FC2ブログ

雪がやんだら 3

明けましておめでとうございます(^∇^)ノ

2018年が始まりましたね。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年から引き続き、年末・年始のお話です。

どうぞお楽しみ下さい








「…キョーコ、寒いだろうから、おいで?」

キョーコにとって蓮からのその一言は、凄く魅力的だった。




雪がやんだら 3





「あ…大丈夫です。……クシュン!」

まだ吹雪の止む様子はない。
ガタガタと小屋の窓を慣らす風の威力は弱まる事はなく、真っ暗になった外から隙間風が入ってくる。
やはり、キョーコは心なしか寒さを感じていた。

「ほら、くしゃみした。大丈夫じゃないだろう?おいで。」
「いえ、本当に…らいじょうぶです。えっと、ティッシュあったかな…ああ、ありました。持ってました。」

ウエストポーチから出てきたポケットティッシュ。
それを取り出そうとしてあるものを見つけ、キョーコはホッとした。

「敦賀さん、お腹空いてませんか?キャンディーがあります。」
「ん…?大丈夫、空いてないけど…」
「ダメですよ!この期に及んでお腹が空いてないとか!ちょっとでも糖分補給しましょう。」

キョーコの剣幕に押され、飴玉を一つ受け取った。

「ありがとう…」
「どういたしまして。」

小さな飴玉を二人して口に放り込むと、優しい甘さがふんわりと口いっぱいに広がる。

「うん、甘いね。」
「美味しいですね。」

そしてまた沈黙が訪れる。

「クシュン!」

「だから、そのままじゃ風邪引くから、こっちにおいで?」

蓮は当然のようにその懐を広げた。

(こっちにおいで…って、INですよね。またもや敦賀さんの懐にIN…なんですよね?ど…どうしましょう・・・。)

付き合っていると言えど、実はまだ二人の関係はキス止まり。キョーコは盛大に目を見開いてうろたえてしまう。

「ほら、早く」
「え…いえいえ、そんな。滅相もない」
「そうじゃなくて、外気温が下がってきてる。もう少しストーブの近くに来るかしないと風邪を引いてしまう。いいからおいで。」
「でも、あの…本当にいいんですか?」

「………何を今更…」

ふうっと蓮は溜め息をついて、キョーコの腕を取った。

「撮影を遅らせたくないよね?」
「はいっ!でも、こういうのとは違う気が!」
「いいから、言うことを聞きなさい!」
「むきゅー!!」
「ああ、もう!往生際が悪い!」

蓮はその腕の中にすっぽりとキョーコを納めた。
後ろから羽交い絞めにすると、やはり服越しでもキョーコの背中が冷たい。
背もたれにかけてあったウェアをふわりとキョーコの前側にかけた。

(ぎゃーーー!!!どっ…どうしよう、敦賀さんの体温、たたたた…高い!心臓が止まる!!)

「じっとしてて、もう少ししたら温まるから…」
「むううう…!」

じたばたし始めたキョーコをあやすように囁きかけると、やがて観念したように動きが止まった。


(温かい…。どうしよう…嬉しくてホッとする…けど…何か緊張しちゃう…)

「……」

「どうかした?」
「えへへ、あったかい…です。」
「うん、ごめん…もう少し早く天候の変化に気がついていれば…君をこんな目に合わせずにすんだのに」
「そっ…そんな事ないです。山の天気が変わりやすいのは知ってたのに、迂闊だったのは私も同じですから。それに…」

「それに?」

…それに、敦賀さんと一緒にもっと滑っていたくて、少しでも終わりを先延ばししたかったのだとは、子供みたいで恥ずかしすぎて口が裂けてもいえない。

チラリと横目で見上げると、当たり前のように自分を心配する顔をした蓮がいる。
ホッとしたのもつかの間、心臓の動きだけが空間に響いているように感じて、このままでは最近、急速に発達を始めた疚しい企みが明るみに晒されてしまうとキョーコは焦って目を伏せた。

「なんでもないです。」

ただでさえ、付き合い始めてから、凄く欲張りになっていると自覚しているというのに。
こんな二人きりの状況は、凄く嬉しいけれどドキドキが止まらなくて…まだ、甘える事に、欲望をぶつける事に躊躇ってしまう自分がいる。



「ねえ…そんなに硬くならないで?」

ポツリ、と蓮が不意に言葉を溢した。

「………え?」
「うん、付き合って大分経つけど、まだこういうの…慣れない?」
「うやっ!?いやっ…そのっ!そそそ…そういうわけではっ!」

ぎゅう…っと蓮はキョーコを強く抱きしめた。
その瞬間、はっとしたようにキョーコは身を固くした。

(どうし…よう…)

心臓が急速にドッドッドッ…と脈打ち始める。
どうして自分はこの場面にこんなに緊張するのだろう…
理由は分かっている。


――― 蓮とのそれ以上を期待しているから…だ。


当たり前のようだが、蓮が好きだ。
こうして抱きしめられる瞬間もまだドキドキしている。キスをされるかもしれないという期待感とキスをして欲しいなんて欲望がぐるぐる渦巻いていて、もう、隠しきれないような気がして…、凄く緊張してしまうのだ。
…でも…


「……ごめんなさい。やっぱりまだ、慣れないかも…」

そう告げたとき、蓮の身体が一瞬、強張ったように感じた。

「…嫌?」
「違います!嫌な訳ではないです!凄く嬉しいです…けど、凄く……緊張するんです…。」
「緊張?なぜ?」
「だって…」

こうやって、二人きりで過ごす時間は、付き合ってから今まで殆どなかった。
蓮から好きだと告げられて、あまりに驚いて固まった夜。
泣き出したキョーコを気遣うようにキスをして、「大事にするから…」と告げられて、優しく髪を梳かれた。
服越しに優しく抱きしめられて,そしてその晩は別れた。

それからは、会えない時でもいつも夢のような言葉をくれるようになった蓮。

“今、どうしてる?”
“会いたいな” 
“好きだよ”

それはキョーコにとっては、嬉しすぎて赤面せずにはいられないような言葉の数々で、凄く返答に困った。
そして、頻繁に電話やメールはくれたけれど、出会えたのはほんの僅かで、まだふわふわと夢と現実の狭間にいるみたいな感覚になるのだ。

「だって…やっぱりまだ、いろいろ信じられない気持ちも無きにしも非ずといいますか…」
「え……?」
「それに、比べられちゃったりしたら嫌だなあ…とか…。」

「それは、どういう意味?」

蓮の言葉に、棘が混じったように感じた。
でも、そう思っているのは事実だと、自分の口からでた言葉に無意識にこめられた己の本心を改めて感じてしまった。

でも、それを言える訳がない。

このロケが決まってから、大好きな蓮としばらく一緒にいられるのだと思うと、キョーコの気持ちは浮き足立った。けれども、仕事面でプライベートを匂わせたくないという京子としてのプライドがある。
けれど、実はさっきの加納ユミのしたことは、自分がしてみたかった事の一つだった。だから、嫉妬しているのだと…

蓮に絡まるユミの腕。押し付けられた大きく膨らんだ胸元。
ふと頭に浮かんだ明日の撮影シーン、二人が思いを告げる大事な山小屋の場面設定。
蓮に抱きしめられる華を…ユミを想像すると、蓮の隣にいるのが自分ならいいのに…という気持ちが押し寄せて、胸の奥にもやもやがたまっていくような気がしていたから。

まさか、自分が実際に映画のワンシーンと同じように蓮と二人で山小屋に篭るなんて事を想像もしていなかった上に、あまりに台本どおりの展開に、蓮の告白を受けたのは本当に自分自身だったのか、それとも、もしかするとあれは練習か何かで、都合のいい妄想だったのではないかとさえ思っている自分がどこかにいる。

そんなふうにドラマの台本にさえ嫉妬してしまう自分がいることも、まだ、本当に付き合っているのかどうかさえ半信半疑でいることも、蓮に言えるはずはなかった。


「………比べたりなんかしないよ。比べられるはずもないから。」

「………」

蓮は小さく息を吐いた。






(続く)





100%ハピエン!!( ̄^ ̄)ゞ

関連記事
スポンサーサイト



コメント

コメント(8)
明けましておめでとうございます✨
去年は沢山の素敵なお話ありがとうございましたヽ(●´ε`●)ノ
今年も楽しみにしてますね♪

うじうじキョーコちゃんのお話ですね。
蓮さんが男らしいので、蓮さんの熱でキョーコちゃんの心の氷を溶かせてもらいましょうかね。
サブキャラの女優さんをベコベコに凹ませてもらいたいものです(笑)
また次も楽しみです( ´∀` )b

じゅんこ

2018/01/01 13:44 URL 編集返信
キョコ、ガンバ!
…と言いたくなります。
気持ちの上で。

こんなに大切に、こんなに愛されているのに、
ドキドキしすぎてパニックに近いほど、キョコも好きなのに…。

蓮様はゆっくりとキョコの気持ちも包もうとしてくれているので、
すこうしづつ…大切に二人の距離を進めていって欲しいですね。
誰とも比べられないキョコだから。

今年もよろしくお願いします。

山崎由布子

2018/01/01 15:14 URL 編集返信
No title
あけましておめでとうございます。

今年もクオンとキョーコちゃんと蓮様とかばぷー様のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

キョーコちゃん、可愛い。ハピエン、最高!
顔文字も可愛い。いろいろあるんですね。

ありす

2018/01/01 17:20 URL 編集返信
新年明けましておめでとうございます!
忙しい二人だから、付き合って二人の関係になれて、触れ合いが少しづつ増えてという段階も踏む時間もないのですね。

そりゃあキョコさんのとっては現実感がないかも?

ボディ自慢のヒロインとの接触に嫉妬するキョコさんが可愛いですが、蓮くんはこの機会にキョコさんともっと恋人らしくいちゃいちゃしたいとそればかり考えていたんでしょうね〜。

100%ハピエン!!( ̄^ ̄)ゞ 宣言が素敵なこのお話。

続きも楽しみです。

本年もどうぞよろしくお願いいたします!

まじーん

2018/01/01 19:08 URL 編集返信
Re: タイトルなし
> じゅんこ様

> うじうじキョーコちゃんのお話ですね。
ええ、そうなんですよ~!うじうじと悩んでますね。
本当に、蓮さんの熱で溶かしちゃってぇ~~♪(←妄想膨らみます)

どうぞお楽しみ下さい。
本年もどうぞよろしくお願いします。

かばぷー

2018/01/01 20:22 URL 編集返信
Re: キョコ、ガンバ!
> 山崎由布子 様

キョコさんへの応援ありがとうございます!
まるで物語を読んでいるようにコメントが素敵で、嬉しくなっちゃいました。
大事にされながら、お互いの気持ちを再確認できますように。

こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いします。

かばぷー

2018/01/01 20:28 URL 編集返信
Re: No title
> ありす様

あけましておめでとうございます。
顔文字…絶対ハピエンですよ!(ビシッ!!)ってやつですね?
あれ、好きなんです~。

キョコさんと蓮さんが上手くいきますように♪

かばぷー

2018/01/01 20:32 URL 編集返信
Re: 新年明けましておめでとうございます!
> まじーん様

そうなんですよね~。あんまり合う時間がなさ過ぎて、夢心地のままここまできちゃったら、あれ…付き合ってるの?
ってなっちゃいそうです。

> ボディ自慢のヒロインとの接触に嫉妬するキョコさんが可愛いですが、蓮くんはこの機会にキョコさんともっと恋人らしくいちゃいちゃしたいとそればかり考えていたんでしょうね〜。

ぷぷぷっ!そのとおりでございます。やはり鋭い観察眼!
折角のふって湧いたようなロケですもん!ここから、ここから…なんて、能天気に構えていたものと思われます。相手役は完全アウトオブ眼中でしょうから?

こちらこそ、本年もどうぞよろしくお願いいたします!

かばぷー

2018/01/01 20:43 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
お付き合いある「ス/☆ビ」二/次サイト様、マスター様のリンクをいただいています。リンクをご希望の場合、お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りいたします。

Attention!
The all of this are NOT related with the Author and/or the Publisher. Not allowed to permit from all illegal actions by the website rules. No reproduction and/or republication without any written permission from blog author and/or web site owner.
Each blogs has the copyright after publication showing on the web site and each web page by the author.
注意!
この中の全ての物は、原作者及び出版社とは関係ありません。
ウェブサイト会社規約、全ての違法行為を禁止します。著作者の許可なく摸作・転作などの行為を禁じます。
各ウェブサイト又は各ブログ執筆者により書かれた、もしくはデザイナーに描かれたそれらの創作作品は、公共へ配信された時点で著作権は著者が所有しています。 

ようこそ

カテゴリ

リンクご案内

ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様
ぽてとあげたい様
ぽてとは揚げて食べたいな