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雪がやんだら 4

すれ違い?
勘違い?







炎の揺らめきを見ていると、不思議と心が凪いで来る。
キョーコは感情を無にして、ボーっとストーブの炎を見つめた。






雪がやんだら 4





「もしかして…俺の気持ちが信じられないって事なの?それとも、まだ付き合うってことに実感が伴ってないのかな?」

蓮に静かに問われた。
蓮の気持ちは凄く伝わる。
だから一つ目の質問には首を振った。けれど、二つ目の質問は…

「敦賀さんの気持ちは、凄く嬉しいです。けど、付き合っている実感があります…と言ったら、多分嘘になります。」
「そうなの?」

「……はい。付き合うって何なのか…最近よく分からなくって…すみません。」

ようやく口に出せた言葉なのに、キョーコは自分自身でがっかりした。
それでも蓮は無言でキョーコの言葉を待った。

「敦賀さんが、私のことを好きだと言ってくださって、凄く…凄く嬉しかったんです。嬉しすぎて、泣いちゃった位に…。」
「………」

「…でも、頭がふわふわして、現実なのかな?夢の中にいるんじゃないかな…とか、これ、本当なのかな?私でいいのかな…って、頭の隅で考えちゃったんです。」
「そんな事を考えてたの?」

「はあ、まあ…」
「とっても現実なんだけどね。俺が君を好きだっていうの。」
「うっ!はい…それは、ありがたいです///」

「じゃあ、付き合っている実感がないって言うのは?」
「いや~…ないわけじゃないんですけど~」
「何、はっきりしないの?一体どんなイメージでいたの。」

「う~んとですね、一緒に外でご飯食べたり、手を繋いでデートしたり?…でも、そんなふうなお付き合いは敦賀さんは有名人だし、難しいのは勿論分かってて、そんなお付き合いは望んでいないんです。」
「…まあ、無理があるといえばあるけど、それは望んでないの?」

「はあ。例えばですけど、今までみたいに敦賀さんのところで食事を作って、一緒に食べられたらそれでいいかなあ…って。ほら!どんな些細な事でも、時間を共有できたら幸せだったり嬉しくなったりするじゃないですか。だから…そんなのが出来たらいいなとは思ってるんです。でも、私のほうもなかなか時間が取れなくて、申し訳ない気持ちがしてます…。」

「それは…ごめんね?」
「いえっ!敦賀さんが謝る事では!…ただ、一緒にいたいだけなんです!でも、それだと今までと変わらなくて、そんなので付き合っているのかって言われると、若干違うような気もしてしまって…すみません…」

「一緒にいたい…だけ?」
「うぅぅ…だけじゃないですけど、一番は一緒にいたい……です。そんなのは…付き合ってるって言いませんかね…」

「………いや、いいよ。それについては俺も少し考えてたから。」

「敦賀さんも?」
「うん。」

一体敦賀さんは何を考えてたんだろう?とキョーコは首をかしげた。

「俺だって不安になるの。キョーコが相手だから。」
「…私?」
「そう。大事にしたい…って言ったよね。」
「はい。」
「うん…大事にしたいんだ。俺の気持ちがちゃんと伝わるまで、一緒にいてこうやって硬くならせたくないから、怖がらせないようにしよう…大事にしよう…って、思ってるんだけど…」

「……けど…?」

「時々暴走してしまいそうになるし、やっぱり不安なんだ。キョーコが本当に俺を好きでいてくれるのかどうか…」

「……す…!」

好きに決まってるじゃないですか!!!と言いかけて、キョーコははたと気がついた。

(もしかして…私…敦賀さんに、「好きです」って、言ってない…かも?)

蓮からの告白があまりに衝撃で、嬉しくてぐちゃぐちゃに泣いた。
“付き合ってくれる?”って聞かれて、頷いた。
何度か電話が来て、メールが来て、赤面してしまうほどのストレートな蓮の言葉が嬉しくて返信をしてきたけれど、それに対する返事の内容は…確かに付き合う前と何ら変わらない内容で…自分の口から蓮に、“好きです”とは言った記憶が、確かに……ない。

「………言って…」
「ないよね?」

そう言って、キョーコを抱きしめる力を少しだけ強くする。

「だから、不安だよ…。凄く…」

(そうか…そうだったんだ…。)

「あの…ですね、敦賀さん。」
「うん」
「私、敦賀さんのこと…その…す…す…すすすす…」

「す?」

「すッ…すッ…好き…ですよ?むぎゅっ!!!??」

さっきからだんだんと締め付けが強くなっていた蓮の腕が、ぎゅうぎゅうにキョーコを抱きしめた。

「…つる…がさ…苦し……」
「あっ…ごめん…つい、嬉しくて…」
「う…けほ…強すぎです!あ~~、死ぬかと思いました。」
「俺も、死ぬかと思ったよ。もし君に嫌いとか言われたら、立ち直れないから。」

「……嫌いなわけ、ありません。本当に夢みたいで緊張するだけなんです。」
「だから、どうして緊張するの?」

「だって…その…敦賀さんが夜の帝王だから……」


「あの…さ、何度も聞くようだけれど、それは…どういう意味かな?」

キョーコは、そう問いかける蓮の顔をまじまじ見た。
じっと自分を見つめる綺麗な瞳…それを見つめ返すだけで顔が赤らんでくるのが分かる。

「……だって…、敦賀さんが好きすぎて、自分がどうにかなっちゃいそうで、ドキドキ…するんです。」

キョーコは自分が言った言葉があまりに恥ずかしすぎて、両手で顔を覆った。

「だって、お付き合いの先にあるものがあるじゃないですか!何にも知らないのに、つ…敦賀さんと…一緒にいるだけで、ドキドキして、いろいろ…いえっ…何でも!何でもないです!!う~~~…///」

「付き合うの先…を考えてくれてたの?」
「はうっ!いや、そのッ…」

「………それは…触れられると嫌って事じゃないよね?」
「違います…!寧ろ、逆です!もう~~~…///」

「ぷ……じゃあ、触れても嫌いにならない?」
「……なりません!」

「それなら、もっと早くこうすればよかった…」

蓮は、顔を覆って破廉恥ですとか何とか呟きながら真っ赤になっているキョーコの頬に手をやり、上を向かせた。
ふっと顔から手が外れたキョーコの潤んだ目を見つめ、ゆっくりと顔を近づける。

ゆっくりと…啄ばむように重ねた唇

やっぱりキョーコは硬くなっていたが、蓮の唇を確かめるように目を閉じて応え始める。
互いの頬を包み込み、優しく触れるだけで、心が満たされるような、そんな口付けを交わした。

やがてゆっくりと二人の唇は離れ、キョーコの頭が蓮の肩口にもたれかかると、蓮は優しくキョーコの背を撫でた。


「これ以上は、歯止めが利かなくなるから…」

「…歯止め?」
「うん、ここで君を抱くことはできない。」

キョーコは、その意味をはっきりと理解して、顔から火が吹き出しそうだと思った。
きゅっとシャツを掴む右手に、自然と力が入る。

その時、頭の上のほうで、小さな声がした。




「ねえ、雪がやんだら……部屋に行ってもいい?」


まるで消え入りそうな、自信の無さそうな声は蓮に似合わない。

キョーコは、うつむいてゆっくりと頭を横に振った。

「だめ…?」

「…………違います……。私が、敦賀さんのところに行きます。…いいですか?」

蓮はまた、キョーコを抱きしめる腕をぎゅっと強くする。

「うん…待ってる。今日はもう目を瞑って?少しだけでも眠ろう…」

キョーコは温かい腕の中で、小さく頷いて目を閉じる。

やがて小さな寝息が聞こえ始めると、蓮はその額に唇を寄せた。





(続く)
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コメント

コメント(6)
雪がやんだら、、、
明けましておめでとうございます。

更新楽しく拝見してます。避難中の二人、雪がやんだら、、、かなり接近しちゃいそうです。うーーん。楽しみです‼

harunatsu7711

2018/01/02 15:53 URL 編集返信
Re: 雪がやんだら、、、
> harunatsu7711様

明けましておめでとうございます。

ようやく、タイトル「雪がやんだら」がでてきました。
これをねえ、言わせたかったのですよ。
そして、自分で行くって言わせたかったのですよ。

さてー、美味しくなるかしらー♪

かばぷー

2018/01/02 17:11 URL 編集返信
うふふふ
2人にとっては、お互いの本当の気持ちを聞く良い機会となったみたいですね。

キョコさんは、蓮さんに伝えたいことを伝えられ大満足。(あとのことは緊張するけど、ほっとしてそう)

蓮さんはもう、いますぐ叫んだり、踊りだしたいぐらいになってそうです。

続きも楽しみにしてます。

まじーん

2018/01/02 20:10 URL 編集返信
Re: うふふふ
> まじーん様

ある意味、王道?的な今回のお話でないかなと個人的には思っています。

うじうじねちねち悩むキョコさんと、どちらかというとヘタレで不安な蓮さん。
まあ、好きって言われてないんじゃ付き合っているって言っても不安ですヨねえ…

おまけに、告白してからな~んもできてない!会えてない!
そりゃ、付き合ってるの?本当に?って双方不安だらけ。
だけど、まあ蓮さんはキョコさん一筋なのは絶対譲れませんから!
明日は無事にハピエンですわよ♪おーほほほほ!

収蔵、ありがとうございました。

かばぷー

2018/01/02 20:20 URL 編集返信
ささやかでも幸せ
昨日、感想したはずが投稿できていなかったので再びチャレンジ<(_ _)>

キョコのささやかそうで普通の幸せ。
無理なところはあるでしょうけど、つまりは二人が一緒なら幸せなんでしょうね。

で、キョコの「す、す、す、す…」となったところで、
すもみ!…と訳のわからん突っ込み入れてる脳ミソがギャグ化していて悲しい(T_T)…というか、すみません<(_ _)>

山崎由布子

2018/01/03 14:45 URL 編集返信
Re: ささやかでも幸せ
> 山崎由布子様

再チャレンジをありがとうございます。
最近、コメント投稿出来てない事例が時々ありまして、何でだろうと思っております。

サテ…すもみ!?すもみって何だ!!??と大笑いしてしまいました。
なますの親戚でしょうか?す巻きの親戚でしょうか?
また機会がありましたら、教えてくださいませ。

しかし、キョコさん…まだ好きって言ってなかったんですよね。
ああああ==そりゃ蓮さん不安だわって思ってくださるとありがたいです。

かばぷー

2018/01/03 16:48 URL 編集返信
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