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夢現刻物語 8

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第8話をお届けします。
前のお話はこちら 序章       

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。












夢現刻物語 8 ~成人の儀~





―――――5年後


パーン!パン!パン!

皇子の成人を祝う花火が、帝都に上がる。
次代を担う皇子の成人に、人々は歓喜に沸き、街は賑やかさで溢れていた。



「クオン、面をあげよ」

厳かな皇帝の声が、宮殿の広間に響き渡り、皇帝の手が皇子の仮面に伸ばされると、仮面が静かに外された。

すうっと眼を開き、皇帝を見据える美しい翡翠の瞳に皇帝は頷いた。

「ここに、次代のヒズリ帝国の皇帝、クオンの成人を宣言する!」

広間に響き渡る声で高らかに宣言された声
クオン皇子がゆっくりと振り返り、その場に列席した議会議員を始めとする貴族、皇族魔法団、皇族騎士団はその美しさに息をのんだ。

いや…息ができなかった。

仮面を外した皇子の美しさは、いままでに見たことがないほどの衝撃であったのだ。
皇后カレンタの美しさを持ってすれば、想像は難くない……が、皇后の美しさ以上に、未来の皇帝としての気高さ、気品がそこにはあった。
美しい色をした瞳、金色の髪は、いままでも見慣れたものであった筈なのに、仮面の下に隠されていたすらりと伸びた鼻梁と眉が加わるだけで、世の中にこのように美しい者があるのだろうかと思ったのだ。

「これからそなたを支える者達を伝えておこう。」

皇帝は、クオンの側近となる者達を呼び寄せた。

「皇子付きの近衛隊長に、ムラサメ・タイラ」
「はっ!」
「秘書官にはアサミ・ハルキを置く。また、側仕えの者やそなたの身の回りの世話をする者達は、馴染みがある者だけでなく、いずれも優秀な人材を揃えた。いずれも、そなたの力となりたいと願い、このヒズリ国を支えていく者達である。」

広間の端に控え、恭しく礼をする者達の姿に皇帝は満足げだ。
そして、その中には、小さいながらも女官の一員としてキョーコの姿も見える。
皇子はこれから自分に仕えてくれるであろう顔ぶれに、にこりと微笑んだ。

「さあ、国民に挨拶をしよう」

記念すべき成人の儀があるこの日、直轄領の領民だけでなく、皇子を一目見ようと集まった人々で広場はごった返し、皇子が仮面を外した姿で、バルコニーに出てくる瞬間を今か、今かと待ち構えていた。
皇帝と皇后と皇子と…広間から真っ直ぐにバルコニーに出ると、城の広場に集まった多くの民衆の希望に満ちた表情で、歓喜の声をあげた。

眩しいほどに輝く皇子

皇子の成人を祝福する如く、天候でさえも見方につけたように空は晴れ渡っている
その光を一身に受けて、光り輝くクオン皇子がそこに立っていたのである。







「お疲れになったでしょう」
「うん、流石に…キョーコは疲れてない?」

格式ばった成人の儀式で疲れているであろうに、そうやってキョーコを気遣う皇子のやさしさは、いくつになってもかわらない。

「はい!私など全く疲れておりません。殿下、リラックスできるお茶をお持ちしましょうか?」
「うん、お願い」
「では、とびっきり美味しいおやつも用意しますね。」
「クス…それ、キョーコが食べたいだけでしょ?」
「いーえ、殿下のためです。」
「はいはい」


セレモニーを終え、一息ついた皇子は、執務室の馴染んだ椅子に背を預けた。
2年ほど前からこの執務室が与えられ、政務にも触れてきた。そこに自由に出入りできる人間は、キョーコとタイラと…あとは限られた者達だったが、これからは政務に積極的に参加を求められる。
自然と…今までのように、自由な時間はなくなってしまうだろう…。



コン、コン、コン…

「よい、入れ」
「失礼致します、アサミです。」
「アサミか、どうしたのです?」
「クオン殿下、このたびは成人の儀、おめでとうございます。このアサミ、秘書官長としてお祝い申し上げます。」
「うん、ありがとう。これからもよろしく頼みます。」
「はい、勿論でございます。本日はお願いもあって参りました。」
「うん、何だろう?」
「殿下の元で働く、新しい秘書官見習いを紹介したいのですが。」
「秘書官見習い?」
「ええ、まだ学生なのですが、将来的に見込みのある青年なので実務経験を積ませようかと思っております。皇子付きの秘書官の一人に加えても構いませんか?」

女性ながらに秘書官長を務めるアサミはそう言って、メガネをかけた青年を皇子に紹介した。

「改めまして、このたび秘書官見習いとしてクオン殿下の御側に仕えることになりました。ヤシロと申します。」

丁寧に腰を折るその姿は、物腰も表情もとても柔らかいもので、皇子は少しだけ安心した。
年は20歳だという。まだ学生の身の上ではあるが、既に大学での学習を終え、実務経験を重ねるために官吏見習いとしてアサミが秘書官の一人に加えたいのだという。

「アサミが良いなら俺は構わない。」
「それならば、良かったです。私もクオン殿下つきの秘書官といえど、秘書官長としての職務もありますゆえ、何人か見込みのある者を育てなくてはならないのです。特にこのヤシロは行政官としても今後育てて行きたいと思っております。ご了承いただけますか。」
「ああ、構わない」
「ありがとうございます」

そこへ、控えめなノックが聞こえた。

「どうした?」
「失礼します…あ!お客様でしたか。」
「気にしなくていいよ、入って。」
「はい、それならば丁度良かったです。アサミ様もどうぞ後一緒にお茶を召し上がりませんか?」
「ああ、これはありがたいです。よい時間に当たったようですね。勿論いただきます。」

キョーコはポットのお茶を注ぐと、皇子とアサミ、ヤシロの前に置いた。


「とても…いい匂いですね。」

ヤシロは珍しいものを見るように、お茶の匂いを嗅いだ。

「レモンバームのお茶なのです。」
「珍しいでしょう?彼女のお茶はいつも美味しいのですよ。」
「ふふっ…アサミ様にそう言っていただけると、嬉しいです。ありがとうございます。」

いつも飲みなれているお茶とは少し違ったのだろうか、ヤシロはお茶を一口含んで、また匂いを嗅いだ。

「他にも…何か?」
「ええ、少しラベンダーも入っています。もしかして…苦手ですか?」

その時、じいーっと自分を見るヤシロと目が合った。

「え…あのー…」

にこり…と人好きのする笑顔を見せて、ヤシロは微笑んだ。

「いえ、とても美味しいお茶です。凄く…懐かしい味がしました。私は本日より秘書官見習いとしてクオン殿下のもとで働くことになりました、ヤシロと申します。あなたの…お名前を伺ってもよろしいですか?」





(続く)



つ…ついに登場人物が出揃ったー!!
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コメント

ひとつ場面がかわりましたね(*≧∀≦*)
はふ〰。なんと言いますか。ぽてとの脳内には、クオン皇子の成人の儀の様子が映像化されておりまして。どんだけ華やかでめでたいのなんのって。

はあ〰んっ(//∇//)クオン様、きっとお綺麗なのでしょうね〰キラキラしているのでしょうね〰♡♡♡


そして、皇子様、相変わらず愛らしい言葉遣い♡敬語がかわゆいっ(///ω///)まだ少し少年っぽさもあって、でも、大人っぽさもあって、あやうい時期だわ〰♡←←オバハン


ヤシロにーやん!
ぽてとの推しキャラ!
ヤシロにーやん!!
待ってました!ヤシロにーやん♡!
  • 2018-05-22│21:02 |
  • ぽてとたべたい&ぽてとあげたい URL│
  • [edit]
Re: ひとつ場面がかわりましたね(*≧∀≦*)
> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

脳内映像化、ありがとうございます!!
こうやって脳内で画像が結ぶって言うのが理想ですわ~~。

宮殿の様子も人の賑わいに溢れた広場を一望できるバルコニーも、
是非、脳内ビジョンで再現してくださいませ。

まだ、少年っぽさが残るクオン皇子、半分大人で半分子供…でも、いつまでも子供じゃいられないんですけどね?(←待ち遠しいわあ♪)私もオバハン!(笑)

そして、ようやくやっしーの登場です!
待ち遠しかったですね。コレでいよいよ役者が揃った感じです。
そして彼こそが、皆様の心配していた最大の馬の骨……
ええ、本当にそのとおりでございます。

ここから、じれじれ模様が発動ですね。
うふふふふ~~楽しみです。
  • 2018-05-22│21:17 |
  • かばぷー URL│
  • [edit]

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