FC2ブログ

愛しの拾得物 1

新連載をはじめます

今回もパラレルです
いわゆるおバカ話でございますので、個人的には、ニヨニヨしながら楽しく書きました。

どうぞ、お楽しみ下さい。(* ´ ▽ ` *)










愛しの拾得物 1





「オールアップです!お疲れ様でした。」
「敦賀君、お疲れ!」
「お疲れ様!!」

ドラマの撮影が終わり、次々に手渡される花束。
LMEの看板俳優、敦賀蓮はにこやかにスタッフに礼を述べた。

「ありがとうございます。皆さんお疲れ様でした。」

監督と握手を交わし、そのままの勢いで打ち上げになだれ込む。
したたか酒も入り、ほろ酔い加減で彼が帰宅の途に着いたのは深夜を回ってからだった。


「蓮、お疲れ。本当にここでいいのか?」
「ええ、構いません。少し歩くのもたまにはいいでしょうから。」
「そうか、明日は予定通りオフだから、ゆっくり休んで。」
「はい、社さんもお疲れ様でした。」
「じゃ、おやすみ。」
「失礼します。」

もう二月だというのに、深夜になるとぐっと冷え込みは厳しくなる。
吐く息は白く、酔い覚ましには丁度よいひんやりとした空気だと蓮は思った。

タワーマンションのエントランス手前で社と別れ、大きなガラスの自動扉に足を向けたときだった。

「……にぁ……」

か細い鳴き声が聞こえた。

「ん?」
「………にぅ……」

「どこ?」
「………にぅ…」

小さく聞こえる子猫らしき鳴き声。
普段は気にする事のないその声に足を止めたのは、酔っていたからかもしれない。
その小さな鳴き声が聞こえてくるのは、エントランス脇の茂み。
生垣の下をそっと覗くと、小さな鳴き声の主がいた。

「やあ、鳴いてたのは、君?」
「にゃ…」
「今日は寒いのに…どうしたの、捨てられたの?」
「みゃぅ…」

小さなお口を精一杯開けると、そこに見える小さな牙。
震えながら首を傾げて、か細くて奇妙な鳴き声を上げる小さな子猫。
榛(はしばみ)色の大きな瞳が何かを訴えかけるようで、その場から立ち去るのが憚られた。

「困ったな…そんな小さな体で、一晩ここにいたらどうなる事やら…ねえ、うち来る?」
「にぅ…」

立ち去る気配のない子猫に手を差し出すと、子猫はおずおずと近寄り、指先の匂いを嗅ぐ。

「ん?大丈夫。おいで?」

ふんふんと匂いを嗅ぐ子猫を驚かせないように、でも逃げられないように、反対の手で首元を掴んだ。

「うにゃっ!」
「あ、いてっ、暴れない!じっとして。」

蓮の両手にすっぽりと入ってしまうほどの、痩せっぽちの小さな子猫。
やがて、温かい手の体温に観念したのか、震えていた子猫はじっと手の中に納まった。







「社さん、今日って少し早く上がれますかね?」
「ん?どうした、何か用事でもある?」
「用事というわけではないのですが…ちょっと家に早く帰りたい事情が出来ました。」

その瞬間、社はぎょっとしたような顔をして蓮を見た。

「え…お前、まさか俺の知らないところで、誰か連れ込んでるとか?」
「いや…そういうわけでは…」
「そりゃ、大人の事情があるだろうから細かいことは言いたくないが、そういうのはちゃんと相談してからにしてくれる?」
「大丈夫ですよ。何を心配してるんですか!社さんの思ってるようなことじゃないです。」
「え~~…?本当か?」
「本当ですよ。全く…もう」

そんなに信用ないんですかね と、蓮は肩をすくめて見せた。

「実は、拾い物をしたんです。」
「まさか、女じゃないだろうな。」
「だから、違いますよ。メスはメスでしたけど、子猫です。」
「へ?………子猫?いつ?」
「一昨日の晩です。」
「打ち上げの後?」
「ええ。エントランスの脇で震えて小さくなってたので、思わず…これなんですけど、見ます?」

携帯の画面を覗き込んだ社は目を丸くした。

「えっ!?何?滅茶苦茶可愛い~~!!」
「でしょう?可愛いですよね。」

画面には、ソファーらしきものの影で首を傾げて鎮座する、茶が多めのキジトラ模様で、口元から腹部、両手に白いソックスを履いた、小さな子猫がいた。

「うん、予想以上に可愛い。これを拾ったのか?」
「そうですね。いつもなら気にも留めないんですが…つい…」
「いや~…ついって言うのは分からんでもないが、あのマンションで飼うのか?」
「とりあえず、飼い主が見つかるまではと思うのですが…」
「う~ん、でも、猫って匂いがするんじゃないかな。」

「…ええ、もう洗礼は受けました。」
「はあ!?トイレ、やられたの?」
「ええ、バスマットに一度だけ。後はすぐにトイレを買ってきたので、それからはないですけど。」
「トイレ…買ったのか。」
「ええ、よろずやに出向いて。」
「…ご苦労さんなこって。」

蓮は、携帯を胸にしまう。

「ですから、慣れるまでは早く帰りたいと思うんですけど、出来そうですか。」

子猫のために早く帰りたいなんて、一体どんなだよと思わなくもない社だったが、聞けば昨日のオフは子猫のための買い物までして、一日中一緒にいたという担当俳優。
珍しいこともあるんだと、社はスケジュール帳をめくった。





(続く)

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

もしかして。

こんばんは。早速訪問してしまいました。


お馬鹿ばなし…、子猫ちゃん人化とか、笑えますね。
子猫の飼い主がキョーコさんっていうのもあり得そうです。

いやーーん。。。更新楽しみです!

新連載、どんなお話になるのか楽しみにしてま〜す♪

楽しそうな新連載ですね(〃ω〃)

絶ーっ対、可愛い♡
そして、蓮さんの目も手も、どこまでも優しいに違いない♡

まふまふ〰ほわほわ〰〰♡♡♡

ぽてととしましては、妄想はいくらでも出てきますが、かばぷーしゃまが、どう着地させていくのか楽しみです(*≧∀≦*)

Re: もしかして。

> harunatsu7711様

蓮さんのところに迷い込んだ子猫ちゃん。
可愛い可愛い拾得物です。
さて、どうなります事やら?

どうぞ、最後までお付き合いくださいませ♪

Re: タイトルなし

> めぐミン様

どんなお話になるのか、楽しみにしてくださってありがとうございます(≡^∇^≡)

ただただ、子猫にメロメロな蓮さんを書きたかった私…
猫が大好きなのですよ♪
どうぞ、最後までお付き合いくださいね。

Re: 楽しそうな新連載ですね(〃ω〃)

> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

可愛いでしょー?うん、可愛い♡
とにかく、可愛らしい子猫を愛でる蓮さんが書きたくてー(*v.v)。

きっとメロメロで可愛がるだろうと思ったら、何となくポンポンとイメージが湧いたのです。
犬も可愛がりそうですけど、猫だったら…メロメロっぽくないですか?

どうぞ最後までお付き合いくださいませ。


わーい、にゃんこだ^^

ニャンコさんですね。それも子猫のきじとらちゃん。
ニャンコ好きには嬉しいです。
読むのが少しでおくれましたが、楽しみです。

Re: わーい、にゃんこだ^^

> 山崎由布子 様

> ニャンコ好きには嬉しいです。
やったぁ!

にゃんこ好きなかばぷーです。
猫がいなかったときのほうが少ない人生を送っておりまする。
きっと猫好きの方には、あるあるだらけのお話になろうかと…どうぞお付き合い下さい。
プロフィール

かばぷー

Author:かばぷー
ス/☆ビ大好き!
脳内妄想☆大暴走中
思いついた言葉を書き連ね
作品置き場にしています。

☆当サイトはリンクフリーではありません☆
お付き合いある「ス/☆ビ」二/次サイト様、マスター様のリンクをいただいています。リンクをご希望の場合、お手数ですがリンクを貼られる前に必ずご一報ください。尚、原作者様の作品画像やアニメ画像を無断掲載をされているサイト様からのリンク、多くのサイトを無断で紹介されているサイトは固くお断りいたします。

Attention!
The all of this are NOT related with the Author and/or the Publisher. Not allowed to permit from all illegal actions by the website rules. No reproduction and/or republication without any written permission from blog author and/or web site owner.
Each blogs has the copyright after publication showing on the web site and each web page by the author.
注意!
この中の全ての物は、原作者及び出版社とは関係ありません。
ウェブサイト会社規約、全ての違法行為を禁止します。著作者の許可なく摸作・転作などの行為を禁じます。
各ウェブサイト又は各ブログ執筆者により書かれた、もしくはデザイナーに描かれたそれらの創作作品は、公共へ配信された時点で著作権は著者が所有しています。 

ようこそ
最新記事
カテゴリ
最新コメント
月別アーカイブ
リンクご案内
ちょび様
陽のうらうらと
ピコ様
sei様 風月様
popipi様
ちなぞ様 ぞうはな様
ぽてとあげたい様
ぽてとは揚げて食べたいな