですかね…」
「驚くに決まっているだろう。付き合っている男女が同じ屋根の下にいて何もないなんて、一体…この3ヶ月君は何をしていたんだ!」
「まさか、そこで叱られるとは思ってもみませんでした。」
「いや、呆れてるだけ。」

呆れないで下さいよ、とクオンは困ったように笑う。

「社さんは、難攻不落の…と聞いたら、何を思い浮かべます?」
「難攻不落の?」

社の脳内にはもわん…と城が浮かんだ。その次に浮かんだのは…

「城と…キョーコちゃん…かな。」
「何故キョーコなんです?」

「う~ん、前に言ったかな、彼女が凄くもてるんだって事。」
「ええ。」
「キョーコちゃんはね、共演した男優陣を虜にする魅力を持っている。けれど、彼女を振り向かせようとして、どんなに甘い言葉を囁いても、どんなに食事に誘っても、どんなに高価な贈り物をしても彼女は落ちない。曲解したりスルーしたり、一切恋愛に発展させる気が無い。だから難攻不落。」

思い当たる事も多くて、クオンはくすっと笑った。

「…で?その難攻不落がどうかしたの?」
「ボス…社長がそのように言ったみたいです。」
「ああ、社長もそう思っていただろうね。でも今は違う。」
「過去形…なんですか?」
「今はちゃんと、君に落ちたでしょ?」

「…落としてない気がしますけどね…」

困ったようなクオンを見て、更に社は続けた。

「キョーコちゃんは、LMEではラブミー部に所属していたんだ。」
「ラブミー部?何ですかそれ。」
「愛する心を取り戻すためのセクション。彼女はその栄えあるラブミー部員1号!」
「プッ…」
「愛したくも愛されたくもない病気持ち。幼馴染に復讐を誓い、男性から贈られる愛情は全て友情、社交辞令、場合によっては悪意と判断する。だから、愛し愛される気持ちを取り戻すために所属した。」

「どうしてそこまで…」
「…言っていいのかな。」

ふうっと息を吐いた社は、グラスに自ら酒を注ぎ一口含んだ。

「……彼女、私生児なんだ。」

「―――…っ…」


クオンはぐっと拳を握った。

「どういう経緯でそんな風になったかまでは、踏み込めない。けれど、彼女の母親は確かに彼女を疎ましく思って遠ざけていた。自分には子供はいない…と全国ネットの画面で言う位にね。」
「………っ!」

「…勿論、今は関係を修復している。それもキョーコちゃんの努力と歩み寄りの成果だ。本当に前向きでエネルギッシュなんだよ。」

社はグラスの中で揺らした液体に目を落とした。

「母親が受けた痛み、それによって母親から受けた痛み、献身的に尽くした幼馴染の裏切り…愛しても、求めても、捨てられるのは……辛いね…」



―――繋がる―――


“お母さーん…”と川原で泣いていたツインテールの小さな女の子。
泣きじゃくる彼女の頭をゆっくりと撫で、泣き止んだ後は弾けるように笑ったキョーコ。

次々とクオンの中で理路整然と嵌りはじめるピースたち。
キョーコを縛っているのは、幾重にも重なったロック。

それでも、彼女の周りにはそのひたむきさ、懸命さと情熱に惹かれて人が集まり、その人々は彼女を成長させるための愛情を惜しみなく注いでくれる。

内に秘めた輝くばかりのオーラ、無条件で引き寄せられる意志の強い瞳。

キョーコに惹かれるはずだ。

どんなに遠く離れても忘れられなかった思い出の少女。キョーコに出会ったときから、彼女の温もりに触れ、彼女の魅力に引き寄せられていたのだろうから。


クオンは目を閉じて、キョーコの姿を思い浮かべた。

ゆっくり眼を開けると、嬉しそうにこちらを見る社の優しい表情が見える。

「…?なんでしょうか?」
「いや?これが難攻不落の城を落とした男の顔なんだなと思って。」
「…いや、落ちてくれてたらこんなに悩みませんよ。」

ぷははっ…まだ言ってる。と社は噴出した。

「いや、キョーコちゃんも相当だけど、クオンもかなり…だね?」
「……?」
「いや、真面目だなと思って。」
「真面目なんかじゃないですよ。」
「うん、そういうことにしておこうか。でも、そうするとキョーコちゃんの不安定さ…心配だな。」

「きっと…俺のせいですね。」
「クオンの?なんで?」

ちょっと躊躇うように、言葉を選んだ。

「実は…まだ、プロポーズは完成していないんです。」
「?…どういうこと?」

クオンは困ったように眉根を寄せる。

「指輪をね…」
「うん?」
「指輪をまだ渡せていないんです。」

「は!?」

「だめ…ですよね。婚約指輪も渡せてないなんて。」
「え!?ちょっと待って!準備はしてたんだろう?」
「ええ、まあそれは勿論ですが、渡す機会を何だかんだと失ってしまって…」
「いや、でもキョーコちゃんはそんな事気にするような子じゃないと思うけど、やっぱ女の子だから…いやいや!」

あー…だの、うー…だのと社は唸る。

「それと…その…さっきの話の続きではありませんが、実は、彼女に何もしていないのはですね…」

「……うん。」

「彼女に迫って…引かれたからなんです。」

「!」

「かなり自分的には衝撃でしたよ。彼女に必要とされていないと正直思いましたし、彼女が俺を信用していないと分かって、相当凹みましたから。それ以降は何とか押さえ込んでいるんですけど、そんなぎらぎらした男が側にいて不安に思わない筈はないですよね。」

「…いや、まてまて!」

「だけど今、社さんの話を聞いたら、いろいろと符号が当てはまりましたよ。けれど…やっぱり身体的には辛いというか…すみません、こんな事まで言うつもりでは…」

これまた一人ドツボに嵌って、そう打ち明けるクオンの耳は、ほんのりと赤い。

「ぶっ…ぶふっ…」
「ああ!もう!恥ずかしいじゃないですか」
「ぶふふふっ…!いや、いいよ…クオン。君の遊びなれたテクでも、キョーコちゃんを陥落できなかったんだ。」
「何ですか、その遊びなれたテク…って見たことあるみたいに。ばっさり瞬殺でしたよ。全く…意味不明な………あ、そうだ。」

クオンが思い出したように、社を見る。

「もう一つ聞いていいですか?」
「うん、何?」

「“夜の帝王”って、何です?」

「ぶっふう~~~っぅっ!!何?夜の“帝王”って…言われたの?もしかして…それで…逃げられたの?」

「……そのとおりですよ。」

あまりに笑う社に少々膨れっ面をしてしまう。こんなに…こんなに飾らずに話せるなんて、いつ振りだろう。

「いや…、(ククク)ごっ…ごめん、そりゃ無理だ。日本で抱かれたい男NO.1の男が迫っても、逆効果なんだから!(ぶぶっ…)だって、キョーコちゃんはね…」

「「純情で、初心で恋愛に対して凄く臆病」!」

社の笑いが止まった。

「…そしてメルヘン思考。ですよね?」

社の顔が嬉しそうに綻ぶ。

「ようやく少し分かりましたよ、最上キョーコが。そして俺自身が。」
「本当に?」
「ええ、社さんのおかげです。ありがとうございます。」
「クオン…」
「次のクランクインまでには、社さんの心配が少しでも減らせるように努力します。」
「…っ!よしっ!それでこそクオンだ!もし心配な事があったら、お兄ちゃんにどーんと任せなさい!」
「クスクス…そうですね。頼りにしてます。」
「よし!飲もう!飲むぞ!」
「飲みましょうか。」

その夜は社と遅くまで飲み明かしたのだった。





カチャ…

静かにキョーコの寝室に足を踏み入れると、スースーと規則正しい寝息が聞こえる。

じーっとみていると不意に眉間に皺がよって、手がぶうん!と宙を舞った。

「……電柱はこっち!」

ぷっ…一体どんな夢を見てるんだ?

ゴロンと寝返りを打って横になり、ふにゃふにゃと顔を緩めたかと思ったら、一瞬真面目な顔になる。

「ん…クオン…」

不意に呼ばれた名前に心臓が跳ねる、けれど次の瞬間息を呑んだ。

「クオン…好き…」

言葉とは裏腹にキョーコの目から一筋の…涙が零れた。
自分を好きだといいながら、涙を流すのは何故だ?
恋愛にもう一歩、踏み込めない理由…それを取り払う事ができたなら…

指先で顔にかかったキョーコの前髪を、ゆっくりと払う。


「キョーコ…好きだよ。愛してる…。」

キョーコの額に唇をそっと押し当て、また穏やかな寝息を確かめると、静かに部屋を後にした。





(続く)





と見せかけて、ちょっとだけおまけ付き。


~おまけ~

この時間、住宅街を走る車は殆どない。
ほろ酔い加減でクオンの家を後にした社は上機嫌で夜道を歩いた。

ぷぷぷっ…夜の帝王…
村雨に言い寄られた時も、古賀君に言い寄られた時も、『よっ…夜の雰囲気で怖かったです~~。』と半泣きになりながら、逃げてたのに…それが、夜の“帝王”。
一体全体、クオンはどれだけの妖しい…いや、色気のある雰囲気で挑んだんだか?

ぷぷぷっ…
キョーコちゃん、心してかからないと彼は本気だよ?

一人肩を揺らしながら、アパートに向かう社であった。




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コメント

No title
きゃあ、ヤシロ兄様、とっても素敵。頼れるアニキですわ。
クオンにとってもお兄さんですね。

話が逸れてしまうけど、村雨君が迫って逃げられるシーンとか古賀さんが口説いてスルーされるシーンとかも興味あります。
貴島氏も捨てがたいですね。


だが!やはりクオンが一番よ。
  • 2017-12-28│23:00 |
  • ありす URL│
  • [edit]
Re: No title
> ありす様

きゃあ、をいただきました!

社さん、格好良くいい仕事してますでしょう?
うちの中では社さんはかなりの仕事人でございます。

やはり、本誌の彼らのいい関係性は、スキビの中でも重要事項だと思います。
お付き合いくださり、ありがとうございます。
  • 2017-12-29│16:09 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]
ニヤニヤ
これで、ヤッシー兄ちゃんとクオンの間にも信頼関係というか絆が生まれた感じですね。

悩める初心で臆病な乙女と、タラシで夜の帝王なヘタレの行く末はどうなるのか。

続きも楽しみにしてます!
  • 2017-12-30│15:32 |
  • まじーん URL│
  • [edit]
Re: ニヤニヤ
> まじーん様

ニヤニヤしていただけましたか!
嬉しゅうございます。

> 悩める初心で臆病な乙女と、タラシで夜の帝王なヘタレの行く末はどうなるのか。

ぷぷ!これ↑笑っちゃいました。
大好きなキーワードが三つも!
本当にクオン君の三つ揃えは参っちゃいますよね。

そして、クオン君とヤッシーの連帯感が生まれた瞬間です!
やはり、守り人としてのヤッシーとそれを奪うクオン君。
お眼鏡にかなう男性じゃないと、ヤッシー自身もなかなか懐に入れてくれないでしょうから。
ヤッシーは二人のお兄ちゃんなんです!
  • 2017-12-30│17:27 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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