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続・嫁ものがたり10

もう1月が終わりそうな気配です。
不憫なクオン君、進展…してるんだろうか?


では、続きよりどうぞ。







映画の撮影も山場を迎えた。
ストリート、ビルを借りてのアクション

クオン演じるジャックとキョーコ演じるユーリが激しく睨みあうシーンもあったが、冷ややかな目線でジャックを睨みつけるユーリと、ユーリに激しい憎悪を向けるジャックの演技に、これが付き合っている二人が見せる表情だろうかと、社は背筋が寒くなる思いだった。

黒色のジャンプスーツに身を包んだキョーコのアクションは、紅葉の頃に身に付けた動きさながらにしなやかだった。スリムなボディから繰り出される殺陣を意識した動きは監督を唸らせたし、殆どスタントも入れず周囲も感嘆の息を漏らした。

ジムとの直接対決で、銃弾に倒れたユーリ
血に染まった指先がジムの頬をなぞり、ポトリ…と力なく落ち、無言でユーリを抱きしめるジム

そのシーンを最後に、キョーコは一足先にオールアップを迎えた。


やがて、3Jは国際テ/ロリスト集団の本部に乗り込み、深い痛手を負いながらも破壊の限りを尽くした中に生還する。

テ/ロリスト集団のボスやその他の悪役、3Jを率いる司令官などもかなりの有名どころで占められていたため、キョーコの役者としての扱いは、始めはさほど良い物ではなかった。けれど、今回の映画の中では、切ない場面を演じた一人として注目を浴びた格好になったといえる。

こうして映画は無事にクランクアップを迎えた。




続・嫁ものがたり 10




「クオン、今日は京子はいないの?」
「やあニック、来ているけど…何か用?」

クランクアップ後の小さなパーティで、ニックはふふん…と笑うとクオンに近づき、耳打ちをした。

「クオン…彼女は最高だね。本当に意外性のある女優だと思うから、挨拶したいだけなんだ。」
「……そう?」
「それと、単に細いだけかと思ってたけど、抱きしめた時の感触がたまらないね。しなやかな肉食獣みたいだったよ。」

舌なめずりをするようにクオンに報告するニックに、苛立ちが止まらない。

「そういう下品な発言…キョーコの前では控えて。不愉快だ。」
「おっと…すまん。悪気はないんだ。どうしても会いたかっただけだよ。」
「…………」
「そう怒るなって…お前と京子が付き合っているのは分かってるからさ。…でも、意外だったな。今のお前がそこまで感情をむき出しにするなんてな…。」

すうぅーっと、クオンの周りの空気が一気に冷え、ニックは肩をすくめた。

「すまん、昔の事を持ち出して悪かったよ…けど、一つ忠告しておく。オルガに気をつけたほうがいい。あの女、何するか分からない。」

「…オルガ?」

「そうさ、お前が手に入らなかったもんだから、イライラしてるのさ。」


じゃあなといって、ニックはクオンの側を離れた。
クオンは思わずキョーコのことで感情が表に出てしまった事に、まだ青いな…と自嘲の溜め息を漏らした。

ニックはクオンの過去の過ちを知っている男だ。今ではそんなそぶりも見せずに付き合ってはいるが、内心穏やかではない。

ふうっと髪をかき上げて、キョーコの姿を探した。
あたりを見渡しながら会場に入ってきた社を見つけ、声をかけた。

「社さん、キョーコは?」

「俺も探してたところ。なんだ、クオンと一緒じゃなかったのか? 」
「……え?」
「じゃあ、どこに行っちゃったんだろう?」

社の言葉に会場を見渡し、オルガを探す。

…いない

オルガの姿が見えない。

その時、社の背中がぞくっとした。
(え…何?この感覚…風邪?)と思って振り向くと、隣に立つクオンから異様な気配が漂っている。

「クオン…ど…どした?」
「社さん、キョーコを探します。」





ぞくり…

(…!?)

その時、キョーコも同じ気配を感じた。…オルガのトレーラーで。

『京子、素敵な演技だったわ。是非あなたとお友達になりたいの。』

そう言ってキョーコに近づいたオルガ。オルガは本当に美しい女優だ。
実はキョーコの防御壁は綺麗なもの、特に美しい女性に対しては極端に低い。無論、初対面の人間にはある程度の距離感を示すし、自分に対して嫌悪感をあからさまにする場合は、適度に距離をとるのは当然だ。
だが、顔よし、スタイルよし、演技力よしのオルガはキョーコに極めて好意的に近づいてきた女性でもあったのだ。

『クオンのことで悩みが尽きないんじゃない?良いわ、相談に乗ってあげる。』

にこやかに誘われ、ふらふらと迷い込んだコンテナトレーラー。彼女は東欧の人間で、この撮影が終わると母国に帰ってしまう。だから最後に…といわれたらキョーコは断れない。
クオンのトレーラーと同じように立派な作りに、緊張の面持ちでキョーコはソファーに座っていた。

「ねえ、クオンと付き合ってどれくらいになるの?」
「半年…くらいでしょうか?」
「クオンって優しいでしょ?」
「はい、とても!」

てれてれと頬染めるキョーコの無防備さに唖然とする。

(全く、こんな乳臭そうな娘のどこがいいのかしら?)

ニックもこの娘とのラブシーンを演じてから変わった。自分との情事の後で一度抱いてみたいと平然と言うのは不愉快だ。
確かに演技は抜群に上手いと思った。予想外の上手さにいつかこの娘は伸びてくるかもしれないと思った。だが、まだ追いつかせやしない。寧ろ潰してやりたいとさえ思う。

「キョーコ、タバコ吸ってもいいかしら?」
「あ……どうぞ…」
「悪いわね、それで、クオンってどんな感じなのかしら、タフ?」

“ふうぅ~~”っとキョーコの顔に向けて煙を吐き出した。

「…っ!コホッ、コホッ…」
「あら、ごめんなさい?クオンってキスも上手よね…」
「え…あの…」

くらり…とキョーコの視界が揺れる。

“ふうう~~~っっ…”

「クオン…は…」
「凄く上手だったわよ、蕩けそうなキス…クスクスクス…ホントに素敵よ?あなたで満足できるのかしら…?」

耳の中でオルガの声が多重音声のように聞こえ始める。

「私…クオンが欲しいの、貰っても良いかしら?」
「キス…?クオンが…欲しい…?」

キョーコの目の前が、チカチカと瞬き始めた瞬間だった。





(続く)
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コメント

コメント(4)
No title
キョーコちゃん、ピンチ!
お姫様を助けに来るのは、騎士の務めよ。

クオン、それ行け!

社兄さんと一緒に応援しているわよ。

ありす

2018/01/26 08:05 URL 編集返信
Re: No title
> ありす様

> お姫様を助けに来るのは、騎士の務めよ。

そうなんです!
キョコさんのピンチに、クオンは間に合うのでしょうか?
騎士のおつとめを果たしてくれるのでしょうか?
今回は、なんだか怪しい雲行きの巻なので、ハラハラさせちゃってごめんなさい。

かばぷー

2018/01/26 19:05 URL 編集返信
怖いオルガ
楽しく拝見してます。
オルガ、何をたくらんでいるのでしょうか?怖いです。
クオン、はやく助けに来て!!!

harunatsu7711

2018/01/28 10:53 URL 編集返信
Re: 怖いオルガ
> harunatsu7711様

いつもありがとうございます。

> オルガ、何をたくらんでいるのでしょうか?怖いです。

ですよね~。
キョコさんクラクラ…何したの!?アンタ!!!ってモー子さんがぶち切れそう。
書いた自分もこの展開に吃驚したのです。

救世主あらわるのか?
クオン、早く助けに来て~~って、祈っててください。

かばぷー

2018/01/28 11:18 URL 編集返信
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