夢現刻物語 13

原作:ぽてとあげたい様 文:かばぷー による

「夢現刻物語」
(ゆめうつつのとき ものがたり)

第13話をお届けします。
前のお話はこちら 序章          10 11 12

ぽてしゃんワールドと、かばぷーワールドの融合をどうぞお楽しみ下さい。











夢現刻物語 13 ~アカトキ国の夜~




「じゃあ、行ってくるよ。」
「はい!行ってらっしゃいませ!」

あれからしばらく、皇子はキョーコの顔を真っ直ぐに見られなくなった。自分の欲望をなかったことにしたくて、気まずい思いを払拭するように出かける挨拶をすれば、何も気付かないキョーコは明るく返してくる。
皇子はいたたまれない思いで馬車に乗った。

「ちびすけ、いつまでもめそめそ泣いてんじゃないぞ!」
「泣いてなんかいませんよーだ!!タイラの意地悪!」

タイラのようにもっと気軽にキョーコに触れる事ができたなら…そうできない自分が恨めしくもあり、胸にもやもやしたものがたまっていく。
そして、無邪気にじゃれて大いに膨れっ面をした挙句、タイラにあっかんべーをして見せたキョーコ。


このまだあどけない少女に、自分は一体何をしようとしたのだろう?
タイラとて、キョーコを見る目が他の誰とも違う…特別である事は明らかなのに、上手くやっている…。そのことが、余計に皇子の心をざわつかせ、表面は平静を装っていても、皇子の心中は穏やかではなかった。

無邪気に見送るキョーコを残し、皇子達は何度目かの外遊先になるアカトキ国に向けて出立した。






「ヒズリ帝国よりよう参られた、お疲れであろう!まずはゆっくりとなされよ。」
「この度の王太子殿下のご成婚、まことにおめでとうございます。ヒズリ国より、お祝いを申し上げます。」

アカトキ王太子の成婚を祝うために訪れたヒズリ帝国の一団は、アカトキ国から賑々しい歓待を受けた。巨大なヒズリ帝国の特使団である皇子には、最上級の賓客をもてなすための貴賓室が与えられ、他国との扱いの違いは格別であった。

祝いの席も同様だった。アカトキ国と貿易によって繋がっているのは、ヒズリ帝国だけではない。アカトキと交易のある各国の特使が婚姻の言祝ぎに訪れているにも関わらず、年若の皇子は代理出席という立場でありながら、宴席では上位の席に置かれた。

そして、それはこの大陸におけるヒズリ帝国の確固たる地位を証明するものだった。

“おめでとうございます”
“まことにめでたい婚姻を結ばれた”

飛び交う祝いの言葉
盛り上がる宴席で、皇子も接待を受けていた。

「今日は、兄の結婚にお越しくださいまして、ありがとうございます。」
「いえ…まずは、王太子殿下のご成婚、おめでとうございます。」
「クオン皇子、これは我が家の第4王女でな、ヴァレリーという。懇意にしてやってくれ。」
「皇子、どうぞお見知りおき下さい。」
「これ以外にも、娘はたくさんおりますのでな……好みの娘がおりましたら、酌をさせましょう。」
「どうぞお気遣いなく」

ヴァレリー王女は、皇子より二歳年上だといっただろうか…ゆったりとした布を宝飾の施された太いベルトで閉め、大きく胸元が開いたアカトキの正装であるドレスを着ている。
大振りのイヤリングやネックレスを身につけ、立派な細工を施したハイウエストのベルトのせいで胸元が強調され、そこにある豊満なバストの谷間から皇子は目をそらした。

アカトキ王には6人の妻妾と多くの子がいる。
この度、婚姻を結んだのは、正妻の産んだ唯一の息子である王太子。
だが、結婚の祝いの特使団がクオン皇子である事を聞きつけたアカトキ王は、次はヒズリ国と婚姻関係を結ぼうと年頃の第4王女、第5王女を皇子に紹介するよう目論んでいた。

クオン皇子は一昨年成人したばかりで正妻はまだいないのは周知の事実。
皇子をしたたか酔わせて関係を結んでしまえば、一気に結婚へと話が進む。
そうすれば、正妻を射止めることは叶わなくとも、ヒズリ帝国という後ろ盾を得て、当面はアカトキより東の国との戦の心配や、小麦の心配をしなくてもよいのだ。

…アカトキ王の考えそうなことだった。

皇子は酒の勧めに丁重に断りを入れ、のらり、くらりと王女たちの誘惑をかわした。

だが、アカトキの酒は強い。
祝いの席とあって部下たちにも酒が振舞われ、上機嫌でタイラも酒を口にしている。
まだ酒に慣れきっていない皇子は、次第に意識が朦朧とし始めていた。



どれくらい時間がたったのだろう?
ふらふらと千鳥足でようやく部屋に辿り着いた皇子は、ベッドに転がり込んだ。

(流石に飲みすぎた…)

もう既に記憶は途切れ途切れ、急激に睡魔に襲われ、目を閉じた。








ふと甘い香りに包まれた気がした。
柔らかな指が胸を這い、唇に触れた柔らかな何か…
それが女人のものかどうかなど、皇子はまだ知らない。けれど、その刺激はたまらなく皇子の身体を熱くした。

「ん…」

まろやかな口付けは、まるでキョーコの甘い菓子を頬張っている時のように幸せを感じた。そう…こんな風にキョーコに口づけたかったのだ

柔らかな身体を抱きしめ、口付けを交わし、名前を呼んで愛しむ…
“キョーコ……”と、声を出そうとして………そこで覚醒した。

「な!…一体、どうなされたのです!?」

皇子の上に覆いかぶさるようにしていたのは、先程酌をしていたヴァレリー王女だった。胸元の開いた薄い生地のドレスを身に纏い、半分肌蹴た皇子の胸元に、赤い爪を乗せていた。

「クオン皇子…お慰みを頂戴したく思って、参りました…」

しどけない格好をして、甘い匂いをさせて近づく女人に、目の前がくらくらする。
するり…と赤い爪が、熱を持った場所を撫でた。

「……っ!?」
「皇子…この猛々しく張り詰めたモノ…辛いのでしょう?」

初めて女人に触れられた感触に、背筋が粟立つような快感を覚える。けれど、ここで彼女を抱いてしまえば、アカトキ王の思う壺
皇子は、下穿きに侵入していようとした赤い爪ごと、ヴァレリー王女の身体を押しのけた。

「え…!?」

「申し訳ないが、あなたのお相手は出来ません。ただ、ここで、私に断られたとあっては、あなたの沽券にも関わるでしょうから…そうですね。私が寝所にいなかったことにしてください。」
「そんな!それでは私が困ります!」

「いえ、そうしてください。……タイラ!!タイラはいるか?」

「…………はい。殿下、どうなさいました?」

いつもより反応が遅いのは仕方がなかった。
きっと王女はタイラが守る扉を使わない方法で、ここに入ってきたのだろう。

「いいですね?私はここにいなかった。」

呆然と青褪める王女を残していくには忍びない。だが、彼女には申し訳なさは微塵も見せず、皇子は急いでベッドを降りた。

「……では、これで。」

勢い良く扉を開け、周囲に誰がいても構わないと声を張り上げる。

「タイラ、街へ出かける。付き合え!」
「こんな夜半に!?どこへ!」

皇子は急ぎ足でその場を去りながら、タイラに無表情で告げた。

「………花街だ。案内せよ。」





(続く)





花街…花街!?
(;д;)
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読み手様の皆様……………

なんと言いますか……………謝罪?的な感じで……………。ずいぶん悩んだのですけど……。

多分、『花街』のくだりは、一般的には受け入れが悪いんですね……………そっか、全く考えもしなかったです………。クオンとキョーコは、両想いでもなければ、クオンは年頃の男の子………。頑張れば結婚できるというような簡単な立場でもないですし、キョーコを手に入れるのは実質不可能に近い………。そんな鬱憤があるクオンは、よその女と子供を作らなければ、キョーコに無体を敷くよりは、全然OKだと、ぽてとは本気の本気で思っていたもので………。何よりパラレルですし……………。

あ、なので謝罪というのは、『クオンにこういうことさせてすまん!』ではなく、『感性が違ってすみません。』てなニュアンスで……。


ちなみにぽてとは、かばぷーしゃまの、クオン皇子を誘惑する姫の描写が好きです( 〃▽〃)いかがわしくて、エロくて、女らしくて、綺麗で、コーフン!しましたっ♡

Re: 読み手様の皆様……………

> ぽてとたべたい&ぽてとあげたい 様

まあ、お気になさらずともよろしいですのに!

我輩のメインは蓮キョですからね。蓮さんが他の女性となんて~~!!って思われるのは織り込み済みですから、大丈夫です。
後で読み返した時にさらっと流れたらそれでいいのでございます。
普段でしたらこういうパターンのお話は限定にしますけれど、お話の流れ上、今回は通常版です。
甘いものをお求めのお嬢様には、がっかりさせてしまったのですけれど、お話の筋として、もしくは一生懸命書いた事へのご褒美として拍手をいただけるなら、それはとてもありがたいことです。

誘惑する彼女、エロかったですかね。むふ♪それも嬉しいお言葉です。
お付き合いくださり、ありがとうございました。
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