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夢現刻物語 序章

こんばんは

大変長らくお待たせいたしました。
新連載スタートです。

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

本日より、週1更新ではじめます。
序章(プロローグ)は、ぽてしゃんのお話を連載に当たって改稿しました。
ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールド どうぞお楽しみ下さい。









夢現刻物語 序章 




「恐れながら申し上げます。」

皇族魔法団の長(おさ)であるハダルは頭(こうべ)を深く垂れ、口を開いた。
その言葉を、今か今かと待っていた皇帝とその妻は、沈痛な面持ちでその言葉を聞いた。

「クオン皇子にかけられた呪詛は非常に凶悪であり強力です。わたくし共の力ではとても………」

「そなたらであっても、無理だというのか!」
「はい、このままでは、皇子は衰弱し…最悪の場合はお命を失う事も…」
「命を!?」

「いえ、決してそのようなことにはなりませんよう、策を……」

ハダルの言葉を受けるように、魔法団員が口をそろえて物申す。

「そうです。策を講じなければなりませぬ。皇子は、この大陸をあの魔女から守るために危険に身を投じられた尊いお方。皇子の咄嗟のお覚悟が無ければ、この大陸は未曾有の災害に見舞われ、生きとし生けるものは全て苦しみの中にあったはず。」
「左様にございます。クオン皇子は勇敢にも私共の、大陸の全ての命をお守りくださった。なのに…それなのに………!!」

魔法団からは、口々にクオンを誉め称え、現状を克服せねばとの声が上がる。

そんな中、皇后の顔面は蒼白で今にも卒倒しそうだ。
皇帝は、両足をしっかりと地につけて、なんとか声を振り絞ってたずねた。

「ハダルよ…そなたら、皇族魔法団が揃っても解けぬ呪詛ならば、解く手立ての…あてはあるのか?」

「……………………………はい……あの…」

ざわり…と魔法団の中に緊張が走った。

「よい、申し上げてみよ。」
「あの女が…『黒の魔女』のザメルザが、いまわの際に言い残した唯一の方法ならば、もしや…」
「ハダル様っ、そ、それはっ!」

長の後ろに控えていた、魔法団の一人が慌てて口を挟んだ。

「ええい、構わぬ!!もう身の内には収めておけぬっ!」

「よい!申せ!本当なのか!ザメルザが呪詛を解く方法を伝えたというのか!?」

皇帝は思わず叫んだ。

「は、はい。」
「そのようなものがあるならば、なぜ早く言わぬ!?」

「それは…お、皇子が……クオン様が、その場にいた者達に箝口令を…」
「箝口、令……?クオンが自ら箝口令を強いたというのか!?」

「は、はい。その方法が、酷いものでして……。ザメルザも、『やれるものならやってみろ、さすればお前は立派な悪魔だ!』と…」

「ザメルザがそのような…一体…それは、どんな方法なのだ?」

皇帝は恐る恐るたずねた。
長の額には、恐怖のあまり薄らと汗が滲んでいる。

「白い魔女の末裔……モガミ・キョーコ様を……その、………せよと。」

「キョーコ?先々月まで皇子の、クオンの勉強仲間だったキョーコか?」
「……左様にございます。」
「確かにあの子は白い魔女の血筋…。体内に流れる血は強力な魔力を宿しているはずだ。しかしあの子の亡くなった親の方針で、力の使い方は全く訓練していないのではなかったか…?」

「はい。ですので、術により解かせるのではなく…か、身体を捧げさせよと………」

「「……………………!?」」

皇帝と皇后は息をのんだ。

「ザメルザは皇子が躊躇するとわかっていて、恐らくはそのような方法を…!しかもキョーコ様は、黒の魔女を陵駕する魔力の持ち主であった白い魔女の末裔とはいえ、魔力の扱いは赤子同様。なので、身体を……捧げる……というその行為は、一度や二度では、その……」
「クオンにかけられた呪詛は解けぬ……か?」

「は、はい…。魔女としては最高位にあるザメルザでしたので…魔力はあまりに強大。キョーコ様のお体で、大陸を破壊する力を秘めたザメルザの呪詛を一身に受けたクオン皇子の中に燻る火種を全て浄化するには…恐らく、年単位で…その…幾度も幾度も繰り返し……」

魔法団の長は、大変言いづらそうに自身の見立てを発言した。

「まっ、待って、待って頂戴!あの娘…キョーコは、婚約者と…恋人のヤシロと結婚するために、城を出たのよ?来月には結婚式をあげると!わたくし、あの子と一緒にマリアベールを編んだの。新居に遊びに行くわねって…!」

ずっと黙っていた皇后が声を発した。

「結婚を控えているキョーコに、身体を…捧げろですって……!?」

皇后の声は震えている。

「キョーコだけではない。婚約者のヤシロも…我が国の重要な秘書官だ。将来はクオンを支えてこの国を守ってもらおうと……」

皇帝も力無く呟いた。


「ですから皇子は、そのような暴挙には及びたくないと。…キョーコ様を…花嫁支度をして幸せの絶頂にいるであろうキョーコ様を呼び寄せて、そのような………」

「だから、クオンは箝口令を…」

皇帝は呆然と言葉をこぼした。そして、隣の部屋の寝台の上で全身の痛みと高熱に呻き声をあげ苦しむ息子であるクオン皇子を悲しい目線でドア越しに見据え、大きく息を吐いた。


皇帝の脳裏には、皇子が10歳、キョーコが6歳、その二人が勉強仲間として出会い、成長したこの13年間の出来ごとが走馬灯のように駆け抜けた。

そして皇帝は知っていた。クオンが、キョーコに秘かに幼馴染以上の感情を…いや、そんな生易しいものではなく、狂おしいほどの恋慕を抱きながらもそれをひた隠しにしていることも。

そしてその感情を、呪詛をかける際にクオンの心に入り込んだザメルザに気取られてしまったこと。そのせいで、そんな悲惨な呪詛解除の方法をザメルザは選択したということも、皇帝には容易に想像ができた。

ぐっと目をつぶる。

(私は皇帝だ。私は国を統べる者…………私は………何をすべきだ?)


次の瞬間、目を開けた皇帝は心を無にし、「キョーコを城に呼び戻せ!!…今すぐにだ!!」と命令を口にした。

「ぎょ、御意……………!!!」

部屋の下座に控えていた側近は、素早い動きで場を辞していく。

「わあぁぁぁぁぁぁぁ」

その場に皇后は泣き崩れた。

娘のように可愛がっていたキョーコの不幸が、皇后には耐えがたかった。

愛する男性に嫁ぐその日を心待ちにしているキョーコ。皇后は、キョーコの恐怖と絶望を想像し、全身を怒りと悪寒が駆け抜けるのを感じた。

ザメルザの強大な魔力と対峙するために、『水の民』であるクオンは、禁忌であったはずのその能力を使ってしまった。その力を使いさえしなければ、こんな恐ろしい呪詛をザメルザに浴びせられることもなかったというのに。『水の力』をクオンに受け継がせてしまった自身の血筋を怨み、皇后はその場で「ごめんなさいクオン、ごめんなさいキョーコ!!」と、咽び泣いた。



(続く)
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